余命1年の君に恋をした

パチ朗斗

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77話 暴露

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「ジュース、ありがとな」

「ううん、気にしないで。それよりもさっきの話、わたしはまだ納得できてないよ」

  今俺たちは那乃の提案で公園の木陰のベンチに居た。この時間だと遊んでいる子供は居らず、公園にいるのは俺ら二人だけだ。

  流されるままオレンジジュースまで奢ってもらい、俺の中には罪悪感というものが生まれてきていた。

  この際、那乃と付き合うのはどうだろうか?俺とてこんな状況でなければ那乃の告白に応じていた可能性は充分にある。

  ………こんな状況、か。やっぱり俺だけが幸せになるなんて言うのはダメだよな。俺のせいで瑠魅が辛い思いをしているのに……俺一人だけ、なんて……。

「蓮くん、他に理由があるんじゃないの?もしくは隠していることとか?」

「…………」

  ここでもし言ってしまえば、心はどれだけ楽になるだろうか。

  俺の脳裏に一瞬だけ、俺の身に起きている事を話そうかと過ぎる。喉まで上ってきた言葉を俺はギリギリのところで呑み込んだ。

  その代わりに、俺はある案を思いつく。一瞬のことで、俺は妙案だと思った。熟考する間もなく俺はその案を口に出していた。

 「俺は……瑠魅の事が好きなんだよ。そんなに長い時間を過ごした訳じゃないけど……俺は瑠魅を守ってやりたいんだ。だから──」

「そっか。うん、そうだよね。瑠魅ちゃん、可愛いもんね」

  俺の言葉を遮るようにして発せられた言葉。俺はその食い気味に遮られた驚きから反射的に那乃の方へと視線を向けた。

  那乃もこっちを見て笑っていたが、俺はこの笑みには騙されない。

  何年一緒に居たと思っているんだ。そんな表面だけの笑み、取り繕った笑みで誤魔化そうなんて魂胆、俺には伝わるんだよ。

「っ………」

  俺はその痛々しい笑みを見てられず視線を下げた。胸が痛い。キュゥッと締め付けられる心。

  何かを言おうと思っても、何も出てはこない。俺が那乃にこんな笑みを浮かべさせたのに、俺はそれをどうにか挽回しようと頭をフル回転させる。

「ありがと、蓮くん。ちゃんと断ってくれて」

「…………」

「少し気まず雰囲気にしちゃったけどさ。明日からはいつも通りね?わたしも頑張るから………」

「っ………」

  この言葉を聞いた瞬間、俺の心に虚無感や喪失感といった何とも形容できない穴が空いたように感じた。

  何か大切なものを失った、そう明確に感じた。

「わたし、今日は帰るね。じゃあ、また明日ね」

  バッグを肩にかけて立ち上がる那乃。俺は何かを言わなければならない、そう頭が命令する。

  去っていく那乃の背中を見て、俺はついに言った、言ってしまった。

  誰にも言わないと決めたあの事を……。

「俺はもう死ぬんだよ……!」

「…………えっ?」

~~~~~~~~~~~~~~

  お久しぶりです。何故か更新頻度が更に悪くなってしまい申し訳ございません。モチベーションの問題もあるのかなと思うのですが、1番は夏バテかなと思います。まぁ、単純に内容が思いつかないもありますが……。

  とりあえずですね、シリアスは一旦ここで区切ろうかなと思います。不穏な終わり方ですが、当分シリアスは来ないかなぁと。もしかしたら次の話まではシリアスかもしれませんが……。

  最近は暑いので、体調管理等々しっかり行って楽しい夏にしましょう!

  拙い部分多々あると思いますが、これからも作品共々よろしくお願いします!
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