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誰にも邪魔はさせないから

いとおしくていとおしくて

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 なんかぶつけたりしたっけ……。
 でもこの紅さは血じゃない気がする。痛みも無いし。

 まるでカラコンを入れたみたいな……綺麗な紅色だ。

「こ、琥珀先輩……お待たせしました……」

 突然目の色が変わっている事に驚いていると、麗紗が体にタオルを巻いてお風呂場に入ってきた。

 ……なんでなんでなんでなんでなんで? 

「ねえ麗紗……その邪魔なタオルは何……?」
「え、えっと……どうしても恥ずかしかったので……」

「そっかぁ! じゃあ今から体洗ったげるからそれ捨てようか! 洗う時クソ邪魔だもんね!」

「いやあああああ!!! 引っぺがさないでくださいよ琥珀先輩! わたしの心の支えがぁ!」

 私はにっこりと微笑んでタオルをぐいぐいと引っ張った。
 だって……いらないよね? 

 ここには私しかいないんだから恥ずかしがらなくてもいいじゃん! 
 ていうかタオルが邪魔。麗紗のキレイな体が見れないでしょ! 

 でも麗紗はタオルを離してくれない。なんで……。

「麗紗……私に裸を見られるのが嫌なの……?」
「嫌っていうか……嫌ではないですけど恥ずかしいんですよ……」

「そっか……嫌なんだ……私死ぬね」

 麗紗に嫌われた。生きる希望を失った。
 もう死ぬしかない……今までありがとう麗紗。

 私はガチ恋セイバーを出し自分の首を切ろうとした。

「きゃあああああ! 何をするんですか琥珀先輩!?」
「えっ……麗紗に嫌われたから死のうと思って……」

 大慌てで麗紗が私の腕を掴む。
 なんで止めるの。死なせてよ。

「いやいやいやいや! 私そんな事一言も言ってないじゃないですか! タオルを巻いてるのはただ恥ずかしいだけですってばぁ!」

「恥ずかしいって事は嫌だって事なんじゃないの……?」

「いくら大好きで恋人でも裸を見られたら恥ずかしい時もあります! ていうか琥珀先輩が度胸ありすぎるんです!」

「そうなの……?」
「はい……!」

 麗紗は首をこくこくと振って頷いた。
 私の事を嫌いになったわけじゃないの……!? 

 全部私の勘違いだったの……!? 

「麗紗は私の事、好き?」
「はい……!」

「大好き?」
「もちろんです……!」

 おそるおそる麗紗に聞くと、麗紗は愛情のこもった目でそう答えてくれる。

 えへへ。
 えへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ。

 麗紗は私の事を嫌いになんかなってなかった。
 むしろ、私の事を大好きでいてくれている! 

 うれしいうれしいうれしいうれしいうれしいぃ! 
 これで私に生きる理由が出来たぁ! 

「私も大好きだよ麗紗ぁ!」

「分かってますよ。琥珀先輩の愛はすっごく伝わってきますから!」

 私は麗紗をぎゅっと抱きしめた。
 麗紗も私の背中に手を回して抱き返してくれる。

 これが……愛。
 なんて素晴らしいんだろう。

 もう麗紗が愛おしくて愛おしくてたまらない。
 いくら愛しても愛しても愛したりない。

 だから私は麗紗のこといくらでも愛すよぉ! 

「麗紗……しよ……」
「はいぃ……琥珀先輩……!」

 麗紗も、両手を広げて私の愛を受け入れてくれる。
 だいすきだいすきだいすきだいすき。

 私は麗紗とキスをして、お互いに唾液を絡め取った。
 舌越しに熱い愛が流れ込んでくる。

 体が火照り、その熱に突き動かされるままに私は麗紗をお風呂の床に押し倒す。

 ん……? お風呂……? 
 なんか私大事な事を忘れてるような気がする……。

「琥珀先輩……今思い出したんですけど……まずは体を洗いませんか……?」

「うん……私も今思い出した……ごめん……」

 麗紗もはっと我に返ったらしい。
 危ない……お風呂に入る目的を見失うところだった……。

 もう一度椅子に座り、麗紗も私の方を向いてちょこんと座る。
 タオルはもう巻いてない。恥ずかしくなくなったんだろう。

 私は麗紗と軽くシャワーを浴びてから、シャンプーを手に取って麗紗の頭をしゃかしゃか洗った。

 最初は麗紗が私を洗ってくれようとしてくれたけど、この前もやってくれたから今日は私がやらせてもらった。

 麗紗のシャンプーから、麗紗の香りがする。
 もしかしてこれで頭を洗えば私も麗紗と同じ匂いになれる!?

 今度からは家でもこのメーカーのシャンプーを使おう。

「んぅ……ちょっとくすぐったいです……」
「もっと強くした方がいい?」

「いえ……くすぐったいけどきもちいいです……」
「そっか! よかった~」

 麗紗が撫で回されている猫みたいな顔をしている。
 まあ撫でるのと似たようなものかな。

 麗紗の髪はふわふわしていて触り心地がすごくいい。

「このくらいでいいですかね~」
「わかった。じゃあ流すよ」

 しばらく洗っていると、麗紗がのびのびとした声で言った。
 少し名残惜しさを感じつつも頭から手を離す。

「でもその前に、琥珀先輩の髪の毛を洗いたいです」
「いや~自分で洗うから……」

 すると麗紗が、シャンプーを手に取ってそう続けた。
 それだと私が洗った意味があんまりなくなるじゃん……。

「私にだけさせないなんてずるいですよ琥珀先輩。私にもやらせてください!」

「そ、そう……じゃあお願いね」

 でも麗紗の意思は固かった。
 そんな麗紗がなんかかわいかったので私は頭を洗ってもらう事にした。

 柔らかくて、こそばゆい不思議な快感が頭皮に伝わる。
 なんか……ずっと可愛がられてる気分だ。

 そんな風になんともいえない気分になりつつも私達は頭を洗い終えた。

 ちなみに体の方はお互いにもこもこ洗ってたらえっちな気分になってそれどころではなくなり第二回戦が始まってしまった。

 そのせいでお風呂の意味が完全になくなってしまった。

 全部麗紗がえっちな体してるのが悪い。
 私はそう思った。

 





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