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裸族の常識と生態調査について
怒りの仕事モード
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だが次の日はもっとやばいことになっていた。暑いのと寒いのとが交互に襲いかかり、起き上がれないくらい熱が上がってしまったのだ。
長谷さんが着替えに俺の部屋に入ってきた。クローゼットは共通で俺の部屋に2人の服が全部入ってる。
「周防、そろそろ支度しないと」
クローゼットの前でスーツを着る長谷さんは言うが、俺は全く声が出なかった。苦しい。
返事をしない俺を起こしに長谷さんが手を伸ばした瞬間。
「周防! ……なんでこんななるまで黙ってたんだ!」
長谷さんがめちゃくちゃ狼狽してた。大変申し訳ないのだが「長谷さんは黙って会社辞めるくせに」と思ってしまう。その空気が伝わってしまったのか、長谷さんは怒りながらスマホを操作しはじめた。
「周防、立てる? 病院行こう」
俺は長谷さんに起こしてもらい、なんとか立ち上がれた。驚くほど体が重い。
「か……いしゃ……」
ガッサガサの声に自分でもびっくりする。
「周防は全休、俺は午前休。周防に電話で全休連絡もらったけど俺も体調不良だから行けないって連絡した。他に聞きたいことは?」
何もありません。本当に迷惑かけてごめんなさい。さっきお前が言うなとか思って本当にすみませんでした……。
俺は長谷さんに連れられて町医者の内科で受診した。幸いインフルエンザではなかったが、長谷さんはそんなことお構いなしでずっと寄り添って離れなかった。こんなに尽くしてくれているのに俺といえば周りの目が気になって仕方がない。でも長谷さんはスーツ着ていたから傍から見たら、兄弟なのかな? くらいで済んだのだと思う。迷惑をかけっぱなしの申し訳なさで俺の存在自体が消え入りそうだった。
解熱剤の注射を打ってもらったし、もう本気で1人で帰れます、ごめんなさい、次もし体調管理失敗したら腹切って詫びます、迷惑かけて申し訳ありません、と声が出ないので隣にいる長谷さんにLINEした。
長谷さんは帰宅途中まで俺を掴んで離さなかったが、会社に行ってもらおうと俺がスマホを取り出した時に、わかった、と言って会社に向かった。
暑かったり寒かったりの地獄の業火で焼かれていたため、昨日はよく眠れなかった。さっき打ってもらった解熱剤で幾分か楽になり、帰宅したら自分のソファベッドに倒れ込んで寝てしまった。
玄関をガチャガチャする音にびっくりして目が覚めた。時計を見たらまだ正午過ぎだ。
また家事代行サービスを勝手に頼んだのだろうか? と思ったら、長谷さんだった。
「は……さん……しご……は……?」
「消化しきれないほど有給あるから大丈夫」
少し怒った口調で長谷さんは言う。もうその話をするなってことは承知しましたので、どうか怒らないでください……。申し訳なさで泣き出しそうだった。
長谷さんは買い物袋をその辺に置いて、スーツの上着だけクローゼットに入れた。そしてネクタイを緩めながら冷酷な目で俺を見る。
「周防、まだ苦しい?」
俺は首を横に振る。というか震えていた。長谷さんが怒ってる。
長谷さんは何故かシャツを腕まくりしながら俺のベッドに近づいてきた。途中買い物袋からスポーツ飲料水を取り出して。
あのペットボトルで殴打されるのかもしれない、そう思うくらい長谷さんは殺気立っている。
でも俺の萎縮とは裏腹に、近づくなり上半身を少し起こしてくれて、その腕の中でスポーツ飲料水を飲ませてくれた。
長谷さんが家でスーツを着ているから、会社でこんなことしてるみたいな錯覚に陥って、俺はけしからん想像をしてしまう。それにガサガサの喉に飲料水が染みたことも相まってゴホゴホとむせてしまった。
