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ギベオン公爵家05 『観客席より』
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『このまま行けば、早晩我々は揃って断頭台に立つことになるでしょう』
六年前、五つ年下の少年に言われた言葉をアデレードは思い出す。
王子妃教育の為に王宮に上がっていたアデレードは、婚約者であったユージーン殿下の弟・ジャスティン殿下に声を掛けられたのだ。まだ13歳のジャスティン殿下に言われたところで、戯言だと初めの内は取り合わなかった。けれどもジャスティン殿下が、子飼いのレイチェルと言う娘を使って、ユージーン殿下達を意のままに操っている様を見て、耳を傾けることに決めたのだ。
『ここ百年は平和が続き、貴族達は現状をより良いものに変えていこうと言う者よりも、今ある富を失わないようにと根回しする者が増えてきたように思います』
『それはいけないことかしら?』
『いいえ。しかし、下位の者達を押さえつけ、搾取し、自分達だけが豊かに暮らそうとする人間に反発しない者はいるでしょうか?』
『つまり革命を危惧していらっしゃると?』
『現にレヴェヨン王国では、その機運が高まっているという話ではありませんか』
レヴェヨン王国は近い国ではないが国交はある。こちらの国もオーア王国と同様に長く平和な王朝が続いていて、貴族達の専横政治が目立つという話を聞く。貴族達が国家予算を自分達の懐に入るように法を捻じ曲げ、正そうとする王家の邪魔をする。本来当てられるべき福祉や教育の予算を奪われた国民は飢えていった。
それと同時に、有産階級の台頭である。近年、航海技術の発展により、大規模な航海が可能となった。貿易が盛んとなり、それによって巨額の富を得る商人達が増えたのだ。彼らは逼迫する貴族に結婚と引き換えに融資を行ったり、地方の領主の加護を得て貴族と同等の待遇を得るなどして、政治に参画しようとしてきた。彼らもまた、己の懐を潤わせる為に有利な法律を作りたいのである。
『恐らくこのまま進めば、貴族と有産階級との間で大きな争いが起こることでしょう』
『そして、その隙を突いて他国から侵略を受ける可能性もあり得ると、ジャスティン殿下は考えるのですね』
アデレードが尋ねると、ジャスティンは頷いて続ける。
『これまで搾取してきた貴族よりも、経済を握る有産階級の方に民衆はつくでしょう。圧倒的に数が少ない貴族は武力で来られれば勝ち目がない』
その結果が、王族とそれに準ずる大貴族達の粛清である。ジャスティンもアデレードも対象になるだろう。見知った者達が次々に処刑されていく様を想像し、アデレードは恐怖に体が震え、思わず自分自身を抱きしめるように体を擦った。
ジャスティン殿下もまた腐敗した貴族社会は国家を継続させる上で改める必要があると理解しているが、だからといって自分が死ぬのは御免であった。家族や周囲の人々も、先祖代々貴族だからというだけで殺されるのだ。理不尽ではないか。それ以外に生きる道は許されないと言うのに。
『私はできるだけ穏便な形で、革命を終わらせたいと思うのです』
革命は避けられない。それぞれの意志は固く、そして体制というものは生半可な事象では覆すことはできないのだ。貴族と民衆の両方に流れる血が最小限になるような革命にしたいとジャスティン殿下はアデレードに打ち明けたのだった。
ジャスティン殿下の言葉を全て信じたわけではない。だが、もしも予言通りになってしまえば、アデレードも家族も断頭台の露となって消えることだろう。それだけは嫌だった。もっと生きていたかった。
――アデレードはジャスティン殿下に協力することを決めたのだった。
ジャスティン殿下は、レイチェルを使ってユージーン殿下達を篭絡し、アデレードとの婚約を破棄させた。そしてアデレードは両親や弟を煽り、ギベオン公爵家が王宮を辞すように働きかけたのだった。
一門を裏切った娘達も仕込みで、彼女達はグランディディエライト子爵家の商会で平民として働いているらしい。元々、親に無理やり悪徳商人に金と引き換えに嫁がされるところだったらしいので、勘当されることは渡りに船だったのだとか。レイチェルといい、モルガナイト男爵家といい、その娘達といい、一体どこからそんな人材を見つけてくるのか。ジャスティン殿下の鑑識眼には心底恐れ入ったのだった。
この一件で、唯一割を食った兄パトリックも、婿入り先では妻に尻に敷かれながらも、夫婦仲良く暮らしているらしい。両親やサミュエルが罪悪感を煽りに煽ったらしいが、アデレード自身はパトリックを恨む気持ちは無い。むしろ跡取りという立場を失わせてしまったことを申し訳なく思っているくらいだ。真実を話すことはできないが、いつか和解できたら良いとさえ思っている。
ギベオン公爵家一門が、一斉に王宮の職を辞して領地に戻った時、アデレードも両親達と共にギベオン公爵領にやって来た。物心ついた時には既に王都で暮らしていたアデレードは、王都に比べて牧歌的な領地を大変気に入った。身内の者ばかりの土地はアデレードに優しく、疲れた心を癒すように毎日をゆっくりと過ごすことが出来たのだった。
