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「……俺の側はここちよい?」
『もちろん。封じていてもなお、潤沢な魔力に満ちている。契約出来ずとも、側にと願う精霊も多かろう』
精霊は大気中の魔力の中で生きている。人間と同じように神が作り出した精霊の元となるのもまた、魔力であった。
そのため精霊は、魔力の濃度の濃い場所を好む性質がある。
力の弱い低位の精霊たちはその場所で寄り合っていることも多かった。
魔力行使の素養の高い人間は、周りに魔力が集まりやすいため、精霊の加護を受けやすく、精霊と契約関係を築くことも容易い。
精霊は契約の対価として、契約主の周りの魔力を糧にする。
その魔力を餌に、人間は精霊を契約精霊として留めておくのだ。
精霊は気まぐれである。契約精霊でない精霊は一所に留まらず、魔力を求めて漂って行ってしまう。
精霊は力を貸す契約の証として、人間から名を授けられるのだ。
名を付けることで、人間はいつでも契約精霊を呼び出すことが出来る。
いわば、楔。
そのため、束縛を厭う精霊の中には、契約を拒む精霊も一定数存在する。
しかし、精霊というものは総じて濃い魔力を好んでいる。
とくに人型が取れるような高位の精霊は、魔力の摂取量も多いため、魔力行使の素養が多い人間のもとに留まりたがる傾向もあった。
また、精霊は仲間意識も強く、階位も絶対的なヒエラルキーと献身意識がある。
高位な精霊のために力を尽くそうと結束が強いのも精霊の特性であった。
「俺も有名になったねぇ」
『その身に魔力を宿す人間なぞ、精霊の長い生の中でも稀であるからな』
風花は、魔力を身に宿すものとして生を受けた。
今世において魔力行使の素養が異様に高いものはいても、風花と同じ身の上のものは存在しない。
そのため風花は両親から異分子として厭われ、秘され、その身を幼いころから護国魔騎士団……ひいては国王陛下と先見の巫女に捧げることを義務付けられて育ってきた。
幼い風花の面倒を見たのは、高位の精霊たちである。
生まれたときより、普通の人間には見えない精霊の姿が風花には見えていた。
精霊たちも風花の魔力に、ひいてはその先のために、力添えをしてきたのだ。
風花は、学生服の袖の下に隠れる腕輪を服の上からぎゅっと握った。
腕輪は風花から魔力が流れ出るのを封じる魔具である。そして、風花にとっての生命線だ。
その身に抱える魔力は遮れずとも、魔力の流出は阻まれている。
「これを外すのは、近い先か、まだ遠い先か……」
『我らは、そのどちらでも構わぬよ』
人間の同胞の先は決まっておる。
そう言い残して、精霊は風に溶けて消えた。
『もちろん。封じていてもなお、潤沢な魔力に満ちている。契約出来ずとも、側にと願う精霊も多かろう』
精霊は大気中の魔力の中で生きている。人間と同じように神が作り出した精霊の元となるのもまた、魔力であった。
そのため精霊は、魔力の濃度の濃い場所を好む性質がある。
力の弱い低位の精霊たちはその場所で寄り合っていることも多かった。
魔力行使の素養の高い人間は、周りに魔力が集まりやすいため、精霊の加護を受けやすく、精霊と契約関係を築くことも容易い。
精霊は契約の対価として、契約主の周りの魔力を糧にする。
その魔力を餌に、人間は精霊を契約精霊として留めておくのだ。
精霊は気まぐれである。契約精霊でない精霊は一所に留まらず、魔力を求めて漂って行ってしまう。
精霊は力を貸す契約の証として、人間から名を授けられるのだ。
名を付けることで、人間はいつでも契約精霊を呼び出すことが出来る。
いわば、楔。
そのため、束縛を厭う精霊の中には、契約を拒む精霊も一定数存在する。
しかし、精霊というものは総じて濃い魔力を好んでいる。
とくに人型が取れるような高位の精霊は、魔力の摂取量も多いため、魔力行使の素養が多い人間のもとに留まりたがる傾向もあった。
また、精霊は仲間意識も強く、階位も絶対的なヒエラルキーと献身意識がある。
高位な精霊のために力を尽くそうと結束が強いのも精霊の特性であった。
「俺も有名になったねぇ」
『その身に魔力を宿す人間なぞ、精霊の長い生の中でも稀であるからな』
風花は、魔力を身に宿すものとして生を受けた。
今世において魔力行使の素養が異様に高いものはいても、風花と同じ身の上のものは存在しない。
そのため風花は両親から異分子として厭われ、秘され、その身を幼いころから護国魔騎士団……ひいては国王陛下と先見の巫女に捧げることを義務付けられて育ってきた。
幼い風花の面倒を見たのは、高位の精霊たちである。
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精霊たちも風花の魔力に、ひいてはその先のために、力添えをしてきたのだ。
風花は、学生服の袖の下に隠れる腕輪を服の上からぎゅっと握った。
腕輪は風花から魔力が流れ出るのを封じる魔具である。そして、風花にとっての生命線だ。
その身に抱える魔力は遮れずとも、魔力の流出は阻まれている。
「これを外すのは、近い先か、まだ遠い先か……」
『我らは、そのどちらでも構わぬよ』
人間の同胞の先は決まっておる。
そう言い残して、精霊は風に溶けて消えた。
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