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18章:お嬢様の恋愛事情
1話:サロンにて(アリア)
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王都での生活が始まって一ヶ月と少しが経った。
アリアにとってめまぐるしく状況は変わり、家名まで変わってしまった。アリア・マクファーレンを改め、アリア・シュトライザーとなった彼女は現在王都で一番話題の人と言っても過言ではない。なにせ騒動後、シュトライザーの後継者となった女性なのだから。
社交界デビューも済ませはしたが、いまいち分からない事が多いアリアはとにかく戸惑った。まず、自分の周りに男性が複数押し寄せてダンスの誘いをするなんて事、彼女の人生で一度もなかったことなのだ。
ただ体の事を考えるとダンスはあまり踊れないし、アルコールも飲めない。結果、言い寄る男性を袖にする女という印象がついてしまった。
それでも友人ができた。近衛府団長オスカルの妹のオーレリアは面倒見が良くて、男性に絡まれている所を助けてくれた。言葉は強くて棘もあるけれど、不慣れなアリアを心配してくれているのは本当でとても助かっている。
その友人というオルトンにもお世話になっている。とても腰が低くて優しい人は、側にいて居心地のいい人だと思う。あと多分、オーレリアの事が好きなんだと思う。
それについてオーレリアも気づいている感じがあったので聞いてみたら、「根性出したら考えてもいいわ」と、ほんの少し天邪鬼な事を言って赤くなっていた。
それと同時に、家の仕事を父アーサーについて学び始めている。
元々勉強や読書が好きだった事もあって、あまり苦痛には感じない。ただ覚える事が膨大で、色々と不安は感じている。
建築業が生業のシュトライザー家は効率化や成果ばかりを追い求めてはいけない。職人の世界であり、義理人情の世界でもある。礼儀に五月蠅いが、気に入ってもらえれば多少の無理もしてくれる。そんな、数字で表せない世界なのだと知った。
そろそろ時刻も零時を回る。寒くなった室内は手元のランプの明かりと暖炉の暖かい炎の明かりだけがある。膝掛けにカーディガンを肩にかけ、アリアは今も本を読んでいる。
そこにノックの音がして、困り顔のヨシュアが入ってきた。
「こら、またこんな時間まで本を読んでいるのかお嬢様」
「先生。だって、全然間に合わないわ」
手元にはまだ数冊手つかずの本が残っている。どれも家の事に関する本だ。
困った顔のヨシュアが側まで来て、それらの本を取り上げてしまう。「あ!」と声を上げたアリアの頭にコツンと、とても優しい拳骨が落ちた。
「こら、寝なさい」
「でも」
「多少丈夫になったとは言え、病気が治ったわけじゃない。最近忙しいし、環境も変わったんだから無理は絶対にいけない。旦那様にもそう言われているだろ」
「あの、もう少し」
「ダメだ! 明日はサロンに呼ばれているんだろ? これ以上無理をするなら旦那様に報告するぞ」
「それだけはダメ!」
アーサーには夜の勉強をこんなに長く続けている事は秘密にしている。そして無理をしたら勉強は中止すると言われてしまっているのだ。
「今のところ顔色は悪くないが、どこかで疲れがどっと出てしまうかもしれない。いいから休みなさい」
「……分かりました」
もう少し続けていたかったという気持ちを押し殺し、アリアはノートを閉じてランプの明かりを消し、ベッドへと潜り込んだ。
ヨシュアが暖炉に掛けてある鍋に水をたっぷりと注ぎ足し、火を少し弱めてくれる。ほのかな明かりとなった暖炉の火で、室内が暖かい色合いに変わった。
「じゃ、おやすみお嬢様」
「はい、おやすみなさい先生」
出て行くヨシュアに声をかけ、アリアはトロトロと徐々に眠気に誘われて目を閉じたのだった。
翌日、アリアは招かれたサロンへと向かった。
綺麗なドレスを着る機会も多くはなったが、この日はシックなドレスを選んだ。それというのも今日のサロンは、とても特別なものだったからだ。
滑るように馬車が到着したのは、ヒッテスルバッハ本邸。そこにヨシュアと共に下りると、直ぐに執事の方が中へと案内してくれた。
本当に、溜息がでるような素晴らしい屋敷だ。調度品も品がいいし、室内も居心地良く過ごせるよう整えられている。働いている人達にも程よい緊張感があって、プロとしての威厳や自信のようなものを感じ取れた。
ちょっとお行儀悪くあちこちをキョロキョロしながら、サロンの前へと到着した。綺麗なレリーフのされたドアを執事の方がノックをして、来客を伝える。すると直ぐに入室の許可が出て、アリアはそこへと招かれた。
室内は大きな窓がバランス良く配置され、そこから差し込む陽光が明るさと暖かさを届けてくれる。その暖かさを毛足の長い絨毯が吸収しているようで、足下から暖かく感じた。
白い壁に、作り付けの棚には本も多い。絵画のほとんどが見たことのある画風で、よく見れば隅に小さくにやりと笑う猫のサイン。全部ランバートが描いた物だと分かる。
立派なグランドピアノと、その側には楽器を収めた棚もある。
暖かい色合いのマホガニーの家具からは年代と重厚感、そして長年愛されて使われたのだと分かる滑らかな艶を感じた。
その中央にある歓談用のソファーセットから、四人の人物がアリアを穏やかに迎えてくれた。
真ん中にいるのは綺麗な栗色の髪に緑色の瞳の長身の青年で、威厳と穏やかさを感じる表情でアリアを迎えてくれる。見ているほうまで背筋が伸びそうな人だ。
その左隣には少し近寄りがたい感じの、銀髪の青年が立っている。すらりとしていて背筋がよく、空気がピンと張り詰めているような気がする美青年だ。
もう一人は車椅子で、後ろには介助の女性がついている。青年自体はとても優しく柔らかな笑顔で、穏やかな木漏れ日のような空気感を持っている。キャラメル色の短い髪は輪郭に沿って丸い印象を与え、真っ直ぐに向けられる青い瞳と、銀縁の眼鏡。そのどれもが暖かいイメージを抱かせた。
「本日はよく来てくれた、アリア嬢。ホストを務めるアレクシスだ」
「こちらこそ、お招き頂き有難うございます。アリア・シュトライザーと申します」
スカートを両手で軽く持ち上げて挨拶をすると、真ん中に立つアレクシスはふと空気を緩めてくれた。
「そう硬くなることはない。ようやく四大貴族家の次期当主が揃った。今日はその顔合わせと、親睦を深めたいと思ってのことだ」
「お気を使わせてすみません。皆様から学ぶことが多々ある身です。本来なら私の方がこのような会を開き、お招きしなければいけませんのに」
「気にする事はないさ、色々とあったばかりだ。それに、シュトライザー本邸は今建て替えをしているだろ? 別宅は何かと人も多いと聞くし」
「アレクはアーサー様が多少苦手だ。顔を合わせるのが億劫なのだろう」
「ランス!」
左隣から突如声があがり、アレクシスが慌てたように声を上げる。ニッと器用に片側の口角を上げたランスロット・アイゼンシュタインの表情はどこかニヒルに映った。
「あれ、そうなのかいアレク? アーサー様、苦手だったかい?」
「フランク、君までか。別に苦手というわけではないから誤解しないでくれ、アリア嬢。会話の機会は少ないが、一代で家の再興を成し遂げた手腕等、尊敬している」
「有難うございます、アレクシスさん。それと、私の事はアリアで結構ですわ。若輩の私にお気遣い頂き、有難うございます」
苦笑するアリアに、アレクシスは一つ溜息をつき、場を引き締めるように咳払いをしてアリアをソファーへと招いてくれた。
出された香りのいい紅茶は今年取れた最高級品。出されたお菓子は季節の果物をふんだんに使ったタルト。味も甘いばかりではなく、クリームチーズの程よい酸味がきいている。
「それでは、改めて自己紹介をしよう。アレクシス・ヒッテルスバッハだ。家のランバートが何かとお世話になっている」
お茶を一口飲んでから、アレクシスがふと柔らかな表情で言ってくれる。それにアリアも応じて、ほんの少し恥ずかしげに笑った。
