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-それから、俺達は病院に運ばれた

医者からは
“軽い喉の火傷”と告げられ

怪我の方は大した事がなかったが、

俺があまりにも放心状態だった為
精神的な方を心配されたのか

取り敢えず、数日入院する事になった

菖蒲は、別の病室に運ばれたが
面会は しばらく出来なそうだった


病室で横になっていると

途中で警察が何回か来て
いくつか質問をされたが

何を聞かれたのか
何を答えたのか

あまり覚えていない


…ただ、“前にもこんな事あったな”と

ぼんやりと
大地の事を思い出していた



…大地と俺は、

高校1年で同じクラスだった

あの頃の俺は、
異常に勉強に のめり込んでいて

中間テストや
期末テストがある度に

“どちらが学年1位を取れるか”

大地とよく競い合っていた


俺が勉強ばかりしていたのは

テストで良い点を取る事でしか
自分の価値を見出だせず

心の中にある自分の弱さと
向き合おうとしなかったからだ


家では、母親と上手くやれず
学校では、クラスの奴らと上手くやれない

“なぜ、皆が当たり前に出来る事が
俺には出来ないのか”

ただひたすらに感じる
劣等感から目を背けて

“俺は駄目な人間なんかじゃない”と

証明したがっただけだ


-大地は、家が厳しいみたいだった

「学年1位取らないと
怒られるんだよな」と

いつも困った様に笑っていた


両親が医者らしく、

「俺も、将来医者になるんだ」 と
夢を持っている大地が

少し羨ましいとさえ感じた


2人で競っていたテストは
大地が1位、俺が2位になる事が多かった

大地に負けるのは悔しかったけど、

俺がどんなに必死で勉強しても

涼しい顔で俺の点を上回っていく
大地を尊敬もしていた


-だから、俺は全然気付けなかったんだ

大地がどんなに

“勉強”というプレッシャーから
押し潰されそうになっていたのかを

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