怒りに任せて王都を出てきた両親も、最初は王都の様子を逐一報告させて反撃の機会を窺っていたようだが、改めて領地の運営を見直すと、色々と問題が出てきて、そちらに掛かり切りになってしまった。ギベオン公爵家は建国以来の臣下とあって、治める領地も広い。複数の代理人に任せていたのだが、技術の遅れた地域や福祉や教育が末端にまで浸透していない様子を目の当たりにして、改革に乗り出したのだった。
報告書だけでは分からなかったと大層悔やんで、父公爵は跡取りとなったサミュエルと共に領地を巡っている。平時でありながらも、派閥争いに目を光らせていた父も、随分と明るい顔をしているように見えた。己の行いが民の暮らしに直結していると言う事実に遣り甲斐を見出しているのだろう。
「姉上、王都から手紙ですよ」
部屋に入って来たのは弟のサミュエルであった。サミュエルは婚約者となったグレースと一昨年結婚し、昨年息子が生まれた。こちらもまた他に手が回らないほど、新しい家族に夢中である。
手渡された手紙を見れば、学院で同学年であったメイベル・オニキス伯爵令嬢であった。ジャスティン殿下からの連絡によると、一月後に新しく婚約者になったエドワード・グランディディエライト子爵令息と婚姻するのだとか。彼女もまた、預かり知らぬところで運命を操られた人間の一人だ。
「安否の確認と学院在籍時に力になれなかったことの謝罪の手紙のようね」
コランダム公爵の企みについて注進してきた時も思ったが、随分と生真面目な令嬢なのだなとアデレードは改めて思ったのだった。
「今、王都は大変なようですよ」
「あら?そうなの」
空とぼけて見せたが、もちろん知っている。
ジャスティン殿下が新たな合議制を提案したのだ。貴族からなる元老院と有産階級を中心とした市民で構成する市民院による、これまでの封建社会を覆す提案に、国中が騒然としたのだった。自分達の権益が侵されることを恐れる貴族と自分達の権利を主張できると歓喜する市民達と反応はそれぞれだったが、ギベオン公爵家やコランダム公爵家が一線を退き、市民に人気の高いラズライト伯爵家やフローライト伯爵家やグランディディエライト子爵家といった市民達に近い貴族達がジャスティン殿下の後ろ盾となっている為、大きく否定する動きは無い。
「私は観客席から拝見させていただきますわ」
王や貴族という存在が残るかは分からない。ただひとまずは命の危険は去ったと言えるのではないか。だからこそ、舞台監督のお手並みを観客として楽しませてもらおうとアデレードは決めたのだった。
六年前、五つ年下の少年に言われた言葉をアデレードは思い出す。
王子妃教育の為に王宮に上がっていたアデレードは、婚約者であったユージーン殿下の弟・ジャスティン殿下に声を掛けられたのだ。まだ13歳のジャスティン殿下に言われたところで、戯言だと初めの内は取り合わなかった。けれどもジャスティン殿下が、子飼いのレイチェルと言う娘を使って、ユージーン殿下達を意のままに操っている様を見て、耳を傾けることに決めたのだ。
『ここ百年は平和が続き、貴族達は現状をより良いものに変えていこうと言う者よりも、今ある富を失わないようにと根回しする者が増えてきたように思います』
『それはいけないことかしら?』
『いいえ。しかし、下位の者達を押さえつけ、搾取し、自分達だけが豊かに暮らそうとする人間に反発しない者はいるでしょうか?』
『つまり革命を危惧していらっしゃると?』
『現にレヴェヨン王国では、その機運が高まっているという話ではありませんか』
レヴェヨン王国は近い国ではないが国交はある。こちらの国もオーア王国と同様に長く平和な王朝が続いていて、貴族達の専横政治が目立つという話を聞く。貴族達が国家予算を自分達の懐に入るように法を捻じ曲げ、正そうとする王家の邪魔をする。本来当てられるべき福祉や教育の予算を奪われた国民は飢えていった。
それと同時に、有産階級の台頭である。近年、航海技術の発展により、大規模な航海が可能となった。貿易が盛んとなり、それによって巨額の富を得る商人達が増えたのだ。彼らは逼迫する貴族に結婚と引き換えに融資を行ったり、地方の領主の加護を得て貴族と同等の待遇を得るなどして、政治に参画しようとしてきた。彼らもまた、己の懐を潤わせる為に有利な法律を作りたいのである。
『恐らくこのまま進めば、貴族と有産階級との間で大きな争いが起こることでしょう』
『そして、その隙を突いて他国から侵略を受ける可能性もあり得ると、ジャスティン殿下は考えるのですね』
アデレードが尋ねると、ジャスティンは頷いて続ける。
『これまで搾取してきた貴族よりも、経済を握る有産階級の方に民衆はつくでしょう。圧倒的に数が少ない貴族は武力で来られれば勝ち目がない』
その結果が、王族とそれに準ずる大貴族達の粛清である。ジャスティンもアデレードも対象になるだろう。見知った者達が次々に処刑されていく様を想像し、アデレードは恐怖に体が震え、思わず自分自身を抱きしめるように体を擦った。
ジャスティン殿下もまた腐敗した貴族社会は国家を継続させる上で改める必要があると理解しているが、だからといって自分が死ぬのは御免であった。家族や周囲の人々も、先祖代々貴族だからというだけで殺されるのだ。理不尽ではないか。それ以外に生きる道は許されないと言うのに。
『私はできるだけ穏便な形で、革命を終わらせたいと思うのです』
革命は避けられない。それぞれの意志は固く、そして体制というものは生半可な事象では覆すことはできないのだ。貴族と民衆の両方に流れる血が最小限になるような革命にしたいとジャスティン殿下はアデレードに打ち明けたのだった。
ジャスティン殿下の言葉を全て信じたわけではない。だが、もしも予言通りになってしまえば、アデレードも家族も断頭台の露となって消えることだろう。それだけは嫌だった。もっと生きていたかった。
――アデレードはジャスティン殿下に協力することを決めたのだった。
ジャスティン殿下は、レイチェルを使ってユージーン殿下達を篭絡し、アデレードとの婚約を破棄させた。そしてアデレードは両親や弟を煽り、ギベオン公爵家が王宮を辞すように働きかけたのだった。
一門を裏切った娘達も仕込みで、彼女達はグランディディエライト子爵家の商会で平民として働いているらしい。元々、親に無理やり悪徳商人に金と引き換えに嫁がされるところだったらしいので、勘当されることは渡りに船だったのだとか。レイチェルといい、モルガナイト男爵家といい、その娘達といい、一体どこからそんな人材を見つけてくるのか。ジャスティン殿下の鑑識眼には心底恐れ入ったのだった。
この一件で、唯一割を食った兄パトリックも、婿入り先では妻に尻に敷かれながらも、夫婦仲良く暮らしているらしい。両親やサミュエルが罪悪感を煽りに煽ったらしいが、アデレード自身はパトリックを恨む気持ちは無い。むしろ跡取りという立場を失わせてしまったことを申し訳なく思っているくらいだ。真実を話すことはできないが、いつか和解できたら良いとさえ思っている。
ギベオン公爵家一門が、一斉に王宮の職を辞して領地に戻った時、アデレードも両親達と共にギベオン公爵領にやって来た。物心ついた時には既に王都で暮らしていたアデレードは、王都に比べて牧歌的な領地を大変気に入った。身内の者ばかりの土地はアデレードに優しく、疲れた心を癒すように毎日をゆっくりと過ごすことが出来たのだった。
怒りに任せて王都を出てきた両親も、最初は王都の様子を逐一報告させて反撃の機会を窺っていたようだが、改めて領地の運営を見直すと、色々と問題が出てきて、そちらに掛かり切りになってしまった。ギベオン公爵家は建国以来の臣下とあって、治める領地も広い。複数の代理人に任せていたのだが、技術の遅れた地域や福祉や教育が末端にまで浸透していない様子を目の当たりにして、改革に乗り出したのだった。
報告書だけでは分からなかったと大層悔やんで、父公爵は跡取りとなったサミュエルと共に領地を巡っている。平時でありながらも、派閥争いに目を光らせていた父も、随分と明るい顔をしているように見えた。己の行いが民の暮らしに直結していると言う事実に遣り甲斐を見出しているのだろう。
「姉上、王都から手紙ですよ」
部屋に入って来たのは弟のサミュエルであった。サミュエルは婚約者となったグレースと一昨年結婚し、昨年息子が生まれた。こちらもまた他に手が回らないほど、新しい家族に夢中である。
手渡された手紙を見れば、学院で同学年であったメイベル・オニキス伯爵令嬢であった。ジャスティン殿下からの連絡によると、一月後に新しく婚約者になったエドワード・グランディディエライト子爵令息と婚姻するのだとか。彼女もまた、預かり知らぬところで運命を操られた人間の一人だ。
「安否の確認と学院在籍時に力になれなかったことの謝罪の手紙のようね」
コランダム公爵の企みについて注進してきた時も思ったが、随分と生真面目な令嬢なのだなとアデレードは改めて思ったのだった。
「今、王都は大変なようですよ」
「あら?そうなの」
空とぼけて見せたが、もちろん知っている。
ジャスティン殿下が新たな合議制を提案したのだ。貴族からなる元老院と有産階級を中心とした市民で構成する市民院による、これまでの封建社会を覆す提案に、国中が騒然としたのだった。自分達の権益が侵されることを恐れる貴族と自分達の権利を主張できると歓喜する市民達と反応はそれぞれだったが、ギベオン公爵家やコランダム公爵家が一線を退き、市民に人気の高いラズライト伯爵家やフローライト伯爵家やグランディディエライト子爵家といった市民達に近い貴族達がジャスティン殿下の後ろ盾となっている為、大きく否定する動きは無い。
「私は観客席から拝見させていただきますわ」
王や貴族という存在が残るかは分からない。ただひとまずは命の危険は去ったと言えるのではないか。だからこそ、舞台監督のお手並みを観客として楽しませてもらおうとアデレードは決めたのだった。
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