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第一章
来たりし者 8
しおりを挟む 瞬間移動で、王様と僕の実家へ。
突然の、スティファニー王国国王陛下直々のお出ましに、家族や使用人たちはびっくり仰天!
みんなで、スライディング土下座状態だ。
「今すぐレッドカーペットを敷くんだ! 最高級菓子を用意しろ! それから…ああっ!どうすればいいんだぁっ!」家令は大慌てしている。
「突然、驚かせてすまなかったのぉ。来る前に連絡するべきだったのじゃが、気がはやってしもうて♪」
王様が、てへ♪、と笑うと、父は引きつり笑いしながら答えた。
「滅相もございません! スティファニー王国国王陛下が我が家においでになるとは、こんな名誉なことはありません! たいした屋敷ではございませんが、どうぞ、こちらに…」
「いやいや。立派な城ではありませんか。さすがペリゴール辺境伯爵ですな♪」
「身に余るお言葉でございます…」
早速、敷かれたレッドカーペットの上を歩き客間に移動すると、王様用らしき絢爛豪華なキラキラした椅子が(こんなのあったっけ?)上座に設置されていて、最高級菓子が山ほど用意されていた。
「気を遣わんでくれ。実はの、かくかくしかじかでのぅ~」
「ええっ! かくかくしかじかなのですか~!」
あっという間に今までの出来事が詳細に伝えられ、とても時短である♪
「そうですか…。陛下がサファーロを望まれるなら、喜んで差し上げます。ふつつかな息子ですが、末永く、よろしくお願い致します」
父は深く頭を下げた。
「サファーロにはとても感謝している。こちらこそ、よろしく頼む。王太子として擁立したら、早めに婚約式、結婚式をするつもりじゃ。サファーロはこのシャルル嬢に求婚すると心に決めているらしいからのぅ♪」
王様がシャルルに視線を送ると、
「はじめまして。シャルル・フォン・ノアイユと申します。サファーロ様にはいろいろと親切にしていただき感謝しております。今後とも、よろしくお願いいたします」シャルルが丁寧に美しい姿勢でお辞儀した。
「手の届かない人と言っていたが…彼女をつかまえたのだな、サファーロ。よかったな」
父の温かい眼差しに、心配してくれていたんだなと親心を感じる。
「諦めなくてよかったよ」
「こいつ」
堂々と惚気る僕に、父はあきれているようだ。
「幸せになるんだぞ」
「はい」
父と僕とのやりとりを微笑ましく見ていた王様は、
「早く、可愛い赤ん坊が見たいのぉ。1年後には結婚式を挙げるぞ」とつぶやいた。
「そんなに早くですか?」
さすがに父もびっくりだ。
「善は急げじゃ!王座を狙って悪さをする者どもを一掃して、王太子の結婚式を派手にやってやる!」
どうやら、言い出したらきかない人みたいだ。
正式なプロポーズの前に、結婚式が決まってしまった。
「さて、では次はシャルルの御両親に挨拶に行こうかの?」
うきうきしている王様の言葉を聞いて、さっきまで笑っていたシャルルの表情がさっと曇る。
「王様、シャルルの家庭は少し複雑なのです。王様はまだ病み上がりです。無理をなさらないでください」
僕が仲裁すると、
「そうか…。シャルルの気持ちも汲まねばのぅ」
王様は分かってくれたようだ。
「では、また会える日を楽しみにしている」
家族や使用人の見送りを受けながら、王様と僕たちは宮殿へと戻った。
夕食後。
僕に用意された部屋に入ると、部屋がかなり荒らされていた。
王様の殺害計画を邪魔して、加担者たちを捕まえた仕返しだと瞬時に思う。
宮殿内の加担者は捕まえたけれど、宮殿外の加担者たちの殺気がこの部屋にどんどん集結してきている。
シャルルは無事だろうか?!
僕はシャルルの部屋へと急いだ!
突然の、スティファニー王国国王陛下直々のお出ましに、家族や使用人たちはびっくり仰天!
みんなで、スライディング土下座状態だ。
「今すぐレッドカーペットを敷くんだ! 最高級菓子を用意しろ! それから…ああっ!どうすればいいんだぁっ!」家令は大慌てしている。
「突然、驚かせてすまなかったのぉ。来る前に連絡するべきだったのじゃが、気がはやってしもうて♪」
王様が、てへ♪、と笑うと、父は引きつり笑いしながら答えた。
「滅相もございません! スティファニー王国国王陛下が我が家においでになるとは、こんな名誉なことはありません! たいした屋敷ではございませんが、どうぞ、こちらに…」
「いやいや。立派な城ではありませんか。さすがペリゴール辺境伯爵ですな♪」
「身に余るお言葉でございます…」
早速、敷かれたレッドカーペットの上を歩き客間に移動すると、王様用らしき絢爛豪華なキラキラした椅子が(こんなのあったっけ?)上座に設置されていて、最高級菓子が山ほど用意されていた。
「気を遣わんでくれ。実はの、かくかくしかじかでのぅ~」
「ええっ! かくかくしかじかなのですか~!」
あっという間に今までの出来事が詳細に伝えられ、とても時短である♪
「そうですか…。陛下がサファーロを望まれるなら、喜んで差し上げます。ふつつかな息子ですが、末永く、よろしくお願い致します」
父は深く頭を下げた。
「サファーロにはとても感謝している。こちらこそ、よろしく頼む。王太子として擁立したら、早めに婚約式、結婚式をするつもりじゃ。サファーロはこのシャルル嬢に求婚すると心に決めているらしいからのぅ♪」
王様がシャルルに視線を送ると、
「はじめまして。シャルル・フォン・ノアイユと申します。サファーロ様にはいろいろと親切にしていただき感謝しております。今後とも、よろしくお願いいたします」シャルルが丁寧に美しい姿勢でお辞儀した。
「手の届かない人と言っていたが…彼女をつかまえたのだな、サファーロ。よかったな」
父の温かい眼差しに、心配してくれていたんだなと親心を感じる。
「諦めなくてよかったよ」
「こいつ」
堂々と惚気る僕に、父はあきれているようだ。
「幸せになるんだぞ」
「はい」
父と僕とのやりとりを微笑ましく見ていた王様は、
「早く、可愛い赤ん坊が見たいのぉ。1年後には結婚式を挙げるぞ」とつぶやいた。
「そんなに早くですか?」
さすがに父もびっくりだ。
「善は急げじゃ!王座を狙って悪さをする者どもを一掃して、王太子の結婚式を派手にやってやる!」
どうやら、言い出したらきかない人みたいだ。
正式なプロポーズの前に、結婚式が決まってしまった。
「さて、では次はシャルルの御両親に挨拶に行こうかの?」
うきうきしている王様の言葉を聞いて、さっきまで笑っていたシャルルの表情がさっと曇る。
「王様、シャルルの家庭は少し複雑なのです。王様はまだ病み上がりです。無理をなさらないでください」
僕が仲裁すると、
「そうか…。シャルルの気持ちも汲まねばのぅ」
王様は分かってくれたようだ。
「では、また会える日を楽しみにしている」
家族や使用人の見送りを受けながら、王様と僕たちは宮殿へと戻った。
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王様の殺害計画を邪魔して、加担者たちを捕まえた仕返しだと瞬時に思う。
宮殿内の加担者は捕まえたけれど、宮殿外の加担者たちの殺気がこの部屋にどんどん集結してきている。
シャルルは無事だろうか?!
僕はシャルルの部屋へと急いだ!
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