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続編
初めてのお茶会④(エリオット視点)
しおりを挟む「──二人とも疲れてないか?」
「少し。でも大丈夫です」
「私も問題ありません」
コール伯爵夫人達との話を終えた後、僕達の前には挨拶を求める貴族達の列ができた。挨拶は一家あたり2~3分だったけど、その数がすごかった。26。26の貴族家の人達全員に対して同じ挨拶をするわけにもいかないから、その家がある領地の特産や歴史なんかの話を交えたて……大変だった。
……もっとも、ほとんどはお父様とお母様が対応してくれたから、僕とソフィーの負担はそれほどでもなかっかけど。
……今日は10歳~12歳の子がいるというのが参加条件だけど、普通のお茶会や夜会だともっと多くの貴族家が参加するのだから、お父様とお母様のすごさを改めて感じた。
一番大変だったのはあの視線。……初めて向けられる打算と欲にまみれた視線。あまりいい気分ではない。顔には出さないようにしてたけど、背筋に何かが流れるような感覚だった。ソフィーも、表情は穏やかな笑顔だったけど、上品に重ねた手に力がこもっていた。それも隣にいた僕だから気が付いたという程度のものだったけど。
……お母様が打算など気にせず付き合えるコール伯爵夫人を大切にしている気持ちが分かる。
令嬢がいる家は自分の娘を連れたって、自分達の娘を僕の婚約者、ひいては次期カトル公爵夫人ににどうかというように勧めてきた。
婚約者……立場的にそろそろ考えないといけないけど、恋愛結婚であるお父様とお母様は僕の意思を尊重してくれている。
ソフィーの方も、カトル公爵家との繋がりを持ちたい貴族達が自分の息子の嫁に……といった具合だった。
もっとも、ソフィーは上手い具合に断っていたし、食い下がってくる人達にはお父様が対応してくれていたからまったく問題はなかった。それでも精神的には疲れているみたいだけど。
「二人ともよく出来ていたわよ。他の方々が誉めてくださったように立派だったわ」
「あぁ。私が二人くらいの時よりもはるかに綺麗な所作だった」
「「ありがとうございます」」
挨拶をするたびに褒めてもらったけど、やっぱり両親に褒めてもらうというのが一番嬉しい。 横目でソフィーを見ると、ソフィーも嬉しそうに笑っていた。
「挨拶は終わったから、後は好きに過ごすといい」
「何かあったらすぐに呼んでね?」
「「はい」」
* * *
「エル、この後はどうする?」
「取り敢えず、もう一度オリバー様と話してみようかな」
「そうね。さっきはあまりお話しできなかったし、お父様の様子も気になるものね」
ソフィーが言ったように、お父様の態度が気になっていた。単純にお母様が好きすぎる故に大人気ない態度を取ったのだと思ったけど、違っていたみたいだったから。
その上でコール伯爵子息…オリバー様と話をするようにと言ったからには理由があるのだろう。……それが何かはまったく見当がつかないけど……
でも、ソフィーに……僕にもだけど、話してみて欲しいと言ったからには、オリバー様に何か問題があるというわけではないはず。
「あっ、あそこにいるわ!……何だか様子がおかしいみたいだけど……」
「本当だ……」
ソフィーが視線を向けた先にいたオリバー様はテーブルの影に隠れるようにして座り込んでいた。
「オリバー様、体調が悪いのでしょうか?」
「分からない。確認してみて、必要があったら人を呼ぼう」
「オリバー様、どこかお悪いのですか?」
「っ! ──あっ……カトル公爵令嬢……」
「……すみません、驚かせてしまいまったようですね……」
「い、いえっ! 僕がボーっとしていたのが悪いんです。あっ、体調も問題ありません。……心配をかけてしまったことお詫びします」
……ソフィーに対して大丈夫だと言うオリバー様の視線は下を向いており、顔色も悪い。……確実に何かあるな。
「……謝る必要なんていりません。問題がなくてよかったです。……よろしければ私達と少しお話ししませんか? 先程は全然話すことができませんでしたから」
「は、はいっ」
「オリバー様は、お茶会に参加するのは初めてですよね?」
「僕とソフィアも初めてで緊張していたんです」
……ソフィーの目が『エルは楽しみとまで言っていたじゃない』と言っているけど、こうしておいた方が親近感をもってもらえるかもしれないし、話の取っ掛かりになる。
何て考えていたら、オリバー様は長い間の後で顔を曇らせて答えてくれた。
「………はい、初めてです」
「お二人は初めてとは思えないです。僕とは全然違う……」
~~~~~~~
詠んでくださりありがとうございます(*^^*)
まだ検討中ではありますが、続編が思っていたよりも長くなりそうなので別小説として投稿をするかもしれません_(..)_
(その場合は切りよく、エルとソフィーの学園入学からになると思います)
続編にしてもタイトルがまったく関係ない感じになっちゃってるので……それは随分前からかorz
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