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まちがった尿道開発で世界線変わったんだけど質問ある?
責任とは
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俺は再び沼田さんの席に向かう。
「あの、資料ざっと確認してよくわからないことがあるので、直接委託先に連絡してもいいですか?」
沼田さんはため息交じりで答える。
「さっきメールにCCを入れておいただろう? もう大丈夫だから」
お前は大丈夫だろうよ、最終的に委託先に責任をなすりつけてオーバーリアクションで喚いていればいいのだから。
しかし責任とは責務を全うすることであり、利益とはWIN-WINで始めて成立するものではないのか?
ベンチャーにいた頃散々虐げられてきた積年の恨みに飲み込まれそうになるも、いい案を思いついて踏みとどまる。
「もしかして、朝、俺が具合悪そうだったこと気にしてくれてるんですか? 俺はもう大丈夫です、心配していただきありがとうございます」
絶対そんなこと考えてもいなかっただろう沼田さんが、突然の俺のデレに態度が軟化する。
「もし間に合わないと色々沼田さんも面倒なことになるかと思うので、進捗管理を任せてもらえませんか?」
自分でも吐き気を催すくらい、沼田さんの役に立ちたいオーラを出した。
「おぉ……そうか、じゃあ連絡先送るから後は頼むわ……」
気持ち悪い笑みで沼田さんはそういいチャットで委託先の担当者名と連絡先を送った。
俺は多分冷酷な顔をしていたが、沼田さんが振り向くと瞬時に作り笑いを浮かべ、ありがとうございますと言ってその場を去った。
自席に戻り早速担当者とやりとりして現状の把握をした。現在は結合テストフェーズだが、単体テスト中にメインの担当者が病気で欠員してしまい、いくつかの欠陥を埋められずにいる。
俺は開発環境の各種アカウントとBTSのアカウントを発行もらい、大体の進捗を確認する。今のところ致命的な問題はなく、委託先の人員が徹夜で凌げるかどうかと言うところだった。
俺は今の状況を簡潔にまとめ、委託先の体力的に予断を許さない状況から、自ら作業者としてバックアップしたい旨を、長谷さんと沼田さん宛にチャットで報告した。
間髪入れずに長谷さんから返信が来た。
委託先の開発に入ることによる責任問題についてクリアにすることと、万一のため各種アカウントを長谷さんにも発行するように、という旨の返信が来た。
承知しました、と返信をして、早速窓口担当へ今長谷さんが言われたことを伝え、並行して委託先の担当者と作業を振り分けた。
なんとか金曜日までに間に合いそうだな、そう思う頃には定時をだいぶ過ぎてしまっていた。
会社に人はほとんどいない。
委託先も増員の知らせを受け、不安から解放されたのか、今日のタスク以上の功績をあげている。もしかしたら予定より早く終わるかもしれない。やっぱり人間って余裕が大事だよな……と伸びをして帰り支度を始めようとしていた時に、チームのグループチャットにメッセが来ていることに気がつく。
この地獄絵図のようなチームにも一応グループチャットが存在するが、一方的に沼田さんがチーム員に命令するスレッドになっており、このグループチャットに新着がつくたびにチーム員は嫌な気分になる。
しかし未読がついていたグループチャットは最終更新者が沼田さんじゃなかった。
開いてみると、せめて今日見なければよかった、という内容だった。
周防さんの研修期間が終わったということで歓迎会を行いたいと思います。急で申し訳ないのですが今週木曜日の18:00からの開催とさせていただければと思います。
メッセージの末尾に店の詳細に、参加者一覧。その中に長谷さんの名前もあった。
これ……本当に先週だったらよかったのにな。
もし先週だったら、普段から接触の少ない長谷さんに話しかけられるチャンス! とか言ってはしゃいでたんだろうな。
時間は巻き戻らないのかな……。
「あの、資料ざっと確認してよくわからないことがあるので、直接委託先に連絡してもいいですか?」
沼田さんはため息交じりで答える。
「さっきメールにCCを入れておいただろう? もう大丈夫だから」
お前は大丈夫だろうよ、最終的に委託先に責任をなすりつけてオーバーリアクションで喚いていればいいのだから。
しかし責任とは責務を全うすることであり、利益とはWIN-WINで始めて成立するものではないのか?
ベンチャーにいた頃散々虐げられてきた積年の恨みに飲み込まれそうになるも、いい案を思いついて踏みとどまる。
「もしかして、朝、俺が具合悪そうだったこと気にしてくれてるんですか? 俺はもう大丈夫です、心配していただきありがとうございます」
絶対そんなこと考えてもいなかっただろう沼田さんが、突然の俺のデレに態度が軟化する。
「もし間に合わないと色々沼田さんも面倒なことになるかと思うので、進捗管理を任せてもらえませんか?」
自分でも吐き気を催すくらい、沼田さんの役に立ちたいオーラを出した。
「おぉ……そうか、じゃあ連絡先送るから後は頼むわ……」
気持ち悪い笑みで沼田さんはそういいチャットで委託先の担当者名と連絡先を送った。
俺は多分冷酷な顔をしていたが、沼田さんが振り向くと瞬時に作り笑いを浮かべ、ありがとうございますと言ってその場を去った。
自席に戻り早速担当者とやりとりして現状の把握をした。現在は結合テストフェーズだが、単体テスト中にメインの担当者が病気で欠員してしまい、いくつかの欠陥を埋められずにいる。
俺は開発環境の各種アカウントとBTSのアカウントを発行もらい、大体の進捗を確認する。今のところ致命的な問題はなく、委託先の人員が徹夜で凌げるかどうかと言うところだった。
俺は今の状況を簡潔にまとめ、委託先の体力的に予断を許さない状況から、自ら作業者としてバックアップしたい旨を、長谷さんと沼田さん宛にチャットで報告した。
間髪入れずに長谷さんから返信が来た。
委託先の開発に入ることによる責任問題についてクリアにすることと、万一のため各種アカウントを長谷さんにも発行するように、という旨の返信が来た。
承知しました、と返信をして、早速窓口担当へ今長谷さんが言われたことを伝え、並行して委託先の担当者と作業を振り分けた。
なんとか金曜日までに間に合いそうだな、そう思う頃には定時をだいぶ過ぎてしまっていた。
会社に人はほとんどいない。
委託先も増員の知らせを受け、不安から解放されたのか、今日のタスク以上の功績をあげている。もしかしたら予定より早く終わるかもしれない。やっぱり人間って余裕が大事だよな……と伸びをして帰り支度を始めようとしていた時に、チームのグループチャットにメッセが来ていることに気がつく。
この地獄絵図のようなチームにも一応グループチャットが存在するが、一方的に沼田さんがチーム員に命令するスレッドになっており、このグループチャットに新着がつくたびにチーム員は嫌な気分になる。
しかし未読がついていたグループチャットは最終更新者が沼田さんじゃなかった。
開いてみると、せめて今日見なければよかった、という内容だった。
周防さんの研修期間が終わったということで歓迎会を行いたいと思います。急で申し訳ないのですが今週木曜日の18:00からの開催とさせていただければと思います。
メッセージの末尾に店の詳細に、参加者一覧。その中に長谷さんの名前もあった。
これ……本当に先週だったらよかったのにな。
もし先週だったら、普段から接触の少ない長谷さんに話しかけられるチャンス! とか言ってはしゃいでたんだろうな。
時間は巻き戻らないのかな……。
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