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21「監禁凌辱の線が消えました」
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「ユラン? どうした? 手が止まってるぞ?」
ヴェイセルは、朝の警邏の報告書をまとめている筈のユランが、ペンを手にしたままぼんやりと机の前に座っていることに気付いた。
「ユラン? おい、ユラン!」
強めに名を呼ぶが、反応がない。
「先輩、ユランは昼過ぎから様子がおかしいですよ」
相変わらず字の汚いカイが、口を挟む。
「それは俺も気付いてたが」
警邏を終えてアカデミーに走って行ったユランが、程なく心ここにあらずと言った様子でふらふら戻ってきたので、約束の時間に遅れたことでエイダールと行き違って落ち込んでいるのだろうと推測できるが。
「『先生』に会い損ねただけでこんなになるか?」
その後もずっとぼんやりしていて、午後からの鍛錬はほとんど無意識でやっていたらしく、流れるように組み伏せた相手の腕を、そのまま躊躇なく折ろうとした。相手の叫び声を聞いて我に返り、大事には至らなかったが、おかしいで済ませられる事態ではない。
「一文字も書いてないな……」
ユランの手元の書類を見れば、手が止まっているという以前の問題で、書き始めの位置に押し付けられたペン先から、インクがじわりと滲んでいるだけで、文字らしきものは見当たらない。もともとユランは、エイダールが絡むと気分の浮き沈みが激しいが、ここまで仕事に影響が出るのは初めてである。
「とにかく、使いものにならないことだけは確かだな。今日はもう帰すか……いや、これ帰して大丈夫なのか?」
訓練場から詰所の建物に入ってこの部屋に来るまでの短い移動も、ふらふらと進んで、どこかに突き当たるとぼんやり顔を上げて方向転換をするという奇行を披露していたユランである。
「外に出すのは危ないような?」
徒歩五分のエイダールの家に帰すにしても危険な気がする。入り組んだ路地はぶつかりつつ目的地に辿り着くには不向きだ。
「本人も危ないが、変なのが絡んできたらそれも危ないな」
例えば肩がぶつかったなどと因縁をつけられたら、今のユランは手加減が出来そうにない。身体能力の高いユランに手加減なしで戦われたら相手が危ない。
「とりあえず仮眠室に……いやこれ医務室案件か」
ヴェイセルは、ユランを引きずるように医務室へ向かった。
「ユランは、今日は休みですか?」
翌日の昼過ぎ、ヴェイセルとカイが警邏のため警備隊の門を出ようとしたところ、外から戻ってきたジペルスに呼び止められる。
「はい、ユランは昨日から体調を崩してて」
昨日医務室へ連れて行ったら、体に異常はないと、安定剤を処方された。落ち着くまで安静にするよう言われたので、退勤時間まで仮眠室で休ませ、ヴェイセルが帰宅するついでにエイダールの家まで送って行った。
「今朝、様子を見に寄ってみましたが、まだぼうっとしているということだったので置いてきました……ユランに何か?」
「気になることがあって。彼は知っているのかなと」
こんなことに踏み込むのもどうかとは思うのですがと前置きして。
「今日は昼食をとりに、思い立ってアカデミーの学食に行ってきたのですが」
エイダールから聞いたタルトも気になっていたジペルスである。
「昨日の昼、そこで求婚騒ぎがあったらしくて」
近くのテーブルについていた女子学生たちが、食事をしながら興奮気味に話していたのを、聞くともなしに聞いていたら。
「『ギルシェ先生が貴族らしき男性から銀の腕輪を受け取った』と」
「え、銀の腕輪って…………」
平民にはなかなか手の届かない価格帯の物なのであまり縁がないが、貴族ではそれが婚姻絡みの慣習なのはヴェイセルも知っている。双方から贈り合うこともあるが、基本的には求婚する側が用意するもので、平民でも恋人から贈られることを夢見ている女性は多い。
