Cutie Skip ★

月琴そう🌱*

文字の大きさ
上 下
30 / 30

最終話 ゆうあ

しおりを挟む
 片手に弁当を持ち、肘にたまったスクラブインナーを引っ張り出しながら、整頓された待合室を抜け、院長ご自慢の中庭に出る扉を開けた。月琴山の雪もすっかりなくなり、そろそろ夏を思わせる風が耳元をくすぐる。
月琴山は活火山でありながら活動が緩やかなのは、便秘だからであると小学生の頃担任教師が言っていたことを今でも覚えている。

 居住地区ギリギリにある、和洋折衷の真新しい動物病院併設住宅のちょうど西側は、温和で便秘の月琴山を中央にした雄大な峰々を望めた。ここに来ていつの間にか、自然と視野を遠くまで伸ばすようになっていた。チラホラ見える住宅や電柱などの風景を邪魔するものが、ひとつも入らないように計算され作られた中庭だ。
老いた神成かんなり院長が長年の夢であったと、元いた医院をつてに譲りひっそりとここで開業を――のはずが、思いのほか賑わってしまったと聞いた。院長の想定は外れてしまったが、瑞月の鍛練には相応しい場になった。
神成院長は幼少からを知る瑞月を孫のようにかわいがり、そして瑞月が知るどの師よりも厳しかった。

 ウッドデッキに出たところで縮こまったカラダを解すため、バンザイしながら左右に動かした。学生時代の体育はありがたかったと、すっかり運動から遠のいたカラダがキシキシと言い教えてる。
今日は緩やかな午前だった。毎日今日のようであれば喜ばしいと思いつつ、まだまだ自分は修行中の身、向学心は緩めてはいけないのだと気を引き締める。
しかし今日はやはり気が散漫になり武者震いが止まらないのは、もう始まっている一大イベントのためだ。
本当はゴハンも喉を通らないほどなのが、昨夜訪れた友が今朝弁当を持たせてくれた厚意に預からなければならない。と、ウッドデッキに置かれたガーデンチェアに腰掛けた。
新緑を芽吹かせ日に日に青々としてくるシラカバの音楽に混ざり、早く家に帰せと泣くかわいい子たちの声を聴きながら、テーブルに弁当を広げ蓋を開けた。

 愛 

 彼は鍛錬を続けていたのだろうか。高級海苔の黒光りが、より一層”愛”を引き立てる。もはや作品を思わせるその黒光りは、彼の初期の作品を知る者として大いに感慨深いものだった。白米に乗る明朝体で描かれた焼き海苔に視線を落とし、瑞月は余計な思考を遠ざけた。
この弁当を作り上げた主は、家主不在の我が家で今仕事中だ。
彼の実家は我が家から遠いわけではないのに、何かにつけ我が家を宿代わりのようによくやって来る。場所を自分の好きにできる彼の仕事を、羨ましく思う。彼はそのために学生の頃、勉学に励んだのだと自負するくらいだ。けれどまだ満足していないような、自身の中にまだなにかを潜ませている気配を感じるのは、長年の付き合い故の勘。その彼が昨夜家に突然やって来たのだ。

「少し前からこの辺りがムズムズしてたまらん お前の家に泊まらせろ」 

 あるはずもない子宮の辺りを、手でポンポンと叩きながら幾ばくか緊張の面持ちで言ったのだった。彼は彼で落ち着かないのだろう。やはり不思議をたくさん詰め合わせた、双子だなあと瑞月に映る。
昔の自分ならこう言うだろう。いや、本当は今も変わらないが堪えた。大人というのは大人のフリをするものなのだ。

”不思議な双子マジック?なにか感じるの?どう感じるの?いつ生まれる?ねえいつ!?今日?いつ?ねえ結日!!”

