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第4話 魔法使い晩餐会の帰り道

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今日の食事も豪華だった。円華ちゃんはすごくいいお嫁さんになると思う。素人が作ったとは思えなかった。感想が小学生並だが、玲音の食べっぷりも母の手料理と変わらない感じだったから許してほしい。俺らは小庶民なのだ。

前回と違い魔法演習の後だったから、腹も空いてガツガツ食べてしまった。でも久遠さんと円華ちゃんはすごく嬉しそうだった。きっと食べ盛りの男性を見るのは初めてだったのだろう。すごく和やかで楽しい食事だった。

俺の失言を除いては。

さっき玲音が居なかったから玲音に聞いたのだ。

「そういや、玲音は円華ちゃんのなにを応援してるんだ?」

この発言に対し、さっき久遠さんが追い詰められていた円華ちゃんの説教と概ね同じような内容で、玲音に怒鳴られた。殺されるかと思った。

何故か久遠さんが涙目で玲音をなだめてくれたおかげで事無きを得た。

さっき玲音がきてくれてよかったと思った。
でも違う。久遠さんも俺も、この狂犬のような娘と息子に怯えている。


帰りも車で送ると久遠さんは言ってくれたが、俺は2人で帰る、と言ったら久遠さんは察してくれて玄関先で円華ちゃんと見送ってくれた。また演習の約束もしたし、代わりと言ってはなんだが円華ちゃんに法具作りを教える約束もした。


せっかく遠出したし、今日は玲音と2人きりで帰りたかった。鎌倉から一緒に帰って来れなかったことを俺はずっと玲音とやり直したいと思ってた。高級住宅街だからか夜の8時過ぎにはひとっこひとり歩いてない。デートらしいデートもしたことがない俺にとってはかなりハードルが高かったが、意を決して玲音の手を握った。

突然のことで玲音はびっくりしたようで、体を硬らせたのが握った手からも伝わる。正直噛みつかれることも覚悟したが、玲音は黙って俺の手を握り返しただけだった。そして俯いて少し俺の前を歩いた。

「結局、円華ちゃんの何を応援してるの?」

照れ隠しに言ってみたが、玲音は答えてくれなかった。暗くてわからないが、多分玲音は耳まで真っ赤にしてるんだろうなと思う。
なんか気まずい。

「玲音、また2人で……」

鎌倉行きたいな、そう言おうとして黙った。別に鎌倉じゃなくたっていいんだ。

「航ちゃんに会いたい、また鎌倉行こ……」

玲音が振り返ってチラッと俺の顔をのぞいた。
俺は我慢ができなくなってしまって、腕を引っ張って抱き寄せた。

「外ではそういうことしないって冬馬が言ったんだろ……」

その口を強引に塞いでしまう。我に返って、唇を離すときに、ごめんと謝った。

「なんで謝るんだよ……」

俯いたまま玲音が先に歩き出す。
その言葉で色々と思い出すことがあって、俺は俯いて立ち止まってしまった。しばらく道路を見ていたら、玲音のスニーカーが見えて、次に玲音の頭が視界に入ってきた。
柔らかく俺を抱いて、玲音が言う。

「もっかい……」

玲音の頭を撫でたら、心がちぎれそうに痛くて、何度も何度も玲音の名前を呼んで、キスをした。
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