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11章:暗府団長刺傷事件
6話:疑問の死
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被疑者死亡による事件の解決。
誰もがこの後味の悪い事件を無言のまま飲み込んだ。
エリオットが現場に来て検死をし、シウスとファウストが現場を検分して歩いた。
全てが終わり厚手の布に覆われ、丈夫な袋に入れられた五つの死体を運び出す。それを見送るのは、とても虚しい気分になった。
誰もがこの事件は犯人の自殺で終わりだと思った。
だがエリオットが持って来た検死結果が、それを真っ向から否定してみせた。
「彼は自殺ではなく、他殺です」
クラウルの病室にいた全員、シウス、ファウスト、ゼロス、ネイサンが驚きに息を飲む。ランバートもまた驚いていた。
「けれど、確かに彼は首を吊って……」
「死因は窒息死ですが、首を吊った時には既に亡くなっていたと思われます。本当の死因は柔らかく幅の広いもので首を絞められた絞殺です」
確信を持っているエリオットは五人分の検死結果を手にしている。それによると全員の死因が絞殺だった。
「派手な索条痕がありますが、その下に薄らと隠れるように、水平に痕が残っています。しかもこちらには青紫の変色が見られます。抵抗して首を掻きむしり、出血した傷もあります。遺体に残っていたロープの痕と角度を考え、これが自殺だったとすると間違いなく即死に近かったはずです。自分の首を掻きむしる暇もありません」
「では、彼は誰かに殺された?」
「そうなりますね」
エリオットの淡々とした報告に場は一瞬静まりかえる。だがやがて、ネイサンが動き出した。
「地下に繋いでいるノアに、この事実を伝えます。何かしらの反応があるでしょう」
「……分かった」
そんな事をすればおそらく彼はパニックになるだろう。だが確かに情報は拾えるかもしれない。そう思ったからこそ、クラウルも許可を出したのだ。
「俺も同行してもいいですか?」
「いいよ、ランバート。むしろ君が話してくれるかい? 現場を見ている人の方が伝えられると思うから」
「鬼が出るか蛇が出るか」そんな言葉を呟くネイサンの後をランバートが追う。ゼロスもついてこようとしたが、流石に止めた。良いものではないし、何よりクラウルがとても心配そうな顔をしたから。
地下の部屋では尋問も穏やかになったそうだ。無理に聞き出そうとしても彼は喋らず、やりすぎると殺してしまいそうだからとネイサンが側を離れた。クラウルが動けないまでもしっかりと舵取りをした結果、落ち着いたとも言える。
今は地下牢にいるが、ずっと無言のまま。食事も拒絶しているが、限界が来ると泣きながら小量を食べるそうだ。
この状態の彼にこんな事を伝えるのはどうなのか。思うものの事件がこれで解決していないのなら、必要な事だ。
地下牢ではなく尋問室に移されていた少年ノアはランバートを見て、感情なく俯く。続いて入ってきたネイサン相手にも同じ反応だった。
正面の椅子にランバートが座り、ネイサンが扉近くの離れた椅子に座る。それにも、ノアは顔を上げない。
「……今朝、君の弟が見つかった」
「え?」
「死体で」
「…………え?」
素朴な顔立ち。その顔が初めてランバートを見る。暫く理解が追いつかなかったのだろう。徐々に瞳が大きく見開かれていった。
「死……体? なんで……? なんで!」
「君達が生活していた部屋で、首を吊っていた。その下には行方不明になっていた娼婦四人の遺体もあった。遺書からすると、殺したのは君の双子の弟レイということになる」
「そんなはずない! あいつはそんな事する奴じゃない! 違う、これは……違うぅ」
涙が溢れ、痛そうに握った手がブルブル震えて、唇が切れてしまいそうなほど噛み締める。本当に何も知らず、何が起こったのかも分からずただ事実だけを伝えられている。そう感じた。
「これがそこに残っていた遺書だ」
ランバートが預かってきた遺書を出す。それを読んだノアは、だが首を傾げた。
「……なんて書いてあるのか、分からない」
「は?」
「レイも、字が書けない。最低限自分の名前と出身地だけは書けるように練習したし、生活に必要な最低限は読めるけれど……これは、どういう意味なんだ?」