 うっかりするとオトコの腹に耳を当て、頬ずりしかねないほどの心境だった。最愛の妻は昨日から産院に入院。お医者に全てを委ねるしかできないのが、もどかしくて堪らない。落ち着けと言われても、落ち着く方法を思い出せない。
今ここにいる自分は、まるで自分ではないようだ。本体は今彼女の傍らにいるのだ。と、今日は全ての物事に身が入らない。
しかし現実は自分は今就労中で、大切な命を一時でも預かる身。妻は自分のために仕事を休んではいけないと、逞しい母親の顔をもう見せた。
妻の付き添いは妻の母に委ねた。かねてよりの友だちのお母さんであるおばさんという存在が、今では大変心強いお義母さんになった。

 ほんの数年前と感じる高校生の頃。こちらが良いかあちらが良いかの転機の時、自分の中でずっと生きている子を追い、この道を選んだのだった。
険しく長い道のりだったが、大きな支えや周りの援助のもと叶えることができたのだ。
かつての愛犬の主治医であり、バイトをしていた蕎麦屋の店主と縁戚関係、そして父の師匠でもあった獣医のもとでまずは研修医として自身を磨き上げ、将来は父の跡を継ぐ。とは表向き。本当はデヴィッドとの不思議合わせを、今も追いかけている最中だ。デヴィッドとの出会いも、この縁故である。
社会に出られたのは、五人の中で自分が一番最後だった。
かけがえのない最愛の妻は、やめるときも健やかなるときも、こんな自分を励まし支え待っていてくれた。自分の一生を掛けて必ず幸せにしなければならない。

「はい藤井で…はい、はい……すぐ行きます!!」

 ちょうど弁当箱の蓋を閉めるところで、携帯電話が鳴った。恵風のいる産院から、義理の母だった。
そして一件、連絡を寄こせ!と言われている所に、今の内容を伝えなければならない。

「ゆゆゆゆ」
「瑞月か落ち着け」
「エッ うまッ」
「分かったコッチの方は俺が連絡しとく お前は慌てず落ち着いて行動しろ!」

 義理の兄は大層頼れる存在だった。自分が不足している箇所を完璧に補ってくれる。忘れもしないのは、彼は自分のためにカラスと勝負しようまでしてくれた。頼りっぱなしはいけないと思いながら、手際の良すぎる義理の兄は大抵のことを、自分より先回りしてこなしてしまう。まるで”マジック”だ。
さておき、彼が言った”コッチの方は”とは、なんのことを言っているのか……?頭が回らない。
事情を知る神成院長に激励されながら、恵風のいる産院に向かった。

 受け付けにて手続きを済ませ、院内を忍び足で早歩き。足音は消せても、胸から轟くのは自身の心拍音。いつか聴いた天使の心音を思い出す。その健気で神々しい響に胸が熱くなったものだ。
やっと会えるのはこの上ない喜び以外にないことで、待ちに待ったことではあるが、そこに辿り着くまでのいくつもの大事に、日が経つごとに思い知った瑞月である。天使は簡単に自分の元へはやって来ないのだ。

最愛の妻、恵風は無事か!?

 なんせニンゲンひとりをこの世に招き入れる最高の不思議を、恵風ひとりに任せっきりにしているのだ。身に負うその試練の半分でも、こちらに寄こせと何度思ったことか。
けれども同時に、日増しにお腹が大きくなる妻の生命を宿した姿が、神秘的で何よりも美しく映り、人として生まれた喜びと幸福を感じたのであった。

 案内に付いて分娩室に入り、今まさに苦しみの絶頂にいる恵風の姿を目の当たりにした。荒れ狂う嵐のような苦しみにひたすら堪える妻に面して、なんとちっぽけな自分なのだろう……。
覚悟はしていたが、想像を絶する現実がオノレの胸を突き刺し、腰が抜け足がもつれ、涙腺が決壊し視界がぼやける。

「エッちゃん!!」

「ミズキーー! もう少しで会えるよ!――ダイちゃんに!」

 ”ダイちゃん”を知るのは、ここでは自分たちだけ。この場に居合わせる者は、おそらくお腹の子の名前を呼んだと思ったことだろう。
それは分娩室のドアが、閉まるか閉まらないかの内の出来事だった。祝福の門を潜り幻想的で華やかな世界に、突然瑞月は足を踏み入れたような錯覚を見た。霞が晴れたように視界が開け、花びらを散らしながらたなびくリボンを乗せたやわらかな風が、恵風から自分を目掛け流れて来たのを感じた。
これまで幾度となく見え隠れしていたそのリボンに、瑞月は手を伸ばし掴んだ。
これがデヴィッドとの不思議合わせだ――
長い長い時間を掛けてやっと繋がった道しるべが、一気に開けたような不思議な出来事だった。
恵風は自分がそう言ったのを、覚えていないと後に言った。

 高校生活も残り僅かという頃のこと。進学のために瑞月は上京。恵風は残り、自宅から通学できる範囲の道を選んだ。初めての離ればなれに、瑞月は恵風に言っておきたいことがあった。

