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第五章 Prism
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「あれ、いつもの虹生くんに戻っちゃった?」
彼の緑のような香りがする体温は、いつも心地良い。
オマエの事が好きだ。トクベツな好きだ。
それがオレの〝恋愛感情〟だと言うなら……。
「…… オレの……」
「ん?」
「 オレの…… ナカ に……
……は……
入っ て…… み るか…… 」
「………… え……」
「…… バッ! 今日じゃないぞ!先の話だ先の話をオレはしてるんだ!!」
「分かってるよ分かってるけど……ナンか……キタ……今すぐお前を抱きたい!」
「―!……手!ホラ、今日は手を繋いだぞオレたち ヤッタな藤井に自慢してやろ きっとビックリするぞ〝まだ繋いでなかったんだ!〟なんてハハッ」
「ダメだソレだけじゃダメだ でも、ココではムリだ帰ろう!今すぐ帰ろう!!」
「わっ!」
急に立ち上がった旺汰にオレはバランスを取られ、パイプの上でよろけた。
よろけた所に絡ませていた手を引っ張られ、そのまま勢いよく彼の胸にオレは収まって彼の体温を感じた。
……オマエのハダカの匂いがする
オマエがいつもオレを包んでくれているように、オレはそれ以上にオマエの事を包んでみたい。
もうひとりは嫌だ。オレも一緒がいい。
オマエのカラダごと、オレのカラダを使ってオマエの全部をオレの全部で包んであげるから。
「オレはオマエが好きなんだ オマエだからいいと思ってる でも……」
「―?……」
「イタイのはヤダ……痛くすンなよ……約束だぞ」
・・・・・・・・・・
「 エッ! 」
「イタイのはヤなんだ!本当はコワイんだ!バカヤロウ!!」
「ヤ……ヤバイ!……ね、ねえ早く、早く帰ろう!」
「―! ナニが〝ヤバイ〟だ ハッ倒すぞコノ!ヤメロ離せ!オマエの方が〝ヤバイ〟だ!!」
「ダメだ!」
「ナニがダメなんだよ!」
「お前の事が好き過ぎてツライって言ってんの!!」
「待て!ちょっと待て!分かった!やっぱ取り消し!さっきのナシ!冗談!ウソ言った ワリイな旺汰聞かなかったことにしてくれ」
「もう、ダメッ!虹生大好き愛してる!今すぐお前が欲しい」
「だから冗ッ!ヤメロ!この離せ!!」
「やだ」
「コッチがヤダ」
「ヤダがやだ!」
「……もう、分かんねーよ」
少し前までの不安は彼に打ち明けたと同時に、水に溶けたように消えた。
今は不思議に落ち着いている。
ちゃんと手を繋ぐのさえ、初めてだった。
オマエとカラダを繋ぐのは、まだ先かもしれないし、今日かも明日かもしれない。
ずっとオレたちは一緒だった。
トモダチのままトモダチを超えて、今度はカラダを繋ごうとしている。
その先に行ったオレたちは、どんなオレたちになるんだろう。
Prism 終
彼の緑のような香りがする体温は、いつも心地良い。
オマエの事が好きだ。トクベツな好きだ。
それがオレの〝恋愛感情〟だと言うなら……。
「…… オレの……」
「ん?」
「 オレの…… ナカ に……
……は……
入っ て…… み るか…… 」
「………… え……」
「…… バッ! 今日じゃないぞ!先の話だ先の話をオレはしてるんだ!!」
「分かってるよ分かってるけど……ナンか……キタ……今すぐお前を抱きたい!」
「―!……手!ホラ、今日は手を繋いだぞオレたち ヤッタな藤井に自慢してやろ きっとビックリするぞ〝まだ繋いでなかったんだ!〟なんてハハッ」
「ダメだソレだけじゃダメだ でも、ココではムリだ帰ろう!今すぐ帰ろう!!」
「わっ!」
急に立ち上がった旺汰にオレはバランスを取られ、パイプの上でよろけた。
よろけた所に絡ませていた手を引っ張られ、そのまま勢いよく彼の胸にオレは収まって彼の体温を感じた。
……オマエのハダカの匂いがする
オマエがいつもオレを包んでくれているように、オレはそれ以上にオマエの事を包んでみたい。
もうひとりは嫌だ。オレも一緒がいい。
オマエのカラダごと、オレのカラダを使ってオマエの全部をオレの全部で包んであげるから。
「オレはオマエが好きなんだ オマエだからいいと思ってる でも……」
「―?……」
「イタイのはヤダ……痛くすンなよ……約束だぞ」
・・・・・・・・・・
「 エッ! 」
「イタイのはヤなんだ!本当はコワイんだ!バカヤロウ!!」
「ヤ……ヤバイ!……ね、ねえ早く、早く帰ろう!」
「―! ナニが〝ヤバイ〟だ ハッ倒すぞコノ!ヤメロ離せ!オマエの方が〝ヤバイ〟だ!!」
「ダメだ!」
「ナニがダメなんだよ!」
「お前の事が好き過ぎてツライって言ってんの!!」
「待て!ちょっと待て!分かった!やっぱ取り消し!さっきのナシ!冗談!ウソ言った ワリイな旺汰聞かなかったことにしてくれ」
「もう、ダメッ!虹生大好き愛してる!今すぐお前が欲しい」
「だから冗ッ!ヤメロ!この離せ!!」
「やだ」
「コッチがヤダ」
「ヤダがやだ!」
「……もう、分かんねーよ」
少し前までの不安は彼に打ち明けたと同時に、水に溶けたように消えた。
今は不思議に落ち着いている。
ちゃんと手を繋ぐのさえ、初めてだった。
オマエとカラダを繋ぐのは、まだ先かもしれないし、今日かも明日かもしれない。
ずっとオレたちは一緒だった。
トモダチのままトモダチを超えて、今度はカラダを繋ごうとしている。
その先に行ったオレたちは、どんなオレたちになるんだろう。
Prism 終
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