ネイサンが怖い顔でランバートを見て、ランバートもネイサンに視線を向けて頷く。おかしいと思っていたことが確かになっていく。
「この手紙にはこう書いてあるんだ。『父に憧れて父を真似ても意味はなかった。もう逃げ切れない。ごめんなさい』と」
「父に、憧れて? 父の真似で、女の人を殺した? そんなわけない! だって、父は娼婦殺しの冤罪で死んだって! 父は人なんて殺してないんだろ?!」
ようやく事件が見えてきた。そんな予感に、ランバートは真剣な目で向き合った。
「誰がそんな事を?」
「シスター、メアリー・ホワイトだよ! 昔父と親しくしていたって言って、生活苦しいの知って色々助けてくれたんだ。教会に招いてくれて、食べさせてくれて……」
「そのシスターが、君にお父さんの事を話したのか?」
「そうだよ。俺達は生まれる前で、母さんも話してくれなかったし。王都に来て初めて父さんの事件を知ったんだ。娼婦殺しの犯人を挙げられない騎士団が証拠もないのに父さんを犯人にして捕まえて、殺したんだって」
「その実行犯が、クラウル様だと?」
ノアは黙ってコクンと頷いた。
「母さんはずっと、女手一つで俺達を育ててくれたんだ。苦労して、働き通しで、倒れても俺達に隠して、病気も隠して、仕事場で倒れて死ぬまで……」
ノアの目から新しい涙がポロポロと落ちて行く。苦労した少年の、それは愛する母への懺悔と後悔なのだろう。
「だから、こんな事件が……騎士団が父さんを冤罪と分かって捕まえて、殺したりしなかったら母さんは今頃まだ、生きてたんじゃないかって……思ったら、悔しくて辛くて憎くてたまらなかったんだ!」
悪意に踊らされたのだ、彼らは。純粋故に付け込まれ、素直故に信じ、疑わなかった。そうして植え付けられた悪意が悲しみや後悔と結んで、今回の事件になったのだろう。
「……君のお父さんは、君達の存在も知らなかったんだ。君のお父さんとお母さんは好き合っていたけれど、お父さんへ向けられた悪意がお母さんを退けてしまった。子供が、好きだったみたいだよ。知っていたらきっと、喜んだ」
「そんな、信じない……」
「……レイは自殺に見えたけれど、殺された可能性が出てる。調べて、必ず犯人を捕まえる。協力してほしい。君がシスターと出会ったのは、いつ?」
ノアは暫く俯いたまま黙っていた。けれどやがて小さな声でボソボソと話し出した。
「去年の、十一月。王都に来ても字も読めないし、書けないから肉体労働ばかりで……お腹も空いて。怖い人も多くて、怯えてた。もう田舎に帰ろうかと思っていたときだった」
「なんて?」
「俺達を見て、父さんの知り合いだって。古い教会に連れていってくれて、温かい食事をくれて、父さんの事を話してくれた」
完全につけいるつもりだったに違いない。当時の事件の調書にはティムの似せ絵も残っていた。それと彼らの顔立ちは似ている。間違いなく親子だと思える。だから分かったんだ。
「父さんは医者で、事件の被害者が全員父さんの患者で、疑われて……でも犯人が捕まらないままで焦った騎士団が父さんを犯人に仕立て上げたって」
「信じた?」
「……俺達は父さんの事を知らない。母さんに聞いても教えてくれなかった。名前も、何をしていたのかもシスターが教えてくれたんだ。昔、よくしてもらったんだって。見かけて、似ていたからそうじゃないかって」
泣きすぎてヒクヒクと音がする。もの凄く後味の悪い光景だ。
「そのシスターが連れて行ってくれた教会は、どこにあるんだ?」
「分からない。俺達この町の事よく分からないままだから。えっと……綺麗なお屋敷とかがある場所から、少し上がっていった所にある教会。小さくて、古くて汚れてた。シスターはここを直しているって言ってた」
おそらく西地区。そこから少し上がった場所にある廃教会。ならば西を当たれば何か目撃が出る可能性がある。
「分かった、有り難う。ノア、真剣に聞いて欲しい。君の罪はきっと、そう重いものにはならない。俺達がちゃんと証明してみせる。レイにもあらぬ罪は負わせない」
「会い、たい……」
「今は、ごめん。検死とかもしたから。でも絶対に綺麗にして会わせてあげるから」
それだけを伝えるのが精一杯な気がした。勿論お願いするつもりだが、罪状については何とも言えない。どれだけ庇っても殺人未遂は消せないだろう。
ランバートは立ち上がり、牢へノアをつれて行く隊員が入ってくる。その隊員に「気を付けて見ていて」と伝えておいた。
