転生後推しが俺の執事になっていました

十*

「しっつれいしまーす♪」
無邪気な明るい声で部屋に入ってきた少年の名前はアオ。

確かBLゲームでは彼は執事でありながらも弟のような存在だったはずだ。

完璧未成年のアオを働かせるBLゲームの世界にちょっと驚いてしまう

「僕お兄様だぁ～いすき」

そう言うと俺に抱きついてくる。思わず顔が赤くなる。最推しの前でやめてほしい。

「………私も大好きです…お坊ちゃまの事が」

………ん?!　今なんか言った!?

「…えっと…今なにかおっしゃいました？」

「いいえ何でもありません」


……今すごい嬉しい事を言われた気がするのに…


「ねね、お兄様！これみて！僕ねーお兄様の似顔絵描いてみたんだよ!」

アオは俺の前に似顔絵を差し出してくる。

…わざわざ俺のために？

温かい気持ちが胸を包んだ。

……おお

……顔の横に手が生えている…

思わず笑いそうになりこらえる。

横できらきらした目でアオがじぃーっと見つめてくる。

「どーう？お兄様そっくりでしょ？」

こくんと頷くとアオは嬉しそうに飛び跳ねる。

いけませんよとユグナ執事は咎めているがどこか嬉しそうだ。

「アオ君は昨日、ずっとお坊ちゃまの似顔絵を描いていました。お兄様に見せるんだって頑張っていましたよ」

…そうだったんだ…



……俺に弟がいたらこんな感じなのかな

嬉しくなり俺はアオの頭を優しく撫でる。


アオは俺をまじまじと見つめ飛びつき頬にキスをする。

……っ……可愛い……

……まだ傷ついたことのない綺麗な心

このまままっすぐ育ってほしい

「ねねっ！お兄様、すごーくいい匂いがする!」

そう言うとアオは俺の首に頬擦りをする。

猫が甘えてくるような仕草を見せるアオが愛おしく思えた。

上目遣いでアオは俺を見る。

……本当に可愛い