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異世界転生
戦士
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剣士3は剣士1と魔法使い1、2が殺られたのに(殺してません)気づいて顔を歪ませる。
「残り少しの時間をどう有効活用するか?」
ちなみに、俺がこのゲームを1人で生き残ろうとしているのは……300万が生き残った人で山分けになると思っているからだ。しかし、よくよく考えてみると、元々が1対1で生き残ったら300万なのだから、ここで生き残っても1人300万貰える筈なのだ。しかし、何故か俺はチーム戦で残った人数で300万を分けると思っていた。
なぜそんなバカな思い込みをしたのだろうか?
自分でも不思議で仕方がない。しかし、逆に自分の考えは正しいのではないかと言う、考えもある。
企業は金儲けを考えている。それならば出費はなるべく減らしたい。だから今回はまとめてやった。言葉の使いようによっては相手を欺けるから。
このどちらが正しいのか俺には分からない。だから俺は確実に300万が貰える方を選ぶ。
それが俺の今の行動の要因だ。
「……信じられるのは自分だけ」
そう自分に言い聞かせ次なる行動に出た。残っているのは剣士3と弓士1、2。
「片付けられる奴を先に片付けよう」
弓士1、2に目標を定める。剣士3はあれは見た目より強い。場数を踏んでる。それがさっきまで指揮で十二分に分かった。
「おい、どうするんだよ!?」
「俺ら3人であいつらは無理だろ」
弓士1、2が泣き言を言う。剣士3は額に汗を滴ながら、顔をみて一瞬で分かるくらいの試行錯誤している。
「落ち着いてください。大丈夫です。僕1人であれを相手します。弓士のお2人はフェンリルの足止めをお願いします」
俺はこれを見て聞いて毎回思おう事がある。フェンリルが本当に腹ペコで獰猛だったらもう俺以外の全員が胃の中の筈だ。なんせ相手は天災。たった数人の戦士で抑えられる程の相手じゃない。それなのに、俺達は全員生きてる。つまりこれはフェンリルの方が意識して手加減をしている事になる。腹が減っているのに目の前の獲物を取りにいかないモンスターがどこにいる。つまり、フェンリルは別に腹が減ってるのではなく、仕事として俺達の相手をしているのだ。
だからフェンリルの足止めなど1人で十分なのだ。その1人がフェンリルに大きすぎる隙を見せなければ問題ない。
「まだまだ、足りないな」
今となってそれに確信する自分と、それすら気づけない剣士3の男に向けて言った言葉だった。
「…………残りの時間は3人だけで戦おう。その方が面白そうだ」
残りの時間が迫ってきているのに、そうやって俺は自身を甘やかしてしまった。
「さて、君の相手は僕がしよう。裏切り者君」
剣士3は俺に剣を向ける。片手剣だが盾はない。おそらく速さをさらに伸ばしたのだろう。盾という重りをなくす事で。
「俺は弓士をさっさと倒したいんだけどな」
その言葉を聞いて剣士3はフッと小さく笑う。そして続けて言った。
「それは僕を倒してからにしてくれ」
剣士3はそう言い終わると、真っ直ぐこっちに走ってくる。俺はそれに対して弓で応戦した。矢がないため、魔法でそれらしい形の物を作って射った。生成に使う魔力は極少量。
この無属性の生成魔法は、魔術者から、生成された物が離れると魔力が空気中に散っていく。そのため、今回みたいに遠距離攻撃をする場合は、相手との距離を考えて作らなければいけない。じゃないと途中で魔法が消えてしまうのだ。
俺と剣士3の距離は10メートル程。そして魔法の生成者はプロフェッショナルの俺。だから極少量でこの矢を作れる。
「ほらよ! くらえ!」
俺は流れる様に矢を次々と射る。そして射られた矢は剣士3の剣を持っている腕の方へ真っ直ぐ向かう。
「こんなもの!」
剣士3は矢が体の中心にくるよう足を横に動かす。そして体の真ん中に来た矢を剣で切り落とす。
「おお、すげぇな」
それを見て俺は軽く関心する。
「じゃあ、これもどうぞ」
俺は続けて矢を射る。それもさっきと同じ剣を持っている腕に。
「こんなもの!」
剣士3はさっきと同じように矢を体の中心に持ってくる様に足を横に運ぶ。
俺はその間に次の矢を生成し始める。さっきのと違く魔力を多めにし、重い1発を2発作った。
そしてそれを剣士3が弓を弾くのと同時に俺はその2つを流れる様にに射った。おそらく常人には動きが速すぎて同時に射った様に見えるだろう。
その矢はさっきのと違う進路をとる。先に射った方は剣を持っていない腕側、あとに射った方は剣を持っている腕側。
「さあ、どうする? どちらかを防げば、どちらかの腕が消えるぞ?」
矢の威力もスピードもさっきの倍以上ある。この距離で両方とも切り落とすは無理だ。
「クソッどうすれば……」
剣士3は一瞬、絶望に満ちた顔をするが、その顔は直ぐに変化する。
――微笑みに。
「君は馬鹿だね」
剣士3はその場でジャンプをする。俺はそれを見て思わず声を漏らした。
「あちゃー」
「これで僕の勝ちだ」
剣士3が自信満々の笑顔でそう言った直後だった。
後ろで大きな爆発音と叫び声が聞こえた。剣士3は慌てて後ろに振り向いた。そこで目にしたのは――
「作戦通り」
俺はさっきの微笑みに仕返しするような、微笑みを見せる。
――場外に飛んでる弓士2人と、先の爆発音で壊れたであろう舞台だった。
「残り少しの時間をどう有効活用するか?」
ちなみに、俺がこのゲームを1人で生き残ろうとしているのは……300万が生き残った人で山分けになると思っているからだ。しかし、よくよく考えてみると、元々が1対1で生き残ったら300万なのだから、ここで生き残っても1人300万貰える筈なのだ。しかし、何故か俺はチーム戦で残った人数で300万を分けると思っていた。
なぜそんなバカな思い込みをしたのだろうか?