「エッちゃん……ミズキと結婚してくれない?大学卒業したらミズキの奥さんになって、ずっとミズキと一緒にいてくれない? ……イヤ?」

「イイヨ」

「……ちゃんと意味分かってるよね? あの時みたく間違ってたりしないよね?結婚だよ?大丈夫?」

「うん!」

「…………結婚したら毎日朝から晩までミズキと一緒にいて、ゴハン食べて眠っておしゃべりしたりお買い物したり、そしてセックスしたりするんだよ!いいの!?」

「だからイイヨって!」

「エッちゃん、大事なことだから念の為に言うけどさ、結日じゃなくて俺は君と結婚したいって言ってるの分かってる?」

「……」

「エッちゃん?」

「分かった、わたし分かった」
「なに?」
「ミズキ!わたしと結婚しよう! そしてずーーっとわたしたち一緒にいよう!」

「…………」

「なに泣いてんの?」

「……うれしくて…… 絶対幸せにするから!! その前にしっかり勉強して卒業してくるから待ってて!」

 泣く瑞月と笑う恵風。求婚したはずが、求婚返しを受けた。上京してからの大きな支えになった出来事だ。
後から後から押し寄せる眩しい思い出たちが入り混じった感情に、涙と鼻水が止まらない中懸命に出産を支え、グショグショになりながらやっと我が子を胸に抱けた。
生まれたのは男の子だった。
鼻をかませてくれた年配の助産師が

「こんなに泣いたパパは初めて」と言った。


🌱

 来てくれた身内に挨拶を済ませ、眠りに付いた恵風を見届けたあと、瑞月は面会時間ギリギリまでベビールームで眠る我が子を眺めた。今日のめまぐるしさが全て嘘のように穏やかだ。

天使は本当にいた……

 うれしくてうれしくて、やっぱり涙が零れた。

 明かりが点いてる家を見るまで、結日が家にいることも忘れていた。
幾日分をまとめて今日一日にしたような慌ただしさだったのが、リビングにいる結日を見ただけで日常に路線を戻した自分を感じた。
ビデオ通話をする結日の邪魔にならないよう、そっと浴室に向かう。

「全く分かってねぇなお前ら 俺はそこまで心が狭くないぞ 俺の”推し”は生涯ひとりだ 推しの幸せは俺の幸せ 推しを取り巻く全てのものの幸せが俺の生き甲斐だ お前らもそんな俺を見習うといいプッ」

 誰と通話をしているのか……?仕事ではなさそうだ。
友だちというのは、自分の原点のような存在だ。と、瑞月は思った。
その後昔のようにふたりでゲームをして遊び、時が戻ったような感覚が今日までの緊張をやっと解かしてくれたのか、こどもの頃のように久々の熟睡を果たせた。

「恵風と赤ん坊はいつ帰ってくるんだ?」

 翌朝、藤井家に備え置いている自前のスウェット上下姿の結日が、納豆回しながらキッチンから話しかける。結日は自分用のゴハン茶碗や箸もここに置き、ここは瑞月の家だがまるで自分の家のように溶け込んでいるのだった。

「うーん……ふたりともなんもなければ、予定では土曜日だけど……帰ってきても、しばらくはエッちゃん家ってお義母さんと話してるよ しっかり元気になってほしいし」
「ま、そうだな」

 不思議な感覚だ。ひとりで向かった入院だが、ふたりになって帰ってくる。遠い昔、”赤ちゃんは病院でもらえる”と大人の冗談を信じていたことがあった。

「土曜か……ちょうどいいな」
「え?なに?」
「お前は恵風とこどもの無事を祈っとけばいい 今日はちょっと実家に行ってくるけど、なんかあるか?」
「いや……多分病院で会えるだろうし……どーしたの?」
「ちょっとな…… それにしても瑞月……」
「なに?」
「まるで俺たち同棲してるみたいだなブフッ」

 結日はなにか企んでいる。瑞月はそう感じた。

 昨日散々泣いたせいか、今日は比較的落ち着いた状態の瑞月だ。
診療を終わらせ、再び恵風と我が子のもとへ。

「エッちゃん……なんか浮かんだ?この子の名前……もう天使でいいんじゃない?ってくらい天使だよねえ 俺たちの子……」
「それはわたしも同じ気持ちだけど……本気じゃないよね?」