「こちらこそ、ランバート義兄様には助けられてばかりです。兄がお世話になっていますわ」
「君のお兄さんにも助けられているよ。それにしても、見た目は似ているのに受ける印象は全く違うのだね。あちらは覇を感じるのに、君からは清廉さを感じる」
「そんな! あの、恥ずかしいですので……」
「ほぉ、そんなに似ているのか。私は遠くからしか軍神を拝んだ事がないが、このような顔立ちなのか?」
アレクシスとアリアの会話を聞いていたランスロットが、グッとアリアに顔を近づける。その強い視線にドキリとしてしまった。とても整った顔は絵画や彫刻といった芸術品のよう。強い銀の髪に、鋭い緑色の瞳。それが距離を詰めて触れそうなくらい近いのだ。
「ランス、アリアちゃんが困ってるよ」
そう言ってアリアの腕を横から引いてくれたのは隣に座るフランクリンで、穏やかな笑みをアリアへと向けてくれた。
「ごめんね、ちょっと表情が足りなくて威圧的で距離感掴めてない人だけれど、いい人ではあるんだよ。アレで枢機卿だしね」
「フランク、お前の私への認識はそれでいいんだな?」
「構わないよ、ランス。でも初対面の、しかも女性にあんなに近づいたらダメだよ。怖いんだから」
「……以後気をつける」
「ふふっ」
グッと押し黙ったランスロットが腕を組んでそっぽを向く。それを呆然と見ていたアリアの前に、可愛らしいマカロンが置かれた。
「良かったらどうぞ。少し外れの方になるんだけれど、美味しい焼き菓子のお店があってね。可愛らしかったから」
「わぁ。有難うございます! 可愛い」
「よかった」
眼鏡の奥の青い瞳がにっこりと笑う。改めて向き直ったフランクリンは、とても優しい笑みを浮かべた。
「フランクリン・ベルギウスです。家業は商売をしているんだけれど、私は見ての通り不自由でね。屋敷に大抵いるから、遊びに来てくれると嬉しいよ」
「アリア・シュトライザーです。私も体が弱いので激しい運動等はできないのですが、是非とも遊びに行かせていただきたいです」
「そうなのかい? ふふっ、では穏やかなインドア同士仲良くしてくださいね」
「はい!」
ほんわかした雰囲気のフランクリンにつられて、アリアも穏やかに微笑んだ。
「フランク、性格変わった。つい一年前まではオドオドしていたのに」
「怪我をした後、頑張っていたからな。跡取りとしてアラステア様が正式に発表したこともあるだろう」
「実につまらん。玩具の虫で飛び上がっていたというのに」
「そんな昔の話まで持ち出さないで、ランス」
ふて腐れた様子で行儀悪く片肘をつくランスロットに、フランクリンが苦笑する。
アリアは少し失礼かと思ったけれど、思わず足を見てしまった。
「足、気になる?」
「あ! ごめんなさい」
「構わないよ。これは一年くらい前に、私が馬鹿な事をした対価なんだ。骨折して、そのまま長く放置してしまって、今も痺れが残っている」
そう話しながら左足をさするフランクリンは、今もまだ後悔をしているのか瞳を沈ませる。
けれどアリアの視線に気づいてからはパッと顔を上げて、笑みを浮かべた。
「けれど今は後悔していない。得たものと、気づいたものが多かった。俯く事が少なくなって、食らいついてでもやらなければと思う事が多くなった。実際、出来る事も多くなったと思うんだ」
「強いのですね」
「付け焼き刃だけれどね。でも側で弟が支えてくれるし、彼女も助けてくれる。迷惑かけて悲しませた分、私は彼らを護れるくらい強くなりたいんだ」
そう言うと、フランクリンは左足をポンと叩いた。
「それに、諦めてないよ。リハビリもして、自分の足で立てるようになった。次は歩けるようにね」
「はい! 私も治療頑張って、もっと動けるようにと思っています」
「お互い頑張ろうね」
「はい!」
互いに笑い合ったフランクリンとアリアを、アレクシスとランスロットがどこか微笑ましく見ていた。
その後は色々と、お互いの家の事を話していた。その中で感じたのは、アリア以外の三人は幼少期からそれとなく交流を持っていること。大人になって家の仕事を任されたりするようになって会う頻度は減ったものの、互いの情報はそれとなく把握していたこと。