「ユランの先生が、どっかの貴族の男と結婚するってことですか?」
ヴェイセルより立ち直りが早かったらしいカイがずばっと切り込む。
「人が話しているのを途切れ途切れに聞いただけですが、そういうことだと」
「あのユランの先生が? 嘘だろ、あんなに愛だの恋だのに鈍い人が、いきなり結婚?? ふざけんなよ」
ユラン限定で鈍かったとでも言うつもりかと、ヴェイセルは思わず拳を握る。ユランの恋が実るとは思っていなかったが、こんな終わり方は酷過ぎる。
「貴族相手の婚姻であれば、恋愛要素は考慮されないことの方が多いですが」
「政略婚なんですか?」
それならまだ救いがあるような気がしてカイが問うと、ジペルスは残念そうに首を横に振った。
「いえ、親しげな様子だったと。貴族らしき男性は、結婚がどうとかと言ってユランの先生を抱き締めて口付けて、腕輪を差し出して受け取ってもらったそうですから、それなりにお付き合いがあったのではないかと」
食事時の雑談にしてはなかなか正確に伝わっている。
「で、そのことをユランが知っているのかどうかが気になって」
知っていてあんな能天気だったとは思えない。
「あー、そういうことか……あいつ、多分、その場に居合わせたんだ」
昨日の昼にあったという求婚劇。ユランがおかしくなったのもエイダールに会いに行ってすぐに戻ってきた昨日の昼過ぎ。状況証拠だけで有罪を問える気がする。
「あ……れ……ってこと、は?」
ヴェイセルが一気に青褪める。
「失恋した相手のところにユランを置いてきたのか、俺!?」
エイダールを責めている場合ではない。
「ちょっと、回収してきます!」
勤務中だというのにヴェイセルは飛び出していく。
「カイは、研究所に行って、ユランの先生が御無事かどうか確認を。確認が出来たら、ユランは暫くこちらで預かると伝えてください」
残されたカイに、ジペルスはそう言った。
「無事かどうか確認、ですか?」
ユランを放っておけないのは何となく分かるが、エイダールは関係ないのでは、という顔をしたカイだが。
「出勤されていればとりあえず安心ですが、そうでない場合は……監禁くらいならともかく、無理心中でも図っていたら」
そんな可能性を示唆されて、事態の深刻さに気付く。監禁でも大ごとである。
「すぐに確認してきます!」
「すみません、居場所を確認したい人がいて、ええっと、ここの先生で、ええと」
エイダールの名前を度忘れしたカイは、研究所の受付で焦る。受付の青年も困ったような顔をする。
「……ユランの先生なんですが」
通じる気がしないがユランの名を出してみた。
「ギルシェ先生ですか?」
「それだ!」
受付の青年ではなく、背後からの声にエイダールの家名を思い出したカイは、ぽんと手を叩いて振り返る。そこにいたのはスウェンである。
「こんにちは、ギルシェ先生の助手のスウェン・クラッセラです。先生に御用ですか?」
「あ、俺は警備隊の者で、ユランの同僚でカイって言います。御用というか、何処にいるかの確認というか」
警備隊の身分証を提示したカイは、失恋したユランが何をするか分からない、などということは言えずに、曖昧に言葉を濁す。
「何処にいるかですか? 午後からアカデミーの方へ打ち合わせに……夕方には戻られると思いますが」
「出勤はしてるんですね?」
「はい、朝はこちらの研究室で仕事されてましたよ」
「それは良かったです、本当に! 監禁凌辱の線が消えました!」
ジペルスからは監禁としか言われていないのだが、恋愛のどろどろでやらかすといえばと、勝手に凌辱を連想していたカイの心の声が、するりと表に出てしまう。
「は?」
怪訝そうに聞き返されて、口を滑らせたことに気付くカイ。