ランバートとネイサンだけになって、ネイサンが近づいてくる。そして残された遺書を手に取って、それを懐に入れた。
「どうするんですか?」
「どんな人間でも大抵、ここに入ってくる時に書くものがある。その筆跡とこの遺書を照らし合わせて、筆跡の癖を見つけるんだ」
「出来ますか?」
「勿論だよ。俺達が得意とするのはこうした地固めなんだ。筆跡鑑定なんてお手の物。それに、ある程度犯人の目星はついているんだよね。ということで、君に預けてある調書を借りてもいいかい?」
「構いません。俺も、その可能性を考えていました」
この事件の裏に潜むシスター。その正体はたった一人だとランバートも予測している。後はその証拠を掴み、当人を捕まえるだけだ。
「至急関所に連絡を回します。ただ、既に王都を離れている可能性も高い」
「そうだね。クラウル様の事件が起こってから既に三日が経っている。偽名と変装は当然と考えると、ちょっと厄介だね」
今から関所に伝え、そこから各地の砦と関所へも話を回して……どのくらいかかるだろう。見つけ出すには帝国は広すぎる。
「俺はこのままこの遺書を証拠品にできるよう動く。ランバートは犯人捜しね」
「分かりました」
ネイサンと別れたランバートはその足で真っ直ぐ関所へと向かう。不審なシスター、もしくは女性がいたら質問して、逃がさないようにと。
だが悪い事は重なっていくのだろう。ノアが医務室に運ばれたと聞いたのは、日付が変わる少し前だった。
医務室へと急ぎ足で向かったランバートを、エリオットが少し疲れたように迎えてくれた。
「自殺未遂、ですか……」
「えぇ。貴方が見回りを強化する様に言ってくれたおかげで助かりました。今は拘束着に猿轡で、ベッドに固定しています。可哀想ですが、仕方がありません」
その報告に僅かにホッとしたものの、ランバートとしてはいたたまれない。弟の死を知らないままでいられたかもしれないのに。
「……エリオット様、レイの遺体はまだですか?」
問うと、エリオットは静かに頷いた。
「検死もしていますし、死体の状態が悪かったので、修復に時間がかかっています。それにあの子の場合引き取り手がノアしかいませんから、このままだと無縁者の墓に合葬になります」
「女性達は?」
「ミス・クリスティーナの使いだという人と連絡が取れましたので、復元してお渡しいたしました。何でも、身寄りのない娘達を街で弔うのだとか」
「えぇ、そういう場所があります」
古い、普段は人のいない教会だ。そこは街の娘達全員がフラリときては花を手向け、掃除をしていく。縁もゆかりもない娘が多い街だから、いつか自分もそうなったときに入る場所だ。だから長く、皆で守っている大事な場所でもある。
「では、残っているのはレイだけですね。エリオット様が修復を?」
「いえ。私もやりますが、今回は損傷が激しいので専門家に任せました」
「専門家?」
そんな人、いただろうか?
思い当たらず首を傾げると、エリオットは苦笑して立ち上がった。
「今やっているはずです。伝えたい事がありそうですし、行きますか?」
「……お願いします」
またあの状態の彼に会うのかと思うと気の毒な気分になってくる。しかも唆された結果殺されたのだと確信しているから余計に。
エリオットに連れられて向かったのは、地下牢とは違う地下の部屋。エリオットの実験室などがある場所の近くにあった。
鉄製の扉を押し開けると頑丈な診察台があり、立派な手術道具が揃い、側には見慣れないものもある。沢山のランプで明かりを確保したその中に、頑丈な布で出来た貫頭衣を着た、濃いブラウンの髪を一つに括った人物を見つけた。
「バーニー医師、お疲れ様です」
声に反応したその人物は首だけクルリと振り向く。
濃いブラウンの瞳に、丸い眼鏡。少し角張っている顎には無精ひげを生やしている。ワイシャツの袖を肘上までたくし上げた彼の手元や貫頭衣は汚れていた。
「あら、エリオット先生か。それにそちらは……やや? こんな場所に騎兵府補佐官殿がいらっしゃるとは」
バーニー医師は側にある大きな鉄製のボールで手を洗うと綺麗な布で拭き、こちらへと近づいてきた。
彼の事は知っている。医療府のスタッフで比較的研究職に近い人物だ。死因を調べる検死や、病気や怪我の治療法を考えるのが専門で、あまり表には出てこない。
だが、死体復元が専門だとは知らなかった。