それもあって、フランクリンの事件にアレクシスとランスロットは心配し、彼に何かあっても助けてやれればと気を揉んでいたようだった。
それを知ったフランクリンは申し訳ない顔をしたけれど、二人の気遣いに素直に感謝していた。
素敵な関係だと思う。同時にここに自分が入るのだと思うと、不安もあった。
本当に当主が務まるのか。この人達と同じラインに立てるのか。
いや、立たなければならないんだ。信頼してもらえる事をしていこう。今の家を維持しつつ、アリアのやりたいことを実現させてみせる。その為にはちゃんと学ばなければ。
それと同時に、苦しい思いもある。それは自分が置かれた立場や、背負わなければならないこと、そして自分の体の事や、未来の事だった。
「おかえり、アリア。集まりはどうだった?」
家に帰ってくると、仕事の合間だったのだろうアーサーが迎えてくれる。それにアリアは頷いた。
「楽しかったです。皆さんとてもいい人でした」
最後には皆が口をそろえて「妹ができたようだ」と口にした。アレクシス以外は全員実の妹がいるのだが、口をそろえて「アレは違う」と言った。どうやら理想の妹像というのが、アリアらしかった。
そんなこんなで大事にしてくれて、甘やかされてしまった。自立を目指してファウストを抑えたというのに、更に上で甘やかされる結果に多少困ってしまった。
不意にアーサーの手がアリアの頭を撫でる。見下ろす瞳は心配そうなものだった。
「アリア、背負わなくていいんだぞ」
「え?」
「シュトライザーの家がお前にとって負担になったり、何かを諦めたり、我慢しなければならない理由になるのならば、継ぐ必要はないんだ。先にも話した通り、家を返してしまってもいい」
「そんな! 今まで父様が頑張って残してきた大事なお家ですもの、簡単になくしてしまうなんて私は嫌です!」
その思いもあって家を継ぐことを決めたアリアに、アーサーはなんだか申し訳ない顔をしている。
「私は、今はファウストにも、お前にも生きたい道を選んで欲しいと思っている。大切なものを大切にできる、そんな生き方でいいと思っている」
「でも父様」
「アリア、家を枷にするのは私で最後だ。お前の意志も努力も勿論分かっているし、嬉しいと思っている。だが、自分に嘘をついたり、後悔するような生き方だけはしないでくれ。そんなのはもう、終わりにしたいんだ」
甘やかすように頭を撫でる手に、アリアは少しばかり元気をなくして「はい」と答えた。
甘えではない自立を。今まで守られていた自分を変えたい。守る側に、何かを成せる人間でありたい。
その思いを胸に、色んな事を頑張っている。けれどそれは、間違いなのだろうか?
部屋に戻ると、机の上に封筒が一つ置かれている。筆跡で誰からか直ぐにわかった。
直ぐに封を切って中を取り出すと、柔らかい筆跡で最近の事を語るウルバスの言葉が綴られている。
『アリアちゃん、新しい生活はどうだい? 少しは慣れたかな?
こちらは相変わらずの毎日かな?
ファウスト様が元気になって、第三師団は日増しに疲労困憊でね。なにせ補給した元気の分だけ部下に訓練をつけたがるんだ、君のお兄さんは。
「きつい~」「死ぬ~」なんて弱音を吐いてる年数の浅い隊員が大多数だけれど、逞しくついていく隊員も多くてね。ほんの少し前まで訓練でへばってたのに、年月が経つのは早いな。なんて、ジジイみたいな事を思ってしまうよ。
そういえば、ランバートとファウスト様は完全に元サヤみたいだよ。
この間の安息日翌日なんて、ファウスト様もの凄く甲斐甲斐しくて笑ってしまったよ。だって、ランバートを気遣って手を差し伸べたり、食事二人分持ったりしてさ。
まぁ、ランバートもまんざらではないのか恥ずかしそうに睨みながらも嫌とは言わなかったよ。
仲がいいって、素敵だね。
アリアちゃんが落ち着いたら、前に約束していた市中の案内をしたいんだけれど、どうかな?
なんて、もう市中案内なんて必要ないかな?
