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第五章 Prism
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「今日は……何か用事ある?……ウチ来る?」
学校を出て、しばらくしてからポソリと彼が言った。
それまでふたりとも無言だった。
いつもはそんな事聞かない。聞かれた事なんてない。
そんな、普段しない事をオマエがしただけで、オレの心臓はトクベツな気配をもう感じて胸が震える。
それがどれくらいか、オマエには分かるか?旺汰。
何となく空気に馴染まないギコチのなさは、彼の胸の中が薄ら見えたせい。
少しの間だったけれど、オレたちはお互いの肌を触る事はしていなかった。
自分の胸と手に、想い人を映す事はあっても。
空いてしまった時間は少しの照れ臭さをふたりに作り、それを部屋に射し込んだ眩しい夕日のせいにして視線を合わせられずにいた。
けれどオマエはあの日から、カラダを貫くような視線をオレに向ける。
下に向けた視線を、掬いあげるように。
木陰からちょっと顔を覗かせ様子を伺うようにしながらでも、それでもオマエの瞳はいつも熱い。
そしてゆっくり唇を合わせて、お互いの呼吸と温度を確かめながら波を合せて行く。
彼に掴まる自分の指先に、チカラが入ってしまうのはわざとじゃない。
彼が自分を触れるだけで、自分のカラダがトクベツなものになったように変わって行く。
それはまるでカラダの内側から光りが溢れ出し、そして痺れて来るような。
ここに存在している意味が分からなかったものが、彼を迎える為に存在していたような気付き。
そしていつしかそれを待つように、オレはなった。
……ンッ
随分感度が良くなった
そんな言い方やめ…… ァッ……
段々と意識がそれだけになって、他の事が何も考えられなくなる。
例えばもしもここで〝学校に忘れ物して来た!〟なんて言い出したら、蹴り飛ばしてやりたくなるほどだ。
それは……オレがオマエだけになるって、そういう事だから。
彼もそれはちゃんと分かってる。
だから最近イジワルを言い、オレを困らせる。
最初の頃は〝くすぐったい〟って笑ってたのに
オマエ……のせい……だ……声……殺せねえ……
出しなよ我慢しないで……ずっと聞きたかった
ズル……い ぞ…… アッ……オレ……だけ……
オマエはオレの事、随分トモダチ以上に分かって来たよな。
「旺汰 キスして」
部屋に入ってすぐ、普通の会話のように口に出した。
旺汰は、制服から部屋着に着替えようとしていた。
間を流れた空気は、きっとオレがそんな事を言ったから。
彼は聞き間違いをしたとでも思ったのか、一瞬驚くような表情を見せたがオレの目を見たすぐに応えて来た。
唇を合わせ彼にカラダを支えられながら、そのままベッドにふたりで崩れた。
彼に着ている物を取られて行く感覚は、いつも風に巻かれているようだ。
その間もなく、オレは素肌だけのカラダになった。
学校を出て、しばらくしてからポソリと彼が言った。
それまでふたりとも無言だった。
いつもはそんな事聞かない。聞かれた事なんてない。
そんな、普段しない事をオマエがしただけで、オレの心臓はトクベツな気配をもう感じて胸が震える。
それがどれくらいか、オマエには分かるか?旺汰。
何となく空気に馴染まないギコチのなさは、彼の胸の中が薄ら見えたせい。
少しの間だったけれど、オレたちはお互いの肌を触る事はしていなかった。
自分の胸と手に、想い人を映す事はあっても。
空いてしまった時間は少しの照れ臭さをふたりに作り、それを部屋に射し込んだ眩しい夕日のせいにして視線を合わせられずにいた。
けれどオマエはあの日から、カラダを貫くような視線をオレに向ける。
下に向けた視線を、掬いあげるように。
木陰からちょっと顔を覗かせ様子を伺うようにしながらでも、それでもオマエの瞳はいつも熱い。
そしてゆっくり唇を合わせて、お互いの呼吸と温度を確かめながら波を合せて行く。
彼に掴まる自分の指先に、チカラが入ってしまうのはわざとじゃない。
彼が自分を触れるだけで、自分のカラダがトクベツなものになったように変わって行く。
それはまるでカラダの内側から光りが溢れ出し、そして痺れて来るような。
ここに存在している意味が分からなかったものが、彼を迎える為に存在していたような気付き。
そしていつしかそれを待つように、オレはなった。
……ンッ
随分感度が良くなった
そんな言い方やめ…… ァッ……
段々と意識がそれだけになって、他の事が何も考えられなくなる。
例えばもしもここで〝学校に忘れ物して来た!〟なんて言い出したら、蹴り飛ばしてやりたくなるほどだ。
それは……オレがオマエだけになるって、そういう事だから。
彼もそれはちゃんと分かってる。
だから最近イジワルを言い、オレを困らせる。
最初の頃は〝くすぐったい〟って笑ってたのに
オマエ……のせい……だ……声……殺せねえ……
出しなよ我慢しないで……ずっと聞きたかった
ズル……い ぞ…… アッ……オレ……だけ……
オマエはオレの事、随分トモダチ以上に分かって来たよな。
「旺汰 キスして」
部屋に入ってすぐ、普通の会話のように口に出した。
旺汰は、制服から部屋着に着替えようとしていた。
間を流れた空気は、きっとオレがそんな事を言ったから。
彼は聞き間違いをしたとでも思ったのか、一瞬驚くような表情を見せたがオレの目を見たすぐに応えて来た。
唇を合わせ彼にカラダを支えられながら、そのままベッドにふたりで崩れた。
彼に着ている物を取られて行く感覚は、いつも風に巻かれているようだ。
その間もなく、オレは素肌だけのカラダになった。
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