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3章 再交する道
21 . スポーツ大会②
しおりを挟むスポーツ大会2日目。
今日私が出る種目は卓球と台風の目リレー。
昨日のサッカーでは、準決勝で強豪クラスと当たってしまって3位という結果になった。
優勝することはできなかったけど、一緒に出場したクラスメイトのみんなと仲良くなることができたし、楽しかった。2回目の試合では私もゴールを決めることができたし、その時にみんなが声をかけながらハイタッチしてくれて……他の人と喜びを共有できるのってすごく素敵なことなんだって改めて感じた。
他の種目のみんなも健闘していて、私のクラスでは加奈ちゃんが出場しているバレーボールと男子のソフトボールの2種目で優勝した。
あと、結華ちゃんが出場している玉入れは準優勝。3年生の中では昨日の時点ではトップ、全校では4位という結果らしい。
今日も頑張って優勝という最高の思い出を残したい。……優勝できなかったとしてもみんなと一緒に一つの目標に向かって闘ったというだけで十分な思いでになっていると感じてしまっている自分もいるけど。
もう少しで卓球の初戦が始まる。
スポーツ大会の卓球では各クラス3人の代表者が一回ずつ対戦して、勝ったゲーム数が多い方のクラスが勝ちになる。私のクラスは卓球で出場する子が5人いて、初戦は美鈴ちゃん私、それと葵ちゃんという子が代表で出ることになった。葵ちゃんは卓球で同じチームになるまではほとんど話したことがなかったけど、練習中に話してみるととても話しやすい子だった。
葵ちゃんは普段、ほのぼのとした優しくて柔らかい雰囲気をまとっているけど、やるときにはしっかりやるという感じで、頼もしい。
それに、葵さんと同じ名前だからか、勝手に親しみを感じてしまっている。
「さ、まずは私だね! 」
「うん。頑張ってね」
「いってらっしゃ~い」
美鈴ちゃんの試合が始まった。初戦で当たったのは2年生で、卓球部の子が1人出場しているクラスらしい。
今回のスポーツ大会ではその競技の部活に所属している人の出場には人数の制限があって、卓球は個人戦を3回行うというルールだから卓球部員は各クラス1人まで。だけど、高校では卓球部じゃないけど中学校では卓球部だったという場合は“1人”に含まれていないから、クラスによっては経験者が3人というクラスもあるらしい。
「応援よろしくね!」
「「うん!」」
* * *
美鈴ちゃんの試合が終わった。結果は11-7で美鈴ちゃんの勝ち。途中で結構長いラリーもあって経験が浅い者同士での試合とは思えないような感じだった。
「──いえーい!」
「美鈴ちゃん格好良かった!」
「へへっ、ありがとう」
「次は咲空ちゃんだよね?」
「うん!美鈴ちゃんに続けるように頑張るね」
美鈴ちゃんが勝ってくれてるから、私が感じるプレッシャーは大分小さい。私が勝てばその時点で勝ちということにはなるけど、負けてしまったとしても葵ちゃんがいるから。でも、それでは葵ちゃんにプレッシャーをかけることになってしまうし、たくさん練習してきたからには勝ちたい。
──よしっ!
挨拶をして卓球台を挟み、対戦相手の子と視線を交わす。
私もだけど、相手の子も気合十分といった様子で深呼吸している。
最初のサーブは相手。
相手の息遣いまで聞こえてきそうなのに、自分と相手以外が発する音が聞こえなくなったかのように感じる。練習では感じなかった緊張感……
さぁ、軽く上にあげられたボールが小気味よい音とともにこちらに放たれた──
* * *
約15分後、緊張の時間が終わった。
……まだ初戦だったのに精神的な疲労感がすごい。
勝敗はチーム全体で決まるけど試合自体は個人戦という形式だから昨日のサッカーよりもプレッシャーがすごかった。サッカーは団体競技だから試合中も一緒に頑張るということができたけど、卓球ではそれができなかったから……
私はこういう団体戦に出るの自体が始めてだったから余計に疲れてしまったのかも。
でも、
「咲空ちゃんすごかった!!」
「うん! ボールがめっちゃ速くって、私だったら絶対取れなかったわ」
「ますは初戦勝利!このまま決勝まで頑張ろ」
──なんとか勝つことができた。
ふふっ、みんなの応援のおかげかな。
相手の子はすごく強くて、デュースにまでもつれ込んだけど、みんなの応援が励ましになって試合は一人でしているけど孤独感のようなものは全く感じなかった。
* * *
スポーツ大会最後の種目は選抜リレー。
卓球は優勝!
台風の目リレーは3レースに分けられて5クラスずつやったんけど、私のクラスは3位だった。総合優勝は難しいかもしれないけど、スポーツ大会最終競技のリレーで一番になれば逆転の可能性は全然あるって加奈ちゃんが言ってた。
選抜リレーは各クラス男女5人ずつの代表者によって行われて、距離は基本的に100m、アンカーだけ200mという感じ。距離が長いからアンカーは大変だと思う。私のクラスのアンカーは高橋君で、加奈ちゃんも出ている。加奈ちゃんは3走だったかな?
高橋君はあれからも変わらずに接してくれている。男子に話しかけなきゃいけないとき困っていると、用のある子に声をかけてくれたり、代わりに伝えてくれたりした。
私はみんなとトラックの周りで応援するけど、熱気がすごい。やっぱり最終競技だし、代表者の戦いだからかな?
そして、スタートの合図をする校長先生が前に出てきて──晴天の空を裂くような鋭いピストルの音が響いた。
~~~~~~~~~
読んでくださりありがとうございます(*^^*)
また長くなってしまいそうだったのでスポーツ大会はダイジェストでお送りしました!
途中感が半端ない終わり方ですが、実況?の描写が苦手なのでお許しください_(..)_
そして次話、事態が(やっと)動きます!
が、ここにきてストックが切れてしまいましたので、来週以降の投稿が不安定になるかもしれません( ;∀;)
申し訳ありませんm(。_。)m
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