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ご愛顧感謝番外編・おまけ

兄弟を繋ぐ情景(3)※

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兄は門限の夕方6時になると決まって玄関の外に出て俺を待っていた。兄が心配していることはこどもながらに理解していたが、まるで俺を待ちわびているように思えて、わざと門限ギリギリに帰るのが日課になっていた。

遠くからでもわかる兄の凛とした立ち姿が夏の儚げな夕間暮れに溶け出す。

「おにいちゃん!」

走って兄の胸に飛び込む。そして顔を見上げたら安堵の笑顔が降ってくる。それが嬉しくて何度も何度も顔を埋めた。


その風景からすごいスピードで意識が吸い上げられ、動悸とともに目覚める。手にはベッドの感触、横を見ると夜が背を向け、裸のまま横たわっていた。あまりの光景に絶望が血を凍らせる。あれから待っている間に寝てしまったのだ。

「よ……」

声をかけようと思ったが、自分の罪悪感がそれを妨げた。そっと肩に触れる。夜の肩は驚くほど冷たかった。

兄はいつだって俺の帰りを待ってくれているのに、俺は夜のことを待つことすら満足にできないのか。そう思うとこみ上げてくるものがあり、夜を起こさないように静かに背中に唇を寄せた。夜の体温が呼水となって罪悪感が流れ込む。それが胸を満たし、息苦しさから呼吸が乱れ、夜の背中に息がかからないように少し体を離したその瞬間だった。

「あ……あかる……起こしちゃった……?」

眠そうな声で夜が目覚める。そして寝返って、息苦しさでどうにかなりそうな俺を見つめていた。

「あかる……今日はこのまま寝よう?」

「いやだ……」

「明日お休みでしょ?」

「お兄ちゃんが……いなくなっちゃう……!」

「いなくならないよ」

夜が俺の頭を抱いて胸に引き寄せる。

「夜を縛って、夜の自由を奪って、俺は……!」

「縛られてなんかいないよ。灯のお兄ちゃんでいさせてよ」

夜の優しい手が俺の背中を撫でたら、一層強く抱きしめてくれる。その時に夜の下半身が熱くなっていることに気がついた。その熱が俺の胸を焦がす。

「ごめん……大事な話をしてる時に……」

恥ずかしがって中途半端に口を噤んだ夜の願望に、心臓がギュッと縮んだ。震える唇で夜の胸の先端を吸う。

今も昔も俺にできることは夜を愛することだけだった。ジュウっと音を立てて乳首を吸い上げる。

「あ……あっ……」

前屈みに丸まる夜を押さえつけながら、もう一方の先端を摘む。柔らかく揉みしだく度に、夜の下の昂りが俺の腹を叩いて催促する。片方の手を腰に回してそのまま窄まりに吸い込まれるかのように下ると、その蕾が濡れていることに驚く。

「準備……してきたから……もう欲しい……」

蕾は柔らかく、綻んで指を受け入れる。

「灯……お願い……我慢が……」

胸から顔を上げて夜の顔を見上げる。

「あか……る……?」

「待たせてばかりだ……」

ふっと夜が笑った時、夏の匂いが一気に俺を包んで心が遠い日の夕間暮れの藍に染まる。

「夜……」

「お願い……」

喉を鳴らして夜唇を重ねる。そのまま仰向けにして足を持ち上げた。

「あぁ……夜……」

夜の腰を浮かし、窄まりに自分自身を押し当てる。

「ずっと俺のお兄ちゃんでいてくれるの?」

「ん……こんな風になるの……灯にだけ……」

グチュッと音が響いて、下半身の感覚が頭の先まで突き抜ける。

「ああぁっ、ぁ……あかるぅ……」

腰を掴んで更に奥に押し込む。そのままの勢いで前に倒れ込み、再び胸に勃った2つの蕾を摘んだ。

「あっ……あかる……我慢が……できなくなっちゃう……」

なにを我慢する必要があるのかと、一方の蕾を口で吸って、舌で転がした。指をきつく摘んだ方を離して舌で舐め上げた時、夜自信が待ちきれないとビクビク腹を打つ。転がしていた乳首をきつく吸った。

