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夜会に出没するにも才能が要る
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それより今年は、マダム・チャレーナのセールに早めに行けるかしら……。臨時収入は憧れのピンク色のワンピースに届くかしら。袖と裾が長めなのが残ってると良いなぁ。
前のセールなんて、マジで売れ残りの芋色しか無かったからねえ……。
仕方ないから涙を飲んで買ったけど、残り福なんて夢幻だったわ。折角流行りは半年レベルで遅れる田舎から華やかな王都に出てきたと言うのに……芋色なんて地元でも売ってんのよ!
流石にデザインは洒落てたけど違うのよ! もっと都会的カラーが欲しかったのに!!
現実が厳しすぎて、兜のバイザーも涙で曇るわよ。ボッタボタよ。
「しかし、盛況だとは思うが……マジで侵入者がこんな所に来るとはなー」
「同意する」
そうなのよね。
無断侵入なら、裏門やら使用人門からコソコソするのかと思いきや。
此処って、滅茶苦茶正門……馬車とかも入れる大きい門の、すぐ横の貴族用の徒歩用門なんだわ。
王都で馬車を持ってない、貴族が使う門ね。呼ばれた事ないけど、ウチの家も此処を使用する筈だわ。
まあ、馬車の入れる正門に比べりゃランクもグレードも低い……から素直に入れると思うのかしら。チョロまかされると?
勿論此処のセキュリティも高いんだけど、舐められてるのね。
あの皇子みたいに、……いや、流石にあのランクのお忍びは来ないけど、貴族に化けた紛い物庶民もやってくるし、気が抜けないのよね。日誌で読んでたのを体験するとは……。
それに、不審者を通したら門番の名折れ、物理的に一族郎党首が折れて飛ぶわ。実際、飛んでたのを日誌で読んだわ。
だから兵士は職務に邁進して必死なのを、不審者ってば分かってないわよね。
「あのー、スミマセン。招待状を頂きまして……」
やべ、まさに正当に此処の門をお使いの方が居らしたわ。気を引き締めなきゃ!
「拝見しよう。……ようこそ、ヒソー伯爵夫妻、王宮の夜会へ」
「何故その小汚いのが良くて私がーーー!!」
……嫌だわ。まだ居たのね。
まあ、あの皇子からはお偉いさんオーラは出てるから? 穏便に優しくゆっくり引き摺って行ったのかな。もっとズリズリ砂利の上で引き回せばいいのにね。擦り傷位で死にはしないわよ。
「あ、あの……」
「雑音などお気になさるな、良き夜を」
「は、はい……。門番殿も職務お疲れ様です」
おお、頭をペコリと下げられて。
何て腰の低い伯爵家なのかしら……。失礼ながらボロを着てても心は錦な伯爵様だわ。
「……ルーク」
「何だ」
「お前、門番に向きすぎじゃね? いや、兵士……騎士みたいだぞ」
「無駄口を叩くなと言った筈だが」
騎士は門番しないじゃないの!
んもう! キリエったら、本当に適当でいい加減でチャラくて物知らずなんだから!!
ん?でも待てよ。
ヒロインって、そもそもこの夜会に出没出来たのかしら?
確か……名前は忘れたけど、そこそこの商人上がりの成り上がり貴族だし、貴族教育の素地はゼロよね?
だから、滅茶苦茶お勉強しないと、夜会に出れる資格取れなかったわよね?
貴族マナーを覚えて、貴族的なダンスを覚えて、家政を仕切って使用人に指示を出して……。
ゼロからやるの……無理では? 今の男爵令嬢な私でもそう思うわ。
後何か……。ああ! 職人にドレスと靴製作習うルートも有ったかしら……。
やらなくても攻略出来たけど、出来たら滅茶苦茶攻略対象に褒められて、攻略がぐんと楽になるルートだったかな。
それもある程度の出来にならないと夜会に出れなかった、筈。
でも、隠しキャラとか攻略難しい対象には服と靴作りに邁進しなきゃならなかったかなぁ。家政とかをそこそこ上手くサボらないとスケジュール的に無理だったかしらね。
でも、現実、職人したことのないティーンエイジャー素人娘が、勉強に服と靴作り? お勉強と並行で?
そんな完璧超人になれるものなの?
