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風邪④ ―輝 side―
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目を覚ますと俺の部屋で。
なんか、頭とおでこが気持ちいい……
手探りで自分の置かれてる状況を把握する。
おでこには冷えピタが貼ってあって枕が氷枕になっていた。
あぁ、美紀がやってくれたんだな……
朝から何だから体がフラフラして熱を測ったら三十九度もあって。
でも、麻美さんは仕事だし美紀も椎名と出かけると聞いていたから心配かけないように平気な振りを装った。
だけど、美紀が出て行った瞬間、気が抜けたのかその場で倒れてしまって。
美紀が戻ってきて俺を部屋まで運んでくれてお説教を食らった。
それでも、美紀が椎名と出かけるのを楽しみにしてたから声を振り絞り俺は平気だから行っておいでと伝えようとして。
でも、美紀は嘘を吐いてまで俺を見てくれると言ってくれたのが嬉しくて笑って謝罪とお礼を言った後、意識を手放した。
しかし、熱が高いせいかすぐに目が覚めてしまって飲み物を取りに行こうと下に降りたらなんか危なっかしいことしてる美紀を目撃。
美紀の手の先には枕があって。
あれを取ろうとしてるのかと理解するのに時間はかからなかった。
あの椅子、たまにグラつくんだよな……と思った瞬間、美紀が椅子の上でジャンプをして。
驚いて慌てて駆け寄るが思うように体が動かなかった。
それでも必死に駆け寄り、あと一歩と言うところでバランスが崩れ倒れそうになる。
一生懸命手を伸ばして何とか美紀を抱き留めることは出来たけど思った以上に力が入らなくて結果美紀の下敷きになってしまった。
美紀が何か言ってたけど頭がもう全然回らなくて。
俺はそのまま意識を手放した。
美紀、怪我とかしてなかったかな……
せめてそれだけでも確認してから意識を手放したかった……
自分を情けなく思いながら体を起こす。
今、何時だ?
時計を見るともう十三時を回っていて。
朝と比べたらだいぶ楽になった。
汗も結構掻いたな……
着替えるかと思い別の寝間着を出す。
めんどくさいので上下ともに服を脱いだら美紀がトレーを持って入ってきて。
俺を見た瞬間、慌ててドアを閉めて出て行った。
「ご、ごめんなさいっ!ね、寝てると思ってっ!!」
あのトレーにはお粥でも乗ってるのかなと思いながら着替える。
着替え終わってからドアを開けて美紀を中に入れる。
「あ、あの、輝……熱は?」
「測ってないから分からないけど朝よりかだいぶ楽になったよ。三十九はないかな」
俺がそう言うと美紀が俺の頬に触れて。
すごく冷たかったから一瞬ビクッとした。
「……まだ熱ありそうだよ?ちゃんと寝てて」
「これくらい平気だよ。美紀、今からでも椎名と出かけておいで」
じゃないと、たぶん、理性が……
口には出さず心の中で葛藤を始める。
すると美紀が怒って。
「駄目!無理したらまた熱が上がるわよ!?薫とはまた今度別の日に出掛けるから気にしないで!分かったらとっととベッドに入って寝る!」
そう言いながら俺の背中を押しながらベッドまで運ぶ。
渋々、言われた通りにベッドに入った。
「食欲はある?お粥作ったんだけど……」
「食べたい!美紀の手作りなんでしょ?」
「そ、そうだけど……私、あんまり料理とかしないから味の保障は出来ないよ?」
