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87話 6日目
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「蓮翔、見て見て!すっごくキレイ……!」
「あぁ、凄いな」
俺たちは今水族館にいる。月曜日ということで人はまばらだ。
本来なら今頃は授業中だろうが、俺たちは今日学校をズル休みして水族館に来ていた。
学校を休んだ背徳感。それがどこか気持ち良いとさえ感じる。
「こういうのもたまには良いね」
「だね。でもまさか瑠魅から休みたいなんて言うからびっくりしたよ」
そう。今日休む事になったのは他でもない瑠魅からの提案だ。理由は何となく、らしい。
ハッキリ言って学校は面倒臭いしその提案は俺にとっても嬉しかったが、驚きの方が大きかった。
「あ、見て!クラゲさん!」
「えっ、ちょっと……」
そう言って小走りで走っていく瑠魅。俺はそんな瑠魅の姿を見て思わず笑っていた。
変わった、と言うのが正しいのかは分からないけど、瑠魅に対する印象はココ最近でかなり変わった。
前はどこか遠くの存在のように思えていた。瑠魅の振る舞いや雰囲気がまさかにそうだった。
でも、最近になって瑠魅の色んな表情を見て、瑠魅も普通の女の子なんだと思えた。
「蓮翔、早く早く!この子たちとっても小さいよ!」
「あぁ、今行くよ」
~~~~
「ちょっと寒いけど、天気も良いしちょうど良いかもね」
「うん。雨が降らなくてよかったよ」
水族館を一通り見終えて今は水族館近くの公園に来ている。
公園と言っても遊具とかがあるような場所でなくただ地面が綺麗に整備されている程度の場所だ。
「まさかこんな形でピクニックするとは思わなかったよ」
俺は家から持ってきたレジャーシートを芝生の上に敷いた。
瑠魅はその間にバッグから弁当を三つ取り出す。それは今朝俺と瑠魅が二人で作った弁当だ。
「うん。こういうのを青春って言うのかな」
「…………そうかもね」
瑠魅が何気なく放った一言。でも俺の意識は一瞬その言葉につられた。
人らしい生活を送りたいと願っていた瑠魅からその言葉を聞けて俺は嬉しかった。
「お腹も減ったし食べちゃお」
「あぁ。じゃあいただきます」
「うん。いただきます」
一緒に作ったから弁当の中身は全て見知ったもの。
俺はあからさまに自分が作ったおかずを避けて瑠魅の作ったおかずに手を伸ばす。唐揚げや卵焼き、サンドイッチにタコさんウインナー。
ここに来てまで自分の作ったもんなんて食ってられるかってんだ。せっかくなら瑠魅の手料理を食べたいだろ。
「美味しい?」
「あぁ。すげぇ美味い……!」
「良かった。じゃあ私も蓮翔が作ったおにぎりでも食べようかな」
それはめっちゃドキドキするな。何気に俺のちゃんとした料理を瑠魅が食べるのって初めてじゃないか?
「ど、どうかな?」
「うん。美味しいよ。さすが自炊してただけあるね」
「まぁね。一応前までは弁当作ってたから」
と得意げに見せるものの、内心心臓バクバクだ。もしこれで一瞬でも不味そうな顔をされたら俺はもう生きていけないところだった。
~~~~
「この後どうしよっか?」
「この後?」
「うん。思いつきだけで来ちゃったから考えてないんだよね」
「そうだねぇ………」
弁当の片付けをしている最中に瑠魅がそんな事を聞いてきた。でも、俺も瑠魅に言われるがまま来てしまったから予定という予定は無い。この街も色々と娯楽施設はあるけれど、これから遊びに行くには少しばかり遠い距離だ。
かと言ってこのまま家というのは味気ない。
「もういっそ、ここでゴロゴロ過ごさない?」
「ここで?」
「うん。ポカポカ陽気で気持ちよくない?寝ちゃいそう」
「そうだね…………じゃあ……使う?」
「えっ?」
そう言って瑠魅はその場に正座をした。瑠魅が指差しているの太ももだ。
そこで俺の脳裏にある単語が浮かび上がる。
「………!そ、それはちょっと恥ずいかも」
こんな場所で膝枕は俺のメンタルが持たない。まぁ、これが勘違いだったら、その方が恥ずかしいけど。
「良いの?こんな気持ちの良い天気で眠いんでしょ?」
「で、でもな………」
瑠魅の小悪魔的な誘いから逃れるように、俺は軽く公園全体を見渡す。人は少ないが、それでも居ないと言う訳じゃない。
でも、この機会を逃せば次いつ膝枕をしてもらえるだろうか……。
「……………失礼してもよろしいでしょうか?」
「フフッ、もちろん。でも、寝心地悪かったらごめんね?」
俺は恐る恐る瑠魅の太ももに頭を置いた。
下と瑠魅のお腹の方を向いて寝るのはただの変態だし、上向きは瑠魅に見られていて少し寝ずらい。結果として外側を向いて横たわった。
初めての膝枕だからよく分からないけど、少なくとも俺の使ってる枕よりは柔らかくて寝心地が良い……気がする。ハッキリと言ってそれどころじゃない。どちらかという緊張の方が酷い。
頭が重くないかな、とか、鼻息は大丈夫かな、とか、瑠魅からなんか良い匂いするな、とか。ぶっちゃけ寝られる気がしない。
「おやすみ、蓮翔」
「お、おう」
~~~~
「んん……」
不意に意識が覚醒する。頭には何か柔らかい感触がある。
寝る前の記憶が朧気で俺はゆっくりと寝返りを打つ。すると目の前には白色の何かがある。あと、めっちゃ良い匂いがする。
「…………っ!」
俺は視線だけを上に向ける。
「…………」
そこにはすやすやと眠っている瑠魅の姿があった。俺は瑠魅を起こさないようにゆっくりと起き上がって、スマホで時間を確認する。だいたい一時間も寝ていたみたいだ。
「ありがとう、瑠魅」
男の俺がやるのは需要が無いかもしれないが、せめてものお礼だ。
俺はその場で正座して瑠魅の体をゆっくりと横にさせた。
「これめっちゃ恥ずいな……」
俺はそんな事を呟きながら現実逃避をするようにスマホをいじった。
「あぁ、凄いな」
俺たちは今水族館にいる。月曜日ということで人はまばらだ。
本来なら今頃は授業中だろうが、俺たちは今日学校をズル休みして水族館に来ていた。
学校を休んだ背徳感。それがどこか気持ち良いとさえ感じる。
「こういうのもたまには良いね」
「だね。でもまさか瑠魅から休みたいなんて言うからびっくりしたよ」
そう。今日休む事になったのは他でもない瑠魅からの提案だ。理由は何となく、らしい。
ハッキリ言って学校は面倒臭いしその提案は俺にとっても嬉しかったが、驚きの方が大きかった。
「あ、見て!クラゲさん!」
「えっ、ちょっと……」
そう言って小走りで走っていく瑠魅。俺はそんな瑠魅の姿を見て思わず笑っていた。
変わった、と言うのが正しいのかは分からないけど、瑠魅に対する印象はココ最近でかなり変わった。
前はどこか遠くの存在のように思えていた。瑠魅の振る舞いや雰囲気がまさかにそうだった。
でも、最近になって瑠魅の色んな表情を見て、瑠魅も普通の女の子なんだと思えた。
「蓮翔、早く早く!この子たちとっても小さいよ!」
「あぁ、今行くよ」
~~~~
「ちょっと寒いけど、天気も良いしちょうど良いかもね」
「うん。雨が降らなくてよかったよ」
水族館を一通り見終えて今は水族館近くの公園に来ている。
公園と言っても遊具とかがあるような場所でなくただ地面が綺麗に整備されている程度の場所だ。
「まさかこんな形でピクニックするとは思わなかったよ」
俺は家から持ってきたレジャーシートを芝生の上に敷いた。
瑠魅はその間にバッグから弁当を三つ取り出す。それは今朝俺と瑠魅が二人で作った弁当だ。
「うん。こういうのを青春って言うのかな」
「…………そうかもね」
瑠魅が何気なく放った一言。でも俺の意識は一瞬その言葉につられた。
人らしい生活を送りたいと願っていた瑠魅からその言葉を聞けて俺は嬉しかった。
「お腹も減ったし食べちゃお」
「あぁ。じゃあいただきます」
「うん。いただきます」
一緒に作ったから弁当の中身は全て見知ったもの。
俺はあからさまに自分が作ったおかずを避けて瑠魅の作ったおかずに手を伸ばす。唐揚げや卵焼き、サンドイッチにタコさんウインナー。
ここに来てまで自分の作ったもんなんて食ってられるかってんだ。せっかくなら瑠魅の手料理を食べたいだろ。
「美味しい?」
「あぁ。すげぇ美味い……!」
「良かった。じゃあ私も蓮翔が作ったおにぎりでも食べようかな」
それはめっちゃドキドキするな。何気に俺のちゃんとした料理を瑠魅が食べるのって初めてじゃないか?
「ど、どうかな?」
「うん。美味しいよ。さすが自炊してただけあるね」
「まぁね。一応前までは弁当作ってたから」
と得意げに見せるものの、内心心臓バクバクだ。もしこれで一瞬でも不味そうな顔をされたら俺はもう生きていけないところだった。
~~~~
「この後どうしよっか?」
「この後?」
「うん。思いつきだけで来ちゃったから考えてないんだよね」
「そうだねぇ………」
弁当の片付けをしている最中に瑠魅がそんな事を聞いてきた。でも、俺も瑠魅に言われるがまま来てしまったから予定という予定は無い。この街も色々と娯楽施設はあるけれど、これから遊びに行くには少しばかり遠い距離だ。
かと言ってこのまま家というのは味気ない。
「もういっそ、ここでゴロゴロ過ごさない?」
「ここで?」
「うん。ポカポカ陽気で気持ちよくない?寝ちゃいそう」
「そうだね…………じゃあ……使う?」
「えっ?」
そう言って瑠魅はその場に正座をした。瑠魅が指差しているの太ももだ。
そこで俺の脳裏にある単語が浮かび上がる。
「………!そ、それはちょっと恥ずいかも」
こんな場所で膝枕は俺のメンタルが持たない。まぁ、これが勘違いだったら、その方が恥ずかしいけど。
「良いの?こんな気持ちの良い天気で眠いんでしょ?」
「で、でもな………」
瑠魅の小悪魔的な誘いから逃れるように、俺は軽く公園全体を見渡す。人は少ないが、それでも居ないと言う訳じゃない。
でも、この機会を逃せば次いつ膝枕をしてもらえるだろうか……。
「……………失礼してもよろしいでしょうか?」
「フフッ、もちろん。でも、寝心地悪かったらごめんね?」
俺は恐る恐る瑠魅の太ももに頭を置いた。
下と瑠魅のお腹の方を向いて寝るのはただの変態だし、上向きは瑠魅に見られていて少し寝ずらい。結果として外側を向いて横たわった。
初めての膝枕だからよく分からないけど、少なくとも俺の使ってる枕よりは柔らかくて寝心地が良い……気がする。ハッキリと言ってそれどころじゃない。どちらかという緊張の方が酷い。
頭が重くないかな、とか、鼻息は大丈夫かな、とか、瑠魅からなんか良い匂いするな、とか。ぶっちゃけ寝られる気がしない。
「おやすみ、蓮翔」
「お、おう」
~~~~
「んん……」
不意に意識が覚醒する。頭には何か柔らかい感触がある。
寝る前の記憶が朧気で俺はゆっくりと寝返りを打つ。すると目の前には白色の何かがある。あと、めっちゃ良い匂いがする。
「…………っ!」
俺は視線だけを上に向ける。
「…………」
そこにはすやすやと眠っている瑠魅の姿があった。俺は瑠魅を起こさないようにゆっくりと起き上がって、スマホで時間を確認する。だいたい一時間も寝ていたみたいだ。
「ありがとう、瑠魅」
男の俺がやるのは需要が無いかもしれないが、せめてものお礼だ。
俺はその場で正座して瑠魅の体をゆっくりと横にさせた。
「これめっちゃ恥ずいな……」
俺はそんな事を呟きながら現実逃避をするようにスマホをいじった。
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