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1章 超能力者の存在
21話 善戦
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「龍帝、そっちはどんな状況だ?」
京雅は今学校を目指して走っていた。その道中で瑛翔の護衛をさせている龍帝に連絡をする。
だが、一向に返答が来る様子がない。今までこんな事はなかったため、京雅の中に不安が募り始める。
「まさか……龍帝が負けた……?いや、それは有り得んだろ。だとしら、通信阻害系の結界か?いや………。クソッ……龍帝!反応しろ!」
返答が無いことに焦りを感じ、京雅は周囲に人が居ないことを確認した後に一息つく。
「『転移』」
京雅の体が一瞬光り輝く。しかし、その眩い光も一瞬だった。京雅の体が光ったと思った次の瞬間には既に京雅はそこには居なかった。
~~~~
「………いつも通りだ。でも、確実に潜んでる」
京雅は一瞬にして学校の校門まで移動していた。そして、学校を見上げるようにして眺めてボソッと呟き、校門をくぐって敷地へと入っていく。
「数は……一人……いや二人だな。そのうち一人は瑛翔か。あの至近距離で瑛翔が気づかないはずがない………ん?」
超能力者の反応があるのは屋上だ。瑛翔のものではないもう一つの反応は、瑛翔の反応の数倍ほど大きかった。すなわち、瑛翔の何倍も超能力が強い者と言うことだ。
時間帯的に今は二時間目の授業中だ。瑛翔が屋上に居ること自体おかしいのだが、何よりも二人の動きがおかしいのだ。
時々離れたりするが、くっ付いたりもする。尋常じゃない速さで動く時もある。
その様子を見て京雅はある事を確信した。
「こりゃ、マズイ」
京雅は急いで校内へと入り、もの凄いスピードで階段を駆け上がる。
屋上に行くためには三年生の教室にある階段を使わなければならないので、京雅はその階段を目指して猛ダッシュする。
「無事で居てくれ……」
京雅はそう祈りながら屋上を目指して、ただひたすらに走り続ける。
そして、屋上へ続く階段に辿り着いた京雅は一度呼吸を整えてから素早く階段を上がっていく。
階段を上り終わると、古びたドアが立ちはだかる。本来施錠されていたであろうドアだが、今は微かにドアが開いており、人の入った形跡がある。
そして、人の話し声と屋上を走り回る足音だけが響いていた。
京雅はドアノブを握り、音を立てないようにゆっくりと開いていく。
「案の定ってやつか」
ドアの隙間から覗くと、瑛翔ともう一人居た。瑛翔は額から血を流し、視認できる範囲ですら酷い怪我が沢山見られる。だが、瑛翔は一切挫けること無く真剣な表情で何度もドア側に立つ人物……鶴壁へ攻撃を仕掛ける。
だが、鶴壁は瑛翔の攻撃をもろともせず、軽くあしらっていく。
「勝司さんが慎重になるぐらいだからどの程度かと思ったが、所詮は有象無象能力者か」
「クソっ!これなら……どうだ!」
瑛翔は空中で回転した。人間において空中ほど不利な状況は無い。戦闘経験がないのであれば尚更だ。
だが、瑛翔の空中での回転スピードは更に上がる。急激に上がったスピードに瑛翔と対立する鶴壁は咄嗟に顔を両手でガードした。
そして、瑛翔の空中回し蹴りは見事鶴壁にヒットする。
鶴壁はガードしたにも関わらず、体が横に少し飛ばされて、ふらつく。
「やっとまともに入った……!」
瑛翔は横に飛ばされた鶴壁の方を見てそう言った。
「なるほどな……これは確かに危険だ」
両腕を脱力させて振りながら軽くジャンプをした。
「さて……本気で殺す」
「っ………!!」
鶴壁は一瞬だけ瑛翔を睨むと、床を思い切り蹴飛ばして瑛翔との距離を一瞬でつめる。
瑛翔に接近した鶴壁は右腕を前に突き出して、その勢いのまま人差し指と中指だけを立てた。
そして、伸ばされたその二本の指は的確に瑛翔の両目を襲おうとした。
「その辺にしとけ」
鶴壁を中心として、屋上にあったホコリや枯葉が強風に煽られたように勢いよく舞い上がった。
「誰だ、貴様?」
鶴壁の指は瑛翔の目を貫くことなく、ギリギリのところで止まっていた……否、瑛翔に向けた腕の手首を掴まれて止められていたのだ。
鶴壁は自分の動きを止めたのが誰なのかを確認しようと顔を上へ向ける。
「コイツの………友人だ」
そこには太陽の光を後光にした男がいた。その男はただ無表情でその人物を見下ろし、光のない目を向けていた。
鶴壁は不覚にもその男の……京雅のその瞳に恐れを抱いていた。
「今度はテメェがいたぶられる番だぜ」
京雅は今学校を目指して走っていた。その道中で瑛翔の護衛をさせている龍帝に連絡をする。
だが、一向に返答が来る様子がない。今までこんな事はなかったため、京雅の中に不安が募り始める。
「まさか……龍帝が負けた……?いや、それは有り得んだろ。だとしら、通信阻害系の結界か?いや………。クソッ……龍帝!反応しろ!」
返答が無いことに焦りを感じ、京雅は周囲に人が居ないことを確認した後に一息つく。
「『転移』」
京雅の体が一瞬光り輝く。しかし、その眩い光も一瞬だった。京雅の体が光ったと思った次の瞬間には既に京雅はそこには居なかった。
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「………いつも通りだ。でも、確実に潜んでる」
京雅は一瞬にして学校の校門まで移動していた。そして、学校を見上げるようにして眺めてボソッと呟き、校門をくぐって敷地へと入っていく。
「数は……一人……いや二人だな。そのうち一人は瑛翔か。あの至近距離で瑛翔が気づかないはずがない………ん?」
超能力者の反応があるのは屋上だ。瑛翔のものではないもう一つの反応は、瑛翔の反応の数倍ほど大きかった。すなわち、瑛翔の何倍も超能力が強い者と言うことだ。
時間帯的に今は二時間目の授業中だ。瑛翔が屋上に居ること自体おかしいのだが、何よりも二人の動きがおかしいのだ。
時々離れたりするが、くっ付いたりもする。尋常じゃない速さで動く時もある。
その様子を見て京雅はある事を確信した。
「こりゃ、マズイ」
京雅は急いで校内へと入り、もの凄いスピードで階段を駆け上がる。
屋上に行くためには三年生の教室にある階段を使わなければならないので、京雅はその階段を目指して猛ダッシュする。
「無事で居てくれ……」
京雅はそう祈りながら屋上を目指して、ただひたすらに走り続ける。
そして、屋上へ続く階段に辿り着いた京雅は一度呼吸を整えてから素早く階段を上がっていく。
階段を上り終わると、古びたドアが立ちはだかる。本来施錠されていたであろうドアだが、今は微かにドアが開いており、人の入った形跡がある。
そして、人の話し声と屋上を走り回る足音だけが響いていた。
京雅はドアノブを握り、音を立てないようにゆっくりと開いていく。
「案の定ってやつか」
ドアの隙間から覗くと、瑛翔ともう一人居た。瑛翔は額から血を流し、視認できる範囲ですら酷い怪我が沢山見られる。だが、瑛翔は一切挫けること無く真剣な表情で何度もドア側に立つ人物……鶴壁へ攻撃を仕掛ける。
だが、鶴壁は瑛翔の攻撃をもろともせず、軽くあしらっていく。
「勝司さんが慎重になるぐらいだからどの程度かと思ったが、所詮は有象無象能力者か」
「クソっ!これなら……どうだ!」
瑛翔は空中で回転した。人間において空中ほど不利な状況は無い。戦闘経験がないのであれば尚更だ。
だが、瑛翔の空中での回転スピードは更に上がる。急激に上がったスピードに瑛翔と対立する鶴壁は咄嗟に顔を両手でガードした。
そして、瑛翔の空中回し蹴りは見事鶴壁にヒットする。
鶴壁はガードしたにも関わらず、体が横に少し飛ばされて、ふらつく。
「やっとまともに入った……!」
瑛翔は横に飛ばされた鶴壁の方を見てそう言った。
「なるほどな……これは確かに危険だ」
両腕を脱力させて振りながら軽くジャンプをした。
「さて……本気で殺す」
「っ………!!」
鶴壁は一瞬だけ瑛翔を睨むと、床を思い切り蹴飛ばして瑛翔との距離を一瞬でつめる。
瑛翔に接近した鶴壁は右腕を前に突き出して、その勢いのまま人差し指と中指だけを立てた。
そして、伸ばされたその二本の指は的確に瑛翔の両目を襲おうとした。
「その辺にしとけ」
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「誰だ、貴様?」
鶴壁の指は瑛翔の目を貫くことなく、ギリギリのところで止まっていた……否、瑛翔に向けた腕の手首を掴まれて止められていたのだ。
鶴壁は自分の動きを止めたのが誰なのかを確認しようと顔を上へ向ける。
「コイツの………友人だ」
そこには太陽の光を後光にした男がいた。その男はただ無表情でその人物を見下ろし、光のない目を向けていた。
鶴壁は不覚にもその男の……京雅のその瞳に恐れを抱いていた。
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