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58話 球技大会 2
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「ふぅ………」
「緊張してんのか?」
「まぁ、少しな」
今日は球技大会二日目。亮達は昨日二回やったらしいが無事に勝ち進んで明日の準決勝まで残っている。あとは俺らがそこまで勝ち進むだけだ。
「海斗、お前は一回戦目出ないからそんな風に言えるんだよ」
「そうかもな。でも、負ける気はしないんだろ?」
「まぁな」
俺はコートに入る。サーブ権はコッチにある。サーバーは那乃だ。
「ファイト」
「うん!」
すれ違いざまにそう声を掛け、俺も姿勢を低くして構える。
そして、後ろからボールが放たれた。
~~~~
「みんなマジで上手かったな」
「だな。まさか十五対四で勝つなんてな」
相手のチームは経験者ゼロだった。その分ミスを責めるような事は一切なく、本当に楽しんでるようだった。
「あと三回戦後にはもう一試合来るから、気を抜かないようにね」
上葉が壁に寄りかかる俺達にそう言って鼓舞する。上葉は声掛けもそうだけど純粋なバレーの技術もかなりだった。
「次も頑張ろうね、蓮君」
「あぁ、そうだな」
今日はもう俺の出番はない。あとは観戦かな。昨日みたいに屋上に行くのはさすがに気が引けるし。
「応援しててね」
「あぁ。頑張れよ、那乃」
最近、那乃とは今まで以上に話すようになった。逆に瑠魅とは疎遠気味だ。瑠魅はまだ俺の記憶が戻ったことを知らない。知ってしまえばきっと、瑠魅は純粋に球技大会を楽しめない。
「どうする?亮達のとこ行くか?」
「いや、ちょっと教室で休憩するわ。運動能力はあっても体力がかなり限界なんだよ」
「あぁ、病院で寝てたもんな」
「そういうことだからよ。俺らのチームが試合の時に起こしてくれ」
とりあえず寝よう。昨日はいつも通り寝たはずなのに、なんでかいつも以上に眠い。
「教室まで遠いな……」
出来ること事ならどうか……明日にならないでくれ。
俺はそう密かに思いながら教室を目指して歩き始めた。
~~~~
「起きて、蓮君」
「んん………おはよ、海……那乃?」
「うん、おはよ」
「あ、試合か?じゃ、行くか」
「終わったよ、試合」
「え?終わった?」
嘘だろ?じゃあ俺はみんなの応援もロクにやらずにここでぐうすか寝てたのかよ!?
「うぅ……すまん。応援するはずだったのに」
「ううん。私が言ったの、蓮君は寝かせたままにしよって」
「えっ?」
どう言う……ことだ?あれほど応援してねと言っていたのに、起こすなって……。俺が疲れてるように見えたのか?それとも俺に応援されたくなかった?
あぁ……どんだけ考えても思いつかん。寝起きで頭の回転も悪い気がする。
「勝ったよ。無事ね」
「あ、あぁ……ならよかったよ」
なに、やっぱり俺の応援不要と言う事だったのか?
「蓮君」
「ん?」
二人きりの教室、頬を仄かにか赤らませ見つめ合う男女、静寂、真っ青な空。
彼女を、目の前にいる那乃を意識せざるを得なかった。
「明日、もし優勝出来たら、話したいことがあるの」
「………話したいこと?」
っぶなぁぁあ!!告白かと思ったぁああ!!ホントに心臓がバクバクして、いや、マジで、え?いや、うん、俺が告白をされるような立場じゃないことぐらいは…………あ、あったは、告白。完全に盗み聞きだったけど。
「うん。だから、一緒に頑張ろ」
「あぁ、そうだな。頑張ろうぜ」
俺もあるんだ、話したいこと。いつもの適当な言い訳じゃない、ちゃんとした話したいことが。
~~~~
~翌日~
「十五対三………ヤバすぎだろ」
「あぁ、やっぱり亮と陽斗が規格外すぎる」
相手にはバレー部が二人居た。にも関わらずこの結果だ。亮のスパイクの鋭さとレシーブの安定感、陽斗の速いサーブと多様な攻めスタイル。はっきり言って勝てる気がしない。
「昨日よりももっもコンビネーションが良くなってる」
「まさか未経験者でスパイクフェイントを使うなんてね」
未経験者しかいないのに決勝までいくなんてな。亮や陽斗の凄さで霞んでいるが、他のメンバーもかなり上手い部類だ。
「さて、次は私たちだね」
冬華のその一言で俺はコートを見やる。相手にはバレー部が二人。それもどちらもアタッカーだと上葉から聞いた。中途半端なレシーブじゃきっと負ける。
「よし、やろう」
コートに入るとやっぱり緊張する。サーブ権はアッチにある。それもサーバーは最初からバレー部。キツイな。
ホイッスルが鳴った瞬間、サーバーはボールを宙に上げて前方向にジャンプをする。
「っ!」
重っ!いつもは打つ側だから、知らなかったぞ。
「すまん!」
何とか反応できたけど、不安定なボールだ。いけるか?
「福田!」
海斗がボールを上げた。それに合わせて福田がジャンプする。それに合わせて、相手のチームの一人がブロックに入る。
「はぁあ!!」
「うっ!」
福田のゴリ押しスパイクでブロックを貫通、見事に一点をもぎ取る。
「ナイス、福田!」
「いや、海斗君のトスが良かったからだよ」
調子に乗るつもりは無いが、今のままでいけば、もう少しやれる。
俺らのチームが点数を決めたから、今度はこっちのサーブ。サーバーは福田だ。
俺は相手チームの人からボールを受け取り福田に託す。
「裕一、サーブ任せた」
「うん。さっきはナイスサーブカット、だったよ」
「ん、ありがと」
~~~~
「マジかぁ……」
十対十五。やはり、相手に攻められると厳しかったか。
「でも、蓮翔は凄いよ。バレー部にサーブを打ち込んだ上で点数取れるなんてね」
「いやぁ……ただのコントロールミスだけどね」
「………終わっちゃったね。球技大会」
那乃が俺の横でボソッと言った。きっと俺に言っているんだろう。
「昨日のアレ、忘れちゃって良いよ」
「………」
いったい、何を言おうとしてたんだろうか。でも、那乃があぁ言うのなら、俺はこれ以上踏み込まない方が良いのかもしれない。
「あぁ……終わっちまったな」
ハッキリさせなきゃいけない。瑠魅のこと、那乃のこと、神とのこと、全部。
~~~~~~~~~~~~~~
次回からついに夏休み回!主人公視点以外もあるので、想定以上の話数になりそう……。
読み返すと、バレー中の描写で女子の活躍がほぼ皆無でした……。悪気があった訳じゃないんです。たぶん、ストーリーを書くのに精一杯で周りを活躍させることが出来なかったでしょう。
ちなみに、優勝は亮君たちのクラスです。ちょっと亮君のスペックを盛りすぎて、負けるという想定が出来ませんでした。
さて、この作品を投稿してそろそろ一年が経とうとしてますね。もう少し投稿が早くやれればちょうど一年後の日に最終話……なんて洒落たことも出来たんでしょうが、生憎と自分にはそんな力ありませんでした。
この作品、まだまだ続きますので、どうかこれからも読んでいただけると嬉しいです!
「緊張してんのか?」
「まぁ、少しな」
今日は球技大会二日目。亮達は昨日二回やったらしいが無事に勝ち進んで明日の準決勝まで残っている。あとは俺らがそこまで勝ち進むだけだ。
「海斗、お前は一回戦目出ないからそんな風に言えるんだよ」
「そうかもな。でも、負ける気はしないんだろ?」
「まぁな」
俺はコートに入る。サーブ権はコッチにある。サーバーは那乃だ。
「ファイト」
「うん!」
すれ違いざまにそう声を掛け、俺も姿勢を低くして構える。
そして、後ろからボールが放たれた。
~~~~
「みんなマジで上手かったな」
「だな。まさか十五対四で勝つなんてな」
相手のチームは経験者ゼロだった。その分ミスを責めるような事は一切なく、本当に楽しんでるようだった。
「あと三回戦後にはもう一試合来るから、気を抜かないようにね」
上葉が壁に寄りかかる俺達にそう言って鼓舞する。上葉は声掛けもそうだけど純粋なバレーの技術もかなりだった。
「次も頑張ろうね、蓮君」
「あぁ、そうだな」
今日はもう俺の出番はない。あとは観戦かな。昨日みたいに屋上に行くのはさすがに気が引けるし。
「応援しててね」
「あぁ。頑張れよ、那乃」
最近、那乃とは今まで以上に話すようになった。逆に瑠魅とは疎遠気味だ。瑠魅はまだ俺の記憶が戻ったことを知らない。知ってしまえばきっと、瑠魅は純粋に球技大会を楽しめない。
「どうする?亮達のとこ行くか?」
「いや、ちょっと教室で休憩するわ。運動能力はあっても体力がかなり限界なんだよ」
「あぁ、病院で寝てたもんな」
「そういうことだからよ。俺らのチームが試合の時に起こしてくれ」
とりあえず寝よう。昨日はいつも通り寝たはずなのに、なんでかいつも以上に眠い。
「教室まで遠いな……」
出来ること事ならどうか……明日にならないでくれ。
俺はそう密かに思いながら教室を目指して歩き始めた。
~~~~
「起きて、蓮君」
「んん………おはよ、海……那乃?」
「うん、おはよ」
「あ、試合か?じゃ、行くか」
「終わったよ、試合」
「え?終わった?」
嘘だろ?じゃあ俺はみんなの応援もロクにやらずにここでぐうすか寝てたのかよ!?
「うぅ……すまん。応援するはずだったのに」
「ううん。私が言ったの、蓮君は寝かせたままにしよって」
「えっ?」
どう言う……ことだ?あれほど応援してねと言っていたのに、起こすなって……。俺が疲れてるように見えたのか?それとも俺に応援されたくなかった?
あぁ……どんだけ考えても思いつかん。寝起きで頭の回転も悪い気がする。
「勝ったよ。無事ね」
「あ、あぁ……ならよかったよ」
なに、やっぱり俺の応援不要と言う事だったのか?
「蓮君」
「ん?」
二人きりの教室、頬を仄かにか赤らませ見つめ合う男女、静寂、真っ青な空。
彼女を、目の前にいる那乃を意識せざるを得なかった。
「明日、もし優勝出来たら、話したいことがあるの」
「………話したいこと?」
っぶなぁぁあ!!告白かと思ったぁああ!!ホントに心臓がバクバクして、いや、マジで、え?いや、うん、俺が告白をされるような立場じゃないことぐらいは…………あ、あったは、告白。完全に盗み聞きだったけど。
「うん。だから、一緒に頑張ろ」
「あぁ、そうだな。頑張ろうぜ」
俺もあるんだ、話したいこと。いつもの適当な言い訳じゃない、ちゃんとした話したいことが。
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~翌日~
「十五対三………ヤバすぎだろ」
「あぁ、やっぱり亮と陽斗が規格外すぎる」
相手にはバレー部が二人居た。にも関わらずこの結果だ。亮のスパイクの鋭さとレシーブの安定感、陽斗の速いサーブと多様な攻めスタイル。はっきり言って勝てる気がしない。
「昨日よりももっもコンビネーションが良くなってる」
「まさか未経験者でスパイクフェイントを使うなんてね」
未経験者しかいないのに決勝までいくなんてな。亮や陽斗の凄さで霞んでいるが、他のメンバーもかなり上手い部類だ。
「さて、次は私たちだね」
冬華のその一言で俺はコートを見やる。相手にはバレー部が二人。それもどちらもアタッカーだと上葉から聞いた。中途半端なレシーブじゃきっと負ける。
「よし、やろう」
コートに入るとやっぱり緊張する。サーブ権はアッチにある。それもサーバーは最初からバレー部。キツイな。
ホイッスルが鳴った瞬間、サーバーはボールを宙に上げて前方向にジャンプをする。
「っ!」
重っ!いつもは打つ側だから、知らなかったぞ。
「すまん!」
何とか反応できたけど、不安定なボールだ。いけるか?
「福田!」
海斗がボールを上げた。それに合わせて福田がジャンプする。それに合わせて、相手のチームの一人がブロックに入る。
「はぁあ!!」
「うっ!」
福田のゴリ押しスパイクでブロックを貫通、見事に一点をもぎ取る。
「ナイス、福田!」
「いや、海斗君のトスが良かったからだよ」
調子に乗るつもりは無いが、今のままでいけば、もう少しやれる。
俺らのチームが点数を決めたから、今度はこっちのサーブ。サーバーは福田だ。
俺は相手チームの人からボールを受け取り福田に託す。
「裕一、サーブ任せた」
「うん。さっきはナイスサーブカット、だったよ」
「ん、ありがと」
~~~~
「マジかぁ……」
十対十五。やはり、相手に攻められると厳しかったか。
「でも、蓮翔は凄いよ。バレー部にサーブを打ち込んだ上で点数取れるなんてね」
「いやぁ……ただのコントロールミスだけどね」
「………終わっちゃったね。球技大会」
那乃が俺の横でボソッと言った。きっと俺に言っているんだろう。
「昨日のアレ、忘れちゃって良いよ」
「………」
いったい、何を言おうとしてたんだろうか。でも、那乃があぁ言うのなら、俺はこれ以上踏み込まない方が良いのかもしれない。
「あぁ……終わっちまったな」
ハッキリさせなきゃいけない。瑠魅のこと、那乃のこと、神とのこと、全部。
~~~~~~~~~~~~~~
次回からついに夏休み回!主人公視点以外もあるので、想定以上の話数になりそう……。
読み返すと、バレー中の描写で女子の活躍がほぼ皆無でした……。悪気があった訳じゃないんです。たぶん、ストーリーを書くのに精一杯で周りを活躍させることが出来なかったでしょう。
ちなみに、優勝は亮君たちのクラスです。ちょっと亮君のスペックを盛りすぎて、負けるという想定が出来ませんでした。
さて、この作品を投稿してそろそろ一年が経とうとしてますね。もう少し投稿が早くやれればちょうど一年後の日に最終話……なんて洒落たことも出来たんでしょうが、生憎と自分にはそんな力ありませんでした。
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