自分でも不思議で仕方がない。しかし、逆に自分の考えは正しいのではないかと言う、考えもある。
企業は金儲けを考えている。それならば出費はなるべく減らしたい。だから今回はまとめてやった。言葉の使いようによっては相手を欺けるから。
このどちらが正しいのか俺には分からない。だから俺は確実に300万が貰える方を選ぶ。
それが俺の今の行動の要因だ。
「……信じられるのは自分だけ」
そう自分に言い聞かせ次なる行動に出た。残っているのは剣士3と弓士1、2。
「片付けられる奴を先に片付けよう」
弓士1、2に目標を定める。剣士3はあれは見た目より強い。場数を踏んでる。それがさっきまで指揮で十二分に分かった。
「おい、どうするんだよ!?」
「俺ら3人であいつらは無理だろ」
弓士1、2が泣き言を言う。剣士3は額に汗を滴ながら、顔をみて一瞬で分かるくらいの試行錯誤している。
「落ち着いてください。大丈夫です。僕1人であれを相手します。弓士のお2人はフェンリルの足止めをお願いします」
俺はこれを見て聞いて毎回思おう事がある。フェンリルが本当に腹ペコで獰猛だったらもう俺以外の全員が胃の中の筈だ。なんせ相手は天災。たった数人の戦士で抑えられる程の相手じゃない。それなのに、俺達は全員生きてる。つまりこれはフェンリルの方が意識して手加減をしている事になる。腹が減っているのに目の前の獲物を取りにいかないモンスターがどこにいる。つまり、フェンリルは別に腹が減ってるのではなく、仕事として俺達の相手をしているのだ。
だからフェンリルの足止めなど1人で十分なのだ。その1人がフェンリルに大きすぎる隙を見せなければ問題ない。
「まだまだ、足りないな」
今となってそれに確信する自分と、それすら気づけない剣士3の男に向けて言った言葉だった。
「…………残りの時間は3人だけで戦おう。その方が面白そうだ」
残りの時間が迫ってきているのに、そうやって俺は自身を甘やかしてしまった。
「さて、君の相手は僕がしよう。裏切り者君」
剣士3は俺に剣を向ける。片手剣だが盾はない。おそらく速さをさらに伸ばしたのだろう。盾という重りをなくす事で。
「俺は弓士をさっさと倒したいんだけどな」
その言葉を聞いて剣士3はフッと小さく笑う。そして続けて言った。
「それは僕を倒してからにしてくれ」
剣士3はそう言い終わると、真っ直ぐこっちに走ってくる。俺はそれに対して弓で応戦した。矢がないため、魔法でそれらしい形の物を作って射った。生成に使う魔力は極少量。
この無属性の生成魔法は、魔術者から、生成された物が離れると魔力が空気中に散っていく。そのため、今回みたいに遠距離攻撃をする場合は、相手との距離を考えて作らなければいけない。じゃないと途中で魔法が消えてしまうのだ。
俺と剣士3の距離は10メートル程。そして魔法の生成者はプロフェッショナルの俺。だから極少量でこの矢を作れる。
「ほらよ! くらえ!」
俺は流れる様に矢を次々と射る。そして射られた矢は剣士3の剣を持っている腕の方へ真っ直ぐ向かう。
「こんなもの!」
剣士3は矢が体の中心にくるよう足を横に動かす。そして体の真ん中に来た矢を剣で切り落とす。
「おお、すげぇな」
それを見て俺は軽く関心する。
「じゃあ、これもどうぞ」
俺は続けて矢を射る。それもさっきと同じ剣を持っている腕に。
「こんなもの!」
剣士3はさっきと同じように矢を体の中心に持ってくる様に足を横に運ぶ。
俺はその間に次の矢を生成し始める。さっきのと違く魔力を多めにし、重い1発を2発作った。
そしてそれを剣士3が弓を弾くのと同時に俺はその2つを流れる様にに射った。おそらく常人には動きが速すぎて同時に射った様に見えるだろう。
その矢はさっきのと違う進路をとる。先に射った方は剣を持っていない腕側、あとに射った方は剣を持っている腕側。
「さあ、どうする? どちらかを防げば、どちらかの腕が消えるぞ?」
矢の威力もスピードもさっきの倍以上ある。この距離で両方とも切り落とすは無理だ。
「クソッどうすれば……」
剣士3は一瞬、絶望に満ちた顔をするが、その顔は直ぐに変化する。
――微笑みに。
「君は馬鹿だね」
剣士3はその場でジャンプをする。俺はそれを見て思わず声を漏らした。
「あちゃー」
「これで僕の勝ちだ」
剣士3が自信満々の笑顔でそう言った直後だった。
後ろで大きな爆発音と叫び声が聞こえた。剣士3は慌てて後ろに振り向いた。そこで目にしたのは――
「作戦通り」
俺はさっきの微笑みに仕返しするような、微笑みを見せる。
――場外に飛んでる弓士2人と、先の爆発音で壊れたであろう舞台だった。
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