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生徒会室で会長とのやりとりは俺としても恥ずかしかった。
妹や幼馴染からキモイ認定されていた俺が、会長のような超絶美女にあんなことをして犯罪にならないかビビりまくった。
だけど、会長の反応を見る限り嫌がられていたわけではないと思う。
生徒会室に入ったとき、前に会ったときよりも疲れている様子だった。
それに話をしているときも、どこか挑戦的な感じで。
前であればセイヤと俺の顔を見て楽しそうにしていたのに、随分と態度も違ったように見えた。
「あれで、少しは元気になってくれたらいいんだけどな。俺が思うにヨルの見た目は悪くない……はずだ」
転生して半年近く経つが、自信という意味ではまだまだ半信半疑と言ったところだ。
「おかえり。生徒会で手続きはできた?」
「たぶんな。会長には許可してもらったよ。規約通りに三人目と顧問さえみつければ承知されるそうだ」
「会長?大丈夫だったの?」
「ああ、ちょっと疲れてたみたいだけどな」
「そっか、なら放課後は時間作ってよ」
セイヤが視線で二人を見る。
「もう話したのか?」
「うん。ヨルが生徒会室に行っている間にね。二人とも話を聞いてくれるって」
こちらが視線を向けていても、二人からこちらを見る様子はない。
「本当に大丈夫か?」
「う~ん。たぶんね。二人とも部活に入る気はなかったみたいだし」
「そうなのか?」
「うん。男性は優遇措置として、最悪入らないって選択もできるからね」
高校でも優遇措置が用意されているそうだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
放課後になり、セイヤがセッティングしてファミレスへと入った。
元の世界では病院と家の記憶しかなく。
それもあいまいで、友人とファミレスに入ったことなどない。
俺はテンションが上がってキョロキョロと店内を見渡してしまう。
「ヨル、そんな珍しい物なんてないだろ。いくよ」
案内されたボックス席に座ると、ドリンクバーと摘まめるポテトを頼んだ。
「さて、今更同じクラスで自己紹介もおかしいけど。
今回は来てくれてありがとうってことで、自己紹介しようか。
僕は白金聖也。こっちが黒瀬夜。男子応援団の発案者だよ」
セイヤが進行を始めるが、二人とも俺と目を合わせようとしない。
それにここに来るまで、会話らしい会話もなかった。
「なぁ、セイヤ。本当にこいつら大丈夫か?」
俺は不安になってきたので、セイヤに小声で問いかける。
「どういう意味?」
「普通に人として会話が出来るレベルなのか?」
俺が視線を向ければ、
緑埜はフードを取ってはいるがデカいヘッドホンをつけたまま音楽が聞こえてくる。
赤井は歩きながらずっと本を読んでいた。今も本から視線を離していない。
「二人とも人付き合いがあまり得意じゃないだけだよ。
ねぇ、二人とも、自己紹介してもらってもいいかな?」
セイヤが呼びかけて、やっと赤井が顔を上げる。
緑埜も音を止めてはいるが、身体を起こす気はないようだ。
「ハァ~、セイヤ君が言うから来たけど。僕は読書以外に興味がないんだ。黒瀬君。君には一言言っておきたいと思ってね」
眼鏡の奥から鋭い目が俺を睨みつける。
「なんだ?」
「今まで沈黙を守ってきた君がどうして今になって、こんなことをしようと思ったのか疑問なんだ。どういうつもりだい?」
何に対して沈黙をしていのか、どうして赤井そう思ったのか?意味がわからない。
セイヤは沈黙を守るようで視線をこちらに向ける。
緑埜まで顔を上げてこちらを見ていた。
赤井と同じ意見のようで、俺に注目が集まる。
「ハァー、これは俺の問題でしかないぞ」
前置きをして三人を見れば、三人とも頷いた。
「俺はただ……話すのがちょっと苦手なんだ」
別にワザと沈黙していたわけじゃない。
ただ、話すのが苦手でこちらから話しかけることが出来なかっただけだ。
「……はっ?」
赤井も、緑埜も、俺が言った意味がわからないようだ。
「俺は……あれだ。コミュニケーションが苦手というか、話すのが嫌いなわけでも女の子が嫌いなわけでもない。
今回の事も、女の子ともっと仲良くなれるきっかけを作れればいいと思ったからだ」
なんとか言葉にすることが出来た。
ホッと息を吐いて二人を見れば、なんとも微妙な顔をしていた。
しばらく返事を待っていると、赤井の眼鏡がキラリと光る。
「あれか?コミ症だと君は言いたいのか?その見た目で?」
赤井が発した言葉に緑埜が物凄い頷いている。
「見た目は関係ないだろ!悪いかよ。治す努力はしてるんだ。だから、最近はちょっとづつ話が出来るようになってる」
赤井はコメカミを抑えて考え込み。
緑埜は驚いた顔をして、凝視してきていた。
「ねっ。僕が言った通りでしょ」
なぜかセイヤだけは面白そうに勝ち誇った顔で二人に問いかけた。
「セイヤ君が言いたいことはわかった。
ハァー誤解していたのは僕の方だったということか……それで今回の部活を作ろうと思ったのは、女子と仲良くするキッカケ作りということかい?」
赤井はまだ信じられないといった様子で問いかけてくる。
「ああ、だっておかしいだろ?
