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特襲騎兵、西へ
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間道を只管駈けていた霞谷は、鞍上から黒三月が微かに何かに反応するのを感じた。乗手の自分に向けていた両耳を一瞬、前にピンッと張り前方に何か在る事を知らせてきたのだ。
霞谷は手綱を引き、駈歩から速歩に落とすと前方に在る物に近付いて行った。
近付き手前で停まると、地面に這い蹲るそれはむくりと体を起こし此方に話し掛けてきた。
「ゆ、友軍ですか……?帝国陸軍騎兵ですか?」
怯えきった震える声が冷たい空気を伝って、微かな声量にも拘わらずハッキリと聞こえてきた。
「……そうだ。官姓名は?」霞谷は警戒心を解かずに様子を窺った。
体を起こしたそれはまだ声を震わせている。
「じ、じ、自分は歩兵第三十四連隊第三大隊第四中隊第一小隊、伊藤一等卒であります……」
「俺は独立第百一中隊、霞谷曹長だ」鞍上から告げると、伊藤は目を擦りながら見上げている。
「あ、あの……曹長殿は……じ、女性でありますか……?」
「だったらどうした?軍務に関係は無い。伊藤一等卒の部隊はどうした?」語気を強め、憮然と言い放つと、伊藤はまた怯えた表情に戻った。
「じ、自分の小隊は最西の監視哨陣地に居りましたが……恐らくは……全滅したと思われます」
「全滅……?何があった?」眉を上げ、改めて伊藤のボロボロになった姿を見詰めた。
霞谷は手綱を引き、駈歩から速歩に落とすと前方に在る物に近付いて行った。
近付き手前で停まると、地面に這い蹲るそれはむくりと体を起こし此方に話し掛けてきた。
「ゆ、友軍ですか……?帝国陸軍騎兵ですか?」
怯えきった震える声が冷たい空気を伝って、微かな声量にも拘わらずハッキリと聞こえてきた。
「……そうだ。官姓名は?」霞谷は警戒心を解かずに様子を窺った。
体を起こしたそれはまだ声を震わせている。
「じ、じ、自分は歩兵第三十四連隊第三大隊第四中隊第一小隊、伊藤一等卒であります……」
「俺は独立第百一中隊、霞谷曹長だ」鞍上から告げると、伊藤は目を擦りながら見上げている。
「あ、あの……曹長殿は……じ、女性でありますか……?」
「だったらどうした?軍務に関係は無い。伊藤一等卒の部隊はどうした?」語気を強め、憮然と言い放つと、伊藤はまた怯えた表情に戻った。
「じ、自分の小隊は最西の監視哨陣地に居りましたが……恐らくは……全滅したと思われます」
「全滅……?何があった?」眉を上げ、改めて伊藤のボロボロになった姿を見詰めた。
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