「いや、何でもないです! あ、伝言お願いしますね!」
ユランを警備隊で預かる旨を伝え、カイはそれ以上突っ込まれないよう、研究所からさっさと退散した。
ヴェイセルは、朝の警邏の報告書をまとめている筈のユランが、ペンを手にしたままぼんやりと机の前に座っていることに気付いた。
「ユラン? おい、ユラン!」
強めに名を呼ぶが、反応がない。
「先輩、ユランは昼過ぎから様子がおかしいですよ」
相変わらず字の汚いカイが、口を挟む。
「それは俺も気付いてたが」
警邏を終えてアカデミーに走って行ったユランが、程なく心ここにあらずと言った様子でふらふら戻ってきたので、約束の時間に遅れたことでエイダールと行き違って落ち込んでいるのだろうと推測できるが。
「『先生』に会い損ねただけでこんなになるか?」
その後もずっとぼんやりしていて、午後からの鍛錬はほとんど無意識でやっていたらしく、流れるように組み伏せた相手の腕を、そのまま躊躇なく折ろうとした。相手の叫び声を聞いて我に返り、大事には至らなかったが、おかしいで済ませられる事態ではない。
「一文字も書いてないな……」
ユランの手元の書類を見れば、手が止まっているという以前の問題で、書き始めの位置に押し付けられたペン先から、インクがじわりと滲んでいるだけで、文字らしきものは見当たらない。もともとユランは、エイダールが絡むと気分の浮き沈みが激しいが、ここまで仕事に影響が出るのは初めてである。
「とにかく、使いものにならないことだけは確かだな。今日はもう帰すか……いや、これ帰して大丈夫なのか?」
訓練場から詰所の建物に入ってこの部屋に来るまでの短い移動も、ふらふらと進んで、どこかに突き当たるとぼんやり顔を上げて方向転換をするという奇行を披露していたユランである。
「外に出すのは危ないような?」
徒歩五分のエイダールの家に帰すにしても危険な気がする。入り組んだ路地はぶつかりつつ目的地に辿り着くには不向きだ。
「本人も危ないが、変なのが絡んできたらそれも危ないな」
例えば肩がぶつかったなどと因縁をつけられたら、今のユランは手加減が出来そうにない。身体能力の高いユランに手加減なしで戦われたら相手が危ない。
「とりあえず仮眠室に……いやこれ医務室案件か」
ヴェイセルは、ユランを引きずるように医務室へ向かった。
「ユランは、今日は休みですか?」
翌日の昼過ぎ、ヴェイセルとカイが警邏のため警備隊の門を出ようとしたところ、外から戻ってきたジペルスに呼び止められる。
「はい、ユランは昨日から体調を崩してて」
昨日医務室へ連れて行ったら、体に異常はないと、安定剤を処方された。落ち着くまで安静にするよう言われたので、退勤時間まで仮眠室で休ませ、ヴェイセルが帰宅するついでにエイダールの家まで送って行った。
「今朝、様子を見に寄ってみましたが、まだぼうっとしているということだったので置いてきました……ユランに何か?」
「気になることがあって。彼は知っているのかなと」
こんなことに踏み込むのもどうかとは思うのですがと前置きして。
「今日は昼食をとりに、思い立ってアカデミーの学食に行ってきたのですが」
エイダールから聞いたタルトも気になっていたジペルスである。
「昨日の昼、そこで求婚騒ぎがあったらしくて」
近くのテーブルについていた女子学生たちが、食事をしながら興奮気味に話していたのを、聞くともなしに聞いていたら。
「『ギルシェ先生が貴族らしき男性から銀の腕輪を受け取った』と」
「え、銀の腕輪って…………」
平民にはなかなか手の届かない価格帯の物なのであまり縁がないが、貴族ではそれが婚姻絡みの慣習なのはヴェイセルも知っている。双方から贈り合うこともあるが、基本的には求婚する側が用意するもので、平民でも恋人から贈られることを夢見ている女性は多い。
「ユランの先生が、どっかの貴族の男と結婚するってことですか?」
