197 / 316
領主2
しおりを挟む
「ラータニア王との会談を終え、ラータニアと同盟を組んだことを皆様にお知らせしますわ」
グングナルド領主を集めた会議で、フィルリーネは静かに笑みながら始めた。
その言葉に安堵する者と、眉間に皺を寄せた者、表情を変えなかった者がいる。
「ルヴィアーレ様とのご婚姻は、どのような対処となられたのでしょうか?」
最初に口にしたのは国境門のあるヒベルト地方の領主、シグナルテだ。王によって暗殺されそうになったが生き延び、今回の事件で領主に戻した。
薄い栗色の髪を短く切った輪郭のはっきりした男だったと記憶しているが、事件によって妻と子を亡くしてから苦労もあったせいで、頬が痩けて顔や首が筋張っていた。
薄い緑色の瞳が鋭く見えるのは、この数ヶ月で多くを失ったからだろう。
そのシグナルテは期待を持ってこちらの返答を待つ。隣にいるルヴィアーレを見れば婚約続行だと分かっているだろうが、言質が欲しいのだろう。
他の領主に良く聞かせるためにも。
「ラータニア王より、今回の元グングナルド王の失態について、わたくしに咎める責はないとお言葉をいただいています」
「では…」
「婚約は続行。ただ、今回の事件により犠牲が出たことを慮っていただき、婚姻式は当分の間延期。婚約のままと言うことになりました」
「それは、よろしゅうございました」
シグナルテは笑みを浮かべて婚約続行を喜ぶ。その後をミュライレンの兄、アレシウスが続けた。
「フィルリーネ様とルヴィアーレ様の婚約を、我がダリアエル領は歓迎いたします」
はっきりとした口調がミュライレンの兄とは思えない。
少々赤みのさしたうねった金髪は耳に少しかかるくらいの長めの髪で、目がクリッとした幼い容姿に見えるのだが、ミュライレンの父元領主ブライデンに良く似て強引だが堅実な腕を持つ領民に人気の男である。
アレシウスにとって、コニアサスを王にと宣言したフィルリーネは敵対する相手ではない。ミュライレンとコニアサスに教育を課すことを聞いているだろう。今後見極めるために近付いてくるだろうが、こちらとしても魔導石を多く産出するダリアエル領は囲っておきたい。
二人の声が上がると、ちらほらと領主たちが喜びを見せたが、そうでない者もいる。
マグダリア領主、ルカンタラだ。最近城に文句を言いに来たおじいちゃん軍団の一人、サリーネスの息子である。
老眼鏡ではないが眼鏡をかけており、サリーネスと同じように長い髪を後ろに束ねている。さすがに白髪ではなく真っ黒だが、切れ長の瞳は紫で妖艶な雰囲気があった。
サリーネスのようなお腹の出た体格ならそんな雰囲気はないが、ガルネーゼのように身長が高く細身なので、上から見られるときっと迫力を感じるだろう。
そのルカンタラは静かに話を聞いて、無言のまま。サリーネスはフィルリーネを良く思っていないので、ルカンタラも同じだ。
マグダリア領は第二都市カサダリアの次に大きな街を擁している。周辺に魔獣の巣窟である洞窟があるのだが、そこで採れる宝石で潤っている街だ。
街が潤っていれば領主も潤っている。その金で王にへつらっていたのはよくある話だ。完全な王派とは言わないが、賄賂によって王からの圧力を緩和していた。ある意味王から守られていた領主としては、王が投獄されて不安も多いことだろう。
注視したいのはそこだけではない。マグダリア領は隣国キグリアヌンに宝石を輸出しており、キグリアヌンとも繋がりがあった。無視するには面倒な問題を抱えている領なのだ。
「フィルリーネ様は王の席に座らぬと、ラータニア王はご存知なのでしょうか?」
そのルカンタラがやっと口を開いた。まずは本当に王になる気がないのか気になったらしい。
「もちろん、わたくし王になる気はなくてよ。コニアサスが成長するまでの腰掛けと思ってくれて結構。けれど当然、王の代理としての働きは致します」
ラータニア王がグングナルドにおける影響を増やしては困る。ルカンタラからはそんな言葉が溢れてきそうだ。それはこちらも同じである。これ以上ラータニアの影響力を増やすつもりはない。
「ラータニア王からは、ラータニアでの被害を最小限に抑えたことを深く感謝していただいています。グングナルドとしても、害虫駆除に協力いただけたことは感謝致すところ。お互い利があり協力が叶ったのだから、ラータニアにおける被害に対しての補償も少なく済みました。これからも良い関係を築いていけますわ」