「彼がそちらの子のことで話があるようでしたので」
「おや、そうなのかい?」
首を傾げた彼は意外にも背が高い。おそらくファウストと並んで遜色ないくらいだ。ただ筋肉質ではなく、縦にひょろ長いという印象がある。
「ちょうど大がかりな部分が終わった所だから、会ってやってくれるかねぇ? この子も寂しそうだからね」
「寂しい?」
遺体にそんな感情はない。と、思う。だが、バーニーは至極当然のように頷いた。
「殺されて、吊されて、首が千切れかけて発見されるなんて、悲しいじゃないか。とても素直そうな子なのに、惨いもんだよ。出来るだけ話しかけてやりながら治してやったんだが、それでも俺一人じゃ寂しいだろ?」
まるで生きている人に接するように復元をしているバーニーを不思議に見ながらも、気持ち悪いとか不気味とかは思わない。こんな風に扱ってもらえるのかと驚いてしまった。
案内されるまま診察台へと向かったランバートが見たのは、首の復元を終えたレイの穏やかな寝顔だった。
「ギリギリだったが、あの段階で見つけてくれてよかったよ。もしも一日遅ければこの子の首は千切れていたかもしれない」
「千切れ!」
「元々の筋力もなかったんだね。とても筋肉量が少なかった。骨も弱かったかな。そんな子が長く細いロープで吊されていたら、まず骨が耐えられない。首から下の重さを支えきれなくなった骨が外れて、そこから筋肉が引っ張られて伸びる。そして耐えられなくなったところで、ブチリだ」
「っ」
想像するだけでゾワリと背に寒気が走り、ランバートは自分の首を思わず撫でた。その様子を見たバーニーが大いに笑っている。
「ランバート殿は繊細だねぇ。いや、俺が少しずれてんのか。長くこんな事をやってると、色んな意味で慣れちまうんだよ」
「すいません」
「いいって。それで、俺に頼み事ってのはなんだい?」
「……レイを、出来るだけ綺麗にしてあげて欲しいんです。そして、会わせてあげたいんですが」
「うーん」
バーニーは少し眉を寄せて顎を一撫で擦る。そうして少し考えた後で、パンと自身の膝を叩いた。
「復元は元の状態に戻すのが仕事だが、ここはもう一つ綺麗にしてやるか」
「バーニー医師」
「死体ってのは色々語る。死因、そこまでの健康状態、持病や、犯人への証拠。だがそれを語り終えてもまだ何か出来る事があるとしたら、生きてる人間に力を与えてやることだ。その手伝い、しようじゃないか」
ニッと男臭い笑みを浮かべた人に、ランバートは深く頭を下げた。
「ここから先は企業秘密だ」と言って、バーニーはランバートとエリオットを部屋から出した。地上に戻り、息を思いきり吸い込むと新鮮な空気が入ってくる。そして、人心地ついた。
「おそらく、かなり大変なものを見せる事になるから出したのでしょうね」
「え?」
「あの子の死体。長く置いておくなら防腐処理も少ししなくてはなりません。どうやるか、知っていますか?」
「いいえ、流石に」
「内臓から腐るんです。だから内臓を取り除き、中を洗浄して防腐剤を使うんです。そこからおがくずを詰めて肉付きを戻して、傷を綺麗に縫っていく。顔も窪んできますから、口の中に綿を含ませたりして落ち込まないようにするんです。あまり、気分は……ランバート?」
「……食事、消化しきっててよかったです」
思わず酸っぱいものがこみ上げてきそうな話に口元に手を当てる。キョトンとしたエリオットは次に笑った。
翌日、拘束具を外したノアに付き添って、ランバートは宿舎の教会に来た。
そこには小さめの棺が一つ置いてあり、中には綺麗になったレイが静かに眠っている。死化粧がされて顔色もよく、胸の上で手を組んで、花に囲まれていた。
「っ!」
「……綺麗に、なってるかな?」
ヨロヨロと近づいたノアが、棺の側でがくりと膝から崩れる。冷たい手に触れ、頬に触れて、一杯の涙をこぼした彼の泣き声は苦しすぎて聞いていられなかった。
そうして一時間近くノアは泣いて……やがてスッと立ち上がった。
「大丈夫か?」
「……シスターが、殺したの?」
「……まだ分からない。でも、その線が濃厚だと思う。捜査してる」
「見つけたら、どんな罪になるの? 処刑、されるよね?」
「それはまだ分からない。裁判によるから」
「……殺してやる」
俯いたまま強く握った手が震えている。地の底から這うような低い声が、不穏な言葉を発した。
「ノア」
「許さない……絶対に、許さない……」
