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番外編

魔女を探せ

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「さて、探すといっても何からやりましょうか」


 咳払いをして仕切り直す。ひとまず、私としては件の魔女がへクセではないということを確認したいところだ。


「む……俺としては噂の奴がソルシエールではないと知りたいのが正直な気持ちだ」


 腕組みをして歩き回りながらライルは言う。これ、猫の状態だったら腕組みはどんな仕草に変換されるのだろうか。

 ……いや、妄想している場合ではない。


「私も同じ気持ちですわ」
「うむ! だが、どうやって確かめるかが問題だな……」
「ええ」


 もし、へクセ本人が噂の魔女だとしても、正直に聞いて答えてくれるだろうか。はぐらかされるか、シラを切るか。恐らくどちらかだ。後を着けても巻かれる気がする。

 へクセが噂の魔女ではないとしても、それを明らかにするのは悪魔の証明だ。やっていないことを証明するのは難しいものだ。

 つまり、噂の魔女本人を探し出すことがへクセでないことを証明する方法だと言える。ただ、その魔女を探すのが雲を掴むような話なわけで……


「正直、私達は自由に動ける身ではありませんし……」
「うむ……」

 時々抜け出してはいるものの、魔女を探せるほど自由に街を歩くのは厳しい。聞き込みなどはさすがに堂々とはできない。

 抜け出しても見つかりにくいのは、昔へクセに貰ったアクセサリーについている効果のおかげだ。こっそり街に出るぶんにはいいが、声をかけては効果も薄れる……とか言っていた気がする。

 あの店への出入りの際は、へクセの手回しがあるから気軽に行けるのだ。


「困りましたわね、いい方法が浮かびません」
「俺もだ。あと、ここ日当たりが良いせいか、眠くなってきた」


 見れば、本当に眠いのか目を細めている。ライルの位置は窓からちょうど太陽が差し込むようだ。前から常々思っていたが、一時的に猫化した影響なのか、人間時でも猫っぽい挙動が垣間見える。

 昔からそんな一面があるのかは分からないが、少なくとも嫌っていた時はなかった覚えがある。しかし、あの頃はそこまで興味もなかったから、見ていなかっただけかもしれない。


「…………ふぁ」


 私まで眠くなってきた。欠伸が出そうになるのを必死に噛み殺す。だんだん、この場の雰囲気がのんびりしたものになってきた。


「いかんいかん、えーと、まずは……そるしえーると件の魔女がちがうやつだと確認したくて……」


 眠いせいか滑舌が怪しくなってきたようだ。


「やっほ~! 突然だけど相談があってきちゃったぁ~」


 ぽんっと、何も無いところから見慣れた姿が現れた。聞き慣れた声が耳に届いた。
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