女子から優遇されてるだけの存在って、男の数が少ないからって偉そうにふんぞり返って。偉そうにしながら客寄せパンダだけの価値しかないなんてなんだよそれ。
だから変えるんだ。
こちらから価値を示して存在意義を」
元の世界では生きているだけで、自分の存在価値を示すことも出来なかった。
貞操概念逆転世界に来れば、女子にチヤホヤされて必要とされると思った。
だけど、ここは思っていた世界と違う。
自分から示さなければ、ただ生きているだけの前の世界と何も変わらない。
「君は……思っていたよりも熱い人なんだね」
赤井は納得したような顔をしていた。
緑埜はいつの間にかヘッドホンを外して笑っていた。
「僕は赤井隼人だ。部活に入るかはまだわからない。だけど、黒瀬君と話が出来てよかったは思う」
「俺、緑埜洋平。めっちゃ面白かった。俺は部活入ってもいいよ。応援団って歌を歌ったりするかな?俺は音楽が好きで歌を作ってみたいんだ。黒瀬は面白いから音楽一緒にやろうよ」
二人は話を聞いて自己紹介をしてくれた。
そういえば自己紹介をしている途中だったことを思い出して笑い合った。
緑埜が部活に入ってくれることが決まったので、そのあとは互いの話をしてファミレスを後にした。
妹や幼馴染からキモイ認定されていた俺が、会長のような超絶美女にあんなことをして犯罪にならないかビビりまくった。
だけど、会長の反応を見る限り嫌がられていたわけではないと思う。
生徒会室に入ったとき、前に会ったときよりも疲れている様子だった。
それに話をしているときも、どこか挑戦的な感じで。
前であればセイヤと俺の顔を見て楽しそうにしていたのに、随分と態度も違ったように見えた。
「あれで、少しは元気になってくれたらいいんだけどな。俺が思うにヨルの見た目は悪くない……はずだ」
転生して半年近く経つが、自信という意味ではまだまだ半信半疑と言ったところだ。
「おかえり。生徒会で手続きはできた?」
「たぶんな。会長には許可してもらったよ。規約通りに三人目と顧問さえみつければ承知されるそうだ」
「会長?大丈夫だったの?」
「ああ、ちょっと疲れてたみたいだけどな」
「そっか、なら放課後は時間作ってよ」
セイヤが視線で二人を見る。
「もう話したのか?」
「うん。ヨルが生徒会室に行っている間にね。二人とも話を聞いてくれるって」
こちらが視線を向けていても、二人からこちらを見る様子はない。
「本当に大丈夫か?」
「う~ん。たぶんね。二人とも部活に入る気はなかったみたいだし」
「そうなのか?」
「うん。男性は優遇措置として、最悪入らないって選択もできるからね」
高校でも優遇措置が用意されているそうだ。
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放課後になり、セイヤがセッティングしてファミレスへと入った。
元の世界では病院と家の記憶しかなく。
それもあいまいで、友人とファミレスに入ったことなどない。
俺はテンションが上がってキョロキョロと店内を見渡してしまう。
「ヨル、そんな珍しい物なんてないだろ。いくよ」
案内されたボックス席に座ると、ドリンクバーと摘まめるポテトを頼んだ。
「さて、今更同じクラスで自己紹介もおかしいけど。
今回は来てくれてありがとうってことで、自己紹介しようか。
僕は白金聖也。こっちが黒瀬夜。男子応援団の発案者だよ」
セイヤが進行を始めるが、二人とも俺と目を合わせようとしない。
それにここに来るまで、会話らしい会話もなかった。
「なぁ、セイヤ。本当にこいつら大丈夫か?」
俺は不安になってきたので、セイヤに小声で問いかける。
「どういう意味?」
「普通に人として会話が出来るレベルなのか?」
