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<おまけ>固い結び目(イラスト付き)
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「生きるのがツラくてなにが悪い!」はワンライを長編化した物語です。該当のワンライは2つあり、1つは1話に組み込まれており、もう一つは物語には組み込まなかったので、おまけとして公開いたします。
<1話に組み込まれたワンライお題>
#一次創作BL版深夜の真剣60分一本勝負
お題:好きな曲/散歩/そっぽ向かないで
タイトル:乱反射
<おまけのワンライのお題>
#一次創作BL版深夜の真剣60分一本勝負
お題:考え直して/平穏/靴ひも
タイトル:固い結び目
◆◆◆◆
「あのさ……」
さっきまで彼氏だった椎名君を玄関先で引き止める。靴を履きながら面倒そうに振り返るその目からもう答えがわかって、考え直して、 とは言えなかった。目を背けるため俯いたら視界にスニーカーが目に飛び込んでくる。靴紐がだらしなく解けてたから、屈んで結びなおした。
「なんなんだよ、そういうのがうぜーんだよ」
「でも外は雨が降ってるし、最後くらい……」
そこから先は胸から感情が込み上げて言えなかった。手が震えてもたもた結っていたら、上からため息が降ってくる。
「そんなキツく結んだら脱げねぇだろ」
「じゃあもう脱がなければいいよ。靴を見るたび僕を……思い出せばいい……」
最後のささやかな抵抗に椎名君が息をのむ。それはおじさんの執着に怯えているのかもしれない。
椎名君のスニーカーは、若さの象徴だった。僕よりずっと若い彼の考えていることなんか最後まで理解できなかったし、別れる理由もわからなかった。
昨日まで平穏に愛し合っていたのに今日から他人。なぜ人は別れるとその後の関係を断ち切らなければならないのだろう。別れたあとも一緒にいるのがつらいからなんていうのならば、それは違うだろうと反論したくなる。一緒にいてもあんなに胸が苦しかったのに。
「そっか……」
急に答えがわかって口をついて溢れてしまった。苦しいのに耐えられないなら、人と付き合う資格なんてないんだ。
「なに納得してるんだよ、おっさん。俺は全然納得できねーんだけど」
律儀にも僕が立ち上がるまで待っていたのか椎名君が怒り出す。もうその理不尽さに立ち上がることも宥めることもできなかった。
「え、え!? なに泣いてんだよ!!」
気持ち悪いなら早く出ていけばいい。これ以上居られると自分でもドン引きするようなみっともないこと言い出しそうなんだ。
「おっさんが他に乗り換えたんだろ! 泣きてーのはこっちだよ!!」
「ええ!?」
涙を流していることも忘れてスクッと立ち上がる。
「僕は誰に乗り換えたことになってるの!? それは椎名君よりイケメンなの!?」
「な……」
「ねえ、おじさんは椎名君みたいなイマドキの若い子がなに考えてるか本気でわからないんだ。なにがそう誤解させたのか詳しく、しかし3行くらいで教えてもらいたい」
「3行……」
「僕は椎名君しかいないんだ。さっきだって、椎名君が後3秒黙ってたら、ドン引きするようなこと言ってたと思う」
「なに、言ってよ」
「椎名君が好きすぎて生きるのがツラい。でも別れるくらいだったら死んだ方がマシ」
「なかなか重てぇな……」
「3行で言えそう?」
「やっぱり別れない」
僕が驚いて椎名君をみたら、恥ずかしそうに笑った。
「俺もおっさんが好きすぎて生きるのがツラい」
「え……?」
「疑ってごめん……3行」
最後の3行という言葉で恥ずかしいくらい泣き出してしまう。彼は僕を優しく抱きしめて、家に入ろうと靴を脱ごうとするが、なかなか脱げないようだった。
「ほらぁ、キツく結びすぎなんだよ!」
椎名君が笑いながら僕にキスをしてくれた。
◆◆◆◆
おまけイラスト
等身大の踊る椎名君を描いていただきました。
<1話に組み込まれたワンライお題>
#一次創作BL版深夜の真剣60分一本勝負
お題:好きな曲/散歩/そっぽ向かないで
タイトル:乱反射
<おまけのワンライのお題>
#一次創作BL版深夜の真剣60分一本勝負
お題:考え直して/平穏/靴ひも
タイトル:固い結び目
◆◆◆◆
「あのさ……」
さっきまで彼氏だった椎名君を玄関先で引き止める。靴を履きながら面倒そうに振り返るその目からもう答えがわかって、考え直して、 とは言えなかった。目を背けるため俯いたら視界にスニーカーが目に飛び込んでくる。靴紐がだらしなく解けてたから、屈んで結びなおした。
「なんなんだよ、そういうのがうぜーんだよ」
「でも外は雨が降ってるし、最後くらい……」
そこから先は胸から感情が込み上げて言えなかった。手が震えてもたもた結っていたら、上からため息が降ってくる。
「そんなキツく結んだら脱げねぇだろ」
「じゃあもう脱がなければいいよ。靴を見るたび僕を……思い出せばいい……」