そう言って僅かにこちらを見上げた彼の目はとても暗くて、淀んでいるように見えた。
誰もがこの後味の悪い事件を無言のまま飲み込んだ。
エリオットが現場に来て検死をし、シウスとファウストが現場を検分して歩いた。
全てが終わり厚手の布に覆われ、丈夫な袋に入れられた五つの死体を運び出す。それを見送るのは、とても虚しい気分になった。
誰もがこの事件は犯人の自殺で終わりだと思った。
だがエリオットが持って来た検死結果が、それを真っ向から否定してみせた。
「彼は自殺ではなく、他殺です」
クラウルの病室にいた全員、シウス、ファウスト、ゼロス、ネイサンが驚きに息を飲む。ランバートもまた驚いていた。
「けれど、確かに彼は首を吊って……」
「死因は窒息死ですが、首を吊った時には既に亡くなっていたと思われます。本当の死因は柔らかく幅の広いもので首を絞められた絞殺です」
確信を持っているエリオットは五人分の検死結果を手にしている。それによると全員の死因が絞殺だった。
「派手な索条痕がありますが、その下に薄らと隠れるように、水平に痕が残っています。しかもこちらには青紫の変色が見られます。抵抗して首を掻きむしり、出血した傷もあります。遺体に残っていたロープの痕と角度を考え、これが自殺だったとすると間違いなく即死に近かったはずです。自分の首を掻きむしる暇もありません」
「では、彼は誰かに殺された?」
「そうなりますね」
エリオットの淡々とした報告に場は一瞬静まりかえる。だがやがて、ネイサンが動き出した。
「地下に繋いでいるノアに、この事実を伝えます。何かしらの反応があるでしょう」
「……分かった」
そんな事をすればおそらく彼はパニックになるだろう。だが確かに情報は拾えるかもしれない。そう思ったからこそ、クラウルも許可を出したのだ。
「俺も同行してもいいですか?」
「いいよ、ランバート。むしろ君が話してくれるかい? 現場を見ている人の方が伝えられると思うから」
「鬼が出るか蛇が出るか」そんな言葉を呟くネイサンの後をランバートが追う。ゼロスもついてこようとしたが、流石に止めた。良いものではないし、何よりクラウルがとても心配そうな顔をしたから。
地下の部屋では尋問も穏やかになったそうだ。無理に聞き出そうとしても彼は喋らず、やりすぎると殺してしまいそうだからとネイサンが側を離れた。クラウルが動けないまでもしっかりと舵取りをした結果、落ち着いたとも言える。
今は地下牢にいるが、ずっと無言のまま。食事も拒絶しているが、限界が来ると泣きながら小量を食べるそうだ。
この状態の彼にこんな事を伝えるのはどうなのか。思うものの事件がこれで解決していないのなら、必要な事だ。
地下牢ではなく尋問室に移されていた少年ノアはランバートを見て、感情なく俯く。続いて入ってきたネイサン相手にも同じ反応だった。
正面の椅子にランバートが座り、ネイサンが扉近くの離れた椅子に座る。それにも、ノアは顔を上げない。
「……今朝、君の弟が見つかった」
「え?」
「死体で」
「…………え?」
素朴な顔立ち。その顔が初めてランバートを見る。暫く理解が追いつかなかったのだろう。徐々に瞳が大きく見開かれていった。
「死……体? なんで……? なんで!」
「君達が生活していた部屋で、首を吊っていた。その下には行方不明になっていた娼婦四人の遺体もあった。遺書からすると、殺したのは君の双子の弟レイということになる」
「そんなはずない! あいつはそんな事する奴じゃない! 違う、これは……違うぅ」
涙が溢れ、痛そうに握った手がブルブル震えて、唇が切れてしまいそうなほど噛み締める。本当に何も知らず、何が起こったのかも分からずただ事実だけを伝えられている。そう感じた。
「これがそこに残っていた遺書だ」
ランバートが預かってきた遺書を出す。それを読んだノアは、だが首を傾げた。
「……なんて書いてあるのか、分からない」
「は?」
「レイも、字が書けない。最低限自分の名前と出身地だけは書けるように練習したし、生活に必要な最低限は読めるけれど……これは、どういう意味なんだ?」
ネイサンが怖い顔でランバートを見て、ランバートもネイサンに視線を向けて頷く。おかしいと思っていたことが確かになっていく。
「この手紙にはこう書いてあるんだ。『父に憧れて父を真似ても意味はなかった。もう逃げ切れない。ごめんなさい』と」
