神々のストーリーテラー

みん

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プロローグ

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 イスミは平日に三日と、休日の二日、こうしてこの地に足を運ぶ。

 組織の名を、ストーリーテラー。
 《躾られた悪意》と戦う、軍事組織である。

 その組織は全国各地に支部を持っている。
 イスミが所属するストーリーテラーは本部直轄の第一支部だった。

「訓練始まるぞー」

 教官の声がフロアに響き渡る。

 学生服はイスミしかいなかった。
 イスミのほかに学生がいないわけではない。
 単純にイスミが来たのが遅かったのである。

 イスミは更衣室に向かうと学生服を脱いだ。


「よーし、揃ったな。集団戦闘はCDエリア。《継承者》はその他のエリアへ迎え」

 ストーリーテラーには、《物語の継承者》と、そうでない一般隊員がいる。

 訓練も《継承者》か否かで別のメニューが与えられていた。
 《継承者》は主に1対1の戦闘訓練を行い、一般隊員は集団での戦闘が訓練メニューとして組まれていた。
 《継承者》は一騎当千。
 ひとえに戦い方の違いである。

 一日のうち、訓練は全隊員の半数が行い、もう半数は市中の見回りに回される。

 集団訓練は残った隊員から、ランダムでチームに割り振られていた。
 イスミの今日のチームは13チーム。エリアはDだった。

「うえ、ハズレかよ」

 集合したチームメンバーを見て、正しくはイスミを見て、一人の男が顔を顰める。
 チームは男女混合で六人制。
 その時々の話し合いによって、司令塔、前衛、後衛を決める。

「お前、後衛な」
「わかりました」

 イスミは特に得意分野すら聞かれることなく後衛に決められた。いつものことである。
 イスミの一般隊員としての戦闘力は平凡だった。
 顔も平凡なら足も大して早くない。攻撃力もなく、反射神経もそこそこ。

 ゆえに、イスミはどの集団でもハズレクジ扱いされる。
 理由は、それだけではないが……。

 イスミはこっそりため息をついて、司令塔の役割を担うことになった男の作戦を聞いた。
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