最後のささやかな抵抗に椎名君が息をのむ。それはおじさんの執着に怯えているのかもしれない。
椎名君のスニーカーは、若さの象徴だった。僕よりずっと若い彼の考えていることなんか最後まで理解できなかったし、別れる理由もわからなかった。
昨日まで平穏に愛し合っていたのに今日から他人。なぜ人は別れるとその後の関係を断ち切らなければならないのだろう。別れたあとも一緒にいるのがつらいからなんていうのならば、それは違うだろうと反論したくなる。一緒にいてもあんなに胸が苦しかったのに。
「そっか……」
急に答えがわかって口をついて溢れてしまった。苦しいのに耐えられないなら、人と付き合う資格なんてないんだ。
「なに納得してるんだよ、おっさん。俺は全然納得できねーんだけど」
律儀にも僕が立ち上がるまで待っていたのか椎名君が怒り出す。もうその理不尽さに立ち上がることも宥めることもできなかった。
「え、え!? なに泣いてんだよ!!」
気持ち悪いなら早く出ていけばいい。これ以上居られると自分でもドン引きするようなみっともないこと言い出しそうなんだ。
「おっさんが他に乗り換えたんだろ! 泣きてーのはこっちだよ!!」
「ええ!?」
涙を流していることも忘れてスクッと立ち上がる。
「僕は誰に乗り換えたことになってるの!? それは椎名君よりイケメンなの!?」
「な……」
「ねえ、おじさんは椎名君みたいなイマドキの若い子がなに考えてるか本気でわからないんだ。なにがそう誤解させたのか詳しく、しかし3行くらいで教えてもらいたい」
「3行……」
「僕は椎名君しかいないんだ。さっきだって、椎名君が後3秒黙ってたら、ドン引きするようなこと言ってたと思う」
「なに、言ってよ」
「椎名君が好きすぎて生きるのがツラい。でも別れるくらいだったら死んだ方がマシ」
「なかなか重てぇな……」
「3行で言えそう?」
「やっぱり別れない」
僕が驚いて椎名君をみたら、恥ずかしそうに笑った。
「俺もおっさんが好きすぎて生きるのがツラい」
「え……?」
「疑ってごめん……3行」
最後の3行という言葉で恥ずかしいくらい泣き出してしまう。彼は僕を優しく抱きしめて、家に入ろうと靴を脱ごうとするが、なかなか脱げないようだった。
「ほらぁ、キツく結びすぎなんだよ!」
椎名君が笑いながら僕にキスをしてくれた。
◆◆◆◆
おまけイラスト
等身大の踊る椎名君を描いていただきました。
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みんなの感想(4件)
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最高に良かった。こういうのもっとください(お辞儀)。
主人公の二人も最高だし(須藤さんすぐ泣くしヒステリックな女の子みたいだけど、てんぱる気持ちめちゃくちゃ分かる)、
マーケティングの話も仕事で大切な結論を導き出すところもとてもよかったし、
商品開発のチームの人に商品のよさを伝えて涙しそうになるところで読んでるこちらは堪えきれずに涙したし、
椎名君が、今度は友達に戻れるよって言ったところでも泣きました。椎名君は頭が良くて須藤さんのことを大事に思って、ちゃんと考えているんだね…!(感涙)
椎名君が一切ぶれずに須藤さんのことを好きでいるのが本当に本当にいいなと思いました。
完結してるのが残念です。もっと二人のことを見ていたかった。
こういうのもっとください!(お辞儀)
sakuraさん
ボリュームのあるお話にもかかわらず、読んでいただけたうえに、マーケティングの話まで読み込んでいただいて……私が泣きそうです🥲本当にありがとうございます😭
現代モノをなんとなく避けていた自分がいたのですが、sakuraさんの言葉で背中を押してもらえました🙇♂️
読んでいただき、そしてご感想をいただき本当にありがとうございました😊
(また書きます!)
毎日更新を楽しみに読んでいます。
どの登場人物の気持ちも、
どこか今まで感じたことのあるものばかりで
ハッとしたりウンウンと頷いたり。
自分の中の曖昧な気持ちが
言葉にされると嬉しいですね。
これからの2人?3人?の展開を
楽しみにしています😊✨
無理はされないよう頑張ってください✨
とんこうさん
貴重なお時間を割いて読んでいただきありがとうございます😊😊
今を生きることが本当にツラいと未完のまま連載をはじめて痛感しています😂😅優しいお言葉、痛み入ります😊
これからどうなっていくのか、自分自身も課題解決できるか謎ですが、もうしばらくお付き合いいただければ幸いです🥰
胸がきゅんきゅんして一気読みしちゃいました
更新楽しみにしています!
まことママさん
きゅんきゅんしていただいて、ありがとうございます🥰💕
はじめて未完のまま書きながら連載しているので私もドキドキしています💓
一緒に旅していただいてとても嬉しいです😊😊