本音を言うと、君との約束を楽しみにしていたのは俺の方なんだ。
忙しいと思うし、無理にとは言わない。けれど息抜きにと誘ってみます。考えてくれると嬉しいかな。
ウルバスより』
静養の屋敷にいた時もこんなふうに、周りで起こった事や楽しかった話を教えてくれた。その中心はファウストだったり、ランバートだったり、彼の同期で同僚の他の師団長達だったり。アシュレー、ウェイン、オリヴァー、グリフィス、ルイーズ、キアラン。この名前は何度も出てきたから覚えてしまった。
更には目を掛けているトレヴァーという青年の事も知っている。多少落ち着きのない部分もあるけれど、有能らしい。もしかしたら自分が去った後の師団長になれたりして。なんて事を面白そうに書いていた。
アリアは机の引き出しから、綺麗な鍵付きの箱を取り出した。その中は全部、ウルバスがくれた手紙ばかり。ブローチもそこに入っている。特別な宝物だ。
胸の奥がじわっと暖かくなる。嬉しい気持ちや優しい気持ち、幸せな感情もあるのに、その分だけ今が苦しくも感じる。
少し考えて、アリアはペンを取った。ウルバスのお誘いを受ける為に。
アリアにとってめまぐるしく状況は変わり、家名まで変わってしまった。アリア・マクファーレンを改め、アリア・シュトライザーとなった彼女は現在王都で一番話題の人と言っても過言ではない。なにせ騒動後、シュトライザーの後継者となった女性なのだから。
社交界デビューも済ませはしたが、いまいち分からない事が多いアリアはとにかく戸惑った。まず、自分の周りに男性が複数押し寄せてダンスの誘いをするなんて事、彼女の人生で一度もなかったことなのだ。
ただ体の事を考えるとダンスはあまり踊れないし、アルコールも飲めない。結果、言い寄る男性を袖にする女という印象がついてしまった。
それでも友人ができた。近衛府団長オスカルの妹のオーレリアは面倒見が良くて、男性に絡まれている所を助けてくれた。言葉は強くて棘もあるけれど、不慣れなアリアを心配してくれているのは本当でとても助かっている。
その友人というオルトンにもお世話になっている。とても腰が低くて優しい人は、側にいて居心地のいい人だと思う。あと多分、オーレリアの事が好きなんだと思う。
それについてオーレリアも気づいている感じがあったので聞いてみたら、「根性出したら考えてもいいわ」と、ほんの少し天邪鬼な事を言って赤くなっていた。
それと同時に、家の仕事を父アーサーについて学び始めている。
元々勉強や読書が好きだった事もあって、あまり苦痛には感じない。ただ覚える事が膨大で、色々と不安は感じている。
建築業が生業のシュトライザー家は効率化や成果ばかりを追い求めてはいけない。職人の世界であり、義理人情の世界でもある。礼儀に五月蠅いが、気に入ってもらえれば多少の無理もしてくれる。そんな、数字で表せない世界なのだと知った。
そろそろ時刻も零時を回る。寒くなった室内は手元のランプの明かりと暖炉の暖かい炎の明かりだけがある。膝掛けにカーディガンを肩にかけ、アリアは今も本を読んでいる。
そこにノックの音がして、困り顔のヨシュアが入ってきた。
「こら、またこんな時間まで本を読んでいるのかお嬢様」
「先生。だって、全然間に合わないわ」
手元にはまだ数冊手つかずの本が残っている。どれも家の事に関する本だ。
困った顔のヨシュアが側まで来て、それらの本を取り上げてしまう。「あ!」と声を上げたアリアの頭にコツンと、とても優しい拳骨が落ちた。
「こら、寝なさい」
「でも」
「多少丈夫になったとは言え、病気が治ったわけじゃない。最近忙しいし、環境も変わったんだから無理は絶対にいけない。旦那様にもそう言われているだろ」
「あの、もう少し」
「ダメだ! 明日はサロンに呼ばれているんだろ? これ以上無理をするなら旦那様に報告するぞ」
「それだけはダメ!」
アーサーには夜の勉強をこんなに長く続けている事は秘密にしている。そして無理をしたら勉強は中止すると言われてしまっているのだ。
「今のところ顔色は悪くないが、どこかで疲れがどっと出てしまうかもしれない。いいから休みなさい」
「……分かりました」
もう少し続けていたかったという気持ちを押し殺し、アリアはノートを閉じてランプの明かりを消し、ベッドへと潜り込んだ。
ヨシュアが暖炉に掛けてある鍋に水をたっぷりと注ぎ足し、火を少し弱めてくれる。ほのかな明かりとなった暖炉の火で、室内が暖かい色合いに変わった。
「じゃ、おやすみお嬢様」
「はい、おやすみなさい先生」
