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復興2
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「フィルリーネ姫とルヴィアーレ様が翼竜に乗り、ラータニアと反王派の戦いを助けたと言う話が既に街中で噂されているようです」
サラディカはラータニアから送られてきた報告書を手に、それを読み上げた。
街中と言うのは、ラータニアの街中である。ラータニアではフィルリーネが多くの働きをしたことが噂されていた。
精霊によって造られた国境の結界が航空艇に破壊された後、小型艇から魔獣が投下された。その魔獣に対処したのが、ラータニアにいた商人たちである。
商人を装っていた者たちはフィルリーネの手で、予め対魔獣用の薬を持っていた。航空艇より投下された魔獣相手に薬を使用すると、魔獣たちはお互いを食い争ったと言う。
その後現れた王派には反王派の警備騎士たちが王派の背後を追い込む。そこに翼竜で現れたフィルリーネが魔導士顔負けの攻撃を繰り出した。士気が上がったフィルリーネの配下は声を上げてフィルリーネのために戦った。
ラグアルガの谷で放たれた巨大化した獣は、封じられていた国境の壁を破壊しラータニアに入り込もうとした。しかし、そこにフィルリーネの罠が仕掛けてある。
ヘライーヌの作った、巨大化させる薬を射らせ魔獣たちに注入。新しく作られた薬は無理に巨大化させられた魔獣たちを更に巨大化させるものだ。しかし、複雑な組織を無理に伸ばそうとする力が逆に作用し、暴れるだけで魔獣の筋肉や内臓に負担をかけた。
ふらつく魔獣を容赦なく翼竜が燃やし、巨大化した魔獣は簡単に死んだ。
フィルリーネより魔獣用の薬もラータニアに用意されていたが、あまりに簡単に倒してしまったため、襲撃のため待機していた兵士たちが呆気に取られた程だったらしい。
翼竜がフィルリーネの手であることは、後に噂になった。
ラータニアの浮島への襲撃にも翼竜が現れた。フィルリーネが巨大な防御壁を造ったことは、ラータニアの航空艇内にいた者たちが目撃している。王女であるフィルリーネが単身戦場に出たことは大きな話題となったようだ。
フィルリーネの噂はあっという間にラータニアに広がった。何よりも魔導の力が強力で、グングナルドの兵を一気に仕留めた腕は闘いの女神のようだったと謳われた。その女神が翼竜によって現れラータニアを守ったと言うのだ。
「グングナルドは昨今ラータニアへの締め付けを増やしておりましたから、ラータニアからすれば良い印象はなくなっておりました。しかし、その中でフィルリーネ姫が翼竜に跨り、グングナルド兵を懲らしめたと言う話は美談となっているようです。それと、」
ちらり、とサラディカがこちらを視界に入れる。その後言いたいことは分かっているが、これは結果論で、意図したことではない。
「ルヴィアーレ様がご一緒だったことが、かなり印象付けられたようです」
翼竜に乗ったフィルリーネは英雄のようだっただろう。闘いの女神と称されて納得するが、自分もそれに一役買い更にラータニアでのフィルリーネの噂を広げさせてしまった。
扉の前で待機していたイアーナは顔を真っ赤にし、息でも止めたかのように口を閉じている。もう爆発寸前のようにも見えるが、散々爆発した後で、既にレブロンやサラディカに猛注意を受け、あれでも必死に我慢している状態だ。
イアーナはフィルリーネの行動を目にしなかったため、未だ何も信じていない。だが、ラータニアの民衆や兵士たちはフィルリーネの戦いを間近にし、目撃したため、決して誇張された噂ではないだろう。
「フィルリーネの魔導は、想像以上だったからな」
「ラータニアからの報告でも、フィルリーネ姫の攻撃は王直属の魔導士のようだったと」
むしろ、あそこまで魔導があるとは思わなかった。
的確に敵を選別し攻撃する。あれだけ人が入り混じった中で、大人数に対しての魔導を発動する力は並大抵ではない。
ヨシュアの攻撃を弾く防御壁も見事だった。しかもその結界の広さがとんでもない。本来なら魔導士が数人いて行うような魔導を、フィルリーネ一人で発動し、それを永続させていた。
あれを見た魔導士は言葉を失うだろう。精霊の力を得ていても、精霊からその力を借りていない状態で行っていたのだ。人型の精霊はともかく小さな精霊は戦いを好まないため、力を借りる真似をしていなかったのかもしれないが、あの巨大な結界は高位の魔導士でも作るのは難しい。
