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私たちの災厄
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海へ行った日から数日。レオナルド様は、ランスロット様を巻き込んでクラスの男子生徒やお兄様たちと話し込むことが多くなりました。何を話しているかは私とミリーナ様には教えてくれません。
「何を話しているのでしょうか?」
「フフ、気になる?」
「ミリーは気にならないのですか?」
「気になると言えば気にりますわ。でも、なんだか今は知らない方がいい気がしますのよ。そのうち分かると仰っているのですから、待てばいいのではなくて?」
そう、レオナルド様に何度聞いても、「すぐに分かるよ」と言うばかりで教えてはくれません。ミリーナ様は知らない方がいいと言います。でも、でも、隠されると気になりますよね?
「おふたりとも相変わらず仲がいいですわね」
「あら、このふたりが喧嘩なんてしたら、雹でも降りかねませんわよ?」
「それもそうね」
スザンナ様もキャロライン様もメイベル様も酷いです。私たちだって喧嘩くらい・・・・したこと、ありませんね。喧嘩になる前にレオナルド様に言いくるめられてますね、私。そもそもレオナルド様はいつも私のことを考えて物事を運んでくれますから、喧嘩になりようがないのですが。
「それより、明後日から野外実習ですわね。ここのところ4人で依頼には行けませんでしたから、楽しみにしてますのよ」
そう。私たちはあの誘拐事件から泊まりがけの依頼は受けることを控えています。セアベルテナータ殿下を刺激するのは得策ではないというのが共通した認識です。それに、私とレオナルド様は魔道具の開発や調薬に時間を費やしていたため、ミリーナ様たちと一緒に依頼を受ける時間がありませんでした。その甲斐もあり魔道具は完成し、既にミリーナ様とランスロット様には渡してあります。以前のように薬を嗅がされて連れ去られる危険性は格段に減りました。
「どおりで。ミリーたちを森で見かけないと思っておりましたのよ?」
「最近、わたくしたちも西の森の少し奥まで行けるようになりましたの。ロッテたちの戦闘を見れると思っておりましたに」
「そうよね。授業と実践は違いますでしょ?ですから、今回の野外実習は楽しみにしておりますわ。フフフ」
スザンナ様もキャロライン様も熱心なことで・・・・。魔獣との戦闘が特に好きなわけではない私は思わず乾いた笑みを向けてしまいました。
「わたくしとランスはともかく、ロッテとレオの戦いは参考にはなりませんわよ?」
「何故ですの?」
何故ですか?
「レベルが違いすぎて。どれも秒殺ですのよ。30体いるオークですら相手になりませんでしたわ。その姿を見ると戦闘狂かと思ってしまいますわよ?」
「「ああ」」
ふたりは納得の声をあげていますが、私は納得できません。
「戦闘狂ではありませんわ。わたくし、魔獣の討伐は貴族の義務だからしているだけですもの」
「ロッテでも冗談を言うのね」
こてんと首を傾げるキャロライン様は可愛いですが、冗談ではないです。ミリーナ様もスザンナ様も頷くところではありませんよ!
「おお、我の妃たちはここにいたか。いつ見ても美しい」
レオナルド様たちがお話し合いをしている横で談笑をしていると、面倒臭い方が声をかけて来ました。どれだけ避けていても何処からか嗅ぎ付けて顔を出すのです。私にとってこの方は、Gの付く生物が喋っているという不気味な存在にしか見えないので、本当にやめてもらいたいです。
「ロッテ」「ミリー」
私は、すぐに隣に来たレオナルド様に抱き寄せられ、その胸に顔を埋めます。直視すれば、攻撃してしまいそうなのをレオナルド様は分かっているのです。ミリーナ様もランスロット様に身を寄せているでしょう。視界の端には、護衛のお姉様たちが私たちを囲むように警戒しています。
「おや、またあなたですか」
「これはこれは。義兄殿」
「あなたに義兄などと呼んでもらいたくはないですねぇ。中身だけでなく、ロッテが泣くほどの見た目をしているのを自覚していただきたいものだ」
お兄様!それ不敬に当たりますよ!
「おお。泣くほど我のことを求めているとは。なんと可愛い妃だ」
違う!違うから!
「おやおや、外見でけでなく、頭も弱いとみえる」
お兄様、挑発しないでください。話の通じないジャイアントGなんですってば!
「我に敵わぬからと、なんとも低俗なことを言うものだ。フン。妃たちよ。お主たちは明後日の野外実習に参加するつもりかな?」
何を当たり前のコトを。
「フム。参加せずともよいが、どうしてもと言うなら、実習中は我と共に居ることを条件としよう。我の心の広さに感謝するがよい」
「「「「「「・・・・」」」」」」
セアベルテナータ殿下の側近たちを除く全員が、このアホな発言に戦慄しました。
「断る!!!」
ランスロット様がキレました。レオナルド様も私を背後に隠しつつ、セアベルテナータ殿下と対峙しましす。
「クラスが違うのですから、一緒に行動するなんてあり得ない。それに殿下方の腕前では我々についてこれませんよ?」
「わたくしはあなたと一緒だなんてごめん被りますわ!」
「ムリムリムリムリ」
Gが近くにいるなんて、なんて拷問!レオナルド様の背後で首を振って拒否します。私の呟きを聞き取ったレオナルド様は笑いを堪えていますが、無理なものは無理です。
「妃たちよ。我が儘を申すでない。これでも譲歩しておるのだからな?聞き分けろ。無理なら、参加は認めない。よく考えておけ」
私たちの返事も聞かず、言い終えるとさっさと帰っていきました。引き留めようなどとは思いません。何をどう話しても、あの方に話が通じることなどないとよく分かっています。私たちにとってあの方は災厄以外の何者でもありません。その場にいた全員が溜め息をつき、私たちは野外実習の対策を立てることになりました。
「何を話しているのでしょうか?」
「フフ、気になる?」
「ミリーは気にならないのですか?」
「気になると言えば気にりますわ。でも、なんだか今は知らない方がいい気がしますのよ。そのうち分かると仰っているのですから、待てばいいのではなくて?」
そう、レオナルド様に何度聞いても、「すぐに分かるよ」と言うばかりで教えてはくれません。ミリーナ様は知らない方がいいと言います。でも、でも、隠されると気になりますよね?