隣にいるルヴィアーレを除けばだが。
それは言わず、ちらりと横目でその男を見る。相変わらず無表情で周囲の話を聞いているだけ。ルヴィアーレは文武両道と謳われていても、グングナルドでは殆ど発言をせずに大人しくしている。
戦いで王派を倒していてもそれを見ている人物は少なく、武に秀でていたと言われればその程度で納得させられる。ルヴィアーレを脅威と思う者はまだいないだろう。ラータニアとの繋がりで面倒だと思われる程度だ。
侮られればこちらはやり易い。
害虫発言に顔を引き攣らせる領主もいるが。ルカンタラは真顔でこちらを見遣った。
近くに座るガルネーゼがぎろりとルカンタラを睨みつける。フィルリーネが王の代理になっていられるのはガルネーゼとイムレスがいるからである。その後ろ盾てであるガルネーゼの前で代理ができるのかと問えば、ガルネーゼに補助能力があるのかと問うているようなものだ。
それくらいルカンタラは分かっているだろうが、そう簡単にフィルリーネの統治にされては困ると紫の瞳をこちらに向けてきた。
「具体的にフィルリーネ様は、今後どのように国をまとめられるおつもりでしょうか。前王は確かに地方へ目を向けぬ方でした。多くの魔鉱石を望み大都市へ権力を集中させ、地方は困窮するばかり。しかしその地方に主立った産業がなく、貧するのも仕方のないことかと存じますが」
その権力が集中された第三都市に住む領主が言い放ってくる。地方の領主が歯噛みしても事実なので反論できないが、目立った産業がなくても税率が一律で、新しい産業を探してもまともに行えない財政難なのが問題なのだ。
王は分かりやすく賄賂を得られる領や王の手伝いを好んで行う領を優遇した。そこを修正すれば標準値は上げられる。
「そうですわね。まずはこの資料を確認していただきたいわ。とても面白いものが載っているの。わたくし政務を行っている間に気付いたのです。何かと自由にされている方が多いように見受けられるのよ」
側に控えていた政務官たちがざっと資料を配布した。
「これは…」
一人の領主が呟くとざわめきが広がった。ルカンタラがある領主へ視線をやると、皆が同じ方へ向いた。
顔を蒼白にさせていたのは、冬の館があるサマレンテ領主オマノウラだ。丸坊主の頭を前屈みにし、太った体を更に丸くさせて資料を凝視している。
「ふぃ、フィルリーネ様、こ、これは」
「害虫とはとても仲が良いようですわね」
「な、なかが、よい、などと」
オマノウラはそれほどの大物ではない。前王の言うことを聞いてそれを実行していただけだ。何も考えず言われた通りに行うだけの、脳のない領主。
今まで王都やカサダリアに住む個別の貴族たちを捕らえてきたが、領主はまだ手を出していない。不正を行っていた貴族たちを捕らえた後時間を置いたのは、それほどの権力をフィルリーネは傍観すると見せ掛けただけだ。
既に証拠は得られている。わざわざこの場で出すために取っておいた。
「随分と、数字が違うように見受けられるの。サラマンテ領で得られるキグリアヌンへの物資の輸出量に比べて、グングナルドへの税金が少ないのは何故かしら。それとは別に、不思議なお金の移動がありましてよ。害虫に与えるには膨大な金額ですこと。サラマンテ領は防衛に必要な大きな要となる場所。その領が防衛に力を入れず、そのお金を個人的に害虫に渡すなど、言語道断ではなくて?」
「こ、これは。あなたの父君に、い、依頼されたのです! こちらでは、断ることなど、できず!」
「その害虫がいなくなった途端、証拠を隠滅しようとなさったようね。ねえ、オマノウラ。害虫は確かに脅威的で、命の危険さえ伴った関係でしたでしょう。けれど、害虫退治を終えた後、その関係を隠すような不誠実な小虫を、わたくしが許すと思って?」
オマノウラはその言葉にどっと汗をかき始めた。口をモゴモゴさせ何か言い訳を話そうとするが、言葉になっていない。
冬の館は王の騎士団も揃っていた。国境騎士団の多くが王の手下ともなれば、王の言うことは聞かなければ生きていけない。
しかしそれを鑑みても、オマノウラは何もしなかった。キグリアヌンへ秘密裏に魔鉱石を輸出していた証拠も揃っている。キグリアヌンの誰と取引をしていたかは定かではないが、グングナルドを裏切っていた行為は許し難いものだ。
