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百鬼夜行編
152話 黒猫の妖を使役する女侍
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2日目の情報収集では私とサクラは西側に出向く。
1日目は忍者装束で情報収集を行っていた所、やたら注目されていた。
その為、今日は久々に【黒猫スーツ】を装備する。
アルラトが私の姿に【擬態】して別地域で活動しているのも要因の一つだ。
黒い毛が生えた全身タイツなんて夏場で超暑いかと思ったが特殊性能なのか非常に快適な着心地だった。
防御力や魔法耐性は無いが意外と高性能かも。
本日、私達は西側の区画を訪れていた。
目的は破壊された白虎神社とその周辺での情報収集で有る。
前日にDOSが訪れていた場所だ。
彼は不可視化状態で見聞きしただけで、住民らと直接会話はしていないと話していた。
DOSの情報通り破壊された白虎神社は、先日訪れた玄武神社と造りが似ている。
白い虎の姿をした神様を祭る神社で西方を守護するとされている。
その場所を訪れた私達は破壊活動の跡を目撃する。
建物は半壊し、神像を象った白い虎の像は首から上が完全に破壊され無残な有様となっていた。
本堂は閉鎖され石畳で造られた巡回路の至る所に血痕が撒き散らされていた跡が残っていた。
周囲には大勢の侍が巡回しており、現場検証を行っている様子だ。
先程から頻りに私とサクラの方を警戒して見ている。
装備を見て何処の侍か吟味しているのだろうか?
「視線を感じるでござる。」
「露骨にガン見されてるね。今走ったら追いかけて来ると思うよ。」
ヒソヒソと小声で話していると、1人の侍が近付いて来た。
短髪黒髪でガッチリとした体格、黒に金色の桜をあしらった着物を羽織り腰に2本の長刀を提げている。
見た目や雰囲気から高レベルの侍だと分かる。
「そこの女、何処に所属する侍だ。名を名乗れ!」
「センスの良い羽織でござるな。だが、まずはお主が名乗るのが礼儀でござろう。」
私は黒猫として認識されているので知らんぷりしておこう。
警戒はしているが殺気は纏っていない。
サクラの技量を測っている様な表情だ。
お互い睨み合って居る間に周囲を部下の侍連中が囲み刀に手を掛け抜刀の構えを取る。
「ホウシェン城、城主ホワンロン天帝直属。黒組隊長シロウだ。貴様の名を答えい!」
「拙者は英雄の称号を持つ、侍サクラだ。」
一瞬にしてその場を凍り付いた様な静寂が包む。
そして周囲を囲んで居る侍から失笑に似た笑いが起きる。
「わっはっはっは!英雄だと?笑止な、女子如きが戯言を。」
「試してみるござるか?まっ、雑魚には興味無いでござるがな。」
「愚弄するか!田舎侍が!」
シロウと名乗る侍はサクラに挑発されてあっさり喧嘩を買い取る。
サクラはいつもいつも・・・
どうしてこう話を拗れる方向へ持って行くかな。
あのシロウとか言う侍がサクラよりも強いと言う事は無いと思うけど、騒ぎを起こすのは不味いのでは。
「ちょっと、サクラ喧嘩は駄目だって!しかも天帝ってこの国のトップでしょ?まずいよ。」
「猫が喋った!?妖もおったか・・・ますます怪しいヤツめ!成敗いたす!囲め!決して逃がすな!」
おっと・・・
聞こえてしまった、失敗失敗テヘペロ。
周囲を囲む侍に犯罪者印の人間は居ない。
戦士系上級職の侍とは言え周囲の連中は手加減する必要が有りそうだ。
私は素手で戦おうかな?手加減手刀攻撃位は耐えれると思う。
サクラ刀を1本だけ抜き放ち、私と背中合わせで構える。
シロウと名乗った侍も2本の刀を抜きサクラに対峙する。
シロウは【縮地】を使い間合いを一気に詰めて来る。
サクラは刀1本で軽くいなす。
私は正面の侍の背後に高速で移動し、背後から2人の襟首を掴み背負う様にして地面に叩きつける。
両サイドの侍から抜刀した音が聞こえた瞬間に【影分身】を発動する。
両端で斬りかかろうとする侍2人の腹部に掌底を深く当てて弾き飛ばす。
「な!!なんだと!?」
「馬鹿な!!」
『あの妖はなんだ!?3体の忍者を召喚したぞ!?」
あ、やば!
分身体には【黒猫スーツ】の効果が反映しないんだった!
・・・まずったかな。
サクラの後方に居た侍4人は全員一瞬で気絶する。
それを見たシロウと残り3人の侍は驚愕の表情を隠せない。
その隙をサクラは見逃すこと無く、高速の【居合斬り】がシロウの胸部に直撃し後方の侍3人を巻き込み吹き飛ばす。
手加減してる・・・よね?
