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機械都市編

067話 SPA「ヴァナヘイム」

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-機械都市ギュノス国 西リゾート区画-

西区画はリゾート施設が多く、永住権の市民IDと他の街から訪れた仮市民IDとで施設利用料が違うのが特徴だ。

例えば国営賭博場カジノの入場料は国民は1万ゴールド、旅行者や冒険者は無料と他国からの収入を得る為の施策が様々な所で行われてる。

基本娯楽施設が多いので多少高い金額でも国民の不満も少ない様だ。

高層ホテル、国営賭博場カジノ公営競売場オークション、SPAリゾート、娼館街が有る。

個人商店では土産物屋等が密集している。

実際ゲームでは国営賭博場カジノ公営競売場オークション、伝説の鍛冶屋しか入れなかった。

この世界は相も変わらず変な所で独自の発展をしている。

「我とDOSは公営競売場オークションに行く。」

暗黒神ハーデスハーちゃんDOSどっちゃんは何やら気になる商品が出品している様で公営競売場オークションへと行くらしい。

公営競売場オークションは24時間開催されており、商品を受付に預けると商品鑑定とアイテムの平均相場が表示される。

出品者は商品の説明文やアピールポイントを入力し出品期間を設定する。

最大一週間は設定可能で出品金額を設定するだけで、後は機械がオートメーションで管理をしてくれる。

簡単に言うとヤ●オクや●ルカリと言った感じだろうか。

公営競売場オークションと言えば、やはり生産職の鍛冶師だ。

鍛冶師の開発製造系技能クラフトスキルを持っているプレイヤーは【装備品名変更】と言う特殊能力を使う事により世界で唯一の装備品を造る事が可能だ。

サービス開始当初、【装備品名変更】【フレイバーテキスト編集】を同時に使用した模造レア武器詐欺行為が流行った事も有ったらしい。

私も以前フィールドに武器が落ちていて拾ったら武器名が「今日の運勢は大凶」と言う名前が彫って有り少し落ち込んだ事が有った。

でも、そう言うお遊び要素も嫌いではない。

「うん、いってらっしゃい!私達は「ヴァナヘイム」に居るから、後で合流してね。」

SPAヴァナヘイムは温泉・鉱泉の効用を活かして、入浴やマッサージを組み合わせて心身を癒す保養施設だ。

しかも24時間営業。

利用料金は少しだけお高めの設定だったと思う。
現金支払いが可能なので問題無く入場出来るはずだ。

ヴァナヘイムは温水プール、各種温泉、サウナ、マッサージ&エステ、バーやレストランなどの複合施設となっている。
残念ながら卓球台やマッサージチェアは無い。

ロビー以外は水着で行動出来る施設だが、全裸や過度な露出をしている人は施設警備員に連行される様だ。

入口に着いた途端、リオとリナは驚きの声を上げた。

機械的な見た目だが、華やかなイルミネーションに彩られたドーム状の施設で21時を過ぎているにも関わらず大勢の人で賑わっていた。

南国を思わせる熱帯の植物が植えられている通路の先に受付が有り、脇には数体の機械兵が待機している。

受付で入場料金を支払い、水着等のレンタルルームへ足を運ぶ。
タブレットタイプのカタログの中から好きな水着とサイズを選び更衣室で着替える。

咲耶とサクラは時間差で着替える様に厳重に注意をして更衣室へ入る。

「シノブさんはスポーティータイプの水着を選んだんだね、似合ってます!」

敢えてスポーツブラにスパッツ的な可愛げの少ない水着を選んだ。

私のキャラクターをネカマ連中に邪な目で見られたく無いと言うのが本音だ。

私にとってプレイヤーキャラクターは自分自身だ、特に今はゲームの時よりもそう感じる。

男が女性キャラクターを作るのはどういう感覚なのかな・・・
案外、似た様な感覚だろうか?

ロールプレイとして女性を演じるのとネカマとして演じるのの差は有るんだろうか?

リオとリナは2人共「紺色ワンピースタイプ」の水着で、さながら昔のスクール水着の様な見た目だ。

なんかマニアックだな。
ネカマ連中には受けそうだが。

「2人共お揃いにしたんだね、似合っているよ。」

それにしてもスタイルが良い。
多分着痩せするタイプなのだろう。

普段着では分かりにくいボディラインがくっきりと出て15歳と言う設定の割には出るところが出てウェストが縊れて、ヒップは安産型とでも言うのだろうか・・・うらやましい。

「お待たせでござる。」

「お待たせしました。」

「わぁ~凄い!」

「サクラさんも咲耶さんも綺麗!」

リオとリナも十分にスタイルが良いが、恐らく男性の欲望を具現化した様なボンキュッボンと擬音が鳴りそうなネカマ2人が際どいビキニ姿で現れた。

サクラは白に青のストライプビキニでオプションで周囲に桜の花弁が舞っている。
咲耶はヒョウ柄のビキニにサングラスをしている。

屋内ドームなんだからサングラスは完全にファッションだろう。

悔しいが2人はグラビアモデルの様なスタイルをしている。
悔しい程に恰好良いのだ。

「シノブ殿は地味でござるね、拙者はどうでござるか?」

サクラは私に向かってセクシーなポーズを決める。

はいはい凄いね、羨ましいよ。
私もアバター位は色々盛っても良かったかも知れない。

いや、それは私のポリシーに反する。

忍者は鍛え抜かれたしなやかな筋肉、素早く走る為の無駄の無い体。
胸等の贅肉は不必要なのだ。

リアルの私はもう少し胸が有る・・・有ったはず。

サクラや咲耶の様に男の欲望を具現化させた様なスタイルに対して様々な負の感情に飲まれそうになる自分が居た。

「2人共、その水着恥ずかしくない?露出過多で連行されるよ。」

「レンタル品で連行とかどんな罠ですか。」

「サイズの合わないビキニを着て具が溢れたりしてたら連行されるんじゃない?」

「具って・・・話の流れで出しちゃ駄目な単語でござる。」

うん、自分でもそう思った。
しかし、サクラにツッコミを喰らうとは不覚の極みだ。

馬鹿な事を言ってないで、この施設を素直に楽しむ事にしようと誓った。
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