「ぃやあぁっ、あ……あかるっ、さっきみたいに……して……動かして……お願い……」

悲哀を含んだ切なげな声で鳴く夜に我慢のタガが外れて、噴き出す情欲が腰を突き動かす。

「あっあっ、ああぁっ、んっ、もう……」

腰を打ち付ける度に、グジュッグジュッと音が漏れて、夜の中がギュッと締まる。夜が前に手を伸ばして自身を握ろうとした。だからその手を縫い付けて更に奥を突く。短い悲鳴がかすれ、上ずった声でダメと叫びながら、夜が腹に白濁を溢した。

「あ……あ……あかる……やめないで……もっと……して……」

いつもだったら途中陰茎を握って我慢させただろう。体力も考え何度も射精をさせたりしない。でも今日の俺は狂っていた。自分の欲望に突き動かされるまま、また腰を執拗に叩きつけ、声にならない夜の悲鳴がこだまする。肩を掴み、深く差し込みその中を存分に味わう。

「ほら、ここ」

「ふ……ん……んんっ……そこ……きもちいい……」

「お兄ちゃんのきもちいいところは誰にも触らせない」

「誰にも……こんなことさせないから……あかるが……もっと……触って……」

「ここ?」

「ぃあっ……はぁ……あぁ……そこぉ!」

グッと腰を前に押してそしてグリグリと最奥をこじ開ける。

「ああぁっ! あかるっ! もっと……触ってぇ……」

細く高い声を震わせ、夜が震えだす。部屋の空気に触れツンと立つ胸の蕾を指で捻る。

「いぁああああ!」

「ここも?」

「あかるにしか! ああっ……あっ……触らせない……から……お願い……」

前屈みになって、その蕾を味わいながら腰を突き動かす。夜は何度も僕の名前を呼び、声が消えかけた頃に、俺は枕を掴みそれを夜の腰の下に敷いた。

「あかる……ダメ……」

ささやかな抵抗も無視して夜の弱いところを抉るように突く。夜の陰茎が一気に膨らんだのを確認したら、それを掴んで扱く。

「夜……!夜、わかるでしょ?」

「あっ、あっ、んん……わかる……!」

「ああっ、夜ダメ……あ、あっ」

「あああああっ!」

夜が先に白濁を溢した。それで全く余裕がなくなった俺は喘ぎながら夜の奥で果てた。


夜が2回射精するのは久しぶりだった。だからか夜はしばらく震えて動けず、乱暴に扱った罪悪感が俺を襲った。腹の精液を拭って顔を覗くと、夜は寂しそうに笑った。

「そんな顔しないでよ、僕が頼んだのに」

「ご……めん……」

何に対しての謝罪だか自分自身も分からずに、出した声だけが部屋に彷徨った。

「灯は僕の弟でいてくれるんでしょ?」

唐突な同意に真意を慮ることができず、夜を見つめて押し黙る。

「いつでも僕めがけて走ってきてくれる、灯が大好きなんだ。だから、こどもっぽいとかそんな風に言わないで。僕がそうしてもらいたいんだから」

また夏の匂いと藍の澄んだ空気が胸中に広がる。夜は両手を広げて俺を胸に誘う。そしてこどもじみた俺をそのまま包み込む。

「お兄ちゃん……」

「ふふっ、なんか言わせてるみたいでごめん、でもそう呼んでくれるの嬉しいんだ」

胸の匂いで満たされて、急激に眠気が襲う。

「夜……」

「明日、2人で一緒に適当な指輪探そう?」

「うん……明日も……したい……」

「僕も……」

背中と頭を撫でる夜の手が俺を眠りに誘う。ダメだとわかっているのに今日もまた夜に甘えてこの日を終えてしまう。これまでの日常は安寧で満たされていたのに、少しの綻びで狼狽えて夜を困らせる。

「楽しみだなぁ……灯、もう寝ちゃった?」

答えたいのに幸せな微睡に引きずり込まれ声が出せない。

「灯……大好きだよ……」

<END>
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