ヴェイセルより立ち直りが早かったらしいカイがずばっと切り込む。
「人が話しているのを途切れ途切れに聞いただけですが、そういうことだと」
「あのユランの先生が? 嘘だろ、あんなに愛だの恋だのに鈍い人が、いきなり結婚?? ふざけんなよ」
ユラン限定で鈍かったとでも言うつもりかと、ヴェイセルは思わず拳を握る。ユランの恋が実るとは思っていなかったが、こんな終わり方は酷過ぎる。
「貴族相手の婚姻であれば、恋愛要素は考慮されないことの方が多いですが」
「政略婚なんですか?」
それならまだ救いがあるような気がしてカイが問うと、ジペルスは残念そうに首を横に振った。
「いえ、親しげな様子だったと。貴族らしき男性は、結婚がどうとかと言ってユランの先生を抱き締めて口付けて、腕輪を差し出して受け取ってもらったそうですから、それなりにお付き合いがあったのではないかと」
食事時の雑談にしてはなかなか正確に伝わっている。
「で、そのことをユランが知っているのかどうかが気になって」
知っていてあんな能天気だったとは思えない。
「あー、そういうことか……あいつ、多分、その場に居合わせたんだ」
昨日の昼にあったという求婚劇。ユランがおかしくなったのもエイダールに会いに行ってすぐに戻ってきた昨日の昼過ぎ。状況証拠だけで有罪を問える気がする。
「あ……れ……ってこと、は?」
ヴェイセルが一気に青褪める。
「失恋した相手のところにユランを置いてきたのか、俺!?」
エイダールを責めている場合ではない。
「ちょっと、回収してきます!」
勤務中だというのにヴェイセルは飛び出していく。
「カイは、研究所に行って、ユランの先生が御無事かどうか確認を。確認が出来たら、ユランは暫くこちらで預かると伝えてください」
残されたカイに、ジペルスはそう言った。
「無事かどうか確認、ですか?」
ユランを放っておけないのは何となく分かるが、エイダールは関係ないのでは、という顔をしたカイだが。
「出勤されていればとりあえず安心ですが、そうでない場合は……監禁くらいならともかく、無理心中でも図っていたら」
そんな可能性を示唆されて、事態の深刻さに気付く。監禁でも大ごとである。
「すぐに確認してきます!」
「すみません、居場所を確認したい人がいて、ええっと、ここの先生で、ええと」
エイダールの名前を度忘れしたカイは、研究所の受付で焦る。受付の青年も困ったような顔をする。
「……ユランの先生なんですが」
通じる気がしないがユランの名を出してみた。
「ギルシェ先生ですか?」
「それだ!」
受付の青年ではなく、背後からの声にエイダールの家名を思い出したカイは、ぽんと手を叩いて振り返る。そこにいたのはスウェンである。
「こんにちは、ギルシェ先生の助手のスウェン・クラッセラです。先生に御用ですか?」
「あ、俺は警備隊の者で、ユランの同僚でカイって言います。御用というか、何処にいるかの確認というか」
警備隊の身分証を提示したカイは、失恋したユランが何をするか分からない、などということは言えずに、曖昧に言葉を濁す。
「何処にいるかですか? 午後からアカデミーの方へ打ち合わせに……夕方には戻られると思いますが」
「出勤はしてるんですね?」
「はい、朝はこちらの研究室で仕事されてましたよ」
「それは良かったです、本当に! 監禁凌辱の線が消えました!」
ジペルスからは監禁としか言われていないのだが、恋愛のどろどろでやらかすといえばと、勝手に凌辱を連想していたカイの心の声が、するりと表に出てしまう。
「は?」
怪訝そうに聞き返されて、口を滑らせたことに気付くカイ。
「いや、何でもないです! あ、伝言お願いしますね!」
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