素人製作のドレスと靴を、プロ製作のドレスを纏う令嬢溢れる夜会の場で、貴族である攻略対象は褒めるかしら?
無理だろうなー。
前のセールなんて、マジで売れ残りの芋色しか無かったからねえ……。
仕方ないから涙を飲んで買ったけど、残り福なんて夢幻だったわ。折角流行りは半年レベルで遅れる田舎から華やかな王都に出てきたと言うのに……芋色なんて地元でも売ってんのよ!
流石にデザインは洒落てたけど違うのよ! もっと都会的カラーが欲しかったのに!!
現実が厳しすぎて、兜のバイザーも涙で曇るわよ。ボッタボタよ。
「しかし、盛況だとは思うが……マジで侵入者がこんな所に来るとはなー」
「同意する」
そうなのよね。
無断侵入なら、裏門やら使用人門からコソコソするのかと思いきや。
此処って、滅茶苦茶正門……馬車とかも入れる大きい門の、すぐ横の貴族用の徒歩用門なんだわ。
王都で馬車を持ってない、貴族が使う門ね。呼ばれた事ないけど、ウチの家も此処を使用する筈だわ。
まあ、馬車の入れる正門に比べりゃランクもグレードも低い……から素直に入れると思うのかしら。チョロまかされると?
勿論此処のセキュリティも高いんだけど、舐められてるのね。
あの皇子みたいに、……いや、流石にあのランクのお忍びは来ないけど、貴族に化けた紛い物庶民もやってくるし、気が抜けないのよね。日誌で読んでたのを体験するとは……。
それに、不審者を通したら門番の名折れ、物理的に一族郎党首が折れて飛ぶわ。実際、飛んでたのを日誌で読んだわ。
だから兵士は職務に邁進して必死なのを、不審者ってば分かってないわよね。
「あのー、スミマセン。招待状を頂きまして……」
やべ、まさに正当に此処の門をお使いの方が居らしたわ。気を引き締めなきゃ!
「拝見しよう。……ようこそ、ヒソー伯爵夫妻、王宮の夜会へ」
「何故その小汚いのが良くて私がーーー!!」
……嫌だわ。まだ居たのね。
まあ、あの皇子からはお偉いさんオーラは出てるから? 穏便に優しくゆっくり引き摺って行ったのかな。もっとズリズリ砂利の上で引き回せばいいのにね。擦り傷位で死にはしないわよ。
「あ、あの……」
「雑音などお気になさるな、良き夜を」
「は、はい……。門番殿も職務お疲れ様です」
おお、頭をペコリと下げられて。
何て腰の低い伯爵家なのかしら……。失礼ながらボロを着てても心は錦な伯爵様だわ。
「……ルーク」
「何だ」
「お前、門番に向きすぎじゃね? いや、兵士……騎士みたいだぞ」
「無駄口を叩くなと言った筈だが」
騎士は門番しないじゃないの!
んもう! キリエったら、本当に適当でいい加減でチャラくて物知らずなんだから!!
ん?でも待てよ。
ヒロインって、そもそもこの夜会に出没出来たのかしら?
確か……名前は忘れたけど、そこそこの商人上がりの成り上がり貴族だし、貴族教育の素地はゼロよね?
だから、滅茶苦茶お勉強しないと、夜会に出れる資格取れなかったわよね?
貴族マナーを覚えて、貴族的なダンスを覚えて、家政を仕切って使用人に指示を出して……。
ゼロからやるの……無理では? 今の男爵令嬢な私でもそう思うわ。
後何か……。ああ! 職人にドレスと靴製作習うルートも有ったかしら……。
やらなくても攻略出来たけど、出来たら滅茶苦茶攻略対象に褒められて、攻略がぐんと楽になるルートだったかな。
それもある程度の出来にならないと夜会に出れなかった、筈。
でも、隠しキャラとか攻略難しい対象には服と靴作りに邁進しなきゃならなかったかなぁ。家政とかをそこそこ上手くサボらないとスケジュール的に無理だったかしらね。
でも、現実、職人したことのないティーンエイジャー素人娘が、勉強に服と靴作り? お勉強と並行で?
そんな完璧超人になれるものなの?
素人製作のドレスと靴を、プロ製作のドレスを纏う令嬢溢れる夜会の場で、貴族である攻略対象は褒めるかしら?
無理だろうなー。
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