「おふたりとも相変わらず仲がいいですわね」
「あら、このふたりが喧嘩なんてしたら、雹でも降りかねませんわよ?」
「それもそうね」
スザンナ様もキャロライン様もメイベル様も酷いです。私たちだって喧嘩くらい・・・・したこと、ありませんね。喧嘩になる前にレオナルド様に言いくるめられてますね、私。そもそもレオナルド様はいつも私のことを考えて物事を運んでくれますから、喧嘩になりようがないのですが。
「それより、明後日から野外実習ですわね。ここのところ4人で依頼には行けませんでしたから、楽しみにしてますのよ」
そう。私たちはあの誘拐事件から泊まりがけの依頼は受けることを控えています。セアベルテナータ殿下を刺激するのは得策ではないというのが共通した認識です。それに、私とレオナルド様は魔道具の開発や調薬に時間を費やしていたため、ミリーナ様たちと一緒に依頼を受ける時間がありませんでした。その甲斐もあり魔道具は完成し、既にミリーナ様とランスロット様には渡してあります。以前のように薬を嗅がされて連れ去られる危険性は格段に減りました。
「どおりで。ミリーたちを森で見かけないと思っておりましたのよ?」
「最近、わたくしたちも西の森の少し奥まで行けるようになりましたの。ロッテたちの戦闘を見れると思っておりましたに」
「そうよね。授業と実践は違いますでしょ?ですから、今回の野外実習は楽しみにしておりますわ。フフフ」
スザンナ様もキャロライン様も熱心なことで・・・・。魔獣との戦闘が特に好きなわけではない私は思わず乾いた笑みを向けてしまいました。
「わたくしとランスはともかく、ロッテとレオの戦いは参考にはなりませんわよ?」
「何故ですの?」
何故ですか?
「レベルが違いすぎて。どれも秒殺ですのよ。30体いるオークですら相手になりませんでしたわ。その姿を見ると戦闘狂かと思ってしまいますわよ?」
「「ああ」」
ふたりは納得の声をあげていますが、私は納得できません。
「戦闘狂ではありませんわ。わたくし、魔獣の討伐は貴族の義務だからしているだけですもの」
「ロッテでも冗談を言うのね」
こてんと首を傾げるキャロライン様は可愛いですが、冗談ではないです。ミリーナ様もスザンナ様も頷くところではありませんよ!
「おお、我の妃たちはここにいたか。いつ見ても美しい」
レオナルド様たちがお話し合いをしている横で談笑をしていると、面倒臭い方が声をかけて来ました。どれだけ避けていても何処からか嗅ぎ付けて顔を出すのです。私にとってこの方は、Gの付く生物が喋っているという不気味な存在にしか見えないので、本当にやめてもらいたいです。
「ロッテ」「ミリー」
私は、すぐに隣に来たレオナルド様に抱き寄せられ、その胸に顔を埋めます。直視すれば、攻撃してしまいそうなのをレオナルド様は分かっているのです。ミリーナ様もランスロット様に身を寄せているでしょう。視界の端には、護衛のお姉様たちが私たちを囲むように警戒しています。
「おや、またあなたですか」
「これはこれは。義兄殿」
「あなたに義兄などと呼んでもらいたくはないですねぇ。中身だけでなく、ロッテが泣くほどの見た目をしているのを自覚していただきたいものだ」
お兄様!それ不敬に当たりますよ!
「おお。泣くほど我のことを求めているとは。なんと可愛い妃だ」
違う!違うから!
「おやおや、外見でけでなく、頭も弱いとみえる」
お兄様、挑発しないでください。話の通じないジャイアントGなんですってば!
「我に敵わぬからと、なんとも低俗なことを言うものだ。フン。妃たちよ。お主たちは明後日の野外実習に参加するつもりかな?」
何を当たり前のコトを。
「フム。参加せずともよいが、どうしてもと言うなら、実習中は我と共に居ることを条件としよう。我の心の広さに感謝するがよい」
「「「「「「・・・・」」」」」」
セアベルテナータ殿下の側近たちを除く全員が、このアホな発言に戦慄しました。
「断る!!!」
ランスロット様がキレました。レオナルド様も私を背後に隠しつつ、セアベルテナータ殿下と対峙しましす。
「クラスが違うのですから、一緒に行動するなんてあり得ない。それに殿下方の腕前では我々についてこれませんよ?」
「わたくしはあなたと一緒だなんてごめん被りますわ!」
「ムリムリムリムリ」
Gが近くにいるなんて、なんて拷問!レオナルド様の背後で首を振って拒否します。私の呟きを聞き取ったレオナルド様は笑いを堪えていますが、無理なものは無理です。
「妃たちよ。我が儘を申すでない。これでも譲歩しておるのだからな?聞き分けろ。無理なら、参加は認めない。よく考えておけ」
私たちの返事も聞かず、言い終えるとさっさと帰っていきました。引き留めようなどとは思いません。何をどう話しても、あの方に話が通じることなどないとよく分かっています。私たちにとってあの方は災厄以外の何者でもありません。その場にいた全員が溜め息をつき、私たちは野外実習の対策を立てることになりました。
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