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白髪キャラに対する偏見

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「どうした、悲しそうな声上げて」
 私の嘆きの声が大き過ぎたのか、ルークさまに抱き上げられる。
「退屈なのか?」
 落ち込んでいる私の顔を覗き込んでくる。
「ミャミャミャ(そういう訳じゃないの)」
 ちょっとがっかりしただけである。
「そういや、この猫の飼い主探しってどうすればいいんだ? 学園で何人かには聞いてみたけど、特徴を説明しても心当たりがないって言われたし。首輪がついてないなら飼い猫じゃないかもって言われたんだよな」
 ルークさまは、一応飼い主探しをしてくれていたらしい。
 だが、我が家に学園に通っている人間はいない。まだ兄さまも七歳なので、通うのは八年後からだ。
「首輪はついてないが、躾も行き届いてるし、この人懐っこさは飼い猫で間違いないと思うが」
 そうそうロイドさま、身につけてたものは猫になった時点で全部脱げちゃうの。首輪をしてても外れちゃうと思う。まあ、私は飼われてる訳でもないんですけどね? 令嬢ですからね?
「野良でこんな珍しい毛色はいないだろうし……けど、言葉で色を伝えるのって難しいしな」
 ハンスさまが頷く。
 写真があれば分かりやすいんだろうけど、この異世界、写真はあるけど、まだまだ特別なものである。少なくとも『迷い猫預かってます』という張り紙に使えるようなものではない。張り紙と言えば電柱にというイメージだけど、この世界電柱ないしな。だって電気がないもん。
「近所の猫だとはっきりしているなら、片っ端から訪ねて行ってもいいんだが、川を流れてきたってことはそうとは限らないからな。月曜には、この猫も大体回復しているだろうし、学園に連れて行って、現物を見せて歩けばいいだろう」
 ロイドさまが飼い主探しの手順を決定する。
 え、月曜には私、父さまが出仕しているであろう王城に行きたいんですけど。




「そうだな、今は体力回復させような」
 ルークさまが、私を籠に戻した。
「俺たち、昼から出掛けるけど、猫ちゃんは留守番な」
 みんなが出掛けるなら、その間に王城の方角でも確認しておこう。
「ミャア(はぁい)」
 私は、大人しく籠の中で丸くなって、三人を眺める。


 寮に入っているってことは、王都に居を構えていない地方貴族の子息だよね。タウンハウスがあればそこから通うだろうし。
 三人ともファーストネームを呼び捨てだから、多分同学年……ハンスさまの体格が良すぎるけど、こんな風に一緒に試験勉強してるし。
 体格を抜きにすれば、年長っぽさというか、リーダーっぽさが出ているのはロイドさまなんだよね。具体的に何々だからと説明は出来ないんだけど。
 あ、ロイドさまの髪色はちょっと特別感がある。白髪にも見える明るい灰色というのは珍しい。この世界の人の髪は、大体茶色なんだもん。王族や公爵家辺りの人は金髪や銀髪が多いけど、そんなのは一割にも満たないし。実際、ルークさまは焦げ茶、ハンスさまは明るい赤茶である。
 ロイドさまに何となく悪の幹部感が出てるのって、髪色の所為かも。白髪キャラって、主役じゃないけど美味しいところを持って行くイメージあるよね。
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