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第142話 前時代の武器

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ニニムと共に――いつも通り書類整理をしていると『うん?』っと言う可愛らしい彼女の声と共にニニムの手が止まったので(何事か?)と思い彼女の顔の様子を伺うと
どうやら、ある目録に目が止まったようだ...

同時にニニムに目録の確認を求められたので確認する...
彼女が目を止めた目録は古ぼけてこそいたが書かれている――その内容から旧ユガン帝国時代に製造され同帝国軍が所有していた予備用軍備の在庫目録のようだ

試しに書かれている所を調べて見ると前ユガン帝国軍が装備していた辛うじて使える古いロングボウが30個出て来た

こんな古ぼけた武器でも今のケルダンでは大切な資産には違いない...
そんな訳だから新設した領軍に装備できるか?ヨルミネイトに相談した所――案の定
『練度も筋力も足りません!無理です!卿!』と言われてしまった...

それなら、それで構わない・・・何故なら答えは予想はしていたし――そのような答えが返って来たら【もう、どうするか?】は決めていたからだ

俺は錠前職人や大工などの職人や技術者を招集し行動に移った...

***

まず、矢の飛び出すチャンバーと矢を6本詰める弾倉を一体にした棒状のデバイスを矢の胴体部分であるシャフト中央に取り付ける(この時、矢はクリップ給弾方式なので装填した際はキッチリクリップを外す事を忘れてはいけない)

デバイスを取り付けた弓を通常と同じように引く(すると弓の弦がデバイス内に設置されている爪の部分に引っかかりバネの力で押し出された矢一本がチャンバー内にセットされる)

・・・そして弦を引き続ける事は大変な筋力を必要とするので矢を引いた際はデバイスに装着されているフォアグリップとシャフトを手でシッカリと握る事で弦が引っ張られ続ける動作を保持するのだ

発射する際はデバイス後部に設けた引き金を引けばいい...
デバイス内で弦を引っかけている爪が引き金を引く事で外れるからだ

活版印刷で印刷されるマニュアルに、こう書き記しながら苦笑する。如何にも自分が考えたように書いているが当然――自分のアイデアではない...

以前――ドイツのYou○uberが欧米のアーチェリー会社と作ったアイデアのパクリだからだ...

このデバイスのメリットは...
誰でも短時間で使えるので高等な教育を受けていない経験の浅い者でも戦力化できる事

中世近世レベルの技術力でも生産可能で工夫次第で可動部品を極力少なくする事が出来る事

そして連射が可能な事だ

当たり前だがメリットがあるからにはデメリットも存在する

まず普通の弓より構造が複雑になるので最前線での整備が困難になる事(後方での専門の職人による整備工場が必要になる)

通常のロングボウより連射が利くように弓本体だけでなく矢羽も3枚から2枚へと意図的に退化させているので弾道が安定しにくく射程に劣る事

通常の弓矢用の矢やクロスボウのボルトなどの矢と混同したり武器の特性上、矢を大量に消費する事から補給する上での不都合が生じる事などが挙げれる

構造もシンプルなので・・・有用性が知られればAK47の弓矢版としてコピー品も、すぐに多く出回ることだろう...
ゆえに違っても自分の改良した武器で自分や自分に親しい人間が殺されるような事態は防がなければならない...

デバイスの中身は、この世界の魔術なりゴーレムの技術なりを用いる事で分解しようと試みたら部品がバラバラに飛び散るなどしてブラック化しプロテクトを施す事で可能な限り技術を秘匿するつもりだ...

だが、この世に絶対に破られない秘密などない・・・他の国の天才が仕掛けを破る可能がもあるほか、その他にも鹵獲されたり国内の汚職で技術が流出する想定されるので製造法は信頼できる一部の技術者や生産者にのみ留め生産を許可するべきだろう...

その他の対策として武器ひとつ一つ全てに個別の番号を振って複式簿記《ふくしきぼき》などで汚職による横流しなどを防ぐなどの対策を講じる必要もある。
そこまでしなければ・・・武器や技術など容易に流出してしまう...

自分の改良した武器で自分や自分に親しい人間が殺されるなど本末転倒だ

だが当然、そこまで管理を徹底するとなるとニニムの他に簿記管理ができる人材が必要となってくるので現在――いろいろなツテを使って募集をかけている

軍備を行き渡らせる為にも、どうか良い人材が見つかりますように!

そう心の中で祈るしかないアユムであった...
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