「父に、憧れて? 父の真似で、女の人を殺した? そんなわけない! だって、父は娼婦殺しの冤罪で死んだって! 父は人なんて殺してないんだろ?!」
ようやく事件が見えてきた。そんな予感に、ランバートは真剣な目で向き合った。
「誰がそんな事を?」
「シスター、メアリー・ホワイトだよ! 昔父と親しくしていたって言って、生活苦しいの知って色々助けてくれたんだ。教会に招いてくれて、食べさせてくれて……」
「そのシスターが、君にお父さんの事を話したのか?」
「そうだよ。俺達は生まれる前で、母さんも話してくれなかったし。王都に来て初めて父さんの事件を知ったんだ。娼婦殺しの犯人を挙げられない騎士団が証拠もないのに父さんを犯人にして捕まえて、殺したんだって」
「その実行犯が、クラウル様だと?」
ノアは黙ってコクンと頷いた。
「母さんはずっと、女手一つで俺達を育ててくれたんだ。苦労して、働き通しで、倒れても俺達に隠して、病気も隠して、仕事場で倒れて死ぬまで……」
ノアの目から新しい涙がポロポロと落ちて行く。苦労した少年の、それは愛する母への懺悔と後悔なのだろう。
「だから、こんな事件が……騎士団が父さんを冤罪と分かって捕まえて、殺したりしなかったら母さんは今頃まだ、生きてたんじゃないかって……思ったら、悔しくて辛くて憎くてたまらなかったんだ!」
悪意に踊らされたのだ、彼らは。純粋故に付け込まれ、素直故に信じ、疑わなかった。そうして植え付けられた悪意が悲しみや後悔と結んで、今回の事件になったのだろう。
「……君のお父さんは、君達の存在も知らなかったんだ。君のお父さんとお母さんは好き合っていたけれど、お父さんへ向けられた悪意がお母さんを退けてしまった。子供が、好きだったみたいだよ。知っていたらきっと、喜んだ」
「そんな、信じない……」
「……レイは自殺に見えたけれど、殺された可能性が出てる。調べて、必ず犯人を捕まえる。協力してほしい。君がシスターと出会ったのは、いつ?」
ノアは暫く俯いたまま黙っていた。けれどやがて小さな声でボソボソと話し出した。
「去年の、十一月。王都に来ても字も読めないし、書けないから肉体労働ばかりで……お腹も空いて。怖い人も多くて、怯えてた。もう田舎に帰ろうかと思っていたときだった」
「なんて?」
「俺達を見て、父さんの知り合いだって。古い教会に連れていってくれて、温かい食事をくれて、父さんの事を話してくれた」
完全につけいるつもりだったに違いない。当時の事件の調書にはティムの似せ絵も残っていた。それと彼らの顔立ちは似ている。間違いなく親子だと思える。だから分かったんだ。
「父さんは医者で、事件の被害者が全員父さんの患者で、疑われて……でも犯人が捕まらないままで焦った騎士団が父さんを犯人に仕立て上げたって」
「信じた?」
「……俺達は父さんの事を知らない。母さんに聞いても教えてくれなかった。名前も、何をしていたのかもシスターが教えてくれたんだ。昔、よくしてもらったんだって。見かけて、似ていたからそうじゃないかって」
泣きすぎてヒクヒクと音がする。もの凄く後味の悪い光景だ。
「そのシスターが連れて行ってくれた教会は、どこにあるんだ?」
「分からない。俺達この町の事よく分からないままだから。えっと……綺麗なお屋敷とかがある場所から、少し上がっていった所にある教会。小さくて、古くて汚れてた。シスターはここを直しているって言ってた」
おそらく西地区。そこから少し上がった場所にある廃教会。ならば西を当たれば何か目撃が出る可能性がある。
「分かった、有り難う。ノア、真剣に聞いて欲しい。君の罪はきっと、そう重いものにはならない。俺達がちゃんと証明してみせる。レイにもあらぬ罪は負わせない」
「会い、たい……」
「今は、ごめん。検死とかもしたから。でも絶対に綺麗にして会わせてあげるから」
それだけを伝えるのが精一杯な気がした。勿論お願いするつもりだが、罪状については何とも言えない。どれだけ庇っても殺人未遂は消せないだろう。
ランバートは立ち上がり、牢へノアをつれて行く隊員が入ってくる。その隊員に「気を付けて見ていて」と伝えておいた。
ランバートとネイサンだけになって、ネイサンが近づいてくる。そして残された遺書を手に取って、それを懐に入れた。
「どうするんですか?」
「どんな人間でも大抵、ここに入ってくる時に書くものがある。その筆跡とこの遺書を照らし合わせて、筆跡の癖を見つけるんだ」
「出来ますか?」
「勿論だよ。俺達が得意とするのはこうした地固めなんだ。筆跡鑑定なんてお手の物。それに、ある程度犯人の目星はついているんだよね。ということで、君に預けてある調書を借りてもいいかい?」
「構いません。俺も、その可能性を考えていました」
この事件の裏に潜むシスター。その正体はたった一人だとランバートも予測している。後はその証拠を掴み、当人を捕まえるだけだ。
「至急関所に連絡を回します。ただ、既に王都を離れている可能性も高い」
「そうだね。クラウル様の事件が起こってから既に三日が経っている。偽名と変装は当然と考えると、ちょっと厄介だね」
今から関所に伝え、そこから各地の砦と関所へも話を回して……どのくらいかかるだろう。見つけ出すには帝国は広すぎる。
「俺はこのままこの遺書を証拠品にできるよう動く。ランバートは犯人捜しね」
「分かりました」
ネイサンと別れたランバートはその足で真っ直ぐ関所へと向かう。不審なシスター、もしくは女性がいたら質問して、逃がさないようにと。
だが悪い事は重なっていくのだろう。ノアが医務室に運ばれたと聞いたのは、日付が変わる少し前だった。
医務室へと急ぎ足で向かったランバートを、エリオットが少し疲れたように迎えてくれた。
「自殺未遂、ですか……」
「えぇ。貴方が見回りを強化する様に言ってくれたおかげで助かりました。今は拘束着に猿轡で、ベッドに固定しています。可哀想ですが、仕方がありません」
その報告に僅かにホッとしたものの、ランバートとしてはいたたまれない。弟の死を知らないままでいられたかもしれないのに。
「……エリオット様、レイの遺体はまだですか?」
問うと、エリオットは静かに頷いた。
「検死もしていますし、死体の状態が悪かったので、修復に時間がかかっています。それにあの子の場合引き取り手がノアしかいませんから、このままだと無縁者の墓に合葬になります」
「女性達は?」
「ミス・クリスティーナの使いだという人と連絡が取れましたので、復元してお渡しいたしました。何でも、身寄りのない娘達を街で弔うのだとか」
「えぇ、そういう場所があります」
古い、普段は人のいない教会だ。そこは街の娘達全員がフラリときては花を手向け、掃除をしていく。縁もゆかりもない娘が多い街だから、いつか自分もそうなったときに入る場所だ。だから長く、皆で守っている大事な場所でもある。
「では、残っているのはレイだけですね。エリオット様が修復を?」
「いえ。私もやりますが、今回は損傷が激しいので専門家に任せました」
「専門家?」
そんな人、いただろうか?
思い当たらず首を傾げると、エリオットは苦笑して立ち上がった。
「今やっているはずです。伝えたい事がありそうですし、行きますか?」
「……お願いします」
またあの状態の彼に会うのかと思うと気の毒な気分になってくる。しかも唆された結果殺されたのだと確信しているから余計に。
エリオットに連れられて向かったのは、地下牢とは違う地下の部屋。エリオットの実験室などがある場所の近くにあった。
鉄製の扉を押し開けると頑丈な診察台があり、立派な手術道具が揃い、側には見慣れないものもある。沢山のランプで明かりを確保したその中に、頑丈な布で出来た貫頭衣を着た、濃いブラウンの髪を一つに括った人物を見つけた。
「バーニー医師、お疲れ様です」
声に反応したその人物は首だけクルリと振り向く。
濃いブラウンの瞳に、丸い眼鏡。少し角張っている顎には無精ひげを生やしている。ワイシャツの袖を肘上までたくし上げた彼の手元や貫頭衣は汚れていた。
「あら、エリオット先生か。それにそちらは……やや? こんな場所に騎兵府補佐官殿がいらっしゃるとは」
バーニー医師は側にある大きな鉄製のボールで手を洗うと綺麗な布で拭き、こちらへと近づいてきた。
彼の事は知っている。医療府のスタッフで比較的研究職に近い人物だ。死因を調べる検死や、病気や怪我の治療法を考えるのが専門で、あまり表には出てこない。
だが、死体復元が専門だとは知らなかった。
「彼がそちらの子のことで話があるようでしたので」
「おや、そうなのかい?」
首を傾げた彼は意外にも背が高い。おそらくファウストと並んで遜色ないくらいだ。ただ筋肉質ではなく、縦にひょろ長いという印象がある。
「ちょうど大がかりな部分が終わった所だから、会ってやってくれるかねぇ? この子も寂しそうだからね」
「寂しい?」
遺体にそんな感情はない。と、思う。だが、バーニーは至極当然のように頷いた。
「殺されて、吊されて、首が千切れかけて発見されるなんて、悲しいじゃないか。とても素直そうな子なのに、惨いもんだよ。出来るだけ話しかけてやりながら治してやったんだが、それでも俺一人じゃ寂しいだろ?」
まるで生きている人に接するように復元をしているバーニーを不思議に見ながらも、気持ち悪いとか不気味とかは思わない。こんな風に扱ってもらえるのかと驚いてしまった。
案内されるまま診察台へと向かったランバートが見たのは、首の復元を終えたレイの穏やかな寝顔だった。
「ギリギリだったが、あの段階で見つけてくれてよかったよ。もしも一日遅ければこの子の首は千切れていたかもしれない」
「千切れ!」
「元々の筋力もなかったんだね。とても筋肉量が少なかった。骨も弱かったかな。そんな子が長く細いロープで吊されていたら、まず骨が耐えられない。首から下の重さを支えきれなくなった骨が外れて、そこから筋肉が引っ張られて伸びる。そして耐えられなくなったところで、ブチリだ」
「っ」
想像するだけでゾワリと背に寒気が走り、ランバートは自分の首を思わず撫でた。その様子を見たバーニーが大いに笑っている。
「ランバート殿は繊細だねぇ。いや、俺が少しずれてんのか。長くこんな事をやってると、色んな意味で慣れちまうんだよ」
「すいません」
「いいって。それで、俺に頼み事ってのはなんだい?」
「……レイを、出来るだけ綺麗にしてあげて欲しいんです。そして、会わせてあげたいんですが」
「うーん」
バーニーは少し眉を寄せて顎を一撫で擦る。そうして少し考えた後で、パンと自身の膝を叩いた。
「復元は元の状態に戻すのが仕事だが、ここはもう一つ綺麗にしてやるか」
「バーニー医師」
「死体ってのは色々語る。死因、そこまでの健康状態、持病や、犯人への証拠。だがそれを語り終えてもまだ何か出来る事があるとしたら、生きてる人間に力を与えてやることだ。その手伝い、しようじゃないか」
ニッと男臭い笑みを浮かべた人に、ランバートは深く頭を下げた。
「ここから先は企業秘密だ」と言って、バーニーはランバートとエリオットを部屋から出した。地上に戻り、息を思いきり吸い込むと新鮮な空気が入ってくる。そして、人心地ついた。
「おそらく、かなり大変なものを見せる事になるから出したのでしょうね」
「え?」
「あの子の死体。長く置いておくなら防腐処理も少ししなくてはなりません。どうやるか、知っていますか?」
「いいえ、流石に」
「内臓から腐るんです。だから内臓を取り除き、中を洗浄して防腐剤を使うんです。そこからおがくずを詰めて肉付きを戻して、傷を綺麗に縫っていく。顔も窪んできますから、口の中に綿を含ませたりして落ち込まないようにするんです。あまり、気分は……ランバート?」
「……食事、消化しきっててよかったです」
思わず酸っぱいものがこみ上げてきそうな話に口元に手を当てる。キョトンとしたエリオットは次に笑った。
翌日、拘束具を外したノアに付き添って、ランバートは宿舎の教会に来た。
そこには小さめの棺が一つ置いてあり、中には綺麗になったレイが静かに眠っている。死化粧がされて顔色もよく、胸の上で手を組んで、花に囲まれていた。
「っ!」
「……綺麗に、なってるかな?」
ヨロヨロと近づいたノアが、棺の側でがくりと膝から崩れる。冷たい手に触れ、頬に触れて、一杯の涙をこぼした彼の泣き声は苦しすぎて聞いていられなかった。
そうして一時間近くノアは泣いて……やがてスッと立ち上がった。
「大丈夫か?」
「……シスターが、殺したの?」
「……まだ分からない。でも、その線が濃厚だと思う。捜査してる」
「見つけたら、どんな罪になるの? 処刑、されるよね?」
「それはまだ分からない。裁判によるから」
「……殺してやる」
俯いたまま強く握った手が震えている。地の底から這うような低い声が、不穏な言葉を発した。
「ノア」
「許さない……絶対に、許さない……」
そう言って僅かにこちらを見上げた彼の目はとても暗くて、淀んでいるように見えた。
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