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第22話 魔法使いと魔女
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演習当日、玲音は朝からソワソワしていた。休み時間ごとに俺の席にきて、円華ちゃんから連絡がないのか聞きにきている。
「玲音、こっちからなんか送ったら?」
そう言うと、玲音は俺のスマホをひったくり、円華ちゃんオリジナルスタンプを1つ送った。すぐに円華ちゃんから同じようなスタンプが送られてくる。それを見た玲音はピュアホワイトな笑顔を放ち、クラスの半分が光に飲み込まれる。
「よかったな、玲音……」
「今日も迎えにきてくれるって」
「え!? このスタンプでそんなことわかるの?」
玲音は笑顔でうんうん頷く。玲音のコミュ力が人知を超越してエスパー並でやばい。円華ちゃんたちの訪問でこのクラスをまた闇の世界に突き落とすのが怖い。
「玲音、今日は終わったら先に行ってていいから」
玲音は笑顔を解き放ちながら頷き、嬉しそうに席に戻っていった。
授業が終わり、玲音の席を振り返ったらもう玲音はいなかった。俺は1人トボトボと校門に向かうと、久遠さんたち以外にもう1人女性がいることに気がつく。
ああ、あれが円華ちゃんの恋敵か……そう思って近くにつれ、円華ちゃんが恋敵として怯える理由がわかった。
円華ちゃんは美少女だ。だが久遠さんの友達は異次元の色気だった。露出は少ないが、ぴっちりとした上下黒皮の服がボディラインを浮き上がらせ、色気を引き立たせていた。
「冬馬さん、紹介しますね、こちら真下さんです。今日は真下さんの幻術で演習を行うので、冬馬さんと玲音と一緒に私も魔法使えるんですよ!」
円華ちゃんは頬っぺたを紅くして興奮していた。円華ちゃんと真下さんってもっとギスギスしている勝手なイメージがあったから、その顔を見てなんだかホッとした。
「藤堂冬馬です」
「玲音君の彼氏か! 円華が友達ができたって嬉しそうに言ってた理由がわかったよ。とてもお似合いのカップルだ。そして2人ともかわいい!」
なんで久遠さんの友達まで俺らのこと知ってんだよ!
真下さんが笑うので俺も不自然に笑う。真下さんは気を良くしたのか俺の前まで来た。真下さんは思っていたよりもデカかった。
「君は背が高いな、なにかスポーツでもやっているのか?」
「いえ、スポーツは玲音の方が得意です。俺はインドア派で」
「ははっ、要みたいだな。あいつも年中家でパソコンをいじってる」
「俺は家で法具ばかり作ってて……」
そこに円華ちゃんが話に割り込んできた。
「真下さん、冬馬さんの法具すごいんですよ! 東洋の漆黒悪鬼、真下さんもご存知でしょう?」
「東洋の漆黒悪鬼様だと!? 私も何回か買ったことあるぞ! あのディティールのこだわり……トータルバランス、なにより魔女の心臓を抉るようなセンス……」
「もっと熟練の職人が作ってると思ったのに、まさかこんなに若いなんて……!」
2人はひしっと手を取り合いうっとり天を仰いでいる。円華ちゃんと真下さんは似たもの同士なんだな……。真下さんは我に返り俺と目が合う。
「あ……あの……握手とか……」
真下さんが急にモジモジする。
「ダメよ、そんなことしたら玲音が冬馬さんつれてどっかいってしまう。これは実証済みよ。なんていったって2人は運命の恋人なんだから……!」
「運命の恋人だったなら握手くらいいいじゃないか! 玲音君、下心はある。だが握手くらいさせてくれないか」
ん?
俺も多分玲音も違和感があったが、勢いがすごくてよくわからなかった。玲音が頷いたので俺は真下さんが差し出した手を握った。
と同時に真下さんは俺を引き寄せて耳もとで囁いた。
「エッチのことで困ったらいつでも聞いてね」
ふぁーーーー!
ええええっろぉおおおおお!!
エロすぎる声で囁かれて内容よくわからなかったけど、エッチって言った!真下のお姉さんがエッチって言ったぁああ!
多分顔赤くなってるから俺は急いで俯いた。こりゃ久遠さん絶対クロだわ……エロい、エロすぎる……。
「さあ、漆黒悪鬼様の握手会は終わりだよ、みんな車に乗って!」
久遠さんの掛け声で俺が歩き出した時に、円華ちゃんに手を引かれる玲音とチラッと目があった。
でもその奥の真下さんの姿に目を奪われた。
「え? 真下さんはバイクなんですか?」
「そうだよ、魔女が跨るのは男だけじゃないんだぞ」
目配せした真下さんに、俺も円華ちゃんもかっこいいー! と叫んでしまう。
「玲音君も乗ってみたいかい?」
真下さんの問いに、玲音の回答は少し遅れた。俺の方を見たからだ。
「玲音は危ないからダメだよ」
「うん……」
「ははっ、冬馬君は心配症だな。でも玲音君のことが本当に好きなんだ」
魅力的な笑みのまま真下さんはメットを被る。セルを回してギアを入れた。玲音はすぐに円華ちゃんの方を向いて歩き出して、ああ今日も俺が助手席か、と思った。
「玲音、こっちからなんか送ったら?」
そう言うと、玲音は俺のスマホをひったくり、円華ちゃんオリジナルスタンプを1つ送った。すぐに円華ちゃんから同じようなスタンプが送られてくる。それを見た玲音はピュアホワイトな笑顔を放ち、クラスの半分が光に飲み込まれる。
「よかったな、玲音……」
「今日も迎えにきてくれるって」
「え!? このスタンプでそんなことわかるの?」
玲音は笑顔でうんうん頷く。玲音のコミュ力が人知を超越してエスパー並でやばい。円華ちゃんたちの訪問でこのクラスをまた闇の世界に突き落とすのが怖い。
「玲音、今日は終わったら先に行ってていいから」
玲音は笑顔を解き放ちながら頷き、嬉しそうに席に戻っていった。
授業が終わり、玲音の席を振り返ったらもう玲音はいなかった。俺は1人トボトボと校門に向かうと、久遠さんたち以外にもう1人女性がいることに気がつく。
ああ、あれが円華ちゃんの恋敵か……そう思って近くにつれ、円華ちゃんが恋敵として怯える理由がわかった。
円華ちゃんは美少女だ。だが久遠さんの友達は異次元の色気だった。露出は少ないが、ぴっちりとした上下黒皮の服がボディラインを浮き上がらせ、色気を引き立たせていた。
「冬馬さん、紹介しますね、こちら真下さんです。今日は真下さんの幻術で演習を行うので、冬馬さんと玲音と一緒に私も魔法使えるんですよ!」
円華ちゃんは頬っぺたを紅くして興奮していた。円華ちゃんと真下さんってもっとギスギスしている勝手なイメージがあったから、その顔を見てなんだかホッとした。
「藤堂冬馬です」
「玲音君の彼氏か! 円華が友達ができたって嬉しそうに言ってた理由がわかったよ。とてもお似合いのカップルだ。そして2人ともかわいい!」
なんで久遠さんの友達まで俺らのこと知ってんだよ!
真下さんが笑うので俺も不自然に笑う。真下さんは気を良くしたのか俺の前まで来た。真下さんは思っていたよりもデカかった。
「君は背が高いな、なにかスポーツでもやっているのか?」
「いえ、スポーツは玲音の方が得意です。俺はインドア派で」
「ははっ、要みたいだな。あいつも年中家でパソコンをいじってる」
「俺は家で法具ばかり作ってて……」
そこに円華ちゃんが話に割り込んできた。
「真下さん、冬馬さんの法具すごいんですよ! 東洋の漆黒悪鬼、真下さんもご存知でしょう?」
「東洋の漆黒悪鬼様だと!? 私も何回か買ったことあるぞ! あのディティールのこだわり……トータルバランス、なにより魔女の心臓を抉るようなセンス……」
「もっと熟練の職人が作ってると思ったのに、まさかこんなに若いなんて……!」
2人はひしっと手を取り合いうっとり天を仰いでいる。円華ちゃんと真下さんは似たもの同士なんだな……。真下さんは我に返り俺と目が合う。
「あ……あの……握手とか……」
真下さんが急にモジモジする。
「ダメよ、そんなことしたら玲音が冬馬さんつれてどっかいってしまう。これは実証済みよ。なんていったって2人は運命の恋人なんだから……!」
「運命の恋人だったなら握手くらいいいじゃないか! 玲音君、下心はある。だが握手くらいさせてくれないか」
ん?
俺も多分玲音も違和感があったが、勢いがすごくてよくわからなかった。玲音が頷いたので俺は真下さんが差し出した手を握った。
と同時に真下さんは俺を引き寄せて耳もとで囁いた。
「エッチのことで困ったらいつでも聞いてね」
ふぁーーーー!
ええええっろぉおおおおお!!
エロすぎる声で囁かれて内容よくわからなかったけど、エッチって言った!真下のお姉さんがエッチって言ったぁああ!
多分顔赤くなってるから俺は急いで俯いた。こりゃ久遠さん絶対クロだわ……エロい、エロすぎる……。
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でもその奥の真下さんの姿に目を奪われた。
「え? 真下さんはバイクなんですか?」
「そうだよ、魔女が跨るのは男だけじゃないんだぞ」
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真下さんの問いに、玲音の回答は少し遅れた。俺の方を見たからだ。
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「うん……」
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