例えそれが前王の命令であっても、今はただの害虫でしかない。
「ねえ、皆様。わたくし子供の頃から思っていましたの。害虫退治を終えたら、その周りを飛び回る小虫は全て排除しなければと。そのための用意をして参りましたわ。皆様とは小虫を排して、対等にお話ししていければと考えています。わたくしの言うこと、分かっていただけて?」
領主たちが息を呑んで話を聞く中で、ルカンタラだけが静かにその紫の瞳をフィルリーネに向けていた。
グングナルド領主を集めた会議で、フィルリーネは静かに笑みながら始めた。
その言葉に安堵する者と、眉間に皺を寄せた者、表情を変えなかった者がいる。
「ルヴィアーレ様とのご婚姻は、どのような対処となられたのでしょうか?」
最初に口にしたのは国境門のあるヒベルト地方の領主、シグナルテだ。王によって暗殺されそうになったが生き延び、今回の事件で領主に戻した。
薄い栗色の髪を短く切った輪郭のはっきりした男だったと記憶しているが、事件によって妻と子を亡くしてから苦労もあったせいで、頬が痩けて顔や首が筋張っていた。
薄い緑色の瞳が鋭く見えるのは、この数ヶ月で多くを失ったからだろう。
そのシグナルテは期待を持ってこちらの返答を待つ。隣にいるルヴィアーレを見れば婚約続行だと分かっているだろうが、言質が欲しいのだろう。
他の領主に良く聞かせるためにも。
「ラータニア王より、今回の元グングナルド王の失態について、わたくしに咎める責はないとお言葉をいただいています」
「では…」
「婚約は続行。ただ、今回の事件により犠牲が出たことを慮っていただき、婚姻式は当分の間延期。婚約のままと言うことになりました」
「それは、よろしゅうございました」
シグナルテは笑みを浮かべて婚約続行を喜ぶ。その後をミュライレンの兄、アレシウスが続けた。
「フィルリーネ様とルヴィアーレ様の婚約を、我がダリアエル領は歓迎いたします」
はっきりとした口調がミュライレンの兄とは思えない。
少々赤みのさしたうねった金髪は耳に少しかかるくらいの長めの髪で、目がクリッとした幼い容姿に見えるのだが、ミュライレンの父元領主ブライデンに良く似て強引だが堅実な腕を持つ領民に人気の男である。
アレシウスにとって、コニアサスを王にと宣言したフィルリーネは敵対する相手ではない。ミュライレンとコニアサスに教育を課すことを聞いているだろう。今後見極めるために近付いてくるだろうが、こちらとしても魔導石を多く産出するダリアエル領は囲っておきたい。
二人の声が上がると、ちらほらと領主たちが喜びを見せたが、そうでない者もいる。
マグダリア領主、ルカンタラだ。最近城に文句を言いに来たおじいちゃん軍団の一人、サリーネスの息子である。
老眼鏡ではないが眼鏡をかけており、サリーネスと同じように長い髪を後ろに束ねている。さすがに白髪ではなく真っ黒だが、切れ長の瞳は紫で妖艶な雰囲気があった。
サリーネスのようなお腹の出た体格ならそんな雰囲気はないが、ガルネーゼのように身長が高く細身なので、上から見られるときっと迫力を感じるだろう。
そのルカンタラは静かに話を聞いて、無言のまま。サリーネスはフィルリーネを良く思っていないので、ルカンタラも同じだ。
マグダリア領は第二都市カサダリアの次に大きな街を擁している。周辺に魔獣の巣窟である洞窟があるのだが、そこで採れる宝石で潤っている街だ。
街が潤っていれば領主も潤っている。その金で王にへつらっていたのはよくある話だ。完全な王派とは言わないが、賄賂によって王からの圧力を緩和していた。ある意味王から守られていた領主としては、王が投獄されて不安も多いことだろう。
注視したいのはそこだけではない。マグダリア領は隣国キグリアヌンに宝石を輸出しており、キグリアヌンとも繋がりがあった。無視するには面倒な問題を抱えている領なのだ。
「フィルリーネ様は王の席に座らぬと、ラータニア王はご存知なのでしょうか?」
そのルカンタラがやっと口を開いた。まずは本当に王になる気がないのか気になったらしい。
「もちろん、わたくし王になる気はなくてよ。コニアサスが成長するまでの腰掛けと思ってくれて結構。けれど当然、王の代理としての働きは致します」
ラータニア王がグングナルドにおける影響を増やしては困る。ルカンタラからはそんな言葉が溢れてきそうだ。それはこちらも同じである。これ以上ラータニアの影響力を増やすつもりはない。