「美紀が俺のために作ってくれたってだけですごく嬉しいよ」
「……と、とにかく!まずは熱を測りましょう?氷枕換えてくるから!」
そう言って美紀は氷枕を持って出て行ってしまった。
俺はクスッと笑って言われた通り熱を測る。
照れてる美紀は可愛いなー
なんて思いながら熱を測ったせいかまだ三十八度五分もあって正直驚く。
四捨五入したら三十九度だよ……
と思いながら体温計をしまう。
そこで美紀が戻ってきた。
「熱は測った?」
「うん」
「何度だったの?」
「さ、三十八度だった!まだちょっとあるみたいだしお粥食べたら寝るよ」
「……ちょっと……?まだ高いわよ!もう!お粥食べたらすぐ寝なさいよ!」
「は、はい!」
美紀はため息を吐くとお粥をお茶碗に盛って渡してくれた。
俺が食べようとしたら美紀が全部取り上げて。
「えっ!?何で!?」
美紀は恥ずかしそうに私が食べさせてあげると言ってきて。
いや、嬉しいけど……
俺、絶対また熱上がる……
理性の糸も実はもうギリギリで。
そんな俺の気も知らず美紀はお粥を掬うとふぅーふぅーと息を吹きかけて俺の口元にお粥を持って来る。
「はい、あーん」
「……あ、あーん……」
口を開けてお粥を食べる。
嬉しいけど恥ずかしい……
それに何より、美紀が可愛い……
あぁ、もう、いいや。
めっちゃ幸せだし。
熱よ、好きなだけ上がれ。
ただ、理性の糸だけは保って下さい……
そんなことを思いながら美紀に食べさせてもらって完食。
流石に薬は自分で飲んだ。
「……輝、大丈夫?」
「え?何が?」
「そ、その……味、とか……」
あぁ、そっちか……
と思いながら微笑んで美紀の頭を撫でる。
「美味しかったよ?」
俺がそう言うと美紀はぱぁっと顔が明るくなる。
いや、あの、もう本当に勘弁してください。
可愛過ぎだから……
下がるもんも下がる気がしない……
「あ、あのね!輝!私に出来ることがあったら何でも言ってね?私、ちゃんとやってみせるから!」
それを聞いた俺はバッと顔を背ける。
「輝?」
やばい、今、俺の脳内変換がやばいことに……
馬鹿か!俺!
変な意味じゃねぇし!
美紀はただ純粋に看病の話をしててっ!
あぁ、もう!
俺は布団の中に潜り込むと口を開く。
「……椅子の上でジャンプとか危ないことをしないでくれればいいです……」
「えっ!?あ、あれは!枕を取るために仕方なく……っ!ってそうじゃなくて!その、添い寝してほしい、とか……」
この子は何を言い出すの!?
俺は熱がある訳で!
理性も本当にギリギリで!
そんな中で添い寝!?
襲って下さいって言ってるもんだよ!?
これまで何度も襲いたい衝動を我慢してるんだから今爆発してもおかしくないんだよ!
なんてことが言える訳もなく……
「……大丈夫。風邪移るといけないから自分の部屋にいて?何かあったら呼ぶから」
欲望と必死に闘いながらなんとか理性を勝たせる。
正直、今は熱とだけ闘いたい……
美紀は自分が必要ないと思ったのか悲しそうな顔をして立ち上がる。
「ご、ごめんね?輝、優しいから迷惑でも看病させてくれたんだよね?私、輝のこと困らせてたんだよね……」
いや、あながち間違ってないけど根本的に違う!
戻るねと言う美紀の腕を思わず掴んで引き留める。
今にも泣きそうな美紀を放っておけなくて引き留めた後に後悔した。
「……輝?」
傍にいてほしいけど風邪が移ってほしくないのも本当だし美紀がいると理性が保てるか不安で困るのも本当だし引き留めちゃいけなかったのに!
俺は馬鹿か!
