偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
プロローグ
末路
本編
あなたにおすすめの小説
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
実は私が国を守っていたと知ってましたか? 知らない? それなら終わりです
サイコちゃん
恋愛
ノアは平民のため、地位の高い聖女候補達にいじめられていた。しかしノアは自分自身が聖女であることをすでに知っており、この国の運命は彼女の手に握られていた。ある時、ノアは聖女候補達が王子と関係を持っている場面を見てしまい、悲惨な暴行を受けそうになる。しかもその場にいた王子は見て見ぬ振りをした。その瞬間、ノアは国を捨てる決断をする――
偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)
聖女認定を剥奪されたら本当の幸せを掴むことが出来ました
長尾 隆生
恋愛
【小説家になろう日間総合ランキング表紙入り!】
田舎の村娘だったリアリスは、聖なる力を持つ者として聖女に認定される。
彼女を支えてくれた恩師であるレオンにほのかな恋心を抱いていた彼女だったが、聖女としての忙しい日々の中では彼とろくに会うことも出来なかった。
しかしある日、リアリスのライバルであった令嬢ティアラの策略でレオンは異端審問の後追放され、リアリスは聖女の立場を追われることとなる。
辺境の寂れた街に追放されたリアリスは、レオンに教わった聖女の力によってその街を救いそこで静かに暮らしていくことを決意した。
しかし真の聖女を失った国に未曾有の災厄が降りかかり……。
妖精の取り替え子として平民に転落した元王女ですが、努力チートで幸せになります。
haru.
恋愛
「今ここに、17年間偽られ続けた真実を証すッ! ここにいるアクリアーナは本物の王女ではないッ! 妖精の取り替え子によって偽られた偽物だッ!」
17年間マルヴィーア王国の第二王女として生きてきた人生を否定された。王家が主催する夜会会場で、自分の婚約者と本物の王女だと名乗る少女に……
家族とは見た目も才能も似ておらず、肩身の狭い思いをしてきたアクリアーナ。
王女から平民に身を落とす事になり、辛い人生が待ち受けていると思っていたが、王族として恥じぬように生きてきた17年間の足掻きは無駄ではなかった。
「あれ? 何だか王女でいるよりも楽しいかもしれない!」
自身の努力でチートを手に入れていたアクリアーナ。
そんな王女を秘かに想っていた騎士団の第三師団長が騎士を辞めて私を追ってきた!?
アクリアーナの知らぬ所で彼女を愛し、幸せを願う者達。
王女ではなくなった筈が染み付いた王族としての秩序で困っている民を見捨てられないアクリアーナの人生は一体どうなる!?
※ ヨーロッパの伝承にある取り替え子(チェンジリング)とは違う話となっております。
異世界の創作小説として見て頂けたら嬉しいです。
(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾ペコ