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週末は休み

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「ん、外が見たいのか?」
 翌朝、熱も下がってすっきり起きた私は、床から椅子の上、机の上、窓枠、と三連続ジャンプを披露して窓から外を見る。
「ミャミャミャン(ここどこかと思って)」
 ロイドさまとルークさまの部屋の間に下方向への階段があったので、一階ではないと思ってたけど、予想以上に高い。三階か四階である。
 王城は意外に近くに見えた。あそこまで行けば父さまが。でも私が知っているのは父さまが『王城勤めの文官』ってことだけで、具体的に王城のどこで働いてるのかって言われるとさっぱり分かんないんだよね。職場見学なんてしたことないし。
 ルークさまが学園に行ったら、こっそり抜け出してみよう。




「ミャミャミャ?(登校しないの?)」
 とりあえず体力温存だと籠の中で待機していたんだけど、ルークさまに出掛ける気配がない。制服に着替えることもなく、私の入った籠と教科書とノートを数冊持って立ち上がったかと思うと、行き先はロイドさまの部屋だった。
「お、元気そうだな。ぐらぐらせずに立ってる」
 部屋の主のロイドさまだけではなく、ハンスさまもいた。
「さっきは窓まで跳んでたよ」
「へええ」
「ミギャッ(潰れちゃうっ)」
 ハンスさまに力強くゴリゴリと撫でられて、私は悲鳴を上げた。元気そうだからって骨が頑丈になる訳じゃないんだから、雑に撫でないで欲しい。
 というか今までは気を遣って撫でてくれてたんですねハンスさま。このパワフルさが本来のハンスさまなんですね……物凄く危険な力を有しているという自覚を持って加減してほしい。




「なあロイド、歴史ってどこから手を付ければいいんだ」
 私が籠の中でくたっとなっていると、試験勉強らしきものが始まった。ルークさまが歴史の教科書を開いている。
「ざっと年表を覚えて、あとはここ数代の国王陛下と宰相閣下の名前と在位期間」
 ここからここら辺り、と年表を示すロイドさま。
「そういや、文官の登用試験の最初の問題って、陛下の名前を問われるらしいな」
 ハンスさまが、豆知識を披露した。
「え、俺は騎士志望だから、文官の登用試験は関係ないんだけど」
 覚えなくてもいいんじゃ? という顔のルークさまに、ロイドさまは首を横に振る。
「武官の登用試験でも、多分一問目は同じだ」
 そうそう、騎士たるもの、主君である国王陛下のお名前くらい覚えてないと。
 私は覚えてないけど。というか、知らないけど。
 第二王子殿下の名前しか聞いた覚えがない。貴族年鑑で確認しておかなくっちゃ。騎士にはならないだろうけど、文官になる可能性はあるもんね。
 その前に家に帰らないとだけど。


「ミャッ(あっ)」
 今日は学園は休みなのかなあ、とロイドさまの部屋を見回していると壁のカレンダーに目が留まる。私が川に流されたのは木曜だった。二晩ここで過ごしたので今日は土曜日だ。週休二日制ってことかな。父さまも平日働いて週末休みなので、今日王城に行っても会えないということだ。魔導研究所も、多分週末は休みである。
「ミャミャミャミャア(月曜まで帰れないのかぁ)」
 がっかりである。
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