あぁ、でも、美紀ては冷たくて気持ちいい。
しばらく掴んだまま黙っていると再び美紀が口を開く。
「輝?何もないなら私……」
「……手……」
「手?」
「……その、美紀の手が冷たくて気持ちいいから……おでこに当てといてほしいと言うか……」
「でも、おでこには冷えピタ貼ってあるよ?」
……そうでした。
いや、もう、諦めるには充分だって。
このまま腕を放して出て行ってもらおう、それがいい。
そう思い、腕を放して口を開いた。
「……そうだったね。ごめん、風邪移ると大変だしやっぱり部屋に戻っていいよ」
美紀はクスッと笑うとベッドの横にしゃがみ込んで俺の目の高さと合わせる。
そして、手を俺の頬に当てて撫でてきて。
ひんやりして気持ちいい……
「輝が寝るまで撫でてあげる」
俺は返事の代わりに頬擦りをして手の甲にキスをする。
可愛い美紀、俺だけの……
そう思いながら意識を手放した――――
なんか、頭とおでこが気持ちいい……
手探りで自分の置かれてる状況を把握する。
おでこには冷えピタが貼ってあって枕が氷枕になっていた。
あぁ、美紀がやってくれたんだな……
朝から何だから体がフラフラして熱を測ったら三十九度もあって。
でも、麻美さんは仕事だし美紀も椎名と出かけると聞いていたから心配かけないように平気な振りを装った。
だけど、美紀が出て行った瞬間、気が抜けたのかその場で倒れてしまって。
美紀が戻ってきて俺を部屋まで運んでくれてお説教を食らった。
それでも、美紀が椎名と出かけるのを楽しみにしてたから声を振り絞り俺は平気だから行っておいでと伝えようとして。
でも、美紀は嘘を吐いてまで俺を見てくれると言ってくれたのが嬉しくて笑って謝罪とお礼を言った後、意識を手放した。
しかし、熱が高いせいかすぐに目が覚めてしまって飲み物を取りに行こうと下に降りたらなんか危なっかしいことしてる美紀を目撃。
美紀の手の先には枕があって。
あれを取ろうとしてるのかと理解するのに時間はかからなかった。
あの椅子、たまにグラつくんだよな……と思った瞬間、美紀が椅子の上でジャンプをして。
驚いて慌てて駆け寄るが思うように体が動かなかった。
それでも必死に駆け寄り、あと一歩と言うところでバランスが崩れ倒れそうになる。
一生懸命手を伸ばして何とか美紀を抱き留めることは出来たけど思った以上に力が入らなくて結果美紀の下敷きになってしまった。
美紀が何か言ってたけど頭がもう全然回らなくて。
俺はそのまま意識を手放した。
美紀、怪我とかしてなかったかな……
せめてそれだけでも確認してから意識を手放したかった……
自分を情けなく思いながら体を起こす。
今、何時だ?
時計を見るともう十三時を回っていて。
朝と比べたらだいぶ楽になった。
汗も結構掻いたな……
着替えるかと思い別の寝間着を出す。
めんどくさいので上下ともに服を脱いだら美紀がトレーを持って入ってきて。
俺を見た瞬間、慌ててドアを閉めて出て行った。
「ご、ごめんなさいっ!ね、寝てると思ってっ!!」
あのトレーにはお粥でも乗ってるのかなと思いながら着替える。
着替え終わってからドアを開けて美紀を中に入れる。
「あ、あの、輝……熱は?」
「測ってないから分からないけど朝よりかだいぶ楽になったよ。三十九はないかな」
俺がそう言うと美紀が俺の頬に触れて。
すごく冷たかったから一瞬ビクッとした。
「……まだ熱ありそうだよ?ちゃんと寝てて」
「これくらい平気だよ。美紀、今からでも椎名と出かけておいで」
じゃないと、たぶん、理性が……
口には出さず心の中で葛藤を始める。
すると美紀が怒って。
「駄目!無理したらまた熱が上がるわよ!?薫とはまた今度別の日に出掛けるから気にしないで!分かったらとっととベッドに入って寝る!」
そう言いながら俺の背中を押しながらベッドまで運ぶ。
渋々、言われた通りにベッドに入った。
「食欲はある?お粥作ったんだけど……」
「食べたい!美紀の手作りなんでしょ?」
「そ、そうだけど……私、あんまり料理とかしないから味の保障は出来ないよ?」
「美紀が俺のために作ってくれたってだけですごく嬉しいよ」
「……と、とにかく!まずは熱を測りましょう?氷枕換えてくるから!」
そう言って美紀は氷枕を持って出て行ってしまった。
俺はクスッと笑って言われた通り熱を測る。