吹き飛んだ方向を良く見ると、気絶している3人の侍と胸部に打撲傷を負ったシロウが倒れていた。
峰打ちをした様で死んではなさそうだ、良かった。
まぁサクラの峰打ちは当たり所が悪ければ死ぬかも知れないけどね。
どこぞの飛天●剣流に更にパワーを足した様な物だからな。
「シノブ殿、どうしよう。」
今更やっちゃったって顔で懇願されてもね~。
「まずその喧嘩っ早い性格を治すと良いよ。」
まぁ、どうしようも無いね。
「三十六計逃げるに如かず!でござる!」
中国の有名な武将、孫子の掲げた兵法三十六計の中で1番有名と言っても過言では無い最強の策だとサクラが言い放つ。
長いウンチクが始まるかと思い、私もすぐに反応する。
「よし、逃げよう!」
私達はこの場を収集する案が思い浮かばず、そっと立ち去る事にした。
後々問題にならなければ良いけど不安だ。
ミカさんには後で報告をしておこう。
・
・
・
街に戻った私達は白虎神社から少し離れた地域で情報収集をしたが、特に目ぼしい情報は得られなかった。
そしてその日の夜、私達はミカさんとDOSに軽率だと小一時間叱られた。
本日得た新しい情報は、奴隷売買には国家が関わっていると言う噂らしい。
自称情報屋の「ネズミ」と名乗る人物に金銭を払いミカさんが得た情報らしい。
亜人種の賊は同族の奴隷解放が目的で、奴隷は四神神社の地下の隠し部屋が有るとか無いとか・・・
咲耶が言うにはネズミと言う情報屋自体うさん臭く信用に値しないと言っていた。
「あの情報屋は私達の情報も売るでしょうね、ミカエルにして少し迂闊だったと思います。」
「すまない。事を急いでしまったのは否めない。」
奴隷売買の情報を嗅ぎまわっている異邦人が居ると言う情報が流れれば、後々面倒な事になり兼ねない。
それにしても国が主導で奴隷売買とか、この国はさっさと滅ぼした方が良いんじゃないか?と思っていると咲耶が「国ごと燃やそう」と言い出しミカさんに止められていた。
そうだね、街の人々に罪は無いから滅ぼしたり燃やしたら駄目ですね。
取り敢えず今後の指針としては、四神神社の地下施設捜索と奴隷解放軍を歌う亜人種部隊との接触、及びホウシェン城の調査に決定する。
翌日の早朝、近くの朝市に出かけていた咲耶が1枚の紙切れを持って帰って来た。
「これは・・・な、なんでござるか!?」
「これ絶対にワザとだよね。」
それはもう悪意に満ちた人相書きで似せようと言うよりも、より悪人顔に描かれたサクラと黒猫の手配書だ。
この指名手配書だけ見たら間違い無く悪人認定される位の誇張具合だ。
「黒猫の妖を使う女侍サクラ」の指名手配書が国中に号外として配られ、私達はDOSから再度お叱りを受ける。
翌日私は安い市民が着る着物を着用しサクラはフルフェイスタイプの武者兜と軽鎧に着替え活動する事となった。
1日目は忍者装束で情報収集を行っていた所、やたら注目されていた。
その為、今日は久々に【黒猫スーツ】を装備する。
アルラトが私の姿に【擬態】して別地域で活動しているのも要因の一つだ。
黒い毛が生えた全身タイツなんて夏場で超暑いかと思ったが特殊性能なのか非常に快適な着心地だった。
防御力や魔法耐性は無いが意外と高性能かも。
本日、私達は西側の区画を訪れていた。
目的は破壊された白虎神社とその周辺での情報収集で有る。
前日にDOSが訪れていた場所だ。
彼は不可視化状態で見聞きしただけで、住民らと直接会話はしていないと話していた。
DOSの情報通り破壊された白虎神社は、先日訪れた玄武神社と造りが似ている。
白い虎の姿をした神様を祭る神社で西方を守護するとされている。
その場所を訪れた私達は破壊活動の跡を目撃する。
建物は半壊し、神像を象った白い虎の像は首から上が完全に破壊され無残な有様となっていた。
本堂は閉鎖され石畳で造られた巡回路の至る所に血痕が撒き散らされていた跡が残っていた。
周囲には大勢の侍が巡回しており、現場検証を行っている様子だ。
先程から頻りに私とサクラの方を警戒して見ている。
装備を見て何処の侍か吟味しているのだろうか?