それをいとも簡単に行い、疲れも見せない。その前に城の中で戦い魔導を使っていながら、尚且つあれだけの力を出しても魔導枯れを見せることがなかった。
「王族として高い魔導を持っているとは思っていたが、思った以上だった。人型の精霊と翼竜を仕えさせるだけの力はある」
「まさか、翼竜までもがフィルリーネ姫の配下とは思いもしませんでした」
誰もが驚愕しただろう。ヨシュアは王の航空艇を追いやった後、城へ飛行して戻ってきた。城の上を旋回しその姿を多くの者たちに見せた後、フィルリーネの元へ飛んできたのだ。
激突しそうなほど速さを上げて降下してきたヨシュアは窓にぶつかる寸前で姿を変え、フィルリーネに駆け寄り、正面から抱きついた。
フィルリーネの配下ですら、それを知らなかったのだろう。誰もが驚きに目を見開いて口を開け閉めしていた。翼竜についてはフィルリーネやその周囲でしか共有していなかったのが分かる。
そして人型の精霊エレディナを脇に置いた。これだけでフィルリーネがグングナルド王より魔導を持ち、強力な配下を持っていることが知れ渡る。
フィルリーネの本性を知らぬ者たちはその噂をどう耳にするだろうか。簡単には信じられる話ではないが、ヨシュアはともかく身体が半透明であるエレディナを堂々と連れれば、否応なく噂が真であると知ることになる。
「ラータニアでは戦闘の用意を予め行っていた関係で、被害は最小限に食い止められました。ラータニア王はそれに関してもフィルリーネ姫に感謝を。事が落ち着けば一度お会いして今後についてお話をしたいとのことです」
「フィルリーネは早めにラータニア王との謁見を求めるはずだ。仮の王としてラータニア王に会うことは、フィルリーネにとっても損がない。外交が行える王女として手っ取り早く誇示できる」
「ラータニア王もそのようにお考えのようです」
ラータニア王が話したい今後のこと。婚姻をどうするかについてだろう。既に婚姻する意味はなくなった。グングナルド王がいなければ婚姻に拘る者はいない。婚約の破棄をマリオンネにてフィルリーネが行えばそれで終わりだ。
だがそれを、ラータニア王が望むか、
「何とも言えぬな…」
「何か?」
「いや、フィルリーネのところへ行く」
フィルリーネは人に、部屋で大人しくていろ。と命令してきたが、それに従う謂れはない。
最後の一口を飲み干すと、フィルリーネのいる執務室に足を運ぶことにした。
サラディカはラータニアから送られてきた報告書を手に、それを読み上げた。
街中と言うのは、ラータニアの街中である。ラータニアではフィルリーネが多くの働きをしたことが噂されていた。
精霊によって造られた国境の結界が航空艇に破壊された後、小型艇から魔獣が投下された。その魔獣に対処したのが、ラータニアにいた商人たちである。
商人を装っていた者たちはフィルリーネの手で、予め対魔獣用の薬を持っていた。航空艇より投下された魔獣相手に薬を使用すると、魔獣たちはお互いを食い争ったと言う。
その後現れた王派には反王派の警備騎士たちが王派の背後を追い込む。そこに翼竜で現れたフィルリーネが魔導士顔負けの攻撃を繰り出した。士気が上がったフィルリーネの配下は声を上げてフィルリーネのために戦った。
ラグアルガの谷で放たれた巨大化した獣は、封じられていた国境の壁を破壊しラータニアに入り込もうとした。しかし、そこにフィルリーネの罠が仕掛けてある。
ヘライーヌの作った、巨大化させる薬を射らせ魔獣たちに注入。新しく作られた薬は無理に巨大化させられた魔獣たちを更に巨大化させるものだ。しかし、複雑な組織を無理に伸ばそうとする力が逆に作用し、暴れるだけで魔獣の筋肉や内臓に負担をかけた。
ふらつく魔獣を容赦なく翼竜が燃やし、巨大化した魔獣は簡単に死んだ。
フィルリーネより魔獣用の薬もラータニアに用意されていたが、あまりに簡単に倒してしまったため、襲撃のため待機していた兵士たちが呆気に取られた程だったらしい。
翼竜がフィルリーネの手であることは、後に噂になった。
ラータニアの浮島への襲撃にも翼竜が現れた。フィルリーネが巨大な防御壁を造ったことは、ラータニアの航空艇内にいた者たちが目撃している。王女であるフィルリーネが単身戦場に出たことは大きな話題となったようだ。
フィルリーネの噂はあっという間にラータニアに広がった。何よりも魔導の力が強力で、グングナルドの兵を一気に仕留めた腕は闘いの女神のようだったと謳われた。その女神が翼竜によって現れラータニアを守ったと言うのだ。
「グングナルドは昨今ラータニアへの締め付けを増やしておりましたから、ラータニアからすれば良い印象はなくなっておりました。しかし、その中でフィルリーネ姫が翼竜に跨り、グングナルド兵を懲らしめたと言う話は美談となっているようです。それと、」
ちらり、とサラディカがこちらを視界に入れる。その後言いたいことは分かっているが、これは結果論で、意図したことではない。
「ルヴィアーレ様がご一緒だったことが、かなり印象付けられたようです」
翼竜に乗ったフィルリーネは英雄のようだっただろう。闘いの女神と称されて納得するが、自分もそれに一役買い更にラータニアでのフィルリーネの噂を広げさせてしまった。
扉の前で待機していたイアーナは顔を真っ赤にし、息でも止めたかのように口を閉じている。もう爆発寸前のようにも見えるが、散々爆発した後で、既にレブロンやサラディカに猛注意を受け、あれでも必死に我慢している状態だ。
イアーナはフィルリーネの行動を目にしなかったため、未だ何も信じていない。だが、ラータニアの民衆や兵士たちはフィルリーネの戦いを間近にし、目撃したため、決して誇張された噂ではないだろう。
「フィルリーネの魔導は、想像以上だったからな」
「ラータニアからの報告でも、フィルリーネ姫の攻撃は王直属の魔導士のようだったと」
むしろ、あそこまで魔導があるとは思わなかった。
的確に敵を選別し攻撃する。あれだけ人が入り混じった中で、大人数に対しての魔導を発動する力は並大抵ではない。
ヨシュアの攻撃を弾く防御壁も見事だった。しかもその結界の広さがとんでもない。本来なら魔導士が数人いて行うような魔導を、フィルリーネ一人で発動し、それを永続させていた。
あれを見た魔導士は言葉を失うだろう。精霊の力を得ていても、精霊からその力を借りていない状態で行っていたのだ。人型の精霊はともかく小さな精霊は戦いを好まないため、力を借りる真似をしていなかったのかもしれないが、あの巨大な結界は高位の魔導士でも作るのは難しい。
それをいとも簡単に行い、疲れも見せない。その前に城の中で戦い魔導を使っていながら、尚且つあれだけの力を出しても魔導枯れを見せることがなかった。
「王族として高い魔導を持っているとは思っていたが、思った以上だった。人型の精霊と翼竜を仕えさせるだけの力はある」
「まさか、翼竜までもがフィルリーネ姫の配下とは思いもしませんでした」
誰もが驚愕しただろう。ヨシュアは王の航空艇を追いやった後、城へ飛行して戻ってきた。城の上を旋回しその姿を多くの者たちに見せた後、フィルリーネの元へ飛んできたのだ。
激突しそうなほど速さを上げて降下してきたヨシュアは窓にぶつかる寸前で姿を変え、フィルリーネに駆け寄り、正面から抱きついた。
フィルリーネの配下ですら、それを知らなかったのだろう。誰もが驚きに目を見開いて口を開け閉めしていた。翼竜についてはフィルリーネやその周囲でしか共有していなかったのが分かる。
そして人型の精霊エレディナを脇に置いた。これだけでフィルリーネがグングナルド王より魔導を持ち、強力な配下を持っていることが知れ渡る。
フィルリーネの本性を知らぬ者たちはその噂をどう耳にするだろうか。簡単には信じられる話ではないが、ヨシュアはともかく身体が半透明であるエレディナを堂々と連れれば、否応なく噂が真であると知ることになる。
「ラータニアでは戦闘の用意を予め行っていた関係で、被害は最小限に食い止められました。ラータニア王はそれに関してもフィルリーネ姫に感謝を。事が落ち着けば一度お会いして今後についてお話をしたいとのことです」
「フィルリーネは早めにラータニア王との謁見を求めるはずだ。仮の王としてラータニア王に会うことは、フィルリーネにとっても損がない。外交が行える王女として手っ取り早く誇示できる」
「ラータニア王もそのようにお考えのようです」
ラータニア王が話したい今後のこと。婚姻をどうするかについてだろう。既に婚姻する意味はなくなった。グングナルド王がいなければ婚姻に拘る者はいない。婚約の破棄をマリオンネにてフィルリーネが行えばそれで終わりだ。
だがそれを、ラータニア王が望むか、
「何とも言えぬな…」
「何か?」
「いや、フィルリーネのところへ行く」
フィルリーネは人に、部屋で大人しくていろ。と命令してきたが、それに従う謂れはない。
最後の一口を飲み干すと、フィルリーネのいる執務室に足を運ぶことにした。
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