出て行くヨシュアに声をかけ、アリアはトロトロと徐々に眠気に誘われて目を閉じたのだった。
翌日、アリアは招かれたサロンへと向かった。
綺麗なドレスを着る機会も多くはなったが、この日はシックなドレスを選んだ。それというのも今日のサロンは、とても特別なものだったからだ。
滑るように馬車が到着したのは、ヒッテスルバッハ本邸。そこにヨシュアと共に下りると、直ぐに執事の方が中へと案内してくれた。
本当に、溜息がでるような素晴らしい屋敷だ。調度品も品がいいし、室内も居心地良く過ごせるよう整えられている。働いている人達にも程よい緊張感があって、プロとしての威厳や自信のようなものを感じ取れた。
ちょっとお行儀悪くあちこちをキョロキョロしながら、サロンの前へと到着した。綺麗なレリーフのされたドアを執事の方がノックをして、来客を伝える。すると直ぐに入室の許可が出て、アリアはそこへと招かれた。
室内は大きな窓がバランス良く配置され、そこから差し込む陽光が明るさと暖かさを届けてくれる。その暖かさを毛足の長い絨毯が吸収しているようで、足下から暖かく感じた。
白い壁に、作り付けの棚には本も多い。絵画のほとんどが見たことのある画風で、よく見れば隅に小さくにやりと笑う猫のサイン。全部ランバートが描いた物だと分かる。
立派なグランドピアノと、その側には楽器を収めた棚もある。
暖かい色合いのマホガニーの家具からは年代と重厚感、そして長年愛されて使われたのだと分かる滑らかな艶を感じた。
その中央にある歓談用のソファーセットから、四人の人物がアリアを穏やかに迎えてくれた。
真ん中にいるのは綺麗な栗色の髪に緑色の瞳の長身の青年で、威厳と穏やかさを感じる表情でアリアを迎えてくれる。見ているほうまで背筋が伸びそうな人だ。
その左隣には少し近寄りがたい感じの、銀髪の青年が立っている。すらりとしていて背筋がよく、空気がピンと張り詰めているような気がする美青年だ。
もう一人は車椅子で、後ろには介助の女性がついている。青年自体はとても優しく柔らかな笑顔で、穏やかな木漏れ日のような空気感を持っている。キャラメル色の短い髪は輪郭に沿って丸い印象を与え、真っ直ぐに向けられる青い瞳と、銀縁の眼鏡。そのどれもが暖かいイメージを抱かせた。
「本日はよく来てくれた、アリア嬢。ホストを務めるアレクシスだ」
「こちらこそ、お招き頂き有難うございます。アリア・シュトライザーと申します」
スカートを両手で軽く持ち上げて挨拶をすると、真ん中に立つアレクシスはふと空気を緩めてくれた。
「そう硬くなることはない。ようやく四大貴族家の次期当主が揃った。今日はその顔合わせと、親睦を深めたいと思ってのことだ」
「お気を使わせてすみません。皆様から学ぶことが多々ある身です。本来なら私の方がこのような会を開き、お招きしなければいけませんのに」
「気にする事はないさ、色々とあったばかりだ。それに、シュトライザー本邸は今建て替えをしているだろ? 別宅は何かと人も多いと聞くし」
「アレクはアーサー様が多少苦手だ。顔を合わせるのが億劫なのだろう」
「ランス!」
左隣から突如声があがり、アレクシスが慌てたように声を上げる。ニッと器用に片側の口角を上げたランスロット・アイゼンシュタインの表情はどこかニヒルに映った。
「あれ、そうなのかいアレク? アーサー様、苦手だったかい?」
「フランク、君までか。別に苦手というわけではないから誤解しないでくれ、アリア嬢。会話の機会は少ないが、一代で家の再興を成し遂げた手腕等、尊敬している」
「有難うございます、アレクシスさん。それと、私の事はアリアで結構ですわ。若輩の私にお気遣い頂き、有難うございます」
苦笑するアリアに、アレクシスは一つ溜息をつき、場を引き締めるように咳払いをしてアリアをソファーへと招いてくれた。
出された香りのいい紅茶は今年取れた最高級品。出されたお菓子は季節の果物をふんだんに使ったタルト。味も甘いばかりではなく、クリームチーズの程よい酸味がきいている。
「それでは、改めて自己紹介をしよう。アレクシス・ヒッテルスバッハだ。家のランバートが何かとお世話になっている」
お茶を一口飲んでから、アレクシスがふと柔らかな表情で言ってくれる。それにアリアも応じて、ほんの少し恥ずかしげに笑った。
「こちらこそ、ランバート義兄様には助けられてばかりです。兄がお世話になっていますわ」
「君のお兄さんにも助けられているよ。それにしても、見た目は似ているのに受ける印象は全く違うのだね。あちらは覇を感じるのに、君からは清廉さを感じる」