「視線を感じるでござる。」
「露骨にガン見されてるね。今走ったら追いかけて来ると思うよ。」
ヒソヒソと小声で話していると、1人の侍が近付いて来た。
短髪黒髪でガッチリとした体格、黒に金色の桜をあしらった着物を羽織り腰に2本の長刀を提げている。
見た目や雰囲気から高レベルの侍だと分かる。
「そこの女、何処に所属する侍だ。名を名乗れ!」
「センスの良い羽織でござるな。だが、まずはお主が名乗るのが礼儀でござろう。」
私は黒猫として認識されているので知らんぷりしておこう。
警戒はしているが殺気は纏っていない。
サクラの技量を測っている様な表情だ。
お互い睨み合って居る間に周囲を部下の侍連中が囲み刀に手を掛け抜刀の構えを取る。
「ホウシェン城、城主ホワンロン天帝直属。黒組隊長シロウだ。貴様の名を答えい!」
「拙者は英雄の称号を持つ、侍サクラだ。」
一瞬にしてその場を凍り付いた様な静寂が包む。
そして周囲を囲んで居る侍から失笑に似た笑いが起きる。
「わっはっはっは!英雄だと?笑止な、女子如きが戯言を。」
「試してみるござるか?まっ、雑魚には興味無いでござるがな。」
「愚弄するか!田舎侍が!」
シロウと名乗る侍はサクラに挑発されてあっさり喧嘩を買い取る。
サクラはいつもいつも・・・
どうしてこう話を拗れる方向へ持って行くかな。
あのシロウとか言う侍がサクラよりも強いと言う事は無いと思うけど、騒ぎを起こすのは不味いのでは。
「ちょっと、サクラ喧嘩は駄目だって!しかも天帝ってこの国のトップでしょ?まずいよ。」
「猫が喋った!?妖もおったか・・・ますます怪しいヤツめ!成敗いたす!囲め!決して逃がすな!」
おっと・・・
聞こえてしまった、失敗失敗テヘペロ。
周囲を囲む侍に犯罪者印の人間は居ない。
戦士系上級職の侍とは言え周囲の連中は手加減する必要が有りそうだ。
私は素手で戦おうかな?手加減手刀攻撃位は耐えれると思う。
サクラ刀を1本だけ抜き放ち、私と背中合わせで構える。
シロウと名乗った侍も2本の刀を抜きサクラに対峙する。
シロウは【縮地】を使い間合いを一気に詰めて来る。
サクラは刀1本で軽くいなす。
私は正面の侍の背後に高速で移動し、背後から2人の襟首を掴み背負う様にして地面に叩きつける。
両サイドの侍から抜刀した音が聞こえた瞬間に【影分身】を発動する。
両端で斬りかかろうとする侍2人の腹部に掌底を深く当てて弾き飛ばす。
「な!!なんだと!?」
「馬鹿な!!」
『あの妖はなんだ!?3体の忍者を召喚したぞ!?」
あ、やば!
分身体には【黒猫スーツ】の効果が反映しないんだった!
・・・まずったかな。
サクラの後方に居た侍4人は全員一瞬で気絶する。
それを見たシロウと残り3人の侍は驚愕の表情を隠せない。
その隙をサクラは見逃すこと無く、高速の【居合斬り】がシロウの胸部に直撃し後方の侍3人を巻き込み吹き飛ばす。
手加減してる・・・よね?
吹き飛んだ方向を良く見ると、気絶している3人の侍と胸部に打撲傷を負ったシロウが倒れていた。
峰打ちをした様で死んではなさそうだ、良かった。
まぁサクラの峰打ちは当たり所が悪ければ死ぬかも知れないけどね。
どこぞの飛天●剣流に更にパワーを足した様な物だからな。
「シノブ殿、どうしよう。」
今更やっちゃったって顔で懇願されてもね~。
「まずその喧嘩っ早い性格を治すと良いよ。」
まぁ、どうしようも無いね。
「三十六計逃げるに如かず!でござる!」
中国の有名な武将、孫子の掲げた兵法三十六計の中で1番有名と言っても過言では無い最強の策だとサクラが言い放つ。
長いウンチクが始まるかと思い、私もすぐに反応する。
「よし、逃げよう!」
私達はこの場を収集する案が思い浮かばず、そっと立ち去る事にした。
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・
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・
街に戻った私達は白虎神社から少し離れた地域で情報収集をしたが、特に目ぼしい情報は得られなかった。
そしてその日の夜、私達はミカさんとDOSに軽率だと小一時間叱られた。
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自称情報屋の「ネズミ」と名乗る人物に金銭を払いミカさんが得た情報らしい。
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咲耶が言うにはネズミと言う情報屋自体うさん臭く信用に値しないと言っていた。
「あの情報屋は私達の情報も売るでしょうね、ミカエルにして少し迂闊だったと思います。」
「すまない。事を急いでしまったのは否めない。」
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それにしても国が主導で奴隷売買とか、この国はさっさと滅ぼした方が良いんじゃないか?と思っていると咲耶が「国ごと燃やそう」と言い出しミカさんに止められていた。
そうだね、街の人々に罪は無いから滅ぼしたり燃やしたら駄目ですね。
取り敢えず今後の指針としては、四神神社の地下施設捜索と奴隷解放軍を歌う亜人種部隊との接触、及びホウシェン城の調査に決定する。
翌日の早朝、近くの朝市に出かけていた咲耶が1枚の紙切れを持って帰って来た。
「これは・・・な、なんでござるか!?」
「これ絶対にワザとだよね。」
それはもう悪意に満ちた人相書きで似せようと言うよりも、より悪人顔に描かれたサクラと黒猫の手配書だ。
この指名手配書だけ見たら間違い無く悪人認定される位の誇張具合だ。
「黒猫の妖を使う女侍サクラ」の指名手配書が国中に号外として配られ、私達はDOSから再度お叱りを受ける。
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