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異世界転生

準備

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 闘技場の出来事から1週間。ようやく体が治った。普通に考えれば1週間で骨折が治るはずがないが、タナトスがやたらと高い(金額が)回復のポーションを買ってきて、俺にグビグビと飲ませたのだ。それりゃあもう水分の取り過ぎで気持ち悪くなるくらい。まあ、そのお陰で1週間という超ハイペースで治った。
 
 「さあ、少年行くぞ! いざ冒険に!!」
 
 いつもと髪型が違うタナトスが、ハイテンションで言う。タナトスは基本的に髪の毛を下ろしているが、今日みたいに戦闘する時はポニテに髪をまとめている。しかもなかなか似合っていて可愛い。後藤さんの1000倍ほど。
 
 「そんな急がなくても、ギルドは逃げねぇだろ」
 
 「そうだな少年! だけど時間が逃げるのだ! お姉さんは時間を逃がすつもりなんてない!」
 
 ……なんでこの人はこんなにテンションが高いんだか。……剣2本で防具は超軽量装備。まあ、防具なんて攻撃に当たらなきゃただの重りだからな。
 
 「なあ、タナトス」
 
 「なんだ、少年? トイレか? トイレならギルドにもあるぞ」
 
 「いや、違うから! 装備の話だよ! 装備の」
 
 くだらない事を言うタナトスに俺は強く否定した。
 
 「私の装備がなんだ? カッコいいのか!? そんな事なら言わなくてもいいぞ。自覚している」
 
 キメ顔で言うタナトスだが、全く違う。
 
 「鎧だよ。鎧。いくらなんでもそれは軽装すぎるんじゃないか? いくらお前が強いからといって……」
 
 そう言った結果。予想外の返しが返ってきた。
 
 「ん? ああ、これは別にそういう訳じゃないぞ。ただ単にちゃんとした鎧を装備すると、背中に剣を装備出来ないから、これにしてるんだ。背中の方が腰よりカッコいいだろ」
 
 ……バカなの?
 
 「それに、それを言うなら少年、君だって軽装備じゃないか? いや、それを越えて無装備じゃないか。300万渡しただろう。防具の1つや2つ買えばいいではないか」
 
 自分の装備を否定されたのが気にくわないのか、少し強く言うタナトス。
 
 「いや、だって買う間なんてなかったじゃん」
 
 俺の傷が治ったのは今朝、今からほんの数十分前だ。
 
 「ん~じゃあ、お姉さんと今から買いに行くか?」
 
 そう提案してくるタナトス。俺は――
 
 「いや、面倒だからいい。それに生身の方が戦いやすいし」
 
 ――と断固拒否した。
 
 「人の事が言えたもんじゃないな、少年」 
 
 全くその通りだ。
 
 「まあ、いいや。さて行こう♪」
 
 タナトスは元気に歩きだす。俺はその後について行った。
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