「ラータニア王からは、ラータニアでの被害を最小限に抑えたことを深く感謝していただいています。グングナルドとしても、害虫駆除に協力いただけたことは感謝致すところ。お互い利があり協力が叶ったのだから、ラータニアにおける被害に対しての補償も少なく済みました。これからも良い関係を築いていけますわ」
隣にいるルヴィアーレを除けばだが。
それは言わず、ちらりと横目でその男を見る。相変わらず無表情で周囲の話を聞いているだけ。ルヴィアーレは文武両道と謳われていても、グングナルドでは殆ど発言をせずに大人しくしている。
戦いで王派を倒していてもそれを見ている人物は少なく、武に秀でていたと言われればその程度で納得させられる。ルヴィアーレを脅威と思う者はまだいないだろう。ラータニアとの繋がりで面倒だと思われる程度だ。
侮られればこちらはやり易い。
害虫発言に顔を引き攣らせる領主もいるが。ルカンタラは真顔でこちらを見遣った。
近くに座るガルネーゼがぎろりとルカンタラを睨みつける。フィルリーネが王の代理になっていられるのはガルネーゼとイムレスがいるからである。その後ろ盾てであるガルネーゼの前で代理ができるのかと問えば、ガルネーゼに補助能力があるのかと問うているようなものだ。
それくらいルカンタラは分かっているだろうが、そう簡単にフィルリーネの統治にされては困ると紫の瞳をこちらに向けてきた。
「具体的にフィルリーネ様は、今後どのように国をまとめられるおつもりでしょうか。前王は確かに地方へ目を向けぬ方でした。多くの魔鉱石を望み大都市へ権力を集中させ、地方は困窮するばかり。しかしその地方に主立った産業がなく、貧するのも仕方のないことかと存じますが」
その権力が集中された第三都市に住む領主が言い放ってくる。地方の領主が歯噛みしても事実なので反論できないが、目立った産業がなくても税率が一律で、新しい産業を探してもまともに行えない財政難なのが問題なのだ。
王は分かりやすく賄賂を得られる領や王の手伝いを好んで行う領を優遇した。そこを修正すれば標準値は上げられる。
「そうですわね。まずはこの資料を確認していただきたいわ。とても面白いものが載っているの。わたくし政務を行っている間に気付いたのです。何かと自由にされている方が多いように見受けられるのよ」
側に控えていた政務官たちがざっと資料を配布した。
「これは…」
一人の領主が呟くとざわめきが広がった。ルカンタラがある領主へ視線をやると、皆が同じ方へ向いた。
顔を蒼白にさせていたのは、冬の館があるサマレンテ領主オマノウラだ。丸坊主の頭を前屈みにし、太った体を更に丸くさせて資料を凝視している。
「ふぃ、フィルリーネ様、こ、これは」
「害虫とはとても仲が良いようですわね」
「な、なかが、よい、などと」
オマノウラはそれほどの大物ではない。前王の言うことを聞いてそれを実行していただけだ。何も考えず言われた通りに行うだけの、脳のない領主。
今まで王都やカサダリアに住む個別の貴族たちを捕らえてきたが、領主はまだ手を出していない。不正を行っていた貴族たちを捕らえた後時間を置いたのは、それほどの権力をフィルリーネは傍観すると見せ掛けただけだ。
既に証拠は得られている。わざわざこの場で出すために取っておいた。
「随分と、数字が違うように見受けられるの。サラマンテ領で得られるキグリアヌンへの物資の輸出量に比べて、グングナルドへの税金が少ないのは何故かしら。それとは別に、不思議なお金の移動がありましてよ。害虫に与えるには膨大な金額ですこと。サラマンテ領は防衛に必要な大きな要となる場所。その領が防衛に力を入れず、そのお金を個人的に害虫に渡すなど、言語道断ではなくて?」
「こ、これは。あなたの父君に、い、依頼されたのです! こちらでは、断ることなど、できず!」
「その害虫がいなくなった途端、証拠を隠滅しようとなさったようね。ねえ、オマノウラ。害虫は確かに脅威的で、命の危険さえ伴った関係でしたでしょう。けれど、害虫退治を終えた後、その関係を隠すような不誠実な小虫を、わたくしが許すと思って?」
オマノウラはその言葉にどっと汗をかき始めた。口をモゴモゴさせ何か言い訳を話そうとするが、言葉になっていない。
冬の館は王の騎士団も揃っていた。国境騎士団の多くが王の手下ともなれば、王の言うことは聞かなければ生きていけない。
しかしそれを鑑みても、オマノウラは何もしなかった。キグリアヌンへ秘密裏に魔鉱石を輸出していた証拠も揃っている。キグリアヌンの誰と取引をしていたかは定かではないが、グングナルドを裏切っていた行為は許し難いものだ。
例えそれが前王の命令であっても、今はただの害虫でしかない。
「ねえ、皆様。わたくし子供の頃から思っていましたの。害虫退治を終えたら、その周りを飛び回る小虫は全て排除しなければと。そのための用意をして参りましたわ。皆様とは小虫を排して、対等にお話ししていければと考えています。わたくしの言うこと、分かっていただけて?」
領主たちが息を呑んで話を聞く中で、ルカンタラだけが静かにその紫の瞳をフィルリーネに向けていた。
14
お気に入りに追加
189
あなたにおすすめの小説
突然現れた自称聖女によって、私の人生が狂わされ、婚約破棄され、追放処分されたと思っていましたが、今世だけではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
デュドネという国に生まれたフェリシア・アルマニャックは、公爵家の長女であり、かつて世界を救ったとされる異世界から召喚された聖女の直系の子孫だが、彼女の生まれ育った国では、聖女のことをよく思っていない人たちばかりとなっていて、フェリシア自身も誰にそう教わったわけでもないのに聖女を毛嫌いしていた。
だが、彼女の幼なじみは頑なに聖女を信じていて悪く思うことすら、自分の側にいる時はしないでくれと言う子息で、病弱な彼の側にいる時だけは、その約束をフェリシアは守り続けた。
そんな彼が、隣国に行ってしまうことになり、フェリシアの心の拠り所は、婚約者だけとなったのだが、そこに自称聖女が現れたことでおかしなことになっていくとは思いもしなかった。
王子の婚約者なんてお断り 〜殺されかけたので逃亡して公爵家のメイドになりました〜
MIRICO
恋愛
貧乏子爵令嬢のラシェルは、クリストフ王子に見初められ、婚約者候補となり王宮で暮らすことになった。しかし、王妃の宝石を盗んだと、王宮を追い出されてしまう。
離宮へ更迭されることになるが、王妃は事故に見せかけてラシェルを殺す気だ。
殺されてなるものか。精霊の力を借りて逃げ切って、他人になりすまし、公爵家のメイドになった。
……なのに、どうしてまたクリストフと関わることになるの!?
若き公爵ヴァレリアンにラシェルだと気付かれて、今度は公爵の婚約者!? 勘弁してよ!
ご感想、ご指摘等ありがとうございます。
短編まとめ
あるのーる
BL
大体10000字前後で完結する話のまとめです。こちらは比較的明るめな話をまとめています。
基本的には1タイトル(題名付き傾向~(完)の付いた話まで)で区切られていますが、同じ系統で別の話があったり続きがあったりもします。その為更新順と並び順が違う場合やあまりに話数が増えたら別作品にまとめなおす可能性があります。よろしくお願いします。
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
僕が立派な忠犬になるまで。
まぐろ
BL
家出をしてお腹を空かせていた夕凪 風音(ゆうなぎ かざね)。助けてくれたお兄さんに、「帰りたくない」と言うまでの100日間、『犬』として育てられる。
※♡喘ぎ
平民と恋に落ちたからと婚約破棄を言い渡されました。
なつめ猫
恋愛
聖女としての天啓を受けた公爵家令嬢のクララは、生まれた日に王家に嫁ぐことが決まってしまう。
そして物心がつく5歳になると同時に、両親から引き離され王都で一人、妃教育を受ける事を強要され10年以上の歳月が経過した。
そして美しく成長したクララは16才の誕生日と同時に貴族院を卒業するラインハルト王太子殿下に嫁ぐはずであったが、平民の娘に恋をした婚約者のラインハルト王太子で殿下から一方的に婚約破棄を言い渡されてしまう。
クララは動揺しつつも、婚約者であるラインハルト王太子殿下に、国王陛下が決めた事を覆すのは貴族として間違っていると諭そうとするが、ラインハルト王太子殿下の逆鱗に触れたことで貴族院から追放されてしまうのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる