28 / 240
1部 ヤギと奇跡の器
第26話 兄弟水入らず(ルイス視点)※
しおりを挟む
魔人の風呂は巨大だ。一度だけ旅行で大浴場というものに行ったことがあるが、我が家の風呂と何が違うのかわからないほどだった。
ジルの筋肉で盛り上がる背中を布で擦る。
「ああ、ルイス。とても気持ちがいい。もうすこし真ん中も洗ってくれるか?」
「ここですか?」
石鹸で布を泡立てて、筋肉が窪む背骨の辺りをゴシゴシと洗う。その横で自分の体を洗うルークが笑った。
「ルイスはジルの気持ちのいいところを全部知っているな」
「ルイスはルークのだって知っているさ。ルイス、ありがとう。兄様の方はいいから、ルークの方も洗ってあげなさい」
「はぁい!」
兄の背中の方に駆け寄ろうとした時、左足が滑って体が大きく傾く。目を瞑り衝撃に備えたら、体全体が宙に浮いた。薄目を開けたらジルが困ったような顔で僕を見つめる。
「ごめんなさい……」
「ルーク、だめだ。ルイスを」
ジルは言葉足らずなことを言うが、ルークは全て理解したようで僕を後ろから抱えた。ルークは僕を抱えたまま風呂用の木の椅子に座り、自分を洗っていた泡のついた布で僕の胸を洗い始めた。
「兄様が洗ってやる」
唇にひとつキスを落としたら、ジルは大きな口で僕の陰茎を飲み込んだ。
「兄様! まだ洗ってません!」
「ルイスは綺麗っだってジルはそう言ってるよ。ルイスがかわいくて仕方がないんだ。ほらこっちは兄様が洗ってあげる」
布をかなぐり捨てたルークは僕の胸の先端を指の腹ですり潰していく。ジルの口の中で僕自身が暴れ出す。体の大きなジルが身をかがめて、僕の小さなそれを咥えている姿が心を焦がす。
「ん……ふっ……ジル……」
「ああ、ルイス。今日は許してあげるから、ジルにお願いしてごらん……」
「あっ……ジル、今日は……先に……ジルが欲しいです……」
「よく言えました。じゃあ痛くないように、兄様が解してあげるからね……」
僕の体中をルークの手が這い回り、肌という肌が泡だらけになる頃になっても、ジルは僕の陰茎を離したりしなかった。僕の窄まりにルークの手が伸びてくる。泡のついた指で僕のそこをクルクルと洗ったら、ジルを呼んだ。
「続きは風呂の中でするぞ」
ジルの舌が名残惜しそうに僕自身の先端を舐めあげる。その感触に身を縮めたら、ジルは立ち上がり、僕を抱え上げた。ルークは僕とジルにお湯をかけてくれて、泡が流れる床をジルがズンズンと進んでいく。
「ジル……大好き……」
僕を最初に抱いたのは、ジルだった。でも最初に恋人にするようなキスをしたのはルークだった。
幼い頃からルークとジルは僕を巡って喧嘩ばかりしていた。その理由を僕自身が理解できる年になった頃、2人は昔のような取っ組み合いの喧嘩をしなくなっていた。ルークの背丈をジルが追い抜いたからだ。
ジルの背中を撫でる。魔人とはいえ、鍛えなければ得ることなどできない屈強な体だった。
ルークはジルが遠慮していることを知っていたような気がする。だから、ルークが初めて僕にキスをしてくれた時、わざとジルに見えるようにしたのだ。
あの日、あの時のジルの顔が今でも忘れられない。悲痛な表情を見せた後、顔を背けて立ち去ろうとした、その時。ルークが言ったのだ。
「ルイス、ジルにもお願いしてごらん」
ルークは僕以上にジルを理解していた。ジルはルークを出し抜いて自分の気持ちを押し付けることもしなければ、ルークから僕を奪おうなんて考えもしなかっただろう。
「ジルにキスをしてもらいたいです」
思い出に浸っていたら、ついあの日と同じ言葉が口から滑り落ちてしまった。
「何度でもするさ」
ジルは僕ごと湯に浸かりながら、何度も何度もキスをしてくれる。
ジルは、ルークを喧嘩で負かすことができるようになってから、喧嘩をすることをやめた。ルークが僕を奪おうとしたら顔を背けて立ち去ろうとする。ジルはそういう強く、優しい人なのだ。
そして、ルークはジルの優しさを愛し、3人の未来を提示してくれた、聡明で優しい人なのだ。
ジルの筋肉で盛り上がる背中を布で擦る。
「ああ、ルイス。とても気持ちがいい。もうすこし真ん中も洗ってくれるか?」
「ここですか?」
石鹸で布を泡立てて、筋肉が窪む背骨の辺りをゴシゴシと洗う。その横で自分の体を洗うルークが笑った。
「ルイスはジルの気持ちのいいところを全部知っているな」
「ルイスはルークのだって知っているさ。ルイス、ありがとう。兄様の方はいいから、ルークの方も洗ってあげなさい」
「はぁい!」
兄の背中の方に駆け寄ろうとした時、左足が滑って体が大きく傾く。目を瞑り衝撃に備えたら、体全体が宙に浮いた。薄目を開けたらジルが困ったような顔で僕を見つめる。
「ごめんなさい……」
「ルーク、だめだ。ルイスを」
ジルは言葉足らずなことを言うが、ルークは全て理解したようで僕を後ろから抱えた。ルークは僕を抱えたまま風呂用の木の椅子に座り、自分を洗っていた泡のついた布で僕の胸を洗い始めた。
「兄様が洗ってやる」
唇にひとつキスを落としたら、ジルは大きな口で僕の陰茎を飲み込んだ。
「兄様! まだ洗ってません!」
「ルイスは綺麗っだってジルはそう言ってるよ。ルイスがかわいくて仕方がないんだ。ほらこっちは兄様が洗ってあげる」
布をかなぐり捨てたルークは僕の胸の先端を指の腹ですり潰していく。ジルの口の中で僕自身が暴れ出す。体の大きなジルが身をかがめて、僕の小さなそれを咥えている姿が心を焦がす。
「ん……ふっ……ジル……」
「ああ、ルイス。今日は許してあげるから、ジルにお願いしてごらん……」
「あっ……ジル、今日は……先に……ジルが欲しいです……」
「よく言えました。じゃあ痛くないように、兄様が解してあげるからね……」
僕の体中をルークの手が這い回り、肌という肌が泡だらけになる頃になっても、ジルは僕の陰茎を離したりしなかった。僕の窄まりにルークの手が伸びてくる。泡のついた指で僕のそこをクルクルと洗ったら、ジルを呼んだ。
「続きは風呂の中でするぞ」
ジルの舌が名残惜しそうに僕自身の先端を舐めあげる。その感触に身を縮めたら、ジルは立ち上がり、僕を抱え上げた。ルークは僕とジルにお湯をかけてくれて、泡が流れる床をジルがズンズンと進んでいく。
「ジル……大好き……」
僕を最初に抱いたのは、ジルだった。でも最初に恋人にするようなキスをしたのはルークだった。
幼い頃からルークとジルは僕を巡って喧嘩ばかりしていた。その理由を僕自身が理解できる年になった頃、2人は昔のような取っ組み合いの喧嘩をしなくなっていた。ルークの背丈をジルが追い抜いたからだ。
ジルの背中を撫でる。魔人とはいえ、鍛えなければ得ることなどできない屈強な体だった。
ルークはジルが遠慮していることを知っていたような気がする。だから、ルークが初めて僕にキスをしてくれた時、わざとジルに見えるようにしたのだ。
あの日、あの時のジルの顔が今でも忘れられない。悲痛な表情を見せた後、顔を背けて立ち去ろうとした、その時。ルークが言ったのだ。
「ルイス、ジルにもお願いしてごらん」
ルークは僕以上にジルを理解していた。ジルはルークを出し抜いて自分の気持ちを押し付けることもしなければ、ルークから僕を奪おうなんて考えもしなかっただろう。
「ジルにキスをしてもらいたいです」
思い出に浸っていたら、ついあの日と同じ言葉が口から滑り落ちてしまった。
「何度でもするさ」
ジルは僕ごと湯に浸かりながら、何度も何度もキスをしてくれる。
ジルは、ルークを喧嘩で負かすことができるようになってから、喧嘩をすることをやめた。ルークが僕を奪おうとしたら顔を背けて立ち去ろうとする。ジルはそういう強く、優しい人なのだ。
そして、ルークはジルの優しさを愛し、3人の未来を提示してくれた、聡明で優しい人なのだ。
0
お気に入りに追加
489
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
どのみちヤられるならイケメン騎士がいい!
あーす。
BL
異世界に美少年になってトリップした元腐女子。
次々ヤられる色々なゲームステージの中、イケメン騎士が必ず登場。
どのみちヤられるんら、やっぱイケメン騎士だよね。
って事で、頑張ってイケメン騎士をオトすべく、奮闘する物語。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
巨人族の1/3の花嫁〜王様を一妃様と二妃様と転生小人族の僕の三妃で幸せにします〜〈完結〉
クリム
BL
一回めは処刑された老臣、二回めは鬼教官、三回めは教師、そして四回めの転生は異世界で小人族ですか。身長一メート僕タークは、御信託で巨人族にお嫁入りです。王様はどう見ても三メートルはあります。妖精族のソニン様、獣人族のロキと一緒に王様になりたてのガリウス様を幸せにします。まず、王様のイチモツ、入りますかね?
三人分の前世の記憶と、豆知識、そして貪欲な知識欲を満たすため、異世界王宮改革をしていく三妃タークの物語。
※はご高覧注意です。
『小説家になろう』にも同時連載。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
残業リーマンの異世界休暇
はちのす
BL
【完結】
残業疲れが祟り、不慮の事故(ドジともいう)に遭ってしまった幸薄主人公。
彼の細やかな願いが叶い、15歳まで若返り異世界トリップ?!
そこは誰もが一度は憧れる魔法の世界。
しかし主人公は魔力0、魔法にも掛からない体質だった。
◯普通の人間の主人公(鈍感)が、魔法学校で奇人変人個性強めな登場人物を無自覚にたらしこみます。
【attention】
・Tueee系ではないです
・主人公総攻め(?)
・勘違い要素多分にあり
・R15保険で入れてます。ただ動物をモフッてるだけです。
★初投稿作品
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる