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2日目

第13話 二日目:ジェラート「ジェラテリア イタリアーナ ラ ジョストラ」

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 生牡蠣を食べた店からホテルに帰るために、私たちは札幌狸小路商店街を歩いていた。

「あれ。屋台出てる」
「ほんまや。なんか祭り?」

 そう、この日はたまたま、狸小路商店街で催していた「狸まつり」開催日だったのだ。
 商店街に、屋台や立ち飲み用の即席のテーブルがずらりと並んでいる。

「一日目は花火見れて、二日目は祭りに参加できた! すげー!」
「運が良かったねー!」

 私と親友は、キョロキョロとあたりを見回しながら商店街をゆっくり歩く。
 私の地元の祭りでは、ジュースやビール、その他諸々の売り物がやたらと高い価格設定になっているのだが、狸まつりで並んでいる屋台はやたらと価格設定が低かった。ジュースやビールが百円で売っている。どういうことだ(全ての屋台がそうというわけではなかったが)。

 また、祭り用に設置されたステージでは、法被を身に着けた女性たちが和太鼓をお披露目していた。かっこいい。
 かっこいいのだが、選曲が独特だった。盛り上がる曲、というよりも、短調気味の民謡的な音楽だ。それもまた、北海道らしさがあって良かった。

 商店街の出口で、私は足を止める。

「ジェラート店、開いてる!!」

 「ジェラテリア イタリアーナ ラ ジョストラ」という、週末夜だけ開いているジェラート専門店。
 豊平峡温泉に行く前にもこの店の前を通り、興味津々だったのだ。
 本来は夜八時開店なので、私たちが生牡蠣から帰ってきた夜七時には、いつもなら開いていないはずなのだが、狸まつりのおかげで早めに開店したようだった。

 私は親友をちらりと見た。
 夜パフェの時点で満腹だと言っていた親友に、これ以上食べさせるのは酷だろうか……。

 親友と目が合う。彼女はニッと笑い、「食べる?」と尋ねた。

「え、いいの……?」
「うん。酒のおかげで消化されたから。食べられるよ。ていうか食べたい」
「マ……ッ、ママァー!!」

 北海道旅行を親友としたのは大正解だ。彼女だけだ、私の胃についてこられる人間は。

 店内に入ると、モリモリに盛られた十種類のジェラートがケースに並んでいた。私と親友は涎を垂らしながら二種類選び、注文する。

 私が選んだのは、「抹茶ピスタチオ」と「〝カンノーロ〟チョコラート」だ。
 「抹茶ピスタチオ」は、イタリアジェラート協会主催のジェラート国際コンクールで入賞している抹茶色のジェラート。
 「〝カンノーロ〟チョコラート」は、シチリアの伝統菓子である「カンノーロ」を混ぜ合わせたジェラートだ。白色のジェラートに、薄茶色の小さな欠片がポツポツと覗いている。

 まず、「抹茶ピスタチオ」をスプーンですくう。
 ……さすがは入賞ジェラート。抹茶の深い味わいの中にピスタチオの風味を感じる。
 次に「〝カンノーロ〟チョコラート」を食べる。
 なるほど。ジェラートの中に、ヨーロッパ菓子の味と舌ざわりがある。

 日本人の口に合うのは、「抹茶ピスタチオ」の方だな。そして「〝カンノーロ〟チョコラート」は、ヨーロッパの風を感じるのにぴったりだ。

 主食、甘いもの、主食、甘いものと交互に食べることができて、私はやっと満足したのでホテルに帰った。

「今日はあんまり食べなかったね」
「うん。控えめだった」

 クソデカナンで胃がやられていた親友も、酒のおかげで調子を取り戻し、すっかり私サイドになっていた。 

「明日はいっぱい食べよな」
「うん。だって明日は富良野に行くんだもん。ちゃんと整えとこう」

 夜、私と親友はそんな会話をしながら、胃腸薬を飲んで明日のために体調を整えた。

 こうして北海道旅行二日目が終わった。
 一日目に比べたら、そんなに食べられなかったのでちょっぴり悔しい。
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