「そんな! あの、恥ずかしいですので……」
「ほぉ、そんなに似ているのか。私は遠くからしか軍神を拝んだ事がないが、このような顔立ちなのか?」
アレクシスとアリアの会話を聞いていたランスロットが、グッとアリアに顔を近づける。その強い視線にドキリとしてしまった。とても整った顔は絵画や彫刻といった芸術品のよう。強い銀の髪に、鋭い緑色の瞳。それが距離を詰めて触れそうなくらい近いのだ。
「ランス、アリアちゃんが困ってるよ」
そう言ってアリアの腕を横から引いてくれたのは隣に座るフランクリンで、穏やかな笑みをアリアへと向けてくれた。
「ごめんね、ちょっと表情が足りなくて威圧的で距離感掴めてない人だけれど、いい人ではあるんだよ。アレで枢機卿だしね」
「フランク、お前の私への認識はそれでいいんだな?」
「構わないよ、ランス。でも初対面の、しかも女性にあんなに近づいたらダメだよ。怖いんだから」
「……以後気をつける」
「ふふっ」
グッと押し黙ったランスロットが腕を組んでそっぽを向く。それを呆然と見ていたアリアの前に、可愛らしいマカロンが置かれた。
「良かったらどうぞ。少し外れの方になるんだけれど、美味しい焼き菓子のお店があってね。可愛らしかったから」
「わぁ。有難うございます! 可愛い」
「よかった」
眼鏡の奥の青い瞳がにっこりと笑う。改めて向き直ったフランクリンは、とても優しい笑みを浮かべた。
「フランクリン・ベルギウスです。家業は商売をしているんだけれど、私は見ての通り不自由でね。屋敷に大抵いるから、遊びに来てくれると嬉しいよ」
「アリア・シュトライザーです。私も体が弱いので激しい運動等はできないのですが、是非とも遊びに行かせていただきたいです」
「そうなのかい? ふふっ、では穏やかなインドア同士仲良くしてくださいね」
「はい!」
ほんわかした雰囲気のフランクリンにつられて、アリアも穏やかに微笑んだ。
「フランク、性格変わった。つい一年前まではオドオドしていたのに」
「怪我をした後、頑張っていたからな。跡取りとしてアラステア様が正式に発表したこともあるだろう」
「実につまらん。玩具の虫で飛び上がっていたというのに」
「そんな昔の話まで持ち出さないで、ランス」
ふて腐れた様子で行儀悪く片肘をつくランスロットに、フランクリンが苦笑する。
アリアは少し失礼かと思ったけれど、思わず足を見てしまった。
「足、気になる?」
「あ! ごめんなさい」
「構わないよ。これは一年くらい前に、私が馬鹿な事をした対価なんだ。骨折して、そのまま長く放置してしまって、今も痺れが残っている」
そう話しながら左足をさするフランクリンは、今もまだ後悔をしているのか瞳を沈ませる。
けれどアリアの視線に気づいてからはパッと顔を上げて、笑みを浮かべた。
「けれど今は後悔していない。得たものと、気づいたものが多かった。俯く事が少なくなって、食らいついてでもやらなければと思う事が多くなった。実際、出来る事も多くなったと思うんだ」
「強いのですね」
「付け焼き刃だけれどね。でも側で弟が支えてくれるし、彼女も助けてくれる。迷惑かけて悲しませた分、私は彼らを護れるくらい強くなりたいんだ」
そう言うと、フランクリンは左足をポンと叩いた。
「それに、諦めてないよ。リハビリもして、自分の足で立てるようになった。次は歩けるようにね」
「はい! 私も治療頑張って、もっと動けるようにと思っています」
「お互い頑張ろうね」
「はい!」
互いに笑い合ったフランクリンとアリアを、アレクシスとランスロットがどこか微笑ましく見ていた。
その後は色々と、お互いの家の事を話していた。その中で感じたのは、アリア以外の三人は幼少期からそれとなく交流を持っていること。大人になって家の仕事を任されたりするようになって会う頻度は減ったものの、互いの情報はそれとなく把握していたこと。
それもあって、フランクリンの事件にアレクシスとランスロットは心配し、彼に何かあっても助けてやれればと気を揉んでいたようだった。
それを知ったフランクリンは申し訳ない顔をしたけれど、二人の気遣いに素直に感謝していた。
素敵な関係だと思う。同時にここに自分が入るのだと思うと、不安もあった。
本当に当主が務まるのか。この人達と同じラインに立てるのか。
いや、立たなければならないんだ。信頼してもらえる事をしていこう。今の家を維持しつつ、アリアのやりたいことを実現させてみせる。その為にはちゃんと学ばなければ。
それと同時に、苦しい思いもある。それは自分が置かれた立場や、背負わなければならないこと、そして自分の体の事や、未来の事だった。
「おかえり、アリア。集まりはどうだった?」
家に帰ってくると、仕事の合間だったのだろうアーサーが迎えてくれる。それにアリアは頷いた。
「楽しかったです。皆さんとてもいい人でした」
最後には皆が口をそろえて「妹ができたようだ」と口にした。アレクシス以外は全員実の妹がいるのだが、口をそろえて「アレは違う」と言った。どうやら理想の妹像というのが、アリアらしかった。
そんなこんなで大事にしてくれて、甘やかされてしまった。自立を目指してファウストを抑えたというのに、更に上で甘やかされる結果に多少困ってしまった。
不意にアーサーの手がアリアの頭を撫でる。見下ろす瞳は心配そうなものだった。
「アリア、背負わなくていいんだぞ」
「え?」
「シュトライザーの家がお前にとって負担になったり、何かを諦めたり、我慢しなければならない理由になるのならば、継ぐ必要はないんだ。先にも話した通り、家を返してしまってもいい」
「そんな! 今まで父様が頑張って残してきた大事なお家ですもの、簡単になくしてしまうなんて私は嫌です!」
その思いもあって家を継ぐことを決めたアリアに、アーサーはなんだか申し訳ない顔をしている。
「私は、今はファウストにも、お前にも生きたい道を選んで欲しいと思っている。大切なものを大切にできる、そんな生き方でいいと思っている」
「でも父様」
「アリア、家を枷にするのは私で最後だ。お前の意志も努力も勿論分かっているし、嬉しいと思っている。だが、自分に嘘をついたり、後悔するような生き方だけはしないでくれ。そんなのはもう、終わりにしたいんだ」
甘やかすように頭を撫でる手に、アリアは少しばかり元気をなくして「はい」と答えた。
甘えではない自立を。今まで守られていた自分を変えたい。守る側に、何かを成せる人間でありたい。
その思いを胸に、色んな事を頑張っている。けれどそれは、間違いなのだろうか?
部屋に戻ると、机の上に封筒が一つ置かれている。筆跡で誰からか直ぐにわかった。
直ぐに封を切って中を取り出すと、柔らかい筆跡で最近の事を語るウルバスの言葉が綴られている。
『アリアちゃん、新しい生活はどうだい? 少しは慣れたかな?
こちらは相変わらずの毎日かな?
ファウスト様が元気になって、第三師団は日増しに疲労困憊でね。なにせ補給した元気の分だけ部下に訓練をつけたがるんだ、君のお兄さんは。
「きつい~」「死ぬ~」なんて弱音を吐いてる年数の浅い隊員が大多数だけれど、逞しくついていく隊員も多くてね。ほんの少し前まで訓練でへばってたのに、年月が経つのは早いな。なんて、ジジイみたいな事を思ってしまうよ。
そういえば、ランバートとファウスト様は完全に元サヤみたいだよ。
この間の安息日翌日なんて、ファウスト様もの凄く甲斐甲斐しくて笑ってしまったよ。だって、ランバートを気遣って手を差し伸べたり、食事二人分持ったりしてさ。
まぁ、ランバートもまんざらではないのか恥ずかしそうに睨みながらも嫌とは言わなかったよ。
仲がいいって、素敵だね。
アリアちゃんが落ち着いたら、前に約束していた市中の案内をしたいんだけれど、どうかな?
なんて、もう市中案内なんて必要ないかな?
本音を言うと、君との約束を楽しみにしていたのは俺の方なんだ。
忙しいと思うし、無理にとは言わない。けれど息抜きにと誘ってみます。考えてくれると嬉しいかな。
ウルバスより』
静養の屋敷にいた時もこんなふうに、周りで起こった事や楽しかった話を教えてくれた。その中心はファウストだったり、ランバートだったり、彼の同期で同僚の他の師団長達だったり。アシュレー、ウェイン、オリヴァー、グリフィス、ルイーズ、キアラン。この名前は何度も出てきたから覚えてしまった。
更には目を掛けているトレヴァーという青年の事も知っている。多少落ち着きのない部分もあるけれど、有能らしい。もしかしたら自分が去った後の師団長になれたりして。なんて事を面白そうに書いていた。
アリアは机の引き出しから、綺麗な鍵付きの箱を取り出した。その中は全部、ウルバスがくれた手紙ばかり。ブローチもそこに入っている。特別な宝物だ。
胸の奥がじわっと暖かくなる。嬉しい気持ちや優しい気持ち、幸せな感情もあるのに、その分だけ今が苦しくも感じる。
少し考えて、アリアはペンを取った。ウルバスのお誘いを受ける為に。
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