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第二章

第27話 万全の懸念

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 変異種のゾンビもどきを観察してわかったことは三つ。

 反応や動きが普通のゾンビもどきより的確であること。だが、ガタイの大きさに比例して動きは鈍い。そして、現状では掴む・握る・殴る・潰すなどの腕しか使っていない。まぁ、そもそもが非現実的な体格なわけだが、ゲームのように非現実的な武器を持っていないだけマシだと考えるべきだな。

 すでに、我先にと飛びかかっていった二人は殴られ放り投げられて殺された。

「むやみに突っ込むな! 一旦下がれ!」

 そう言うと三人は入口から距離を置くように下がってきた。すると、変異種も離れたことに気が付いたのか動きを止め――近くにいたゾンビもどきを鷲掴みにした。これはマズい。

「おい、奴を見ろ!」

 俺が言うのと同時に放り投げられたゾンビもどきが、息遣いの荒かった男にぶつかって吹き飛んだ。これで少なくともゾンビもどき共に仲間意識が無いことはわかったわけだが、何がマズいかと言えば、変異種には眼が無いせいで誰を目掛けて投げてくるのかわからないところだ。

 時間稼ぎをするといっても、トラックがこの場を離れればいいというわけではない。音を追うということはできる限り離れたところまで走っていってもらわなければ、ここにいるゾンビもどき共が追い付く可能性も十分にあるわけだ。つまり、逃げるわけにも、全滅するわけにもいかない。

 とりあえず、眼は無くとも頭が弱点であることに変わりはないだろう。変異種の頭に目掛けて引鉄を引くと、弾は貫通しなかったが怯んだのか掴んでいたゾンビもどきを落とした。次いで弾を撃ち込めばグラつきながら後退した。耐久力も並じゃないってことか。

「こいつは俺が相手をしておくからお前らは他の奴らを頼む!」

「〝おう!〟」

 二人には変異種の脇から入ってくるゾンビもどきの対処を任せて、俺は体勢を戻した変異種の頭を撃ち抜いていくが、グラつくだけでいつまで経っても死なない。皮膚が分厚いというよりは急所が違うのか? 体格の良い奴は拳銃じゃ殺せないってのは本当らしい。

 だとすると――などと思考を廻らせていると、不意にポツポツと音が聞こえてきて雨が降り始めた。これは吉兆だ。

「お前ら、隙を見て裏口から逃げろ。今なら雨音が足音が掻き消してくれるはずだ」

 言うや否や、二人は侵入してきたゾンビもどきを殺して踵を返し、駆け出した。

 それでいい。足手纏いが二人もいたんじゃまともに戦えないからな。

「っ――くそっ! 裏口も駄目だ! 奴らが這入り込んできた! もう俺たちしか残ってねぇぞ!」

 もう裏に回られていたか。意外と早かったな。さて、これで本当に出口が無くなったわけだが、残存戦力は二人。状況によって良し悪しは変わるものだ。前後からゾンビもどきが迫ってきている場合――一人じゃない分、マシだろう。

「後ろを押さえとけ。俺は前をこじ開ける」

 バックパックから取り出した二本のペットボトルを外に放り投げて、即座に構えた銃で撃ち抜けば、ゾンビもどき共に砂が降り注いだ。雨は吉兆――瞬結性のセメントだ。殺すことはできないが、雨で濡れればすぐに固まって動きが鈍くなる。これで俺は変異種と数体のゾンビもどきに集中できる。

 落ちていた鉄パイプを拾って変異種に向かって投げれば、回転しながら肩に突き刺さった。長椅子を越え、バランスを崩した変異種に飛び蹴りをしながらその頭に何発もの銃弾を撃ち込めば、そのまま倒れ込んでいった。

 おそらくこれでもまだ死んでない。だが、痛みは感じないにしても少しの間は動けないはずだ。

「おい、今のうちに――」

 拳銃を仕舞い、二本のハンマーを取り出して振り返れば、男は裏口から這入ってきたゾンビもどき共の下敷きになっていた。これで残存一か。この世界で本当の意味で一人になるのは久し振りだな。

 一先ずは目の前の奴らを殺そうか。

 向かってくるゾンビもどきにハンマーを振り抜き、頭をカチ割っていけば――強くなった雨脚の音が周囲を覆ったとき、ようやく動けるゾンビもどきは全部殺し尽した。残ったのはセメントで動けなくなっている奴らだけ。……いや、もう一体。

