ずっとここにいるから

蓮ヶ崎 漣

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緊急手術

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 病院に着くとすぐさま緊急手術が始まった。
光は本当に重体でいつ息を引き取ってもおかしくない状態だったが何とか手術室に入るまでは持ちこたえてくれて。

後はこの手術が成功して光が目を覚ますのを待つだけ……

先生からは一度家に帰るように言われてしまって仕方なく聖に連絡してから家に帰った。
いつの間にか雨は止んでいて風が吹く飛び少しだけ寒い。
家に着くと聖がいて驚いているとドアが開きっ放しだったと聞いてあっ!と自分の行動を思い出す。
聖はため息を吐いたけど今回はしょうがないと言うことでお説教は免れた。
私を待ってる間に聖はお風呂を沸かしてくれたみたいで入れと促される。
本当はお風呂入りたい気分じゃないけど体は冷えてしまったし蒼のことも心配なので大人しく蒼とお風呂に入った。
お風呂から上がると聖に食欲は?と聞かれて首を横に振る。
ご飯は食べたい気分じゃない。
すると電話が鳴る。
慌てて電話を取ると病院からだった。
無事手術は成功。
しかし、今夜が峠だと言われる。
私は今から行きますと言って電話を切った。
聖には蒼を見ててもらおうと思ったら蒼も聖もついてくる気満々で。
少し呆れながらも嬉しくて一緒に行くことにした。
病院に着くと先生に光の場所まで案内される。
光はベッドにぐったりと横たわっていた。
先生は何かあったらすぐに知らせてくださいと言って出て行った。
蒼を抱きながら椅子に座ってじっと光を見守る。

きっと、大丈夫。
目を覚ましてくれるよね。
今は少し疲れて寝てるだけ……

私の手が震えてることに気付いたのか聖は黙って私の手を握ってくれた。
刻一刻と時間だけが過ぎていく。
たまに光と呼びかけるけど、光が目を覚ます気配は少しもなくて。
ついに日付が変わる。
それでも光は動いてくれなくて。
もう駄目なのかな……

「……光……」

諦めかけたそのとき、光の体がピクッと動いた――――
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