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第二章 ヒミツキチで……
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「旺汰……どうして泣くの?ごめん……やり過ぎたねオレ……」
虹生を見ると、カラダだけ大人になっている証を、手で受けてくれていた。
「ごめん!洗って来て!気持ち悪いだろそんなモノ!」
「そんな事ないよ……気持ち悪いだなんて……そんな事ないから……オマエなんだから……」
動こうとしない彼の手を取り、自分の粗相をティッシュで拭き取った。
申し訳なくて、彼には自分の色々が申し訳なくて、ごめんしか言えない自己嫌悪の塊になってる自分がまた情けなく、涙がまた溢れた。
地面にそのまま埋もれたくなったり宙に浮かぶほどになったり、見失った自分は今どこにいるのか彼にもうこれ以上心配させてはいけない。
それなのに、彼の手を取りながら見つけてしまった。
夢中になった自分が、彼に付けてしまったのだろう。
彼の腕に赤い〝痕〟が付いていた。
「気にすんな 本望だ……そのくらい……良かったんだろ?」
彼のカラダにも刻んでしまった、自分の秘密。
申し訳ない気持ちと、恥ずかしさしか感じない。
この先に何も見いだせない。自分が嫌で仕方がない。
お前は何も悪くない。俺に謝る事なんて、ひとつもない。
俺がおかしい……俺が悪いんだ。
「ごめん……やっぱ……嫌だったよな……調子に乗り過ぎた……ごめん」
「違う……そうじゃ……そうじゃないんだ……」
「なに……」
「俺は……」
涙が止まらないその理由を、彼に言ってしまおう。
謝る事より、理由を言わなければならないんだ。
「俺は……お前の事……」
フワリと腕を回して来た虹生の体温は、安心するあたたかさ。
そのあたたかさは、昔から知る彼の温度。
「こんな事になっちゃったけど……遊びじゃないのは本当なんだ それを分かって欲しい」
「うん……」
「遊びでも、ふざけたスケベ心でもない 自分でもどうしてか分からない お前の事ばかり考えてしまう さっき聞かれた事、ちゃんと答えてなかった 俺は……お前の事が好きだ これは今までとは違う……お前とキスが出来て良かった またお前とキスがしたい……そう思う好きだ…… ごめんおかしいよな俺……」
「……ごめんばっか言うなよ……」
「だって……」
「オマエの気持ちは分かった オマエの事信じてたけど でも、もしかしたら……って、オマエの事を試した 悪く思うなよ それだけオレは驚いたんだ…… ふざけてるんじゃないって分かって、安心したよ……けれど、オレの方がまだ分からない オマエがオレにしていたような、それをしてみたらオレも何か……って、思ったんだけど……オレの方こそごめん……乱暴なやり方だった……こんな、カラダに聞くみたいな事 ふざけてたのはオレの方だ 本当にごめん」
「……いいよ……」
「さっきも言ったけど、オレはオマエの事が好きだよ 気持ちは今も変わらない オマエはオレには大事な存在なんだ ただオマエの言う〝好き〟とオレがオマエに思う〝好き〟は同じなのか分からない…… 同じじゃないとダメなのかな……」
「 え……」
虹生を見ると、カラダだけ大人になっている証を、手で受けてくれていた。
「ごめん!洗って来て!気持ち悪いだろそんなモノ!」
「そんな事ないよ……気持ち悪いだなんて……そんな事ないから……オマエなんだから……」
動こうとしない彼の手を取り、自分の粗相をティッシュで拭き取った。
申し訳なくて、彼には自分の色々が申し訳なくて、ごめんしか言えない自己嫌悪の塊になってる自分がまた情けなく、涙がまた溢れた。
地面にそのまま埋もれたくなったり宙に浮かぶほどになったり、見失った自分は今どこにいるのか彼にもうこれ以上心配させてはいけない。
それなのに、彼の手を取りながら見つけてしまった。
夢中になった自分が、彼に付けてしまったのだろう。
彼の腕に赤い〝痕〟が付いていた。
「気にすんな 本望だ……そのくらい……良かったんだろ?」
彼のカラダにも刻んでしまった、自分の秘密。
申し訳ない気持ちと、恥ずかしさしか感じない。
この先に何も見いだせない。自分が嫌で仕方がない。
お前は何も悪くない。俺に謝る事なんて、ひとつもない。
俺がおかしい……俺が悪いんだ。
「ごめん……やっぱ……嫌だったよな……調子に乗り過ぎた……ごめん」
「違う……そうじゃ……そうじゃないんだ……」
「なに……」
「俺は……」
涙が止まらないその理由を、彼に言ってしまおう。
謝る事より、理由を言わなければならないんだ。
「俺は……お前の事……」
フワリと腕を回して来た虹生の体温は、安心するあたたかさ。
そのあたたかさは、昔から知る彼の温度。
「こんな事になっちゃったけど……遊びじゃないのは本当なんだ それを分かって欲しい」
「うん……」
「遊びでも、ふざけたスケベ心でもない 自分でもどうしてか分からない お前の事ばかり考えてしまう さっき聞かれた事、ちゃんと答えてなかった 俺は……お前の事が好きだ これは今までとは違う……お前とキスが出来て良かった またお前とキスがしたい……そう思う好きだ…… ごめんおかしいよな俺……」
「……ごめんばっか言うなよ……」
「だって……」
「オマエの気持ちは分かった オマエの事信じてたけど でも、もしかしたら……って、オマエの事を試した 悪く思うなよ それだけオレは驚いたんだ…… ふざけてるんじゃないって分かって、安心したよ……けれど、オレの方がまだ分からない オマエがオレにしていたような、それをしてみたらオレも何か……って、思ったんだけど……オレの方こそごめん……乱暴なやり方だった……こんな、カラダに聞くみたいな事 ふざけてたのはオレの方だ 本当にごめん」
「……いいよ……」
「さっきも言ったけど、オレはオマエの事が好きだよ 気持ちは今も変わらない オマエはオレには大事な存在なんだ ただオマエの言う〝好き〟とオレがオマエに思う〝好き〟は同じなのか分からない…… 同じじゃないとダメなのかな……」
「 え……」
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