3 / 40
プロローグ
2
しおりを挟むイスミは平日に三日と、休日の二日、こうしてこの地に足を運ぶ。
組織の名を、ストーリーテラー。
《躾られた悪意》と戦う、軍事組織である。
その組織は全国各地に支部を持っている。
イスミが所属するストーリーテラーは本部直轄の第一支部だった。
「訓練始まるぞー」
教官の声がフロアに響き渡る。
学生服はイスミしかいなかった。
イスミのほかに学生がいないわけではない。
単純にイスミが来たのが遅かったのである。
イスミは更衣室に向かうと学生服を脱いだ。
「よーし、揃ったな。集団戦闘はCDエリア。《継承者》はその他のエリアへ迎え」
ストーリーテラーには、《物語の継承者》と、そうでない一般隊員がいる。
訓練も《継承者》か否かで別のメニューが与えられていた。
《継承者》は主に1対1の戦闘訓練を行い、一般隊員は集団での戦闘が訓練メニューとして組まれていた。
《継承者》は一騎当千。
ひとえに戦い方の違いである。
一日のうち、訓練は全隊員の半数が行い、もう半数は市中の見回りに回される。
集団訓練は残った隊員から、ランダムでチームに割り振られていた。
イスミの今日のチームは13チーム。エリアはDだった。
「うえ、ハズレかよ」
集合したチームメンバーを見て、正しくはイスミを見て、一人の男が顔を顰める。
チームは男女混合で六人制。
その時々の話し合いによって、司令塔、前衛、後衛を決める。
「お前、後衛な」
「わかりました」
イスミは特に得意分野すら聞かれることなく後衛に決められた。いつものことである。
イスミの一般隊員としての戦闘力は平凡だった。
顔も平凡なら足も大して早くない。攻撃力もなく、反射神経もそこそこ。
ゆえに、イスミはどの集団でもハズレクジ扱いされる。
理由は、それだけではないが……。
イスミはこっそりため息をついて、司令塔の役割を担うことになった男の作戦を聞いた。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
純白のレゾン
雨水林檎
BL
《日常系BL風味義理親子(もしくは兄弟)な物語》
この関係は出会った時からだと、数えてみればもう十年余。
親子のようにもしくは兄弟のようなささいな理由を含めて、少しの雑音を聴きながら今日も二人でただ生きています。
幼馴染から離れたい。
June
BL
アルファの朔に俺はとってただの幼馴染であって、それ以上もそれ以下でもない。
だけどベータの俺にとって朔は幼馴染で、それ以上に大切な存在だと、そう気づいてしまったんだ。
βの谷口優希がある日Ωになってしまった。幼馴染でいられないとそう思った優希は幼馴染のα、伊賀崎朔から離れようとする。
誤字脱字あるかも。
最後らへんグダグダ。下手だ。
ちんぷんかんぷんかも。
パッと思いつき設定でさっと書いたから・・・
すいません。
ボクに構わないで
睡蓮
BL
病み気味の美少年、水無月真白は伯父が運営している全寮制の男子校に転入した。
あまり目立ちたくないという気持ちとは裏腹に、どんどん問題に巻き込まれてしまう。
でも、楽しかった。今までにないほどに…
あいつが来るまでは…
--------------------------------------------------------------------------------------
1個目と同じく非王道学園ものです。
初心者なので結構おかしくなってしまうと思いますが…暖かく見守ってくれると嬉しいです。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
平凡くんと【特別】だらけの王道学園
蜂蜜
BL
自分以外の家族全員が美形という家庭に生まれ育った平凡顔な主人公(ぼっち拗らせて表情筋死んでる)が【自分】を見てくれる人を求めて家族から逃げた先の男子校(全寮制)での話。
王道の転校生や生徒会、風紀委員、不良に振り回されながら愛されていきます。
※今のところは主人公総受予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる