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今度は推しをお守りします!
警備騎士
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「アナスタージア様は変なのに付きまとわれたりするからね。リュシアン様もだけど」
「わ、私のことでしょうかっ!?」
つい反応してしまうと、ブリジット様は一瞬きょとんとして、大爆笑してくれた。笑わせないで。とお腹を抱えて座り込んでしまう。
ストーカーと名高く聖騎士団の方々にもその認識をされているのだ。リュシアン様もアナスタージア様も私の推し。付きまとっているような気もするので、思い当たると申し出ただけである。
「いや、違うよ。アナスタージア様って人気あるでしょう? 王城に訪れたら男たちはみんな見てくじゃない。アナスタージア様を女神のように崇める男どもはともかく、下心丸出しの変態は多いわけだし、よく騎士団に入る決心したなって」
「アナスタージア様の追っ掛けですね。存じてます。変態はちょっと、見掛けたら抹殺します」
「真顔で言わないでよ……」
私は両手を握り合わせて指を鳴らす。アナスタージア様を困らせる輩などは抹殺である。当然の処置。推しを困らせるなど、言語道断だ。
「リュシアン様の場合、暗殺者の可能性もあるからね。近付いてくる女性が本当にリュシアン様に好意があるかどうかも一目じゃ分からないんだから、大変だよ。リュシアン様に付きまとってたから好意だと思っていたけど、実際は付きまとうふりをして王宮を探っていたとかあったからね」
それは聞き捨てならない。リュシアン様のファンと見せ掛けて、王族を狙おうとしたのだ。リュシアン様の立場を利用しようとしたのだろうか。
「パーティとかでねえ。よく近付いてくる子だったよ。リュシアン様を追うふりをして、呪われた物を王宮に持ち込んだみたい」
「それは、メイドが入り込めない区域に入り、呪いの道具を設置していたという話でしょうか……?」
聞いたことのある話に私は問い返す。バルバラ令嬢の話によく似ていたからだ。
「王と謁見する部屋に入り込み、呪いの道具を置いたんだよ。リュシアン様に近付いて、王を狙ったみたいだけれど、丁度部屋から出てきたところを私とリュシアン様が見付けてね」
メイドが部屋から出てくれば掃除かと思いがちだが、バルバラ令嬢は明らかに挙動不審だったそうだ。
「不審な動きをしていたのは確かだったからその理由を問い詰めたんだけど、しっかり答えなかったんだよ。それで、リュシアン様が魔術師を呼んで、呪いの道具が見付かったんだ」
バルバラ令嬢はリュシアン様の話を盗み聞きし、王に会うことを耳にしていたらしい。それで先回りをしてその部屋に入ったそうだ。
だが、その部屋から出た時に、リュシアン様とブリジット様に見付かってしまった。
「彼女が呪具を置いたのは、どうして分かったんでしょうか」
「部屋にあった呪具を見付けたら顔色を変えたんだよ。間違いなく彼女が置いたとなったんだけれど、途端に彼女は否定してね。きっと、見付かって焦ったんだろうね。私は違うとばかり言って」
入り込んだことは認めざるを得なかっただろう。そして、呪具に関しては否定をした。そのため、牢に連れて行かれたのだ。
「その後、すぐ殺されたんだ。後味悪かったわ。結局、王を狙ったんじゃないかって話で、その後何の発展もないんじゃないかな」
「そうですね。彼女を殺した犯人は出ていません」
調書を見た限り、彼女が殺されているのは分かったが、犯人は見付かっていない。
「リュシアン様を狙うなら、その女性が入られる場所で十分狙えただろうから、その部屋に入ったのは、王を狙ったんだろうってなったんだけど。ただねえ、王を狙った感じはなかったんだよね。リュシアン様の方ばかりを見て、侵入したことだけは謝っていて」
「私の友人も似たようなことを言っていました。彼女は、何も知らなかったんじゃないかって」
だが殺されてしまい、真実は分からなくなってしまった。
「残念だけど、騙されてもそこに入った時点で終わりだよ。その女性が入られない区域に入ったのは間違いないからね。厳しいこと言うけど、誰かに騙されたにしろ、利用されたにしろ、その犯人を簡単に信用したとはいえ、自分でその行為に至ったんだろうから」
ブリジット様は肩を竦める。ブリジット様の経験談だろうか。簡単に人を信じてはならないと戒める。
「ここはそういう場所だよ。隙を見せないようにしないと」
「ブリジット様……」
「だからこそ、自分で学び、真実を得る力を持たないとね」
彼女の経験がそう思うに至らせたのだろう。自嘲的な笑いに私は胸が痛くなった。
「アレット、今、時間ありますか? ちょっと教えてほしいことがありまして」
私はメイドたちが休憩する時間を見計らい、アレットに会いに行っていた。ブリジット様とお話しして気になることができたからだ。
「珍しいじゃない。どうしたの」
「バルバラ令嬢のことで、少し……」
「ああ、いいわよ。あっちへ行きましょう」
アレットは他のメイドたちと人気のない場所で休んでいた。他のメイドが私に気付き、何か話している。アレットはそのメイドたちを睨みつつ、私をそこから離れた場所へ連れ出した。
「すみません、休憩中」
「構わないわよ。何か分かったことがあったの?」
「分かることがなさすぎるので、詳しいこと知っている人に覚えはないかと。交友関係とか何でも良いのですけれど」
「交友関係かーー。メイド仲間じゃそんな仲良い子はいなかったと思うけど。見たでしょ。さっきのあんたを見る目。バルバラが何かしてたら、みんな知ってると思うけど」
私を見るなりこそこそと話をしていたが、大抵あんな風に暇な時に噂話をする。
メイドの中で噂が回るのはとても早い。それが一体どこからの情報なのか知らなくとも、一人が口にしたことはほとんどのメイドが知っている。嘘か本当かは関係なく、暇つぶしに口々にその話をするからだ。
今もどんな話をしているのか。私がどうやって聖騎士団に入ったか、知りもしないことを話しているのだろう。
「何か気付いたことでもないですか? バルバラ令嬢が行ったこと、やはりおかしな点が多い気がしますので」
「誰かに頼まれたって感じ?」
「頼まれていたら、すぐに白状すると思うんです。お部屋に侵入したことは謝罪したそうなので。リュシアン様にすがるような態度だったようなんです」
「じゃあ、やっぱり陥れられたって感じ?」
「そうですね。ただ、それならばなぜそのことについて言わなかったのかが不思議で。彼女自身企みはあったのだけれど、でも呪具だったとは知らなかったとなると、呪具が別の何かだと言われて持たされたのではと思いまして」
「呪いの道具だとは聞いてなかったけど、何かの効果があるとは知ってたってこと?」
「それが何かは分かりませんが」
それならば呪具と聞いて驚いたのは納得ができる。けれど、バルバラ令嬢はそれが何かとは言えなかった。
(例えば、その香木の香りを嗅いでいると、体が痺れてしまうとか。いえ、私はやりませんよ。私はやりません)
「交友関係じゃないけど、ストーカーっぽいのにはあってたらしいわよ」
「す、ストーカー、ですか。うう。ここでもストーカー」
「何よ。心当たりでもあるの?」
「いえ、ないです。ストーカーですか。被害があったんでしょうか?」
「あったって言うか……」
アレットは周囲を見回して誰もいないことを確認すると、そっと私に耳打ちした。
「警備騎士らしいのよね、その男」
「警備騎士?」
「何を勘違いしたんだか、バルバラの恋人気取りで、バルバラは気味悪がってたわ。ちょっと優しくしたくらいで付きまとってきてってね。まあ、自業自得だと思うけど」
その警備騎士がバルバラ令嬢の恋人であると一人勘違いをし、他の男と話せば嫉妬してきたそうだ。
メイドの立場であれば男性と会う機会は多く、警備騎士とも話すことは多い。他の警備騎士と少し話しただけで、その警備騎士と喧嘩になったこともあったようだ。バルバラ令嬢は男性と話すことが多いので、嫉妬だらけだったのではなかろうか。
「その警備騎士、リュシアン様にも嫉妬したのかしら……」
「バルバラが話し掛けてるの見てれば、嫉妬したんじゃない? 誰でも構わず話し掛けてるの見てイラついてるくらいなら、聖騎士団団長だって関係ないでしょう」
ここで警備騎士となると、その男がリュシアン様を殺させるためにバルバラ令嬢に呪具を渡した可能性が出てくる。
(いえ、でも、王様を狙った可能性の方が高いのよね)
リュシアン様を狙うならば、危険を犯してまでバルバラ令嬢が入られない区域に入る必要がないのだ。そのため王を狙ったとなったのだから。
「でも、そのストーカー、付き合ってもいないのに、いきなり別れ話してきたって、バルバラが呆れてたわ」
「別れ話ですか? 付き合ってないのに??」
「妄想で付き合ってたことになってて、それで相手から別れてほしいって言われたんだって。笑えるでしょ」
「……中々、妄想体質ですね」
それは頭の中だけでやってほしいものである。バルバラ令嬢も混乱しただろう。
それからは付きまとうことがなかったようだ。だからバルバラ令嬢の周辺でその話が出なかったのだろうか。
「それで幸せになってくれ。なんて言われたら、寒気するわ」
聞いていて私も寒気がしてくる。自分がやりそうな可能性もあって……。いやいや、幸せになってくださいは私も言うが、付き合っていると思い込んで振るとか、何とおこがましい。
「あ、そういえば、その時にいい物くれたって言ってたわよ。詳しくは聞いてないけど、冗談混じりで、媚薬とか言ってた」
「びやく……ですか? その妄想警備騎士、どなたか分かります?」
「名前まではちょっと。でも城内の警備騎士よ」
「わ、私のことでしょうかっ!?」
つい反応してしまうと、ブリジット様は一瞬きょとんとして、大爆笑してくれた。笑わせないで。とお腹を抱えて座り込んでしまう。
ストーカーと名高く聖騎士団の方々にもその認識をされているのだ。リュシアン様もアナスタージア様も私の推し。付きまとっているような気もするので、思い当たると申し出ただけである。
「いや、違うよ。アナスタージア様って人気あるでしょう? 王城に訪れたら男たちはみんな見てくじゃない。アナスタージア様を女神のように崇める男どもはともかく、下心丸出しの変態は多いわけだし、よく騎士団に入る決心したなって」
「アナスタージア様の追っ掛けですね。存じてます。変態はちょっと、見掛けたら抹殺します」
「真顔で言わないでよ……」
私は両手を握り合わせて指を鳴らす。アナスタージア様を困らせる輩などは抹殺である。当然の処置。推しを困らせるなど、言語道断だ。
「リュシアン様の場合、暗殺者の可能性もあるからね。近付いてくる女性が本当にリュシアン様に好意があるかどうかも一目じゃ分からないんだから、大変だよ。リュシアン様に付きまとってたから好意だと思っていたけど、実際は付きまとうふりをして王宮を探っていたとかあったからね」
それは聞き捨てならない。リュシアン様のファンと見せ掛けて、王族を狙おうとしたのだ。リュシアン様の立場を利用しようとしたのだろうか。
「パーティとかでねえ。よく近付いてくる子だったよ。リュシアン様を追うふりをして、呪われた物を王宮に持ち込んだみたい」
「それは、メイドが入り込めない区域に入り、呪いの道具を設置していたという話でしょうか……?」
聞いたことのある話に私は問い返す。バルバラ令嬢の話によく似ていたからだ。
「王と謁見する部屋に入り込み、呪いの道具を置いたんだよ。リュシアン様に近付いて、王を狙ったみたいだけれど、丁度部屋から出てきたところを私とリュシアン様が見付けてね」
メイドが部屋から出てくれば掃除かと思いがちだが、バルバラ令嬢は明らかに挙動不審だったそうだ。
「不審な動きをしていたのは確かだったからその理由を問い詰めたんだけど、しっかり答えなかったんだよ。それで、リュシアン様が魔術師を呼んで、呪いの道具が見付かったんだ」
バルバラ令嬢はリュシアン様の話を盗み聞きし、王に会うことを耳にしていたらしい。それで先回りをしてその部屋に入ったそうだ。
だが、その部屋から出た時に、リュシアン様とブリジット様に見付かってしまった。
「彼女が呪具を置いたのは、どうして分かったんでしょうか」
「部屋にあった呪具を見付けたら顔色を変えたんだよ。間違いなく彼女が置いたとなったんだけれど、途端に彼女は否定してね。きっと、見付かって焦ったんだろうね。私は違うとばかり言って」
入り込んだことは認めざるを得なかっただろう。そして、呪具に関しては否定をした。そのため、牢に連れて行かれたのだ。
「その後、すぐ殺されたんだ。後味悪かったわ。結局、王を狙ったんじゃないかって話で、その後何の発展もないんじゃないかな」
「そうですね。彼女を殺した犯人は出ていません」
調書を見た限り、彼女が殺されているのは分かったが、犯人は見付かっていない。
「リュシアン様を狙うなら、その女性が入られる場所で十分狙えただろうから、その部屋に入ったのは、王を狙ったんだろうってなったんだけど。ただねえ、王を狙った感じはなかったんだよね。リュシアン様の方ばかりを見て、侵入したことだけは謝っていて」
「私の友人も似たようなことを言っていました。彼女は、何も知らなかったんじゃないかって」
だが殺されてしまい、真実は分からなくなってしまった。
「残念だけど、騙されてもそこに入った時点で終わりだよ。その女性が入られない区域に入ったのは間違いないからね。厳しいこと言うけど、誰かに騙されたにしろ、利用されたにしろ、その犯人を簡単に信用したとはいえ、自分でその行為に至ったんだろうから」
ブリジット様は肩を竦める。ブリジット様の経験談だろうか。簡単に人を信じてはならないと戒める。
「ここはそういう場所だよ。隙を見せないようにしないと」
「ブリジット様……」
「だからこそ、自分で学び、真実を得る力を持たないとね」
彼女の経験がそう思うに至らせたのだろう。自嘲的な笑いに私は胸が痛くなった。
「アレット、今、時間ありますか? ちょっと教えてほしいことがありまして」
私はメイドたちが休憩する時間を見計らい、アレットに会いに行っていた。ブリジット様とお話しして気になることができたからだ。
「珍しいじゃない。どうしたの」
「バルバラ令嬢のことで、少し……」
「ああ、いいわよ。あっちへ行きましょう」
アレットは他のメイドたちと人気のない場所で休んでいた。他のメイドが私に気付き、何か話している。アレットはそのメイドたちを睨みつつ、私をそこから離れた場所へ連れ出した。
「すみません、休憩中」
「構わないわよ。何か分かったことがあったの?」
「分かることがなさすぎるので、詳しいこと知っている人に覚えはないかと。交友関係とか何でも良いのですけれど」
「交友関係かーー。メイド仲間じゃそんな仲良い子はいなかったと思うけど。見たでしょ。さっきのあんたを見る目。バルバラが何かしてたら、みんな知ってると思うけど」
私を見るなりこそこそと話をしていたが、大抵あんな風に暇な時に噂話をする。
メイドの中で噂が回るのはとても早い。それが一体どこからの情報なのか知らなくとも、一人が口にしたことはほとんどのメイドが知っている。嘘か本当かは関係なく、暇つぶしに口々にその話をするからだ。
今もどんな話をしているのか。私がどうやって聖騎士団に入ったか、知りもしないことを話しているのだろう。
「何か気付いたことでもないですか? バルバラ令嬢が行ったこと、やはりおかしな点が多い気がしますので」
「誰かに頼まれたって感じ?」
「頼まれていたら、すぐに白状すると思うんです。お部屋に侵入したことは謝罪したそうなので。リュシアン様にすがるような態度だったようなんです」
「じゃあ、やっぱり陥れられたって感じ?」
「そうですね。ただ、それならばなぜそのことについて言わなかったのかが不思議で。彼女自身企みはあったのだけれど、でも呪具だったとは知らなかったとなると、呪具が別の何かだと言われて持たされたのではと思いまして」
「呪いの道具だとは聞いてなかったけど、何かの効果があるとは知ってたってこと?」
「それが何かは分かりませんが」
それならば呪具と聞いて驚いたのは納得ができる。けれど、バルバラ令嬢はそれが何かとは言えなかった。
(例えば、その香木の香りを嗅いでいると、体が痺れてしまうとか。いえ、私はやりませんよ。私はやりません)
「交友関係じゃないけど、ストーカーっぽいのにはあってたらしいわよ」
「す、ストーカー、ですか。うう。ここでもストーカー」
「何よ。心当たりでもあるの?」
「いえ、ないです。ストーカーですか。被害があったんでしょうか?」
「あったって言うか……」
アレットは周囲を見回して誰もいないことを確認すると、そっと私に耳打ちした。
「警備騎士らしいのよね、その男」
「警備騎士?」
「何を勘違いしたんだか、バルバラの恋人気取りで、バルバラは気味悪がってたわ。ちょっと優しくしたくらいで付きまとってきてってね。まあ、自業自得だと思うけど」
その警備騎士がバルバラ令嬢の恋人であると一人勘違いをし、他の男と話せば嫉妬してきたそうだ。
メイドの立場であれば男性と会う機会は多く、警備騎士とも話すことは多い。他の警備騎士と少し話しただけで、その警備騎士と喧嘩になったこともあったようだ。バルバラ令嬢は男性と話すことが多いので、嫉妬だらけだったのではなかろうか。
「その警備騎士、リュシアン様にも嫉妬したのかしら……」
「バルバラが話し掛けてるの見てれば、嫉妬したんじゃない? 誰でも構わず話し掛けてるの見てイラついてるくらいなら、聖騎士団団長だって関係ないでしょう」
ここで警備騎士となると、その男がリュシアン様を殺させるためにバルバラ令嬢に呪具を渡した可能性が出てくる。
(いえ、でも、王様を狙った可能性の方が高いのよね)
リュシアン様を狙うならば、危険を犯してまでバルバラ令嬢が入られない区域に入る必要がないのだ。そのため王を狙ったとなったのだから。
「でも、そのストーカー、付き合ってもいないのに、いきなり別れ話してきたって、バルバラが呆れてたわ」
「別れ話ですか? 付き合ってないのに??」
「妄想で付き合ってたことになってて、それで相手から別れてほしいって言われたんだって。笑えるでしょ」
「……中々、妄想体質ですね」
それは頭の中だけでやってほしいものである。バルバラ令嬢も混乱しただろう。
それからは付きまとうことがなかったようだ。だからバルバラ令嬢の周辺でその話が出なかったのだろうか。
「それで幸せになってくれ。なんて言われたら、寒気するわ」
聞いていて私も寒気がしてくる。自分がやりそうな可能性もあって……。いやいや、幸せになってくださいは私も言うが、付き合っていると思い込んで振るとか、何とおこがましい。
「あ、そういえば、その時にいい物くれたって言ってたわよ。詳しくは聞いてないけど、冗談混じりで、媚薬とか言ってた」
「びやく……ですか? その妄想警備騎士、どなたか分かります?」
「名前まではちょっと。でも城内の警備騎士よ」
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