「っ――」

 振り返った瞬間に立ち上がっていた変異種に殴り飛ばされた。掴まれなかっただけ良かったと考えるべきだが……こうやって改めて向き合ってみるとガタイの差に勝てる気がしない。

 さぁ、策を練るとしよう。

 刺さっていた鉄パイプは抜けている。拳銃では殺せない。手に持つハンマーでは心許無い。鋸刀もあるが、これは元より普通のゾンビを殺すためのものだ。撃ち殺せないほど肉厚な変異種が斬れるとは思えない。とはいえ、そもそもの想定としてゾンビとは戦わない。殺すだけだ。

 振り下ろされる拳を避けながらハンマーを仕舞って拳銃を取り出した。急所がどこかは関係ない。狙いは頭ではなく、脚だ。

 太腿から膝に掛けてをひたすらに撃つ抜くと、筋肉を削がれた変異種はその場で片膝を着いて立てなくなった。その状態で頭を撃てば、倒れないまでもダメージは与えられているのか唸り出した。

 もうひと押しだ。未だに無線は鳴らないが、トラックが安全圏に入れば土門から連絡があるはずだし、そうでなくても変異種さえ倒してしまえば俺もお役御免だ。他のゾンビもどきなら仮に施設まで辿り着いてもワイヤー然り、掃討できる設備がある。

 カチンッ、と弾切れになった拳銃の弾倉を抜いて入れ替えようとした時、変異種が息を吸い込むような動作をしたことに気が付いた。

「グャ――ギャァアアァアアア!」

「なんっ――」

 大声というより、体の芯まで揺らす超音波のような叫び声に弾倉の無い銃を持ったまま耳を塞いだ。しかし、それでも意識が飛びそうになるくらい脳が揺らされている。変異種と名付けたのはいいが、これはいったいどういう変化なんだ? 何をどうすればここまで体が大きくなって普通の奴らとの差が付く?

 声に耐えながら次の手を思考していると不意に声が止まった。かと思えば――振り抜かれた拳に体が吹き飛ばされた。咄嗟のことに、ノーガードに加えて受け身も取れなかった。体が軋む。

「く、そ……動け」

 変異種は動かない脚を引き摺ったまま這うように近付いてくる。体に受けた衝撃で立ち上がれないが、腕は動く。弾倉を変えた銃で近付いてくる変異種の体を撃つが――止まらない。

 ……違う。俺が死ぬことは問題じゃない。こいつだけはここで殺しておかないと駄目なんだ。進化を促すようなゾンビもどきだけはなんとしても。

 その時、カツンッ――と。弾切れではなく弾詰まりを起こした。仕組みがバネなだけにそう何度も連射には耐えられないか。などと冷静に分析していると目の前まで迫った変異種を見て、鋸刀に手を伸ばした。

「零く~ん!」

 唐突に聞こえてきた声に鋸刀を抜いて変異種の腹に突き刺した。すると、水が撥ねる足音が近付いてきて立ち止まると同時に、変異種の首が地面に落ちた。

「よぉ……カナリア」

「お待たせ。もう、探しちゃったよ。雨で煙は見えなくなるし、臭いもなくなるし。でも、さっきの大声が聞こえる範囲にいて良かった」

 視線の先には制服姿の女子高生。肩にはその華奢な体に似つかわしくない柄の長い大刀を抱えながら、雨に濡れた髪を掻き上げている。

 刀を引き抜くと、カナリアから差し出された手を握って立ち上がった。

「元気そうだな」

「まぁね。零くんも……大丈夫そうではあるね」

「まぁな。とりあえずこの場を離れるか。近くにバギーが停めてある」

「オッケー。って、運転できたっけ?」

「……やるだけやってみるさ」

 体の痛みが引かないから歩みは遅いが、ここに来るまでにカナリアが近場のゾンビもどきを相当数殺したのか首の落ちた死体が倒れている。

 雲野うんのかなりあ――十七歳の女子高生。学生だったこともあり会合に参加したのは一度だけだったが、連絡は密に取り合っていた。子供の頃から薙刀を習っていたこととナチュラルに高い運動神経のおかげで源生に頼んだ仮想武器・大刀を使い熟している。その大刀の何が特別かと言えば、柄がカーボン製で刃は日本刀と同じ成分、加えてチタン加工をして耐久性を上げているとか……まぁ、専門的な話は措いておこう。ともかく、カナリアは頭のネジこそ緩いが、戦力としては申し分ない。

 マンションから離れた公園に停めていたバギーまで辿り着いたが、雨脚が弱まることはなく、近くにあった公民館の窓を割って中に這入り、雨宿りをすることにした。大した設備もないが、バックパックを下ろして休めるだけでも有り難い。

「っ――」

 気を抜いた瞬間に体に痛みが走った。そういえば肋骨を痛めているんだった。それに殴られたときの衝撃も、今になってぶり返してきた感じだ。

「零くん、痛み止めとか持ってないの?」

「持ってはいるが、それを俺が使うわけにはいかない」

「そっかぁ、零くんマジメだからなぁ。でも、そういうところが好きだよっ」

「ああ、どうも」

 安静にしておけば少なからず痛みは引くが、同じ場所に長時間留まるわけにもいかないから、雨が止むまでの休息だ。

 素っ気なくしてもすり寄ってきて隣に座ってくるカナリアには聞きたいことがあったんだった。

「そういえば、カナリア。お前、どうして施設を出たんだ?」

「あれ、聞いてなかったの? さっき戦ってたデカい奴、あれを追ってたんだよ?」

「……ん? あの変異種、そんなに前から居たのか?」

「いや、さっきのあいつじゃなくてね? うちが倒した限りでは四体目かな」

 四体目か。予想していなかったわけじゃない。全てのゾンビもどきが繋がっていると仮定した場合、太陽の光に順応するだけでも僅かに耐性がある個体が徐々に慣れていった感じがした。つまり、音に関しても徐々に慣れていって完全に聞こえるようになった時に広まったと考えるべきだろう。理屈はわからないが、常識なんてもう存在していないしな。

「お前はその変異種だけを追っていたのか?」

「そうだよ。だってあいつら普通のゾンビと違って強いから、うちとかが倒さないとマズいんでしょ?」

「まぁ、正当だが――どうやって探し出してるんだ?」

「探してるっていうか、なんか同じ地区? によく居るんだよね。ここはちょっと遠いから、まさかいるとは思わなかったけど」

 ……狙いすまして教会まで来た? まさか統率が取れているわけではないのだろうが、そういう進化はマズい。

「その地区の場所わかるか?」

「地図があれば多分」

 ならばと地図を取り出していると、胸ポケットに入れていた無線が鳴った。

「――零士! 無事か!?」

「土門、こっちは大丈夫だ。カナリアとも合流した」

「――そうか。俺たちはもう少しで施設に辿り着く。追い付けそうか?」

 無線で話しながら、地図を渡されたカナリアは変異種と遭遇した場所に丸を付けて、俺に見せてきた。……確かに偏りがあって、その地区から教会は遠い。可能性を考えると、何もせずに黙って施設に戻るわけはいかない。

「いや、悪いがやることができた。戻るのは明日以降になりそうだ」

 そう言えば、カナリアも理解したのかうんうんと頷いて見せた。

「――……わかった。カナリアが一緒ってことは衛星携帯は持っているんだよな?」

「持ってるよ!」

 腰に巻いているウエストバッグから携帯を取り出して見せてきた。

「――何かあればそっちで連絡を。援軍は必要か?」

「今はまだ大丈夫だ。詳細は追って知らせるよ。土門、加賀見に伝えてくれ。施設の人数が増えれば、それだけ管理が行き届かなくなる。だから折を見てを入れろ」

「――それは百人を超えた時のやり方じゃなかったか?」

「普通の生存者ならそれでいいが、今回は宗教が入り込む。選ばせろ」

「――はいよ。零士、死ぬなよ」

「善処するよ」

 そう言って無線を切った。

 施設内マニュアルの第五章。施設内の人数が百人を超えたとき、管理していた者たちに目が行き届かなくなったら選択の自由を与えること。自らで物事を決めることでストレスは減らせる、と。

 大事なのは管理することでも監視することでも無い。脅威を無くし、十分に腹を満たしてゆっくりと眠れる生活環境を作ることだ。そのためには内側と外側から問題を解決しなければならない。人間関係について、俺は理屈でしかあれこれ言えないから直接関わることはしない。代わりに外側は俺の仕事だ。

 いずれは俺たち以外の人間がゾンビもどきになった原因を探し出して、治療薬や特効薬を作るつもりだが今はまだ足りないものが多過ぎる。現状での最善は――殺すだけことだ。
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