照れてる美紀は可愛いなー
なんて思いながら熱を測ったせいかまだ三十八度五分もあって正直驚く。
四捨五入したら三十九度だよ……
と思いながら体温計をしまう。
そこで美紀が戻ってきた。
「熱は測った?」
「うん」
「何度だったの?」
「さ、三十八度だった!まだちょっとあるみたいだしお粥食べたら寝るよ」
「……ちょっと……?まだ高いわよ!もう!お粥食べたらすぐ寝なさいよ!」
「は、はい!」
美紀はため息を吐くとお粥をお茶碗に盛って渡してくれた。
俺が食べようとしたら美紀が全部取り上げて。
「えっ!?何で!?」
美紀は恥ずかしそうに私が食べさせてあげると言ってきて。
いや、嬉しいけど……
俺、絶対また熱上がる……
理性の糸も実はもうギリギリで。
そんな俺の気も知らず美紀はお粥を掬うとふぅーふぅーと息を吹きかけて俺の口元にお粥を持って来る。
「はい、あーん」
「……あ、あーん……」
口を開けてお粥を食べる。
嬉しいけど恥ずかしい……
それに何より、美紀が可愛い……
あぁ、もう、いいや。
めっちゃ幸せだし。
熱よ、好きなだけ上がれ。
ただ、理性の糸だけは保って下さい……
そんなことを思いながら美紀に食べさせてもらって完食。
流石に薬は自分で飲んだ。
「……輝、大丈夫?」
「え?何が?」
「そ、その……味、とか……」
あぁ、そっちか……
と思いながら微笑んで美紀の頭を撫でる。
「美味しかったよ?」
俺がそう言うと美紀はぱぁっと顔が明るくなる。
いや、あの、もう本当に勘弁してください。
可愛過ぎだから……
下がるもんも下がる気がしない……
「あ、あのね!輝!私に出来ることがあったら何でも言ってね?私、ちゃんとやってみせるから!」
それを聞いた俺はバッと顔を背ける。
「輝?」
やばい、今、俺の脳内変換がやばいことに……
馬鹿か!俺!
変な意味じゃねぇし!
美紀はただ純粋に看病の話をしててっ!
あぁ、もう!
俺は布団の中に潜り込むと口を開く。
「……椅子の上でジャンプとか危ないことをしないでくれればいいです……」
「えっ!?あ、あれは!枕を取るために仕方なく……っ!ってそうじゃなくて!その、添い寝してほしい、とか……」
この子は何を言い出すの!?
俺は熱がある訳で!
理性も本当にギリギリで!
そんな中で添い寝!?
襲って下さいって言ってるもんだよ!?
これまで何度も襲いたい衝動を我慢してるんだから今爆発してもおかしくないんだよ!
なんてことが言える訳もなく……
「……大丈夫。風邪移るといけないから自分の部屋にいて?何かあったら呼ぶから」
欲望と必死に闘いながらなんとか理性を勝たせる。
正直、今は熱とだけ闘いたい……
美紀は自分が必要ないと思ったのか悲しそうな顔をして立ち上がる。
「ご、ごめんね?輝、優しいから迷惑でも看病させてくれたんだよね?私、輝のこと困らせてたんだよね……」
いや、あながち間違ってないけど根本的に違う!
戻るねと言う美紀の腕を思わず掴んで引き留める。
今にも泣きそうな美紀を放っておけなくて引き留めた後に後悔した。
「……輝?」
傍にいてほしいけど風邪が移ってほしくないのも本当だし美紀がいると理性が保てるか不安で困るのも本当だし引き留めちゃいけなかったのに!
俺は馬鹿か!
あぁ、でも、美紀ては冷たくて気持ちいい。
しばらく掴んだまま黙っていると再び美紀が口を開く。
「輝?何もないなら私……」
「……手……」
「手?」
「……その、美紀の手が冷たくて気持ちいいから……おでこに当てといてほしいと言うか……」
「でも、おでこには冷えピタ貼ってあるよ?」
……そうでした。
いや、もう、諦めるには充分だって。
このまま腕を放して出て行ってもらおう、それがいい。
そう思い、腕を放して口を開いた。
「……そうだったね。ごめん、風邪移ると大変だしやっぱり部屋に戻っていいよ」
美紀はクスッと笑うとベッドの横にしゃがみ込んで俺の目の高さと合わせる。
そして、手を俺の頬に当てて撫でてきて。
ひんやりして気持ちいい……
「輝が寝るまで撫でてあげる」
俺は返事の代わりに頬擦りをして手の甲にキスをする。
可愛い美紀、俺だけの……
そう思いながら意識を手放した――――
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