長谷さんは俺を抱きしめるように起こしてくれて、背中をさすってくれた。俺は堪らずに長谷さんの胸に顔を埋めて抱きついてしまう。風邪うつしちゃうかもしれないとか、微塵も考えられなかった。
長谷さんが着替えに俺の部屋に入ってきた。クローゼットは共通で俺の部屋に2人の服が全部入ってる。
「周防、そろそろ支度しないと」
クローゼットの前でスーツを着る長谷さんは言うが、俺は全く声が出なかった。苦しい。
返事をしない俺を起こしに長谷さんが手を伸ばした瞬間。
「周防! ……なんでこんななるまで黙ってたんだ!」
長谷さんがめちゃくちゃ狼狽してた。大変申し訳ないのだが「長谷さんは黙って会社辞めるくせに」と思ってしまう。その空気が伝わってしまったのか、長谷さんは怒りながらスマホを操作しはじめた。
「周防、立てる? 病院行こう」
俺は長谷さんに起こしてもらい、なんとか立ち上がれた。驚くほど体が重い。
「か……いしゃ……」
ガッサガサの声に自分でもびっくりする。
「周防は全休、俺は午前休。周防に電話で全休連絡もらったけど俺も体調不良だから行けないって連絡した。他に聞きたいことは?」
何もありません。本当に迷惑かけてごめんなさい。さっきお前が言うなとか思って本当にすみませんでした……。
俺は長谷さんに連れられて町医者の内科で受診した。幸いインフルエンザではなかったが、長谷さんはそんなことお構いなしでずっと寄り添って離れなかった。こんなに尽くしてくれているのに俺といえば周りの目が気になって仕方がない。でも長谷さんはスーツ着ていたから傍から見たら、兄弟なのかな? くらいで済んだのだと思う。迷惑をかけっぱなしの申し訳なさで俺の存在自体が消え入りそうだった。
解熱剤の注射を打ってもらったし、もう本気で1人で帰れます、ごめんなさい、次もし体調管理失敗したら腹切って詫びます、迷惑かけて申し訳ありません、と声が出ないので隣にいる長谷さんにLINEした。
長谷さんは帰宅途中まで俺を掴んで離さなかったが、会社に行ってもらおうと俺がスマホを取り出した時に、わかった、と言って会社に向かった。
暑かったり寒かったりの地獄の業火で焼かれていたため、昨日はよく眠れなかった。さっき打ってもらった解熱剤で幾分か楽になり、帰宅したら自分のソファベッドに倒れ込んで寝てしまった。
玄関をガチャガチャする音にびっくりして目が覚めた。時計を見たらまだ正午過ぎだ。
また家事代行サービスを勝手に頼んだのだろうか? と思ったら、長谷さんだった。
「は……さん……しご……は……?」
「消化しきれないほど有給あるから大丈夫」
少し怒った口調で長谷さんは言う。もうその話をするなってことは承知しましたので、どうか怒らないでください……。申し訳なさで泣き出しそうだった。
長谷さんは買い物袋をその辺に置いて、スーツの上着だけクローゼットに入れた。そしてネクタイを緩めながら冷酷な目で俺を見る。
「周防、まだ苦しい?」
俺は首を横に振る。というか震えていた。長谷さんが怒ってる。
長谷さんは何故かシャツを腕まくりしながら俺のベッドに近づいてきた。途中買い物袋からスポーツ飲料水を取り出して。
あのペットボトルで殴打されるのかもしれない、そう思うくらい長谷さんは殺気立っている。
でも俺の萎縮とは裏腹に、近づくなり上半身を少し起こしてくれて、その腕の中でスポーツ飲料水を飲ませてくれた。
長谷さんが家でスーツを着ているから、会社でこんなことしてるみたいな錯覚に陥って、俺はけしからん想像をしてしまう。それにガサガサの喉に飲料水が染みたことも相まってゴホゴホとむせてしまった。
長谷さんは俺を抱きしめるように起こしてくれて、背中をさすってくれた。俺は堪らずに長谷さんの胸に顔を埋めて抱きついてしまう。風邪うつしちゃうかもしれないとか、微塵も考えられなかった。
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