やばっ！転生したら勇者に倒される直前の前世の魔王(俺)に戻っていた！

第１章 超イケメン、死す！

３

「ちょ、ちょっと何するの？　手を放してよ」

　俺は女の左手首を掴んで引き寄せた。女はか弱い力で抵抗している。

「初めてか？」

　俺は女の真っ赤な口紅を見つめながら勝ち誇った気持ちで微笑んだ。

「何を言ってるの？　ちょっと、手を離さないと警察を呼ぶわよ」

「元カノを呼ぶのはやめてほしいな」

「は？　元カノ？」

「この街の女警察署長は半年前に２日と３時間付き合った元カノだ」

　俺の返答に女は驚き呆れたのか黙り込んだ。

「通報してみなよ。嫉妬に駆られた元カノに逮捕されるのがオチだ」

　俺は女の腕を引っ張りながら視界の先にある公園へ向かって歩き始めた。警察にさえ救助を求められないと諦めたのか、女はか弱い抵抗をやめた。

「お願いだから乱暴しないで」

「大丈夫だ。俺は処女にはいつも優しい」

「処女？　私、大人の女よ。ちょっと、あなた私に何するつもり？」

　再び、女がか弱い力で抵抗を始めた。揺れる女の黒髪。マリンノートのシャンプーの香りが、俺の鼻先を優しく撫でた。

「経験者か。でも安心しろ。俺の超一流のテクニックで優しく昇天させてやる」

「あなた、私の体が目的なのね！」

「目的？　自分の女を抱くのに目的が必要なのか？」

「あなたの女になったつもりはないわ！　もう、離してったら！」

　女は長い黒髪を振り乱して激しく抵抗した。俺は女の左手首を掴みながら振り乱される女の黒髪から漂うマリンノートの香りを大きく吸い込んだ。

　こうでなくちゃ、つまらない。従順な女よりも、激しく抵抗する女を仕留めて支配するほうがたまらない快感を覚える。

　俺は自分の中に湧き上がる熱い支配欲を感じながら、女の全身を舐め回すように見つめた。

「共に行かん、快楽の園そのへ！」

　俺は激しく抵抗する女の左手首を掴んだまま、女を引きずるように公園を目指した。その間、女は周辺に助けを求めていたが、誰一人として俺たちに近づく者はいなかった。やがて公園内にある公衆トイレにたどり着いた。

　俺たちが公衆トイレにたどり着くと、トイレの入り口を守っていた７人の奴隷ファンクラブのメンバーは、嫉妬と悲しみが混ざったような表情を浮かべながら重い足取りで去って行った。

「２人にとって初めて契りをかわす場所が公衆トイレで申し訳ないが、俺はもう限界なのだ」

　女の期待を裏切るようで申し訳ない、という気持ちで、俺は心から詫びた。俺の抑えられた股間の巨石が今にも暴発しそうだった。

「お願い、助けて。私には愛してるカレシがいるの……」

　女は涙を流しながら哀願した。

　ほう、男がいたのか。それはますます良い。男がいるのにもかかわらず、俺を激しく求め、さらにそれを悟られまいと抵抗する素振りを見せてくれるとは、これこそ俺イケメンに対する性愛の極致！

「カレシに罪悪感を覚えて涙するとはそれも良し。安心しろ、お前の偽装カレシには選りすぐりの奴隷ファンクラブのメンバー５０００人を下賜かししておく」

　女は観念したのか、ただ黙って鼻をすするだけだった。

　俺は男子トイレの自動ドアに近づいた。従順な自動ドアは俺たちの昇天を祝福するように素早く開いた。俺は満足して頷くと、手に入れたばかりの女えものをトイレに引きずり込んだ。