 それから数日後、母子ともに無事退院の日を迎えた。
スヤスヤと眠る子は、長い長い夢を見ていた。
その夢もそろそろ終わりそう。
風と一緒に走ったり、木漏れ日をつかまえようとジャンプした。
聴こえていた。自分を呼んでいるやさしい声。笑い声と一緒に聴こえていた。そして

”大好きだよ 大好きだよ” いつも聴こえていた。

 会いたかった。とても会いたかった。
一度離してしまったけれど、もう一度つかまえに戻って来た。
懐かしい懐かしい大きく小さくたなびくリボンを道しるべに。

「あ 笑ってる」
「むし笑いだね かわいい」

 自分の命よりも尊く、かけがいのない宝物。
もしもの時には迷わず自分を差し出す。
ふたりはそれぞれにそう考える。
そしてなによりも、誰よりも愛する存在であると。
ふたりで一緒に愛おしもう。

「エッちゃん ありがとう愛してる」 

 この想いは少年の頃から抱き守り育み、そして実らせた。身の丈に合わずと躊躇っていた言葉も、時の流れとともに使えるまでに成長した。
恵風がどんな時も、自分に寄り添ってくれていたからだ。

「もーミズキなん回言うの? わたしこそありがとうだよ……もう泣きやまないと家着くよ」

 なん回でも言う 瑞月は心の中で思った。

🌱

「おお帰ってきたな そのまま赤ん坊連れてちょっと来い」
「なに?」

 退院後、鳥海家に直行。そこに結日が待ち構えていた。向かう先は学生の頃足しげく通った恵風の部屋。壁紙もカーテンも家具の配置も、あの頃と変わらない。いつの自分も迎えてくれるやさしい空間。世間をまるで知らなかった頃の自分がいた場所。
少しの間、恵風は新生児とここで蜜月する。自分もそこに入り込むのは自然なことだ。

「わっ!いつコッチ来たの?」
「いよう藤井元気そうだな」
「エッちゃんは?」
「エッちゃんは今お義母さんと話し中……」
「まあまあ赤子を見てもらおうじゃないか」
「ちっちゃ……」

 新生児を四人のオトコが取り囲む。そんなことなどお構いなしに、天使はスヤスヤ瑞月の腕の中で眠る。

「お前……と言うより……エッちゃんかなあ……」
「エッちゃん……と言うか……」

『 ユ イ ヒ ! 』

「だろう? 瑞月、よくやった でかしたぞ」

「ちょっと君たちひどくない? ちゃんとよく見て! この愛くるしい天使を!! ……ま、遠いところ来てくれてありがとう 久しぶりに会えてうれしいよ元気そうでよかった」

 結日の企みとはこういうことか……。憎めない先回りに瑞月は苦笑した。
時が経っても会うとうれしくなる大切な仲間。学生っぽさが抜けて洗練されたように見えても、いつでもあの頃の気持ちに戻れる。途切れたくない想いが同じなら、きっとずっと繋がってる。
振り返ると、その時々の季節の上をスキップしながら過ごしてきたようだ。
前に進んでいないような時があっても、後戻りしているような時があっても、新しい場面に出会い、季節も巡りちゃんと前に進んでいた。
そして今自分はここにいて、新しい命を迎えた。

「わあ!ひさしぶりだね!」
「ヤッエッちゃん!おめでとう……相変わらずかわいいね!」
「おめでとうエッちゃん 赤ちゃん見せてもらってすぐ帰るからね ごめんねお疲れのところ」

 旺汰と虹生は高校卒業後、進学のために上京、そのまま就職。
五年制の高等学校に通っていた結日はそのまま院生として残り、大卒資格を得て卒業、そして就職のため家を出る。恵風は自宅から四年間電車通学し無事卒業。医療系に就職し現在休業中。瑞月も恵風との涙の別れのあと必死で勉強し、六年の時を経て帰省、今日に至る。
”ヤローの会”は巣立ち組でその後も継続され、社会に出てまだ青い彼らにとっての、癒やしの空間であった。あの夜のビデオ通話は、ヤローの会を行っていたということだ。
当時まだ15,6の自分たちは、ただのグループ扱いだったはず。発足人である結日の先見の明に、瑞月は唸る。
旺汰と虹生が以前と変わらずふたり揃って笑っているのを見て、ヤローの会も侮れないと瑞月は胸が熱くなった。

