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1章 超能力者の存在
2話 確認
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「…………」
明日の準備を終えた京雅はベッドに腰掛け、神に祈りを捧げているかのようなポーズをしながら今の状況について考えていた。
「もしかしてとは思ったが……」
京雅は絡めていた指を解いて片手を前に突き出した。
「『浮け』」
京雅のその言葉に反応するかのように、京雅の目先にある机が床から浮き上がる。
京雅が突き出した手を左右に振ると、その動きに合わせて机も同じように動いていく。
「どうして……どうしてこっちの世界に戻ってきたと言うのに、まだこの能力が使えるんだ?」
京雅は浮かしていた机を元あった場所に置くと、再び考え込んだ。
京雅の姿が変わった事や、常識的に考えて有り得ないこの能力は、異世界の影響によるものだった。
異世界に勇者として召喚された京雅は約十年間の月日を経て元々住んでいた世界……地球へと帰還する事が出来た。
だが、朝起きて母親に言われたように、自分の姿が異世界にいた時と全く同じだった。
京雅はもしかしてと思い手に持っていた荷物に浮けと命じた時、その荷物は命令通りに浮き上がった。
「俺にはまだ……役目があるとでも言うのか?………こんな危険な能力、地球じゃ使えない」
京雅は自分の手のひらを眺めながら自分に戒めるように呟く。
「……『制限するんだ。自分の力を』…ッ……カハッ!」
その瞬間、京雅は苦しみで顔を歪ませた。服の上から心臓部を両手で力強く握る。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
過呼吸になったかのように呼吸が早く浅くなっていき、ついには京雅はベッドから前方向に倒れてしまう。
床に体がぶつかる既の所で、京雅は片手を床に着け、自分の体を支えることが出来た。その間ももう片方の手は胸元で強く握りしめられている。
「はぁ、はぁ……はぁ……はぁ……」
少しずつ呼吸が安定していき、息苦しさや気持ち悪さが軽減していく。顔色も良くなっていった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
京雅は体を転がして床に仰向けになった。
目眩のようものがして天井や窓などが二重になって見てた。
「もう、絶対にやらねぇ」
息を整え終えた京雅ゆっくりと上半身を起こしてベッドを見下ろす。
机を持ち上げた時と同様に片手をベッドの方へ向ける。だが、先程とは全然違う言葉を発した。
「『砕けろ』」
だが、先程とは違い、何も起こらなかった。
京雅はその状態のまま立ち尽くしていた。
「………『浮け』」
すると、今度は京雅の言葉通りベッドが持ち上がる。
「この能力の危険な面を全てに制限が掛かってるのか……これなら無意識に人を殺すことは無いか」
浮き上がっているベッドを見つめながら物騒な事をボヤく。
「『元に戻れ』」
その言葉を合図にベッドは浮き上がる前と全く同じ場所に戻る。
「まぁ、とりあえず能力の確認も出来たし、この後は何して過ごそうか。まだ朝だしな」
そう言いながらも京雅が既に何をやるか考えていた。
「久々だしゲームの腕がなまってないと良いけどな」
それだけを言い残し京雅は自室から出て行った。
誰も居なくなった部屋はただただ静寂に包まれた。
────京雅が異世界で手に入れた能力。どんな強敵も為す術なく、ただ一方的に葬る最強の能力……"言霊"。そして、その姿を見た異世界の人々は京雅の事をこう呼んだ、"無形魔術師"と。
この物語は、異世界で最強と言われた男、キョーガが元の世界に戻り普通の生活を送るなかで、恋愛をしたり戦闘を繰り広げたり、神と対峙したりする物語である。
明日の準備を終えた京雅はベッドに腰掛け、神に祈りを捧げているかのようなポーズをしながら今の状況について考えていた。
「もしかしてとは思ったが……」
京雅は絡めていた指を解いて片手を前に突き出した。
「『浮け』」
京雅のその言葉に反応するかのように、京雅の目先にある机が床から浮き上がる。
京雅が突き出した手を左右に振ると、その動きに合わせて机も同じように動いていく。
「どうして……どうしてこっちの世界に戻ってきたと言うのに、まだこの能力が使えるんだ?」
京雅は浮かしていた机を元あった場所に置くと、再び考え込んだ。
京雅の姿が変わった事や、常識的に考えて有り得ないこの能力は、異世界の影響によるものだった。
異世界に勇者として召喚された京雅は約十年間の月日を経て元々住んでいた世界……地球へと帰還する事が出来た。
だが、朝起きて母親に言われたように、自分の姿が異世界にいた時と全く同じだった。
京雅はもしかしてと思い手に持っていた荷物に浮けと命じた時、その荷物は命令通りに浮き上がった。
「俺にはまだ……役目があるとでも言うのか?………こんな危険な能力、地球じゃ使えない」
京雅は自分の手のひらを眺めながら自分に戒めるように呟く。
「……『制限するんだ。自分の力を』…ッ……カハッ!」
その瞬間、京雅は苦しみで顔を歪ませた。服の上から心臓部を両手で力強く握る。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
過呼吸になったかのように呼吸が早く浅くなっていき、ついには京雅はベッドから前方向に倒れてしまう。
床に体がぶつかる既の所で、京雅は片手を床に着け、自分の体を支えることが出来た。その間ももう片方の手は胸元で強く握りしめられている。
「はぁ、はぁ……はぁ……はぁ……」
少しずつ呼吸が安定していき、息苦しさや気持ち悪さが軽減していく。顔色も良くなっていった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
京雅は体を転がして床に仰向けになった。
目眩のようものがして天井や窓などが二重になって見てた。
「もう、絶対にやらねぇ」
息を整え終えた京雅ゆっくりと上半身を起こしてベッドを見下ろす。
机を持ち上げた時と同様に片手をベッドの方へ向ける。だが、先程とは全然違う言葉を発した。
「『砕けろ』」
だが、先程とは違い、何も起こらなかった。
京雅はその状態のまま立ち尽くしていた。
「………『浮け』」
すると、今度は京雅の言葉通りベッドが持ち上がる。
「この能力の危険な面を全てに制限が掛かってるのか……これなら無意識に人を殺すことは無いか」
浮き上がっているベッドを見つめながら物騒な事をボヤく。
「『元に戻れ』」
その言葉を合図にベッドは浮き上がる前と全く同じ場所に戻る。
「まぁ、とりあえず能力の確認も出来たし、この後は何して過ごそうか。まだ朝だしな」
そう言いながらも京雅が既に何をやるか考えていた。
「久々だしゲームの腕がなまってないと良いけどな」
それだけを言い残し京雅は自室から出て行った。
誰も居なくなった部屋はただただ静寂に包まれた。
────京雅が異世界で手に入れた能力。どんな強敵も為す術なく、ただ一方的に葬る最強の能力……"言霊"。そして、その姿を見た異世界の人々は京雅の事をこう呼んだ、"無形魔術師"と。
この物語は、異世界で最強と言われた男、キョーガが元の世界に戻り普通の生活を送るなかで、恋愛をしたり戦闘を繰り広げたり、神と対峙したりする物語である。
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