混(線)の処女

月琴そう🌱*

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最終章 混線の処女

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「大丈夫だよ旺汰……一緒に……一緒にさ……初めてってのを一緒にやろうよ……だからそんなに硬くなるなオレの事は気にするな……旺汰……やれ」

 これでもう、あの頃の俺たちには戻れない。
ここを通った俺たちが、次に見るものは一体何なのだろう。
そんな不安が今になって湧いて来る。
けれどもう引き返しは利かない。
ふたりで一緒に服を脱いだんだ。

    彼が今まで自分でも知らなかった、誰も通した事ない扉に手を掛けた。

 そこを通るのはまだ早かったのかもしれないと急に不安になったのは、彼の表情が踏み出した一歩からみるみる苦痛を堪える表情を映し出したから。
俺とこんな事にならなければ、その扉は開かれる事など永久になかったはずだ。
ここに来ながら大きく重い扉であったと、目の当たりした俺はその迷いが彼にも伝わってしまったらしい。

「オマエ、コシヌケか?オレが……オレがオマエにケツ出してるんだぞ!ここまで来てるんだから、ハラくくれよ!あの時の方がまだ肝が太かったぞ それともオマエはひとりじゃ出来ない、ただのスケベなのか!?」
「―!……」
「オレの事は気にするな オマエがまたおかしくなったら、平手打ちでも蹴り飛ばすでもして止めさせる だから……だから……トットとやれよ!オレに突っ込めよ 旺汰!」

 肝心な所で怯みがちなのは、俺の悪い所だ。
この悪い癖は今まで色んな後悔を作り、踏み付けごまかして来たのだと気付いていた。
虹生はそんな俺を、今まで歯がゆい思いで見て来たのかもしれない。
起き上がって入れ替わるように俺を寝かせたあと、彼は覆い被さり顔を突き合せて来た。

「旺汰?よく聞け オトコのオレとやりたかったんだろう?オマエはオレに挿れたいんだろう?だったらもっと……もっとオトコにならないとダメだぞ?オレよりもっと……オトコになるんだ旺汰!!」
「!!」

「これは……オレ、分かったよ〝指切りゲンマン〟だオレたちは何があってもずっとトモダチだっていう、〝約束〟なんだ」
「――」

「どうだ迷いがなくなったか?オレの中に入りたくなっただろう」

 俺の弱さは、お前にもう通用しない。
そんな時が来たのだとピンで留めるような眼差しで、彼の目が言っている。
滅多に見せない真剣な眼差しのあと小さく笑って、この前胸の内を吐き出した時のように彼は腰を少し上げる動作をした。

「待って!分かった、虹生分かったから俺がする!」

 俺が彼にされる事ではない。
俺が自分で超えなければならない事だ。彼と元の位置に戻った。

「クス……」
「な……何だよ……」
「〝オレ〟が相手でも、そんなに緊張する事なのかって」

「……だって……」
「クスクスクス……大丈夫だって……旺汰」
「……じゃあ 行くよ……」
「いいよ 旺汰」
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