「前々から考えてたんだけど、恵風と入り違いくらいに向こう引き払って、コッチ帰ってくることにした もうアッチは満腹だ どこにいても支障がない会社は出張ればいいだけだし……うれしいだろ?瑞月」

「え?それどういうこと?」
「よかったな藤井」
「コッチは寂しくなるけど」
「……でもまあいずれね……」
「うん楽しみにしてるぞユイヒ」
「なになに なんの話をしてるの君たち」

「瑞月、俺は俺のための会社をいつか創るぞ その目標に向かって今は吸い上げられるモノは全て吸い上げてやる所存だ」

「へーー!!」

「それが楽しみで、置いてかれないようにしてるとこ ね、旺汰」
「俺たちユイヒの会社に入社希望だからな」

「へーーー!!……で、なんの会社?」

「それはまだこれからだブフッ 俺はなあ色んな可能性を確かめてみたいんだあ!」
「ユイ大きな声出さないで!起きちゃうでしょ」

 色んな出会いがあって、誤解や衝突があって、泣いて笑って時々ケンカして、前よりもっと仲良くなって。解決できない困りごとにクヨクヨしたり、不思議なことと対峙しようとした幼心も、みんなみんな自分を作ったもの。
公園の遊具で遊ばなくなってしまっても。
夢中になってたものが思い出になってしまっても。
クラスのあの子の名前が思い出せなくなってしまっても。
秘密基地に隠した宝物が自然に淘汰されてしまっても。
自転車で遠くまで行かなくなってしまっても。
自分だけの制服がクローゼットの奥に行ってしまっても。
――――
それらは愛おしさの布に包んで自分の胸にしまっておくと良い。
いつかその包みを開けたくなる時がくるから。だからなくさないでいて。

「そうそう名前は決まったの?」

「ミズキったら、最初”天使”って言ってたんだよ」
「ハハ……この子は天使で間違いないよ」

  結 愛 

「……なんか照れるな」『 違うから! 』

 あの頃自分たちはこどもだった。
幼かったけれど、掴んだものはいくつになってもずっとずっと宝物。
”互いを引き寄せたのはある場所に辿り着くための、始まりのひとつだった。”
不思議なリボンの道しるべはこの先も続く。心のスキップを忘れずに歩んで行こう。


 Cutie Skip ★  ~完~
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

神様自学

天ノ谷 霙
青春
ここは霜月神社。そこの神様からとある役職を授かる夕音(ゆうね)。 それは恋心を感じることができる、不思議な力を使う役職だった。 自分の恋心を中心に様々な人の心の変化、思春期特有の感情が溢れていく。 果たして、神様の裏側にある悲しい過去とは。 人の恋心は、どうなるのだろうか。

全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。 遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。 本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。 優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】眼鏡ごしの空

一茅苑呼
青春
幼なじみの『彼』に似た先輩。 「いまでもオレ、松原のことが好きだよ」 ───『彼』に似ているから駄目なのに、『彼』に似すぎているから、突き放すことができない……。

不撓導舟の独善

縞田
青春
志操学園高等学校――生徒会。その生徒会は様々な役割を担っている。学校行事の運営、部活の手伝い、生徒の悩み相談まで、多岐にわたる。 現生徒会長の不撓導舟はあることに悩まされていた。 その悩みとは、生徒会役員が一向に増えないこと。 放課後の生徒会室で、頼まれた仕事をしている不撓のもとに、一人の女子生徒が現れる。 学校からの頼み事、生徒たちの悩み相談を解決していくラブコメです。 『なろう』にも掲載。

どうしてもモテない俺に天使が降りてきた件について

塀流 通留
青春
ラブコメな青春に憧れる高校生――茂手太陽(もて たいよう)。 好きな女の子と過ごす楽しい青春を送るため、彼はひたすら努力を繰り返したのだが――モテなかった。 それはもうモテなかった。 何をどうやってもモテなかった。 呪われてるんじゃないかというくらいモテなかった。 そんな青春負け組説濃厚な彼の元に、ボクッ娘美少女天使が現れて―― モテない高校生とボクッ娘天使が送る青春ラブコメ……に見せかけた何か!? 最後の最後のどんでん返しであなたは知るだろう。 これはラブコメじゃない!――と <追記> 本作品は私がデビュー前に書いた新人賞投稿策を改訂したものです。

秘密のキス

廣瀬純一
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

処理中です...