俺が視線を向ければ、
緑埜はフードを取ってはいるがデカいヘッドホンをつけたまま音楽が聞こえてくる。
赤井は歩きながらずっと本を読んでいた。今も本から視線を離していない。
「二人とも人付き合いがあまり得意じゃないだけだよ。
ねぇ、二人とも、自己紹介してもらってもいいかな?」
セイヤが呼びかけて、やっと赤井が顔を上げる。
緑埜も音を止めてはいるが、身体を起こす気はないようだ。
「ハァ~、セイヤ君が言うから来たけど。僕は読書以外に興味がないんだ。黒瀬君。君には一言言っておきたいと思ってね」
眼鏡の奥から鋭い目が俺を睨みつける。
「なんだ?」
「今まで沈黙を守ってきた君がどうして今になって、こんなことをしようと思ったのか疑問なんだ。どういうつもりだい?」
何に対して沈黙をしていのか、どうして赤井そう思ったのか?意味がわからない。
セイヤは沈黙を守るようで視線をこちらに向ける。
緑埜まで顔を上げてこちらを見ていた。
赤井と同じ意見のようで、俺に注目が集まる。
「ハァー、これは俺の問題でしかないぞ」
前置きをして三人を見れば、三人とも頷いた。
「俺はただ……話すのがちょっと苦手なんだ」
別にワザと沈黙していたわけじゃない。
ただ、話すのが苦手でこちらから話しかけることが出来なかっただけだ。
「……はっ?」
赤井も、緑埜も、俺が言った意味がわからないようだ。
「俺は……あれだ。コミュニケーションが苦手というか、話すのが嫌いなわけでも女の子が嫌いなわけでもない。
今回の事も、女の子ともっと仲良くなれるきっかけを作れればいいと思ったからだ」
なんとか言葉にすることが出来た。
ホッと息を吐いて二人を見れば、なんとも微妙な顔をしていた。
しばらく返事を待っていると、赤井の眼鏡がキラリと光る。
「あれか?コミ症だと君は言いたいのか?その見た目で?」
赤井が発した言葉に緑埜が物凄い頷いている。
「見た目は関係ないだろ!悪いかよ。治す努力はしてるんだ。だから、最近はちょっとづつ話が出来るようになってる」
赤井はコメカミを抑えて考え込み。
緑埜は驚いた顔をして、凝視してきていた。
「ねっ。僕が言った通りでしょ」
なぜかセイヤだけは面白そうに勝ち誇った顔で二人に問いかけた。
「セイヤ君が言いたいことはわかった。
ハァー誤解していたのは僕の方だったということか……それで今回の部活を作ろうと思ったのは、女子と仲良くするキッカケ作りということかい?」
赤井はまだ信じられないといった様子で問いかけてくる。
「ああ、だっておかしいだろ?
女子から優遇されてるだけの存在って、男の数が少ないからって偉そうにふんぞり返って。偉そうにしながら客寄せパンダだけの価値しかないなんてなんだよそれ。
だから変えるんだ。
こちらから価値を示して存在意義を」
元の世界では生きているだけで、自分の存在価値を示すことも出来なかった。
貞操概念逆転世界に来れば、女子にチヤホヤされて必要とされると思った。
だけど、ここは思っていた世界と違う。
自分から示さなければ、ただ生きているだけの前の世界と何も変わらない。
「君は……思っていたよりも熱い人なんだね」
赤井は納得したような顔をしていた。
緑埜はいつの間にかヘッドホンを外して笑っていた。
「僕は赤井隼人だ。部活に入るかはまだわからない。だけど、黒瀬君と話が出来てよかったは思う」
「俺、緑埜洋平。めっちゃ面白かった。俺は部活入ってもいいよ。応援団って歌を歌ったりするかな?俺は音楽が好きで歌を作ってみたいんだ。黒瀬は面白いから音楽一緒にやろうよ」
二人は話を聞いて自己紹介をしてくれた。
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